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横島ドタバタ恋物語

リポート10  誰がために金は成る!?その1


投稿者名:雅樹
投稿日時:08/ 9/ 8

GS資格取得試験2次試験会場


美神、横島、唐巣はそれぞれ散り散りに自分の審判するコートへ向かった。
美神は第2コート、横島は第4コート、唐巣は第5コートだ。


「さぁ、2次試験よ。横島君、気合い入れなさいよ!!」
「はい?別に試合を見届けて勝者を告げるだけなのでは・・・・」
「まぁ、そうなんだけど・・・一応死人はでないように努力するのよ?
試合中に死人が出ても事故で片付けられるけど、できるだけ死人が出そうになる前に試合を止めるのも私たち審判の仕事よ。」
「俺の試合の時の審判って・・・・・」


前回、横島がGS資格を取る時に霊刀で殺されかけたことがあったが、その時の審判は止めることはなく
「この場合、死んでも事故だ。心おきなく戦いたまえ!」などと、当時の横島に死ねと言っていたようなものだった。



「さて、まもなくGS資格取得試験第一試合が行われようとしております。実況はおなじみこの私、
GS協会記録部広報課の枚方亮がお送りします!!そして、解説はもう頼みたくなかったのですが、厄・・・・・・・・・」
「創業40年!!親切丁寧、魔法のアイテムなら何でもそろう厄珍堂!!信頼のブランド厄珍堂店主、厄珍がお送りするあるよ!!」


「というより、あなたもう前回で出入り禁止になりませんでしたか?」
「フン。私の情報の前ではたとえどんなお偉いさんでも私にひれ伏すね!!」
「・・・・・ただいま、人間社会の裏側を垣間見たような気がしますが、聞かなかったことにしましょう・・・
しかし、厄珍さん。何度も言いますが、単なる録画用のビデオなので宣伝はやめて下さ・・・・」
「厄珍厄珍やくちんどぉぉぉ〜!!魔法のことなら厄珍どぉぉぉ!!」
「だから!!いい加減に・・・・・」
「開いててよかったやく――――――――――――」


チ―――――――――――――――――――――――ン(合掌)


前回のことを全く学習していなかったあわれな厄珍。
枚方の手にはマイクが握られていた・・・・・・・・真っ赤に染まったマイクが。
隣では厄珍(だったもの)が前かがみになって倒れていた。
頭には無数のタンコブができており、いたる所から出血していた。
周りの観客が少し汗をたらして厄珍(と思われるもの)を見つめていたが、枚方は気にすることなく前を向いていた。


ビ――――――――――――――!!


「時間です!!選手たちが入場してきました。」
そして、1次試験を突破した選手たちが次々と入場してきた。
雪之丞やドクター・カオス、鬼道やタイガー達も入場してきた。


「さぁ、第一試合の128名、64試合が行われます。審判長の晴野氏が組み合わせを決める『ラプラスのダイス』を振ります。」

あらゆる霊的干渉を寄せ付けず、運命を示すサイコロ『ラプラスのダイス』。
このサイコロで決められたことは絶対公平かつ宿命あるね。(by厄珍)
始めの方で雪之丞のような強い人物に当たるのも運命であって、幸運も不運もその人間の霊力が呼び込むものなワケ。(by小笠原エミ)


「さて、どうやら組み合わせが決まったようです。各選手がそれぞれの結界に向かいます。では、早速注目の試合を見てみましょう。」
「胸の一番おっきい子の試合を見るある!!」
「ま、おっさんはほっといて・・・では、第1コートから見ていきましょう。第1コートではドクター・カオスが試合をする模様です!!
注目の試合ですね。前回のように法律による違反がないことを祈るばかりです。」
「わかっとるわい!!」

前回、横島と対戦した時に銃刀法違反で捕まってしまったドクター・カオス。
ドクター・カオスは顔を真っ赤にして枚方に怒声を浴びせる。
そこから少し離れたところではドクター・カオスのアパートの大家さん(薙刀持参)が、「カオっさん今度こそ負けんじゃないよ!!」
と激励(?)を飛ばしている。


「かつて『ヨーロッパの魔王』とまで呼ばれた人物ですからね。天才錬金術師として遥か昔から生きている、
まさに生きた化石のドクター・カオス選手。今回はどういった戦いを見せてくれるのでしょうか!?」
「誰が生きた化石じゃ!!わしゃまだ現役じゃ!!」

「えぇ!?そんなに長く生きているんですか?」
「はい。記録によりますと、彼は現在1051歳ですね。」
「錬金術って凄いんですね・・・」

「フッフッフ・・・小僧、分かっておるではないか。」

剛一は最初に驚いた表情をしていたが、次第にカオスに尊敬のような眼差しを向け始めた。
一方のカオスもまんざらではないようで、顔を赤くして照れながら大笑いしている。
かつての中世で200歳以上も離れた某国の姫にアタックしていたなどと知れば、尊敬の眼差しどころか軽蔑(けいべつ)の眼差しに変わるだろう。
普通なら200歳以上年下の娘にアタックなど危ないジジイ極まりないのだ。


