『早く美神さんたちのところへ行かないと・・・』
小竜姫は、東京の空を飛んでいた。ワルキューレも一緒である。
彼女たちは、仲間とともに、地中に隠れることで生きながらえていた。アシュタロスの妨害霊波は突然なくなったのだが、まだ終わりではないという予感がして、ここまでやってきたのだった。
まだエネルギーも完全に回復したわけではなく、もちろん、瞬間移動なんて出来なかった。東京に入ったところで皆疲れきってしまい、仲間のエネルギーをかき集めて、かろうじて二人が飛行できる程度だ。
『おい、あれはヒャクメじゃないか!?』
ワルキューレに言われて、小竜姫が視線の向きを変える。確かに、向こうから飛んで来るのはヒャクメだった。
『もう大丈夫なのねー!
アシュタロスは完全に滅んだのねー!』
『ええっ!?
まだ第二ラウンドがあるのではないのですか!?』
小竜姫が聞き返すが、ヒャクメはニコニコしながら、地上を指さした。
『全部終わったのねー!
あの三人が頑張ってくれたから・・・!!』
ヒャクメの示した場所では、三人の男女が歩いていた。
『あれは・・・!?
美神さんたちですね!!
でも・・・なんで横島さんを連行してるのでしょう!?』
『いや・・・あれは違うぞ。私でもわかる』
『小竜姫はもっと俗界のこと勉強すべきなのねー』
小竜姫は眼下の光景を正しく認識できず、他の二人から苦笑される。堅物の軍人であるはずのワルキューレと、俗界に来過ぎかもしれないヒャクメから。
三者三様の神魔だったが、もはや事態は解決したのだということは、共通して理解していた。
一方、地上を歩く三人は・・・。
「・・・ホントに、このまま事務所まで歩くんスか!?」
慣れない状態に戸惑う横島に、
「そうよ!! ・・・イヤなの!?」
「あら・・・!? ふふふ・・・」
美神とおキヌが笑顔で応えていた。
「え・・・。
もちろん嫌じゃないですけど・・・」
「だって・・・約束しちゃったもんね。
『両手に花』な御褒美って」
「あ・・・そういうことか!」
美神の説明で、横島は、ようやく納得していた。
(なんだ・・・『両手に花』ってこの程度か。
まあ・・・でも・・・
これはこれで・・・気持ちいいかも)
ガッカリすると同時に、ニンマリともしてしまう。
なにしろ、『両手に花』ならぬ『両腕にバスト』だった。
左腕は、美神の豊かな胸に半ば埋もれており、右腕も、おキヌの着やせする胸にしっかり押し付けられている。
三人は、ずっと腕を組んだまま歩いていたのだった。
(へへへ・・・)
心地よさをなるべく顔に出さずに、ふと、気になっていたことを聞いてみた。
「ところで・・・美神さん、
逆行してきた三人って・・・
美神さんとおキヌちゃんと・・・もう一人は誰なんスか?」
「ええっ・・・!?」
「アシュタロスとの話の最初に、
そんなようなこと言ってましたよね?
俺、口を挟むなって言われてたし、
そこは自分にも関係ないと思って
スルーしてましたけど・・・。
隊長は・・・
過去から来たんだから逆行ではないっスよね!?」
横島と同じく、こちらも表情を変えない美神。だが、内心では焦っていた。おキヌも同様である。
(しまった・・・!!
口すべらしちゃったっけ!?)
(もう、美神さんったら・・・!!)
しかし、二人とも冷静に対処した。
「何それ?
私、そんなこと言ってないわよ?」
「そうですよ!?
美神さん、ちゃんと『二人』って言ってました。
横島さん、何か他の言葉と聞き違えたんじゃないですか?」
「そうだっけ・・・?」
少し釈然としないものの、横島の意識は、
(あっ・・・!?
でへへへ・・・)
すぐに別の方向へ行ってしまう。両腕に押し付けられていた二人の胸の位置が少し動いて、より気持ちいい状態になったのだ。
もちろん、歩いているうちに偶然起きたことなどではない。そう装った上での、女性たちの意図的な行動である。
こうして、美神の失言は、大事に至ることもなく、横島の頭から消し流されたのであった。実はもう一つ、『精神に傷』の詳細を聞いてみたい気持ちもあったのだが、それも一緒に頭の中から押し出されてしまった。それほど心地良かったのである。
ちょうどその時、三人の前を知りあいが通りかかった。
「あっ、小鳩ちゃん!!」
「横島さん!? それに・・・!?」
今の状態を少し恥ずかしく思う横島だったが、美神とおキヌは平然としている。
「あら、小鳩ちゃん。
もう学校も始まってる時間でしょう、どうしたの!?」
「ええ、バイトが長引いちゃって・・・。
今日は遅刻なんです」
小鳩は、学校へ向かうところらしい。
「私たち・・・徹夜仕事でしたから、
今日は学校は休んじゃいます。
横島さんの欠席、伝えといてもらえますか?」
「ええ、わかりました・・・。
でも・・・!?」
おキヌの頼みを了承する小鳩だが、今の三人の姿は、気になるようだった。
「ああ、これ!?
・・・ここだけの話、私たち、
例の『核ジャック事件』の悪魔を倒してきたとこなの。
しかも、トドメをさしたのは、横島クン!!」
「・・・これ、横島さんに約束してた御褒美なんですよ!!」
「ははは・・・」
微妙に嘘も混じっているが、横島も適当に頷いておいた。
(・・・でも、こんな『御褒美』もらうのって、
はたから見たら、なんだか情けなくないか!?)
