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復元されてゆく世界

第二十一話 神は自ら助くる者を助く


投稿者名:あらすじキミヒコ
投稿日時:08/ 1/23

 
『・・・留守か』

 美神の事務所まで自ら足を運んだデミアンだったが、そこには、人間もいなけりゃワルキューレもいない。
 実際には、誰もいないわけではなく、人工幽霊が留守番をしていた。だが、結界を破って部屋に入って来るような魔族相手に、しゃしゃり出るつもりはなかった。人工幽霊は、その存在を潜めていたのだった。

『・・・どうしたものかな?』

 つぶやきながら事務所を出たデミアンのもとへ、蠅の大群が飛んできた。

『ベルゼブル!? 何しに来た!
 おまえのようなヘボには用はないぞ!』
『おまえの助手につけたクローン一匹が殺られたろう。
 俺としても「蠅の王」のメンツがあるんでな。
 このままにはしておけないのさ』
『ケッ!
 あさましいハエめ・・・!
 それでクローンをまたこんなに・・・』

 吐き捨てるように言うデミアンを、ベルゼブルは余裕で受け流す。

『調べものには便利だぞ・・・。
 奴らの行き先、知りたくないか!?』
『・・・!!
 知ってるなら早く言え!!』
『俺の分身を殺した奴だからな、人間の分際で・・・。
 俺が一人で行って、思い知らせてやってもいいのだが・・・』

 デミアンとしては、ベルゼブルが美神を始末してくれるのであれば、それでもよかった。だが、そこまでベルゼブルの力を信用出来ない。これ以上失敗されては厄介なのだ。

『もったいぶらずに私にも教えろ。
 ちゃんと復讐できるよう、アイデアを貸してやる!』
『相変わらず生意気だな・・・。
 まあいい、奴らは妙神山に向かっている。
 急げば、おまえでも追いつくぞ!?』

 ベルゼブルの言葉は、デミアンに一つのプランを想起させた。

『・・・いや、行かせてやれ』
『何・・・!?』
『ボスに対して、いいみやげになるじゃないか』

 デミアンは、

(やっぱりコイツ、頭悪いな)

 と思いながら、説明する。

『あそこで神魔が争えば、デタントの流れも水の泡だ。
 そうなりゃあ、魔族の勢力分布はどうなる?
 我々のような武闘派が、魔界の主流となろう。
 ただ殺すより、そのほうが面白くないか!?』
『なるほど・・・。
 だが、あの中に入り込まれたら、
 いくら俺たちでも簡単には手が出せまい?』

 ベルゼブルも、デミアンの意見には心を動かされたらしい。現実的な問題点を煮詰め始めた。

『・・・ああ、そうだ。
 だからタイミングが重要だな』

 だが、それが面白い。
 デミアンは、そう思っていた。

『奴らが妙神山に着いたところを襲撃だ!
 門前で大暴れしてやろう。
 くっくっくっ・・・』



    第二十一話 神は自ら助くる者を助く



「美神さん!!
 雪之丞さんも!?
 よくぞ無事で・・・!!」

 妙神山についた美神たち三人を、小竜姫が出迎えた。例によって、門の外まで出てきてしまっている。

「そちらがワルキューレ・・・さんですか!?」

 小竜姫は、雪之丞に背負われた人影に、いぶかしげな視線を向けた。

「そうよ。
 魔族だけど、敵ではないみたい。
 ・・・今はね」

 と説明したところで、美神は気が付いた。

「・・・あれ!? なんで知ってるの!?」

 考えてみれば、最初の『よくぞ無事で・・・!!』という挨拶も、事情を知る者の言葉だ。
 小竜姫が答えるよりも早く、美神は、門のかげからこちらを覗く人影に気が付いた。