「今では家賃もろくに払えない貧乏ジジイあるけどな。まさに『ヨーロッパの負翁(まおう)』あるな。」
※負翁=負け組のジジイ(翁)のことである。

「やかましいわい!!その為にこうして試験を受けているんじゃ!!」


「さて、そのドクター・カオス選手の対戦相手は誰でしょうか?」
「ふん、誰であってもわしに勝つことはできん。用意はいいか、マリア?」
「イエス・ドクター・カオス。」

ドクター・カオスとマリアは戦闘準備万端という感じで対戦相手を待っていた。
そして、彼らの前に立ちはだかったのは・・・・



「ふん、何だ?対戦相手はおいぼれのじいさんとロボットかよ。」
「誰がおいぼれじゃ!!」

「おおっとぉ!?何とドクター・カオス選手の1回戦の対戦相手は、
前回の2次試験で美神令子扮するミカ・レイ選手に一瞬にしてやれられた蛮・玄人(ばん・くろうと)選手です!」
「ぐぅっ!!終わったことを・・・・くそっ!!今回は負けねぇ。かつての『ヨーロッパの魔王』とは言え、今はじいさんだから多少のハンデをやろう。
だが、前回のように10%だったら少々あなどり過ぎかもしれねぇからな。今回は30%だ!!30%の力で勝負してやろう。」
「ほほぅ?このわしに向かって、たかだか30%の力で勝負とな?わしも舐められたもんじゃのう。」
「はあぁぁーっ!!!!!」


蛮が声を発し、霊気を外に放出していく。
ドクター・カオスはよっぽど自信があるのか、蛮の霊気解放をじっと待っているのだった。


「ふふふ・・・待たせたなじいさん。」
「おおっと!?こ、これは・・・・」

実況の枚方は何かに気づいたように声を張り上げる。

「ふっ・・・実況も俺様のパワーに驚いているようだな。」
「前回の10%となんら変わりがありません!!」

ズルッ!!

「口だけでした!!口先男、蛮・玄人選手!!前回の10%とあまり変わりのない霊圧です。これはどういうことでしょうかぁ!?」
「決まっているある。あれが奴の全力だったね。」
「やっぱりそうでしたか・・・」
「でも、すごい威圧感というか・・・これが霊圧ですか。」

枚方と厄珍が蛮に猛烈な批判を浴びせかける。
それを剛一が慌ててフォローする。さすがは業界人と言ったところか。
だが、そのフォローも何のその。
枚方と厄珍はさらに蛮に対して厳しい言葉を投げかけた。

「ぐっ・・・・ちくしょう・・・・バレちゃ仕方ねぇ!!だが、じいさんには負けねぇ!!」
「ふん、それはこっちのセリフじゃ!!」

「試合開始っ!!」

「ぐおぉぉぉりゃぁぁぁぁっ!!」
「やれぃマリア!!」
「イエス・ドクター・カオス!!ロケットパーンチ!!」


ドゴ〜ン!!
「ぎゃっ!!」

「おぉ〜っと!!マリアの霊力のこもったパンチに蛮選手吹っ飛んだ〜!!!」
「ふん!!このドクター・カオスに勝とうなど8世紀早いわ!!」
「何とも面白くない試合です!!あんなバカはほっときましょう!!あんなバカは相手にするだけ無駄です!!」
「くそぉぉぉっ!!!」

前回同様、一瞬にしてやられた蛮に対して慰めの言葉をかけることなく、むしろ言いたい放題の罵詈雑言(ばりぞうごん)である。
(ご・・・ゴーストスイーパーって大変なんやなぁ・・・)と、心の中で思う剛一だった。


「それにしても素晴らしい攻撃です!!」

「ふん!!当たり前じゃ。このドクター・カオ『さすがマリアです!!美しい外見に惑わされてはいけません!!
そのしなやかな手から繰り出されるパンチはコンクリートの壁をたやすく破壊し、足からはジェットエンジンを放出し空を飛び、
霊力を帯びた攻撃は霊団をも蹴散らす!!まさに完璧です!!』・・・・ワシの話の腰を折るな!!」

自分の説明したいことを枚方に奪われた上に、自分に対しては何も賛辞がないことにドクター・カオスは憤慨(ふんがい)していた。
何も褒められたいとは思っていなかったが、ここまで自分に関心がないと逆に悲しいものである。

「そもそもマリアを作ったのはワシじゃぞ!!このヨーロッパの負翁・・・じゃなかった魔王、ドクター・カオスじゃ!!」
「はいはいそうでしたね。すごいすご〜い。」
「こ・・・・殺す・・・・あの実況いつか殺す!!」