とも思ったが、口にはしない。
そのまま、三人は小鳩と別れた。
小鳩のほうは、急いでいたはずなのに、少し足をとめて彼らの背中を見送ってしまう。
(やっぱり、あの二人・・・。
あれじゃ入りこめないな、今は・・・)
今の三人を見ていると、『小鳩は負けません』とも言えないのであった。
エピローグ 復元された世界
アシュタロスとの戦いが終わり、美智恵も元の時代へ帰っていった。
彼女は、実は、美神が中学生の頃に死んだわけではない。『歴史』を色々と知ってしまったが故に、死んだフリをして世間から隠遁していたのだ。アシュタロスとの戦いという火急の時には美神の『未来』情報を使ってしまった美智恵だが、あれは、良くないことである。こうして大事件も無事解決した今、美智恵は、そう判断していた。
彼女が過去へ旅立った直後に、この時空の美智恵、つまり、五年間隠れていた美智恵が現れた。ジャングルの奥地、フィールドワークに励んでいた夫のところで、暮らしていたらしい。美智恵は、平和だった五年間で性格が少し丸くなっただけでなく、おなかも丸くなっていた。美神の妹が生まれるのである。母親や妹とともに過ごす日々が、美神にも訪れるのであった。
そして・・・。
『歴史』の中で三人が過去へと逆行した時点が、そろそろ近づいていた。
___________
美神除霊事務所の一室。
椅子に座った美神の前に、横島とおキヌが立っている。
笑顔を取り繕った美神は、
「さー・・・ってっと!!」
と口を開き始めた。
同時に、心の中で、
(変わってしまった部分もあったわね)
彼女は、色々と回想する・・・。
___________
(おキヌちゃん・・・、
本当は『巫女の神託』なんて能力なかったのに。
あれこそ、未来の記憶だったのよね・・・)
三人で時間を逆行する際、イメージを統一させるために、美神は、脳の記憶を過去にとばすのだと定義付けした。
しかし、おキヌの行き先は幽霊時代だったのだ。魂そのものであるはずの幽霊に、『魂』ではなく『記憶』を逆行させるというのは、無理があったのだろう。美神や横島同様、脳内の『記憶』を逆行させたはずだったのに、むしろ『魂』の要素が、魂に付随した『記憶』が逆行したのかもしれない。
だから、『脳の記憶』が逆行したつもりでそれを封印しようとイメージしても、横島や美神よりも『記憶』のプロテクトが甘くなってしまったのだ。
時々、『記憶』が映像の形で漏れ出していた。何か『初めて』の時は、特に印象深かったようで、よく『神託』が発動してしまった。
初めての除霊仕事(第二話「巫女の神託」参照)、初めてのパソコン操作(第二話「巫女の神託」参照)、初めての冥子の式神暴走(第三話「おキヌの決意」参照)・・・。『神託』が最初の頃しか出なかったのも、美神たちと行動をともにするうちに、新しい事態の発生にも慣れてしまったからだろう。
また、後で聞いた話では、アシュタロスの『究極の二択』も、早い段階で予知していたらしい(第二話「巫女の神託」参照)。横島に関しての一番重要な記憶だったからに違いない。それを避けるために横島に恋人を作らせまいとしていたそうだが(第三話「おキヌの決意」参照)、今となってみれば笑い話である。
さらに、月のメドーサの事件では、おキヌはキスの件を予知した(第二十六話「月の女王に導かれ」参照)。久しぶりの『神託』ということは、あれはおキヌにとってそれだけ強烈な印象の出来事だったという証だ。
しかも、月旅行に関する『神託』がキスだったというのも興味深い。『本来の歴史』では、最後に横島は生身での大気圏突入という暴挙を成し遂げた。それが一番の大事であり、おキヌも『知識』としては知っている。しかし、彼女は、その場面自体は見ていなかった。『記憶』から溢れ出てきているのが『知識』ではなく『光景』の形だったからこそ、あのような『神託』となったのだ。
そして、この『光景』というポイントは、美神にも実感できた。なにしろ、記憶をプロテクトしていたはずの美神自身、『光景』の形で『本来の歴史』の一場面を瞬間的に思い出し、それが微妙な変化につながることもあったのだ(第十三話「とらわれのおひめさま」参照)。
(でも、もう大丈夫だわ・・・)
おキヌが未来予知をすることは、もう二度とないのだ。
逆行した時点まで時間が進んだ以上、もう、これより先の記憶は、おキヌにはないのだから。
これで、『本来の歴史』にはなかった『巫女の神託』という特殊能力も、完全に消えるのである。
___________
(横島クンの霊能力も、色々変わってたわ・・・)
最初の大きな変化は、シャドウだった。『本来の歴史』では、あんな特殊能力など持っていなかった。
(あのシャドウは、ルシオラの霊基構造だったのね)
美神は、記憶を開封した後で、それに気が付いた。開かれた記憶の中で、横島に関係して、ルシオラも重要な位置を占めていた。そして、ルシオラについて知った上で、自分たちが経験してきことを『本来の歴史』と比べてみた。そうすると、シャドウの正体も容易に推測されたのだった。
実は、逆行後の横島がルシオラの霊基構造を持つだなんて、美神の計画には含まれていなかった。
彼らの逆行の定義では、『魂』ではなく『記憶』を運んできたはずなのだ。霊基構造は『魂』に付帯していたはず。いくら僅かだったとはいえ、『記憶』と一緒にやってくるというのは、理屈に合っていなかった。
(横島クンがキチンと話を聞いていなかったせいで、
ほんの部分的に『魂』の逆行をやってしまったのか・・・)
それが一つの可能性だ。
(あるいは、文珠という横島クンの霊力を
使った時間逆行だったから、霊基構造も
横島クンの霊力に引きずられてしまったのか・・・)
それも考えられるかもしれない。
(もしかすると、ルシオラと離れたくない気持ちから、
逆行の定義云々を乗り越えて、少しでも
持ってきてしまったのかも・・・)
最後の可能性は、横島の想いの強さを示すことになるので、美神としては否定したいのだが・・・。
(たぶん・・・どれも正解ね。
複合的な理由だったんだわ。
だからこそ起こった奇跡・・・)
そう結論付けるしかなかった。
(まあ、ともかく・・・。
それも、もう消えたわ・・・)
最終作戦に関して詳細を煮詰めた際に、ルシオラが『自分が取り除く』と言ってくれたのだった。
それを聞いた時、美神もおキヌも、最初は驚いた。そんなことが可能なら、『本来の歴史』の中で横島から霊基構造を抜き出して、ベスパがかき集めた霊破片と併せて、ルシオラ復活も出来るはずだった。
『本来の歴史』の中では、無理だった理由として、土偶羅魔具羅が『何度も霊体をちぎったりくっつけたりしては人間の魂は原形を維持出来なくなる』と説明していた。土偶羅魔具羅は、『本来の歴史』でもこの世界でも、最後の爆発の中を生き残り、コンピューター扱いで神魔に引き取られていった存在だ。その情報には信憑性があった。
しかし、今の横島と『本来の歴史』の横島とは違う。そもそも、『本来の歴史』の横島のように大量に他者の霊体を注ぎ込まれているわけではなかった。この世界の彼には、横島自身を形成する霊体は十分ある。ルシオラのそれは付随していたに過ぎない。
横島の魂のメインな部分を『何度も霊体をちぎったりくっつけたり』するわけではないのだ。だから、キスで取り除くなんてことも可能なのだとルシオラは主張した。しかも、ルシオラは、ただの『ルシオラ』ではなく、新魔神となるのだから。
(彼女の霊基構造が消えた以上、
シャドウも文珠も元に戻った・・・)
特殊な文珠は、『本来の歴史』でも、数日で消えてしまうシロモノだったらしい。『本来の歴史』の横島は、心の中のルシオラから、そう説明されたそうだ。これで、『歴史』どおりになったわけである。
(細かいことだけど・・・
横島クンの霊能力が発現するのも早かったわね)
GS資格試験でも、それぞれの技を閃くのが僅かに早かったようだし(第九話「シャドウぬきの実力」〜第十一話「美神令子の悪運」参照)、妙神山に修業に出してしまったせいで、霊波刀を習得するのも早くなった(第十二話「遅れてきたヒーロー」参照)。
(でも・・・)
しかし、その後の斉天大聖との修業や、アシュタロスとの戦いの時期の彼の成長と比べれば、それらは微々たるものだ。
今の横島の霊能力は、逆行前と比べて高すぎることもない。ほぼ同じだろう。
(もう大丈夫だわ・・・)
___________
『本来の歴史』以上に事務所に密接に関わった人物もいた。
一人は、伊達雪之丞である。香港での些細な変化が影響して、一時は事務所メンバーのような扱いになっていた。
しかし、最近は、以前ほど事務所に頻繁に来ることはなくなった。関東周辺に訪れても、事務所に顔を出さない時もあるくらいだ。ガールフレンドができて、美神たちにかまう余裕も減ったのだろう。
(『歴史』と変わったときもあったけど、
今の状態は『歴史』どおりに戻ったわよね?