「あっ! 横島クン・・・!!
 こんなところにいたのね!?」
「『こんなところ』って言い方は、
 ちょっとマズイぞ、おい」

 後ろで雪之丞がささやいているが、美神の言葉は、すでに小竜姫に聞こえてしまっていた。

「まあ、美神さんですから・・・」

 苦笑するだけで、軽く受け流す小竜姫である。特に今は、些細な点にこだわっている場合ではないのだ。

「えーっと・・・。
 美神さんといっしょに来てるってことは、
 もう事情を隠さなくてもいいんスよね!?」

 横島が、顔だけ出してワルキューレに問いかけた。同時に、

『姉上・・・!!』

 横島を突き飛ばす勢いで、ジークフリートが外へ出てきた。
 雪之丞が背中のワルキューレをジークフリートに受け渡す横で、

「・・・ちゃんと説明してもらいましょうか!?」

 美神は、横島に向かって足を進めていた。
 勝手にズカズカと中へ入るつもりだったのだが、

『そこまでだ・・・!!』
『バカな奴だ!
 魔族が神族の出張所で騒ぎを起こしても、
 困るのは私じゃないよ・・・』

 空から飛来した声が、美神を止めた。
 ベルゼブルとデミアンだった。


___________


「ハエ野郎!!
 生きていたのか・・・!!
 ・・・で、あの中のどれが本物だ?」

 ベルゼブルは大群で来ているのだ。知らない者が見れば、一匹が本物で他はニセモノと思っても仕方がない。

『いや・・・。
 あれは全部クローンにすぎない。
 奴の本体は魔界にいるんだ』

 雪之丞の言葉を聞いて、ワルキューレが説明した。
 わざわざ人間たちに告げる必要はないかもしれない。だが、今は、ここにいる全員に少しでも情報を伝えるべきだと判断したのだ。

『・・・そして、
 子供の姿をしているのがデミアンだと思います。
 有名な武闘派勢力の殺し屋です』

 ジークフリートも、小竜姫たちに相手の正体を知らせた。

『おや・・・ワルキューレ。
 単独任務のはずだろう?
 助っ人とはずるいよ・・・』

 口ではそう言うデミアンだったが、その顔は、面白がっている表情だ。ワルキューレレベルの魔族が何人来ようと、デミアンとしては、決して負けない自信があったのだ。

「美神さん!!
 早く中へ・・・!!
 ここは私たちが引き受けますから!!」

 と叫ぶ小竜姫だったが、

『ならん!!』
 
 小竜姫の上司が、彼女を止めるためにやってきた。猿の姿をしているが、

『おい、あれは・・・』
『斉天大聖老師までお出ましか。
 ずいぶん豪華な受付だね』

 ベルゼブルもデミアンも、斉天大聖のことは聞き知っていた。
 美神に目を向けてみると、彼女はジッとしている。美神が動き出したらすぐに攻撃を仕掛けるつもりだったが、この様子では、まだ神族をからかう余裕があるようだ。
 そうした気持ちを、彼らは顔に出していた。
 この挑発を、斉天大聖も受けてたつ。

『かなりの大部隊だな』

 と、大勢のベルゼブルを見ながら、つぶやいた。
 デミアンも含めて、その数は、全部で三十弱であろうか。

『・・・とはいっても
 妙神山全体を攻撃するには少なすぎる。
 おまえたちだけで
 ここを落とそうというわけでもあるまい!?』
『もちろん・・・。
 我々の目的は、そこの人間だ。
 渡してくれれば、素直に退くが・・・!?』 

 デミアンの言葉を聞いて、斉天大聖は、美神に目を向けた。

『つけられたようじゃの・・・。
 厄介な・・・』

 妙神山の所在地は、別に秘密だったわけでもない。だが、つい、そうつぶやいてしまった。

「人間を守るのも神族の役目です!!
 美神さんの抹殺が目的だというなら・・・」
『たるんどるぞ、小竜姫!!
 よく考えろ!!
 武闘派の魔族の挑発にのれば
 情勢の悪化はまぬがれん!
 我々は人間界に駐留している神族の代表なのじゃ!
 自重せい!』
「しかし・・・!」

 斉天大聖と小竜姫の会話の間に、ワルキューレとジークは、少しずつ美神に近づいていた。いざという時に美神をかばうためだ。
 だが、人間の美神と雪之丞は、動くことが出来なかった。この場の神魔のレベルを感じ取っていたからだ。すぐに戦いたがる雪之丞でさえも、迂闊に動いてはマズイと判断していた。

『・・・しかし、
 人間が人間を助けるのは、全く問題ないぞ』

 と言いながら、斉天大聖がチラリと後ろを振り返る。
 それを合図にしたかのように、門が大きく開き・・・。

「ウォオーン!!」

 辺り一面を薙ぎ払うかのような、広大で強力なエネルギー波が飛び出してきた。
 それは、一直線に空へ向かっていく。
 目標は、ベルゼブルとデミアンだ。

『ギャアアアアッ!!』
『うわーっ!!』

 エネルギー波の範囲は、魔族ですら予想できないほど広域であった。なめてかかっていたせいもあって、逃げる暇もなかった。
 ベルゼブルの大群は全てその光に呑まれて消滅し、デミアンも、左脚一本を残して消え去っていた。 

