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GS美神異聞録

GS美神異聞録 Report 3


投稿者名:Kreutzer
投稿日時:08/10/ 4

「ウソ…?
横島さん!?」

それを見たとき…

見慣れた横島さんの部屋の筈…なのに、真っ暗な空間…。
横島さん以外見えない…そんな感覚に囚われてしまいました…。

長い時間だったのか一瞬だったのかよくわかりませんでした…。
私の心臓の鼓音…サイレンの音…ヒトの足音…
いろいろなオトが聞こえた気がしました…



「おキヌちゃん!何があった!?」
「え…だれ…?」

私には、目の前の光景が現実か幻かわかりませんでした…。
いえ…判りたくなかった、認めたくなかった…。

「しっかりしろ!なにがあったんだ!」
「あ…西条、さん?」
「しっかりするんだ、おキヌちゃん!」

気がついたら目の前に西条さんがいました。

「あ、私…」
「横島君を病院へ運ぶ。君もついてくるんだ!」
「はい…」
「小鳩ちゃん、だったね。君は横島君の身の回りのものを頼む」
「は、はい!」
「おキヌちゃん。ヒーリングはできるよね?」

………

「おキヌちゃん!」

「あ…はい!」

「ショックなのはわかる。だけど、できることを今しないと後悔するぞ!」
「西条さん…」
「令子ちゃんには僕から連絡を入れておく。君は横島君にヒーリングをかけ続けてくれ。今ならまだ助かる」

「はい…」

「横島君と彼女を頼む。僕も後で病院にいく」
「わかりました」

西条さんが隊員にいろいろと指示をしていましたが、私は横島さんにヒーリングをかけ続けるのが精一杯でした

「横島さん…どうして…」



美神さんが病院にきたのは、ほとんどすぐだったと思います…。



「横島クンは!?」
「あ…美神、さん?」
「おキヌちゃん、何があったの!?」
「横島さんが、横島さんが…」
「おキヌちゃん!しっかりしなさい!」
「美神さん…!横島さんが…!
ワタシ…ヒーリングかけたんですけど…効果がなくって…その…」

「おキヌちゃん?」
「おキヌちゃん、君はヒーリングで体力を消耗している。少し休んだほうがいい。
令子ちゃん、僕から話すよ…」
「西条さん…」

私にソファをすすめながら、西条さんが美神さんに説明してくれました…

「連絡を受けて彼の部屋に駆けつけたから、詳しい原因はわからないが…。
霊波刀で腹部を貫いた傷で大量出血していた」
「霊波刀…?」
「そうだ。霊波刀だ…」
「どういうこと!?」

美神さんの問いに西条さんが表情を曇らせて答えました

「………。
言い難い事だが…」

美神さんには…。いえ、私たちには西条さんの沈黙の意味がわかっていました。

「………ウソ、何で!?」
「それは判らないよ」



「だが、残っていた霊気の質は…」

西条さんの話を聞くうちに、私達の血の気が引いていったのを覚えています…

「横島君のものだと…?」

「………」
西条さんは無言で頷きました。

「ワタシの…私のせいだわ…」
「令子ちゃん…?」
「私がルシオラの事で無責任な事をいったから…」
「令子ちゃん、しっかりしたまえ!
大丈夫だ。横島君はまだ生きている。
Gメンの最高の医療スタッフが治療に当たっているんだ、助かるさ」
「西条さん…でも…」
「しっかりするんだ、君は………」

そこまで言いかけて西条さんは、言葉を選び直したようでした。

「あ、いや…彼は、事務所のスタッフだろ!」
「そ、そうね…」
「今は、治療を待とう」
「う、うん…ありがとう、西条さん」
「あ、ああ…(こんな形で譲られるのは許さんぞ、横島クン!)」

しばらく誰も口を開きませんでした…
西条さんも私も、横島さんの傷が深いことを知っていましたし、美神さんも事態の重さを感じていました…

ガチャ…
手術室から先生が出てきました。

「ドクター、彼の容態は…?」
西条さんが皆を代表して先生に問いただしました。

「彼の親族の方は?」
「彼の両親は国外にいて、今は…」
「そうですか…」
「そんなに容態が?」
「ええ…。生きているのが不自然なぐらいに傷が酷い…」
「不自然?」
「腹部を刃物で深く切り裂かれていますが、主要な臓器にはほとんど傷がついてないのですよ。まるで、何かが守ったとしか…」


「ルシオラさんだわ…ルシオラさんが横島さんを守ってくれたんだわ…」
「しかし…彼女は…」
「治療には万全を尽くします。が、万が一を考えて、ご両親への連絡をお願いします」

「それって…(どういうこと!?)」
「万が一!?万が一ってどういう事よっ!」

それまで黙って先生の話を聞いていた美神さんが、先生に詰め寄りました。

「令子ちゃん!やめろっ!」
「美神さんっ!」
「あ…私…」

「君がこういうときに落ち着かないとだめだ」
「ご、ごめんなさい…」

「と、とにかく…此方でできる事は手を尽くします」
「よろしくお願いします、ドクター」

横島さんの入院の手続き、海外にいるご両親への連絡、学校への連絡…。
気がついたら、西条さんが全部やってくれていました…。


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