もう大丈夫だわ・・・!!
結局ガールフレンドも『歴史』どおりだし・・・)
氷室早苗が雪之丞を気にいったというイレギュラーも思い出して、内心で苦笑する美神であった。
___________
美神たちに対して、『本来の歴史』よりも深く結びついた者は、もう一人いる。
シロだ。
犬飼の再襲撃が遅れたために、シロは、かなり長い間、美神の事務所に居候していた。しかし、最後の犬飼との戦いで、『本来の歴史』以上に疲労してしまい、部分的な記憶喪失に陥った(第二十八話「女神たちの競演」参照)。
そのため、死津喪比女との戦い、斉天大聖との修業、平安京での事件、おキヌの復帰、月旅行など、いくつかのイベントをゴッソリ忘れてしまったのだ。
(それらは全て、『本来の歴史』では
シロが経験しなかった事件ばかり・・・。
『歴史』にはなかった超必殺技も忘れてしまった。
私たちとの当時の日々が・・・
一連の思い出がシロの記憶から消えたのは寂しいけど、
これで『本来の歴史』どおりになったのね・・・)
偶然とは思えない美神だったが、それでも、こんなところにまで『宇宙意志』が介入したとは考えたくはなかった。
___________
続いて、美神は、魔族三姉妹にも思いを馳せる。
(新魔神となったパピリオ・・・)
『歴史』では、彼女は妙神山預かりとなり、小竜姫の弟子となった。だから、妙神山へ行けば顔をあわすことになるはずだった。
しかし、この世界の妙神山には、彼女はいない。
(これくらいの変化は・・・まあ、いいわよね?)
妙神山へ行く機会なんて、滅多にないのだ。
美神たちは、十分パワーアップした。修業に行くこともないだろう。あそこに関わることさえしなければ、影響のない変化だ。
(ベスパも同じようなものだわ・・・)
『本来の歴史』では、魔族軍所属となって、魔界へ行くはずだった。
新魔神となったのだから、彼女は、やっぱり魔界で暮らすのだろう。もちろん、その存在の仕方は大きく違う。
しかし、美神たちが魔界へ赴くことなどないはずだ。美神たちとの関わりの範囲では、影響のない程度の変化だった。
(そしてルシオラ・・・)
新魔神にしてしまったとはいえ、死ぬはずだった命を救うことができた。これで、横島が変わってしまうことを防げたのだ。
しかし、美神たちの前から姿を消したという意味では、『本来の歴史』と同じだ。
横島には慰めの意味で『遊びにくるかもしれない』と言ったが、美神は、信じていなかった。
もう二度とルシオラと会うことはないだろう。美神は、そう思っていた。
___________
(そして・・・アシュタロス!!)
『本来の歴史』でも彼は『魂の牢獄』から解放されていた。アシュタロスは、自身の計画どおり、悪魔としての成果を認めさせることが出来たのだ。
しかし、それは、世界が大きな被害にあうことを意味していた。この逆行後の世界では、美神たちがそれを妨げ、アシュタロスの代わりを用意することで、彼を『牢獄』から追放した。
(適応不全の魔物・・・。
そう言ってたわね・・・)
どちらの世界でも、戦後の神魔のレポートでは、同じ結論が下されていた。
アシュタロスは、自分が魔物であることに耐えられなかった。邪悪な存在であることを拒んでいたのだ。
それが、皆の評価だった。
(だから・・・
あんなに『悪魔』らしくない悪さもしたのよね)
魔族らしくない魔族だったからこそ、魔の本能に従って短絡的な悪行に走るのではなく、根気強く、長期にわたった計画的行動が可能だったのだろう。
究極の魔体にせよ、コスモ・プロセッサにせよ、他の悪魔には到底真似できないシロモノだったのだ。
(そのアシュタロスがいなくなった以上・・・
大丈夫なのよね!?)
アシュタロスが例外的な悪魔だとみなされたことは、美神にとって、安心できることだった。なにしろ、コスモ・プロセッサの稼働を防いだ以上、彼女の中にエネルギー結晶が残ってしまったからだ。だが、こんな膨大なエネルギーを悪用しようなどという異端児も、なかなか出てはこないだろう。美神は、そう考えることにしていた。
(それに・・・。
万が一、そんな奴が現れても・・・
また、はねのけてやるわ!!
・・・三人で力をあわせて、ね!!)
これはただのエネルギーの塊ではない。メフィストから受け継いだものだ。メフィストの転生体であるという証でもある。
(横島クンへの想いとともに・・・。
大きくはないけど小さくもない気持ちとともに、
一生、胸に秘めて生きていくわ・・・!!)