「す・・・凄い!!」
「・・・なんだ、今のは!?」

 美神と雪之丞が唖然とする中、

「拙者の新技、シロ・メガ・キャノン砲でござる!!」

 シロが走ってきた。
 後ろからは横島がついてきており、

「最初は俺も驚きましたよ。
 ・・・マップ兵器みたいなものっスね!!」

 と笑っている。
 どうやら、仮想空間でやっていたゲームは、格闘ゲームだけではなかったらしい。


___________


「はあ・・・!?」

 美神には、横島の言葉の意味は分からなかったが、

「でも、一気に大量の霊力を消費するのが欠点でござる。
 フワァ・・・」

 あくびをしながら座り込んでしまったシロを見て、技の本質に気が付いた。
 誰でもあくびをする時には口を大きく開けるので、それがヒントになったのだ。

(そうか、口から出したのね!!)

 GSは人間ばかりではない。美神の知りあいの中にはGS犬もいる。優秀なGS犬のマーロウは、口から退魔の力をこめた吠え声を発することができた。

(その応用みたいなものね。それに・・・)

 シロは、もともと口に霊力を集めることができた。人間形態のときは手から霊波刀を出しているが、狼の姿のときは、口から出していたのだ。

(その二つをミックスさせた感じね。
 それにしても、凄い威力だわ・・・)

 美神がシロの能力について考察している横で、雪之丞もまた、横島と新技についての話をしていた。

「スゲーな・・・。
 いったい、どんな修業をしたら、
 あんなのが身に付くんだ!?」
「ハハハ・・・。
 俺たち、ここの最難関コースをクリアしたからな!!」
「・・・『俺たち』!?
 まさか、おまえも・・・!!」

 雪之丞に胸ぐらをつかまれた横島は、

「・・・いや、俺は、あんな凄いもんじゃない。
 これさ・・・!!」

 そう言って、いくつかの玉を見せた。

「なんだ、これは・・・?
 ビー玉にしか見えんが・・・」
「俺にもわからん・・・」

 横島自身、どこかで同じものを見たような気もするのだが、ハッキリとは思い出せなかった。
 せめてヒントになるかと思い、出現状況を説明する。

「ハンズ・オブ・グローリーから変化したから、
 霊力が凝縮したものだと思うんだけど・・・」

 この時、ジークフリートは姉に肩を貸しており、ワルキューレは何となく横島たちを眺めていた。だが、『霊力が凝縮』という言葉を耳にして、彼女の顔色が変わった。

『それは・・・!!
 文珠かッ・・・!?』

 ようやく説明がもらえると横島が期待する中、

『・・・そういえば聞いたことがある』
「知っているのか、ジークフリート!?」

 ジークフリートまで口を開いた。
 だが、横島の質問には首を横に振り、

『その言葉を聞いたことがある程度です。
 姉上のほうが詳しいでしょう』

 と、ワルキューレに再びトスした。

『その玉を一つ握りながら、
 何かイメージしろ!!』
「イメージ・・・!?」
『何でもいい!!
 ただし、ひと文字で示せる念だけだ。
 意識をひと文字にこめて集中しろ!!』

 ワルキューレに指導されるがまま、横島は、一同を見渡した。

(色々と大変だったけど・・・。
 とりあえず、美神さんが無事でよかった)

 その思いをこめて、視線を玉を向けた。

(美神さんが無事でよかった。
 美神さんが無事で・・・。
 美神さんが・・・。
 美神さんが・・・。
 美神さんのナイスバディが・・・)

 横島が見つめる中、

「・・・あれ!?」

 手の中の玉には、『裸』という文字が浮かんでいた。

『やっぱり・・・文珠だな』
「やっぱり・・・横島だな」

 ワルキューレと雪之丞が別々の意味で納得する中、

「横島・・・。
 あんた、いったい何をイメージしたの!?」

 ちょっと怖い表情で、美神が近づいてくる。

「うわあ・・・!!
 違うんです、これは!!
 美神さんが無事でよかった、って思ってたら、つい・・・」
「どういう意味じゃあ!!」

 詰め寄る美神に対して、否定するかのように手を振る横島。
 その手から『裸』の文珠がすっぽ抜けて、美神に向かって飛んでいく。

 キィン!!