カオスの話を右から左へと受け流す枚方。
興味があるのはマリアといった感じで呆れたようにドクター・カオスを見つめている。
ドクター・カオスはこぶしを握りしめ、ブルブルと震え実況の枚方に殺気をみなぎらせていた。
剛一はどうフォローすればいいか分からずに汗を流しながら苦笑するしかなかった。


(今日来たのは間違いやったかなぁ・・・・)
剛一が心の中でそう思ったかは定かではない。


その頃、横島が審判を務める第4コートでは白熱する試合が行われていた。
両方男ということもあり横島の興味対象外ではあるのだが、実力がほぼ一緒のようであったために長い時間闘っていたのである。
一方の選手は美神のように神通棍を使い、攻撃と防御を上手くこなしている。
攻守ともに隙がないように思えるが、スタミナに多少不安があるのか息があがっている。


そしてもう一方の選手は攻撃面に不安があるものの、防御は優れている。
こちらはスタミナに余力はあるものの、攻撃がいまいち相手に致命的なダメージを与えられていない。
攻撃と防御にマフラーのような布を用いる変わったタイプである。
霊気によって布を硬質化し神通棍の攻撃を防御し、攻撃時には霊気を纏(まと)わせ、布を剣や槍のようにして硬質化し攻撃する。


お互いにかれこれ10分程闘っているが、一向に結末が見えない。
横島は(長い・・・めんどうくさいなぁ・・・)などと考えていた。
すると、神通棍を持っていた選手が最後の攻撃とばかりに神通棍に大量の霊気を集め攻撃に移した。

相手の選手も予想していたのか、こちらもありったけの霊気を布に溜め防御の体制をとった。
神通棍で突っ込んできた方向に布をあてがい防御のタイミングを見計らう。

突っ込んでいった選手は、神通棍を剣道のように振りかざし、面のように一気に振り下ろす。
しかし、神通棍を振り下ろした一撃は、硬質化した布によってさえぎられてしまう。

(か・・・勝った・・・)
そう一瞬思ったが、次の瞬間腹部に多少の霊気を込めたパンチが炸裂する。

「ぐっ・・・・」
「ボディーがお留守だぜ?」

ニヤッと苦笑いした選手は、神通棍を振り下ろし防御されると同時に攻撃を変更した。
ほとんど霊力が残っていなかったが、布に霊気をほぼ全部注いだため、体全体に霊力が残っていなかったのだ。
布を防御に使うときは両手で布を広げるため、両手は使えない。
そして頭の方に防御を向け、両手も当然布を広げるため上の方に回している。
布によって遮られた視界は、相手の選手が消えたことを捉えることができなかったのだ。
そこを上手くついた一撃が功を奏し勝利を勝ち取ったのだった。
布使いの選手はその場に倒れ、横島が選手を確認した後に試合終了を告げた。


「勝負あり!!勝者、神威選手。」

横島がそう告げると、神威と呼ばれた―神通棍を使っていた―選手はガッツポーズをして喜んだ。

長い試合が終わった横島は
「はぁ・・・やっと終わったよ・・・」
などと、緊迫した試合がやっと終了したことに安堵した。


そして、次の試合を始めるためにコート内を一応掃除する。
64試合も行うため、同じコート内で2・3試合は行われるのだ。
その後も横島は特に試合に介入することもなく勝者を告げる仕事をするだけだった。


「よし・・・これで今日の分とりあえず5万確実っと・・・」

横島は1日目の1人当たりの配当金5000万円分の仕事をしたことを誇っていた。
配当が1000分の1になったことはピンはねもいい所だが、高校生の横島にとって1日で5万円も稼げる仕事はまさに天国だ。
特に、いつも美神の下でボロ雑巾のようにこき使われているためなおさらである。


そして、横島は知らなかった。
遠くで美神がニヤッとしていたことを・・・・1日で1億だということを・・・・

2日で4億円。
つまり、横島に金を払ったとしても美神のもとには2日で3億9990万円が入るのだ。
試験会場までのガソリン代を考えても、同じ都内なのだからそんなに離れてはいない。
つまり・・・・本当にボロ儲けである。


恐ろしいまでの守銭奴美神。
横島を狙っているとはいえ、金に関しては彼に対する恋心もどこへやら・・・・
末恐ろしい女である。
悪女である。悪魔である。魔性である。魔物である。魔族もビックリだ〜。

「さっきからやかましいわよ!!」



その後、雪之丞やタイガー、鬼道は知り合い同士当たることもなく順調に1回戦を勝ち抜いたのであった。


ついに次回は免許取得をかけた2日目!!
果たして皆ゴーストスイーパー免許を取得することができるのか!?
そして、優勝するのは一体誰なのか!?


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