___________
(こうやって振り返ってみると・・・
途中では色々と変わっちゃった部分もあったけど、
最後には『歴史』どおりになったり、
大きな影響無しで終わったことって、多いのね・・・)
もしかすると、途中の変化も、『宇宙意志』にしてみれば、どうでもいい部分だったのかもしれない。
美神は、ふと、そんな可能性を思ってしまった。
(『大きな改変には復元力が働く』と言われてきたのも、
大きい小さいじゃあなくて・・・
『宇宙意志』が変えたくないか、
どうでもいいか、それが問題だったのかもね)
だが、この解釈に確信があるわけでもなかった。いや、むしろ、これは嫌な考え方だった。
彼らは、ルシオラの命を救ったのだ。
誰かの生死が、どうでもいい部分だったというのは、悲しすぎる。
だから、美神は、自分が思いついたことを自分で否定したかった。
しかし・・・、美神は知らないのだ。
まるでバランスをとられたかのように消えてしまった、別の魔物がいたことを。
ルシオラほどではないが、やはり横島に好意的だった魔物が、この世界では死んでしまったということを。
それも、大気圏突入のタイミングと位置関係のために、誰にも知られることもなく、ひっそりと死んでいったということを。
(でも・・・もう、いいわ。
これ以上難しく考える必要もないでしょうね。
『宇宙意志』とか『復元力』とか、
そんなこと考えなきゃいけないような事件も
二度と起こらないでしょうから・・・)
___________
人の心を理解した新魔神は、魔界の奥に隠棲する。
アシュタロスという特殊な悪魔、様々な事件の黒幕だった悪魔も滅んだのだ。これで、大きな災厄も、もう起こらないだろう。
神魔のパワーバランスも保たれた。バランス補正のための大事件なんて心配する必要もない。
こうして、ルシオラの悲劇は無くなり、アシュタロスとの戦い以降も、三人は元の三人としてやっていけるようになった。
これは、『宇宙意思』が望んだ形そのものでは無いかもしれない。
しかし、『宇宙意思』が復元したかった部分は、キチンと『復元』されている。
そして、これこそが、美神やおキヌが望んだ世界。三人の本来の世界なのだ。
___________
「・・・通常業務復活ッ!!
日常ってステキ・・・!!」
多くの回想を一瞬のうちに終わらせ、美神は、言葉を締めくくった。
今も美神の表情には笑顔が浮かんでいる。しかし、これは、口を開いた瞬間とは違う。あの時は作りものだったが、もはや、心からの満面の笑みとなっていた。
「もー気になる伏線もなくなって、
これからは借金を全部返したよーな
さわやかな気持ちで働けるのねっ!!」
「・・・ギリギリの発言ですね」
美神の言葉を聞いて、横島が、おキヌとともに苦笑していた。
___________
美神令子は、美神令子である。
横島を認めつつ、彼に対して好意を持ちつつも、それを露骨な態度には出さないのだろう。
おキヌは、おキヌである。
横島に対して淡い恋心を抱き、彼に尽くしながらも、その乙女心でアタックすることはないのだろう。
そして、みんなに優しい横島。
周囲の女性から魅力的だと思われているのに、自分を過小評価する性格が災いして、それに気づかないのだろう。
これが、彼らのあるべき姿、彼らを取り巻くこの世界のあるべき姿なのだ。
現世利益最優先。
そんな美神を中心に、今日も、三人の日常が繰り広げられる・・・。
『復元されてゆく世界』 完
最後までおつきあいくださり、本当にありがとうございました。
恥ずかしながら、私のファン歴は長くありません。
連載当時、「これを目当てでサンデー読んでました」という漫画の一つではありましたが、その頃漫画単行本を買う習慣がなかったこともあって、雑誌で読んだきりでした。
当時、地下鉄かなにかの中で、音楽の好みも女性の嗜好も重なる友人相手に、
「『GS美神』って面白いな」「あれは良いものだね」
というような会話を交わしたことを今でも覚えています。ですから、大好きな漫画ではあったのですが、それでも『ファン』というほどではありませんでした。
『ファン』になったのは、二年足らず前。ネットがキッカケです。
外国に住んでいる私は、日本の漫画物語に飢えていました。絵そのものは見れなくても、せめて昔好きだった漫画のストーリーだけでも・・・。そんなとき、ネットで、
「過去の漫画のあらすじを、毎日一話ずつ紹介していく。参加者は、その『当時』に戻ったつもりで(先も知らない前提で)、毎日、その一話について色々語り合う」
というゴッコ遊びを見つけたのです。その中で題材となっていた一つが『GS美神』でした。
そこに参加するだけでなく、過去ログも含めて読んでいくと、
「連載当時は『面白い』とだけ思って読んでいた『GS美神』が、いかに深い作品だったのか」
ということを思い知らされました。
「これは、ぜひ、手元において何度も何度も読みたい作品だ!」
そう思った私は、(日本の漫画なんて四コマ漫画くらいしか持ってきていなかったこともあって)すぐにネットで取り寄せ、購入しました。高い航空運賃もかかりましたが、そこまでする価値があると感じたのです。
しかし、そうして私を『GS美神』とつなげてくれた『ゴッコ遊び』も、ある日、『GS美神』の作品紹介者(基本的に作品ごとに一人が担当するシステムでした)が更新を続けられなくなってしまい、(『GS美神』に関しては)しばらく中断になりました。さいわい『GS美神』だけは手元にあった私ですから、
「おれが紹介役、やろうか?」
と立候補しました。さて、参加者はほとんど匿名ですが、紹介者にはハンドルネームが必要です。私が担当したのが『GS美神'78!!』からだったので、そこに、自分が外国暮らしであることを加味して、『あらすじキミヒコ』というハンドルネームを作り上げました。
それが、今から一年と少し前の冬のことです。
ですから、2006年末と2007年新春は、毎日毎日、『GS美神』のあらすじを書くことに専念していました。
「自分が、この『ゴッコ遊び』を通じて、素晴らしい作品のファンになれた。だから、同様のケースで、一人でも多くの『好きだった人』に『ファン』になってもらいたい」
という気持ちでした。
あらすじといっても、やはり「決めゼリフ」「名台詞」などは削れません。名場面は、絵を思い出してもらえるように書きたいです。取捨選択に悩むと、けっこう時間もかかります。当時は、遊びに行くにも『GS美神』を持ち歩き、少しの暇もつかってノートパソコンにうちこんでいました(遊びに行った先から、往復一時間半かけて定時更新のためにネットのある場所まで帰り、それから遊びに戻るなんてバカなこともしました)。ですから、特に第20巻(ワイド版)などは、かなりボロボロになったくらいです。