 文珠が光ると同時に、

「あっ・・・!!」
「えっ・・・!?」
「ぶっ・・・!!」

 美神の衣類が消滅した。

「何よこれ・・・!?」

 両腕で自分の裸体を抱き隠すようにして、美神がその場にしゃがみ込む。

『横島!!
 今度は「服」をイメージしろ!!』
「え・・・?
 わ、わかった!!」

 ワルキューレに言われて、別の玉に『服』と入れる。
 水着やレースクイーン・コスチュームなどをイメージしないように努力して・・・。
 『服』という字が浮かんだ文珠を美神に投げつけると、美神の姿は、いつものボディコンに戻っていた。

『・・・これでわかったと思うが、
 文珠というのは、霊力を凝縮し
 キーワードで一定の特製を持たせて解凍する技だ!
 今のは具体例が悪かったが・・・。
 使いようによっては
 どんな魔族も神族も倒すことができる・・・!』

 ワルキューレの解説を聞いて、

「・・・なんか今、
 凄くもったいない使い方をしたんじゃねーか?」

 と嘆きながら、雪之丞が横島を眺める。
 視線の先では、その男が、美神に追いかけられて走り回っていた。


___________


「・・・まあ使い方はともかくとして。
 あいつがスゲー技を身につけたのは確かだな」

 雪之丞は、小竜姫と斉天大聖のところに歩み寄った。

「・・・あいつはライバルなんでな。
 急に差をつけられたら、たまらん。
 俺にも同じ修業、頼むぜ!」

 いつのまにか、美神も近くに来ており、

「私にもお願いできる?
 後輩にぬけがけで追いぬかれちゃ
 たまんないしね!」

 と言い出した。
 その『後輩』二人は、一人は座り込んだまま眠ってしまっており、もう一人は美神にシバカレて倒れている。

「・・・雪之丞さんは構いませんが、
 美神さんはダメです!!」
「どうしてよ!?」
「あなたの能力は成長期を過ぎています・・・!
 危険だわ!」

 小竜姫と美神が押し問答を始めそうになったが、

『・・・まずは中に入らんか?』

 と、斉天大聖が仲裁に入った。

『奴も、いつまでも休んでいるわけじゃなかろう!?』

 斉天大聖は、文珠騒動の間も、残されたデミアンの左脚を凝視していた。
 その言葉を合図とするかのように、

『なんだ・・・。
 知っていたのかい!?
 人が悪いなあ・・・。
 いや「猿が悪い」とでも言うべきかな・・・』

 左脚からモコモコと肉が盛り上がり、デミアンの全身が復活した。


___________


 先ほどのシロの一撃は、デミアンとしても危なかった。
 デミアンの少年の姿は、ただの肉の塊にすぎない。その中に隠された小さなカプセルが、彼の本体だった。
 その秘密を知られない限り負けることはないと自負していたのだが、保護している肉塊ごと本体を消滅させられては、終わりである。肉体全体で逃げる余裕はなかったが、とっさに本体の核だけを、光線の範囲外である足先へ移動させることができた。だから助かったのだが、かなりギリギリのタイミングだった。
 そして、このまま死んだフリをしようかと考えているところで、声をかけられてしまったのだ。

(さっきの光線を放った奴は、寝ているようだな)

 これは、デミアンとしては好都合だった。しかし、

(文珠・・・。
 ウワサにはきいたことがある・・・!
 これを使える人間か・・・!?)

 敵は、文珠という恐ろしい技を編み出していた。

(まだ使いこなせないようだが・・・。
 それならば、今のうちに殺るしかないか)