毎日更新が原則であっても、やむを得ず休んだ日もあり、部分的に隔日だったり二日空いたり、最後は少しグダグダにしてしまいましたが、それでもラストまで担当しました。アシュ編が終わると参加者も減っていたため、私が担当した部分など、過去ログでも一部しか見れないくらいですが(笑)それでも完走させました。
それが終了した時点で、『あらすじキミヒコ』というハンドルネームを使うことも二度とないと思っていたのですが・・・。
ネットを彷徨っているうちに『二次創作』というジャンルに遭遇しました。コミカルな作品も面白いですが、原作の諸処の部分をまるで伏線だったかのように扱われた作品を読むと、「なるほど!」と思わされます。そうした『伏線』として使えるものが含まれた『GS美神』は、やっぱり深い深い物語なのだと再認識できます。自分も書きたいと思いたちました。そして、
「『GS美神』に関わる以上・・・同じハンドルネームを」
ということで、約一年ぶりに『あらすじキミヒコ』を名乗ることになりました。
……こうして、長々と別サイトの話まで含めて自分語りをしてしまったのは、この作品を書く際にも、やはり、
「一人でも多くの『好きだった人』に、『ファン』になってもらいたい。一人でも多くの『浅いファン』に、『濃いファン』になってもらいたい」
という気持ちがあったからです。私が『あらすじキミヒコ』であることが、この作品にこめられた思いでもあるからでした。
すでにファンの方々も、私の作品を読んだ後で、もういちど原作を手に取って読み直してみたくなる。そんな作品を目指して書いてきました。それが少しでも成功していたことを祈ります。
ファン歴は浅くても、気持ちの深さはある。自分では、そう考えています。
今後も『GS美神』の『二次創作』を書いて、ここに投稿したいと思っています。
これで一応この作品は完結ですから、さっそく次作(続編ではなく、あくまでも別の作品)の投降準備に取りかかる予定です(今作とは少し雰囲気の違うものになるでしょう)。
これからも、よろしくお願いします。
最後にもう一度、本当にありがとうございました。 (あらすじキミヒコ)
後ろから数えて三つめの文の『投降準備』は、『投稿準備』の間違いです。さすがに投稿前から負けを認めるようなことは考えておりません。「少なくとも、自分が読んだら、面白い」というものを投稿していきます。 (あらすじキミヒコ)
GS美神の二次創作も数多く有りますが、完結に至らずに連載が止まったりする作品が多いのでそれだけでも素晴らしいと思います。
特に凄いと思ったのが更新の速さです。
原作と流れが変わらないと言う理由も有ったのでしょうが1話を数日ごとに更新と言うスピードは驚異としか言いようがありません。
次回の作品がどうなるのかはわかりませんが定期的な更新を期待しています。
両手に花のご褒美、横島は原作よりも活躍しなかった気もするので妥当な線かもしれません。
横島にしてみれば逃がした魚は途轍もなく大きかった様な気もしますが。
魂と記憶、この辺りは解釈の違いによって考え方が異なるでしょう。
記憶を脳に書き込まれた情報だけと考えるか、魂と連動していると考えるか。
GS美神は霊魂の存在有りの作品ですから連動説が有利だと思うのですが。
それに幽霊だったおキヌの存在を考えると記憶は魂にも書き込まれる様ですし。
話の肝になる部分ですし少し設定が甘い気がします。
横島に付随してきたルシオラの霊基構造は、時間逆行の原理を時空消滅内服液と同じ感じだとすると説明がつく気がします。
時間移動は時空間の瞬間移動、時間逆行は一定量の縁を消す事での巻き戻し。
縁を消した事で魂を含めた一種の若返りとなるが記憶は何とか残る。
そう考えると横島の中で擬態していたルシオラの霊基構造が切り離す事も出来ないので少しだけ付随してきた理由になると思います。
シロの記憶、これこそ時空の復元力の結果なのかもしれませんが残酷だと思います。
記憶は人が生きてきた歴史そのものです、記憶が無くなればその人が何をしてきたのかわからなくなります。
縁を消す時空消滅内服液も酷い薬ですがあっちは暗殺用魔法薬ですし。
無かった事にすると言う結果はどうかと思います。
エネルギー結晶は将来の禍根だと思います。
壊れたのなら諦めも付くでしょうが残っていれば利用しようとする神魔人間は多いでしょうし。
まあ利用するにしてもアシュ級の知識と技術は必要でしょうが。
横島の初キッス、原作ではグーラーとの奴が最初だったと思います。
そして文珠で洗脳したとはいえ好きと明らかに言ったのもグーラーが最初なんですよね。
その所為も有って自分はグーラーがルシオラの次ぎに好きなんですが。
バランスの結果でご臨終と言うのは何だか救われません。
復元、と言うよりは改善って感じがしますがどうでしょう。 (白川正)
おかげさまで、何とか完結まで辿り着きました。ホッとしています。
更新スピードに関しては、「自分が読者の立場だったら、どうして欲しいか」を考えて、このようなスピードになりました。また、伏線っぽいものを紛れこましたり、終盤まで行かないと意味がわからないようなタイトルをつけてしまったり、そうした作品の性質も、更新スピードをあげることにつながりました。
しかし、私としては、自身のスピードよりも、むしろ更新後二十四時間以内に長々とコメントを書いて下さる読者の方々がおられることのほうが『驚異』でした。やはり、読んで頂いていることが分かると、書き手としては、励みになりました。
『魂と記憶』に関しては、皆様のコメントで色々と考えさせられました。途中、自分の思っていた概念とは別の概念があることに気づかされ、その時点で、『自分の思っていた概念』をもう一度見直すことになりました。説明の必要が生じた以上、感覚でとらえていた部分も言葉で表現しなおさなくてはいけなくなりました。これは、物語の途中で設定を煮詰め直すという作業でもあり、その結果、このような形になってしまいました。皆様のコメントに助けられても、まだ『少し設定が甘い』という結果になり、反省しています。
シロに関しても、反省しています。これは、かなり大きく反省しているポイントです。途中の活躍をもう少し減らして、それこそ『復元力』なんて説明もシロには絡めなかったほうがよかったと後悔しています。
エネルギー結晶の一節も、皆様のコメントのおかげで書き加えることにしたものです。しかし、これでメフィストの転生や横島への思いのくだりを書き込めたので、作者的には満足だったのですが・・・(笑)。
確かに『将来の禍根』になりうるシロモノですが、その『将来』は少なくとも近い将来ではなく遠い将来であろうということで、作中のような表記になりました。
また、グーラーに関しては、他に適当な者が思いつかず、グーラーに『ルシオラ』役を割り振ってしまいました。もっと原作では完全な悪役を、ここに組み込んだほうが良かったのかもしれませんが・・・。それでも、どのキャラにもファンがおられると思うので、難しいですね。『ルシオラは死なず、でも、世界は復元される』というテーマを選んだ時点で、すでに自分の力量を越えていたのでしょう。
そして、
>復元、と言うよりは改善って感じがしますがどうでしょう。
これは、言い得て妙だと思います。
作中でも書いたように、本来は『復元』という言葉を使ってはいけない改変です。
それを、作中の美神は、横島云々にこだわる立場からの『復元』を定義し、作中の宇宙意志は、宇宙意志なりのこだわりで『復元』を定義しました。そして、作者である私は、「アシュタロス編の前と後をスムーズにつなげたい」という考えで『復元』を定義しました。そうした上で『復元された世界』を書き上げました。
しかし、これは、作中の別のキャラにとっては『復元』ではないでしょう。原作に対して私とは別の読み解き方をしているファンの方々にとっても『復元』ではないでしょう。
その意味では、『改善』という言葉を使っていただけるのは、ありがたいことだと思います。
ただ読むだけでも時間のかかるシロモノだったと思います。最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 (あらすじキミヒコ)
更新速度と熱意に惹かれて欠かさず読んでました
初の連載できっちり完結したことは素晴らしいことだと思います。
ファンとしての姿勢がかなりストイックであるがゆえに
損をした部分もあると思いますが、私は面白かったと思います。
蛇足ですが、他者の「違うんじゃないか?」という突っ込みに
あまり過敏にならずに適度に応対したほうがいいと感じました。
二次とはいえ作者自身の作品である訳ですし、
特に原作に緻密な設定が存在してるわけではないので。 (TIM)
原作は続編作られることはないだろうから
二次創作物で楽しめるのは非常にありがたい
ぜひとも今後も息が上がらない程度にコンスタンスに投稿を続けて欲しいw (ゼルエル)
最後のどんでん返しは、とても楽しく読ませていただきました。
宇宙意思の問題や矛盾などの複線が、無理なく解消されているように感じました。
宇宙意思が、レイプされたことそのものをなかったことにするために、横島の心の影をなかったことにしたい美神の考えに沿うべく物語が進んでいく。とても面白い設定でした。
どなたかが「二次創作は、原作での不満(アンハッピーエンド的)な部分を補完するためにある」といった旨のコメントを残されていましたが、そういった意味では「横島がルシオラを生き返らせるために逆行をする」だとか「横島がみんなを幸せにするために強くなる」などではなく、「美神がもう一度日常を取り戻すために逆行をする」という、他にはない設定だったんだな・・・というのが、最終的な感想です。そういった意味では、横島の心に影を残さないために世界を復元していく物語だったと思います。
また、「最後まで読んで、とても面白かった」というのを前提の上で、僭越ながら意見をさせてください。
今回の筆者の作品。とてもとても、評価が難しい作品だと思います。私は、ごく最近からまとめ読みをしたため、とても楽しく読ませて頂けました。私の中での評価が高くなった理由として、私は最近このサイトを知ったため、既にある程度書き終えていた原作と重なる「あらすじ」の部分をまとめて飛ばし読みが出来た。なので終盤の、筆者のオリジナリティが溢れる部分をメインとしてリアルタイムに読むことが出来た。この点に尽きるのかなと。
筆者が「本格推理の手法に近い」といったコメントを残されていました。これを読んで「なるほど」と思いました。そして、推理小説は連載モノではないからこそ、じっくり読む人からも先が気になり一気に読む人からも評価が高いのだと思います。本当に投稿の初期からリアルタイムで読まれていた方には、なかなかにもどかしい展開だったのだろうと思います。では、その部分がなくしてすぐに三姉妹のところから書き始めれば、より楽しめたか?と言われると、筆者の日々の投稿に散りばめられた様々な伏線が生きているからこそのクライマックスだったと思われます。そういった意味でも「推理小説」的読み物という自己評価は正しく感じられました。そして、そういった「推理小説」的読み物を定期連載として投稿する上での難しさというものも感じます。
また筆者のコメントにもありますが
「一人でも多くの『好きだった人』に、『ファン』になってもらいたい。一人でも多くの『浅いファン』に、『濃いファン』になってもらいたい」
この場所に来ている読者層を考えると、なかなかに理想と現実の両立が難しい部分かと思います。来てる人の大半は既に「濃いファン」がほとんどな現状だと思われますし。
だからこそ、「濃いファン」も読んでいて冗長に感じない、全てが今回の最後のクライマックスの勢いとオリジナリティで構成された筆者様の作品を是非読んでみたい!!!と、無理を承知での希望です。
最後になりましたが、完結おめでとうございます。本当に楽しく読めました。そして、次回作を期待しております。 (あいざわ。)
TIMさんのコメントで、更新速度の大切さというものを再認識させられました。
やはり初作品なだけあって、『ファンとしての姿勢』にもこだわりましたが、次作は、ここまで『ストイック』にはなれないかもしれません。
また、
>他者の「違うんじゃないか?」という突っ込みに
>あまり過敏にならずに適度に応対したほうがいい
これは、おっしゃるとおりです。途中、過剰に気にしすぎたために、執筆のモチベーションが下がったこともありました。
しかし、『転んでも泣かない』の精神です。むしろ、そうしたツッコミのおかげで、推敲中だった原稿に加筆修正できたことも何度もありました(もちろん、ツッコミに流されるのではなく、自分で考え直し納得した上で取り込んでいました)。
ですから、今後は、またドンドン突っ込んでいただいて、それに『過敏に』ではなく『適度に』対応していこうと思います。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。 (あらすじキミヒコ)
特に後半、何度も励ましのコメントをいただき、おかげさまで、ようやく完結しました。
思えば、最初にいただいたコメントの中では、
「たぶん誰も気づかないだろうな」
と予想しながら入れていた小ネタをズバリと指摘していただいのが印象深かったです。あれがなければ、その後、(月編以外では)パロディ小ネタを入れることも少なくなっていたことでしょう。
……こんなことを書いてしまうと、「ちょっとパロディは多すぎた」と言われてしまうかもしれませんが(笑)。
>今後も息が上がらない程度にコンスタンスに
という御希望にどこまで沿えるか分かりませんが、今後もよろしくお願いします。 (あらすじキミヒコ)
全体に関わる設定などを私が意図したように読み取って下さり、また、楽しんで下さり、本当に感謝しています。
そうした読者であるあいざわ。さんが、この作品を一番楽しめるタイミングで読み始めて下さったという偶然。作者としては、幸せですとしか言いようがありません。
また、推理小説的という自己評価まで肯定してくださり、ありがとうございます。そのような作品を連載投稿する難しさも、まさに、おっしゃる通りです。私も、途中で気づいたのですが、それは、すでに『途中』でした。そうなると私に出来ることは、メインの部分以外でも各話を楽しんでいただけるよう努力する、ただ、それだけでした。少しでも効果があったことを祈っています。
この反省は、今度は伏線をメインにしない作品を書くという形で、活かしていくつもりです。
私の初作品を最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。今後もよろしくお願いします。 (あらすじキミヒコ)
エピローグ全体からくる「終幕」の雰囲気に一抹の寂しさを感じました。引きの上手さに素直に凄いなと感心します。
この作品の魅力の一つは、緻密に張られた伏線や謎だったと俺は思っています。俺は推理小説を推理しないで読む不精な人間ですが、この作品ではあれこれ先を推測することでより楽しめました。(かと言って推理小説は依然推理しないで読むでしょうがw)
気の利いたことは言うのは苦手なんで、一言素直な感想を。面白かった! (海童)
前半は本来の歴史との間違い探し程度のダルい展開に、
読み続けるの挫けそうになりましたが、
最後の方の展開では楽しませてもらいました。
本作に関しては厳しいコメントにもメゲずちゃんと完結させれたところが
一番素晴らしいな、と少し思いました。
新シリーズの方も応援してます。頑張ってくださいね。 (无)
ここまで、海童さんのコメントには、何度も癒されました。おかげさまで、書き上げることが出来ました。深く感謝しています。
>引きの上手さに素直に凄いなと感心
これは、エピローグのコメントとしては、本当に嬉しい御言葉です。
>一抹の寂しさ
というのも、いい意味での『寂しさ』であったことを祈っています。
>この作品の魅力の一つは、緻密に張られた伏線や謎だった
そのように評価していただけるのは、作者として、望外の喜びです。正直に告白しますと、実は少しだけ、伏線のつもりではなかったものを「これも『謎』を説明するのに使えそうだから」ということで後付け伏線にしたものもありました。ですが、それも『緻密に張られた伏線』として読者に受けとられたのであれば、(この点に関しては)うまくまとめられたのだと自負してしまいました。
私も、推理小説は好きなくせに(最後の意外性と納得性のバランスを楽しみたいせいか)、
>推理小説を推理しないで読む
というタイプの人間です。しかし、もし私が一読者として今回の作品を読んでいたら、やはり海童さん同様、あれこれ推測していたことでしょう。
このような作品を『連載』という形で公表したにも関わらず、それを最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。すでに次作品にもコメントをいただき、そちらも感謝しています。今後もよろしくお願いします。 (あらすじキミヒコ)
>完結してるようでしたので
私自身、読者としては、完結している作品を読みたい人間です。ですから、このようなコメントをもらえて嬉しいです。
>読み続けるの挫けそうに
これも、おっしゃる通りだったと思います。途中を『魅せる』『読ませる』工夫が、まだまだ足りなかったのだと反省しています。同時に、
「このアイデアを暖めておいて、書き手としての力量をもっと高めてから着手したほうが、もっと多くの読者に最後まで読んでいただけたのではないか」
という後悔も、今となってはあります。
しかし、初作品であるが故の未熟さを、初作品であるが故の熱意で少しでもカバーできたかもしれないとも思うので……。良くも悪くも、これが、今の私のありのままの作品でした。反省点は、今後の作品に活かすということで、御容赦下さい。
>最初から物語通して読みました
分量も多く、時間もかかったと思いますが、それでも最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
次作への応援の言葉までいただき、嬉しいです。今後もよろしくお願いします。 (あらすじキミヒコ)
私は完結したシナリオを読んでのこの作品の新たなる設定みたいな物を脳内妄想しました。
なんというか、これは美神の目覚める事の無い夢で(現実では、原作終了後美神に因果応報的な災いが起きた)楽しかった頃の事を繰り返し、都合が悪くなったらリセットボタンみたいな感じなのかなぁと。
こういう、時の流れはあります、でも成長はしません(自分も周りも)ちょっと知恵だけ付きましたってのを見るとなんか逆行っていうよりもそんな誰かの箱舟の中での(この場合は美神の夢=美神=宇宙の意思=美神にとって都合のイイ現象)出来事って感じだなと。
私はそう感じました。
シナリオの出来は設定云々で突っ込んだ事もありましたが私的には二重丸です。
惜しいと思う事はもう少しギャグ描写が入っていれば、GS美神でのお得意ギャグ落としで設定もぶっ飛ばせたんじゃないかなって思いました。
あとがきを読んでふと思ったんですが、案外この作品は原作に熟知していなかったり、原作を知らない人の方が素直に面白く読める作品じゃないかなって思いました。
それだけ原作から逸脱してない作品とも言えると思います。
もう次作が二つほど展開されてるみたいなのでそちらの方も楽しみにしてます。
完結お疲れ様でした。 (葵)
ついつい書き込んでしまう私ですが、『詳説』ではなく『小説』とするためにも、深読みして新解釈ができる余地も残して終わらせました。御指摘の『新たなる設定』は、私としては全く考えていないものでしたが(笑)、それでも、
「なるほどー!」
と感服しました。
葵さんの設定を読んで、二つほど考えさせられたのです。
私の作品自体は漫画ではありませんが、原作は漫画です。漫画というのは、一種の『夢』なんだろうな、というのが一つ。
もう一つは、『繰り返し』と『リセットボタン』。私の作品も原作も、サザエさん時空で描かれている以上、根底にはそれがあるのだろうと思い知らされました。
>私的には二重丸
最後にこういう言葉がいただけるのは、本当に嬉しいです。おっしゃる通り、ギャグ描写は足りませんでした。苦手なポイントでもあり、今後の精進の課題です。
>原作から逸脱してない作品
今回は、「こうしたい」展開ではなく「こうあるべき」と(個人的に)思う作品にしました。ですから、この御言葉も、大変嬉しいです。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。特に最終回三部作に入ってからは毎回コメントもくださり、感謝しています。エピローグをまとめる上で、色々と参考になりました。
次作もよろしくおねがいします。 (あらすじキミヒコ)
最終話。美神さんのモノローグで締めるのは良いですね。幕引きも見習いたいところもあって、面白かったです。
ただ、私が期待したようなおキヌちゃんや横島クンがグーラーの死を知る事でどう感じ、動くかの答えはとうとう出てこなかったので、かなり残念と思いました。
それに作中で美神さんがグーラーの死を知らないとなっている所には、違和感ありまくりです。横島クンが、グーラーが助けてくれた事を知らないことであれば納得できたんですけど……。
途中までは美神さん・おキヌちゃん・横島クンが主人公という扱いだったのに、最後は”美神さんの我侭が通ってしまった物語”として私には強く印象に残りました。結局横島クンの記憶開封はされてませんし。
三人が主人公なら、最後まで三人が主人公とした物語として扱って欲しかったです。
私自身の目指す物語と真逆のお話を読ませて頂いたことに、大変感謝致します。
次作も書かれているようですので、そちらも楽しみにして読ませて頂きます。
完結お疲れ様でした。 (月夜)
途中の後書きでも何度か触れましたが、この作品を完結させる上で参考となるコメントを、月夜さんからはたくさん頂きました。深く感謝しています。
しかし、読者の皆様は、みな、それぞれの意見を持っている。ですから、言われたからといって素直に全て受け入れることは出来ませんでした。
例えばグーラーの件。エピローグの該当箇所、何度も書き直しました。もう少し書き込んだバージョンもあったのですが、
「これでは読者に媚びていることになる。ある程度の表現は入れたいが、書きすぎると『言いわけ』になり、また、グーラーを意図していた以上に際立たせることになる。それでは、この作品の作者として納得いかない」
と考え、作中のような表記になりました。
主人公に関しては、やはり、三人ではあるけれども、美神が第一ということで、このような形になりました。途中までの表現で、もっと美神一人を突出させるべきだったのだと反省しています(この点、次作では、主人公と非主人公の描写の差に、少し気を使っています)。
>私自身の目指す物語と真逆のお話を
ご不満に思われる点も多かったでしょうが、それでも最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
>次作も書かれているようですので、そちらも楽しみにして読ませて頂きます。
今回の作品を通じて、私が思う『ハッピーエンド』は、万人の『ハッピーエンド』とは違うということを痛感しました。
物語のハッピーエンドでは、現実では出来ないハッピーエンドを表現できる。だからこそ、自分のアダルトチルドレン的な感性で『ハッピーエンド』を描いたのですが、極端だったのかもしれません。
次作では、皆様に受け入れられる『ハッピーエンド』を書こうと思い、そこへ向けて物語を進めています。
お口直しの気分で、次作もよろしくお願いします。 (あらすじキミヒコ)
特にアシュ編に入ってからの展開はなるほどとうなずきながらも引き込まれました。
最近コンビニ用にまとめ刊行されてたのを立ち読みでちょっとずつつまんでたので、
絵も思い出しつつ楽しめました。
偶然このSSに出会えて良かったと思います。 (エフ)
第十四話でコメントをくださった日付と今回の日付から判断しますと、本当に短い期間で全部読んでいただいたようで、とても感謝しています。伏線をたくさん入れてしまった以上、やはり、一気に読んで欲しい作品でしたから。
また、
>偶然このSSに出会えて良かったと思います。
こうした言葉を頂けるのは、書き手として、大変幸せです。
この『椎名作品二次創作小説投稿広場』には、他にも、短編を一つと(全七話の)中編を一つ、投稿しています。そちらも楽しんでいただければ、幸いです。今後もよろしく御願いします。 (あらすじキミヒコ)
文章の構成や話の展開・伏線の回収までしっかりされていてすばらしい作品でした。
原作の上に物語を作るだけでなく、原作の下にも物語を作ってしまう所など本当に感心しました。
ただエンディングに関してはそれはどうなという気持ちを持ちました。
横島のルシオラの喪失とそれにつらなる成長(あえてこう呼ばせてもらいます)をなかったものとしてしまうのはどうかと思いました。
もし、横島が生きている間に【記憶封印】が解けたと考えるとおそらく横島は理解はしても納得はできないと思います。
さらに元の時代と同じくルシオラに犠牲を強いて自分はのうのうと生活している事になるわけですから、それに気づいてしまった時再び横島は悩み苦しむのではないでしょうか。 (シル=D)
長い作品を短い期間で読破していただいたことに、まず感謝します。
>エンディングに関してはそれはどうなという気持ちを持ちました。
逆行ものである以上、原作で『あったはずのこと』のいくつかが『なかったこと』になってしまうのは、避けられません。アシュタロス編による横島の成長を否定するというのが大きなテーマでもあった作品なだけに、このような展開としてしまいました。全ての読者の方々に納得していただくのは無理としても、「もっと説得力のある文章が書けていれば、皆様の読後感も、もっとスッキリしたものになったかもしれない」と反省しています。表現力の向上は、常に大きな課題です。
また、
>横島が生きている間に【記憶封印】が解けたと考えると
や、
>ルシオラに犠牲を強いて自分はのうのうと生活している事になるわけですから、それに気づいてしまった時
など、こうした問題点も、御指摘の通りです。物語を物語として完結させつつも、「その後の可能性に関しては、ある程度の含み・揺らぎを持たせて終わらせたかった」というのが、書き手である私のわがままでした(横島の記憶を忘れさせるのではなく、封印のままで終わらせたのも、それが故です)。結果として、裏目に出てしまったようで、これも反省のポイントです。
そして、このように問題の残るラストだったにも関わらず、総評としては褒めていただき、とても嬉しく思います。
特に、
>原作の上に物語を作るだけでなく、原作の下にも物語を作ってしまう
という御言葉は、色々と考えさせられると同時に、強く心に残りました。
この作品は、私の初めての二次創作です。その後も、色々と投稿を続けています。このサイトで、あるいは別のサイトで、私の別の作品に出会ったときには、また、よろしくお願いします。
ありがとうございました。 (あらすじキミヒコ)
自分の都合の良い様に歴史改悪しただけじゃねぇか(−_−#)
こんな気色の悪い女二人に一生付き纏われるなんて地獄だろ(-。-; (GX)