 そう考えて、デミアンは、体を復活させたのだった。


___________


『ここは若いもんにまかせて、
 と言いたいところじゃが・・・』 

 斉天大聖は、シロの方にチラリと視線を向けた。

『犬の娘は、まだ寝ているようじゃのう』

 シロの新技は、破壊力もその範囲もバツグンだ。ただし、一度発射してしまうとしばらくエネルギー切れになるという欠点があった。

『・・・ならば、今度は小僧のターンだな』

 斉天大聖の眼光が、横島を射すくめた。

「・・・え!? 俺っスか!?」

 オロオロしてしまう横島であったが、美神に叩かれたダメージは既に消えていた。横島本人が、スキンシップ程度と認識しているせいかもしれない。

『僕も加勢しますよ。
 ここでも魔族同士のこぜりあいなら、
 大した問題になりませんから』
『・・・もともと私の任務なんでな』

 ジークフリートとワルキューレが立ち上がり、横島をサポートするかのように近寄った。

『・・・そういうことじゃ。
 文珠もあることだし、何とかなるだろうよ。
 ほれ、行くぞ、小竜姫!!』

 そう言って、斉天大聖は、シロを抱えて引っ込んでしまう。

(横島さん・・・!!)

 小竜姫も、意味ありげに横島を一瞥してから、斉天大聖に従った。

「あっ、待って!!」
「おい、修業・・・」

 美神と雪之丞も、中に入っていく。

『させるか・・・!!』

 美神の背を貫こうとして、デミアンが腕を槍のように伸ばした。だが、そこにワルキューレが立ちはだかった。

 ドスッ!!

 槍手が、美神の代わりにワルキューレの体へと突き刺さる。
 それを見て、

『姉上・・・!!』

 ジークフリートが叫ぶが、ワルキューレ本人は冷静だ。

『痛くないと言っては嘘になるが・・・。
 私は大丈夫だ。
 それより、あいつをよく観察しろ!
 あれだけ体が吹き飛んでおきながら再生したんだ、
 何か秘密があるはずだ!!』

 こうして、三対一の戦いが始まった。


___________


「それじゃ雪之丞さん、ここに座ってください」

 雪之丞は、椅子が三つある小部屋に連れてこられていた。
 それは、仮想空間へ瞬間移動するための場所だった。
 ジークフリートは門前で戦っているため、今回は、小竜姫が案内役を務めている。

「ここに座れば霊力が一瞬で加速されるのね?」
 
 部屋の入り口には、美神も立っている。
 結局、自分も同じ修業を受けたいという願いは却下された。だが、せめてシステムを見学したいと言い張って、ここまで連れてきてもらったのだ。

「ええ。
 でも、座るのは私と雪之丞さんだけですよ!?
 あなたはダメですからね!?
 絶対にダメですからね!!」

 小竜姫が釘をさす横で、

「おいおい・・・」

 雪之丞が、呆れたように笑っていた。

「何です?」
「小竜姫さんよ、あんた、
 まだわかってないのかい!?」

 そう言って、雪之丞が視線を向けた先では・・・。

「あっ!! いつの間に!?」

 小竜姫が気付くよりも早く、美神がすでに椅子に座っていた。

「案内役なんだろ?
 あんたも早く座らないと・・・!」

 と小竜姫に声をかけて、雪之丞も椅子に座った。

「もうっ!! 美神さんったら!!
 ダメだって言ったのに・・・!!
 もうっ・・・!! 」

 あきらめた小竜姫も、残った椅子に座った。
 そして、三人は、斉天大聖の作った空間へとジャンプする・・・。


___________


『・・・なんだい、この攻撃は・・・?
 マジメにやれよ!』

 門の外では、ジークフリートとワルキューレが、魔族正規軍のピストルでデミアンを攻撃していた。しかし、

『精霊石弾が効かない・・・!?』
『チッ・・・!
 やはり普通じゃないな・・・』

 デミアンの体に穴はあくのだが、全くこたえていないようだった。銃弾が穿った穴も、すぐに中から肉が盛り上がってきて、塞がってしまう。
 二人に挟まれる形の横島は、

「あの・・・。
 俺は、どうしたら・・・。
 なんて文字を入れたらいいのでしょうか・・・?」

 とワルキューレに尋ねるが、

『バカ者!!
 自分で考えろ!!』

 と一喝されてしまった。

(そうだよな・・・)

 横島自身も、ワルキューレの言葉に納得する。
 どういう文字を込めるか、それを考えることも、文珠を使う上でのトレーニングなのだ。
 説明された通りであるなら、これは、確かに応用範囲の広いシロモノだ。だが、使いこなせなければ、宝の持ち腐れである。

(『裸』と『服』しか出せないようじゃ・・・。
 セクハラには役立つだろうが、
 GSの武器にはならないよな・・・)

 入れるべき文字を瞬時に実戦で思いついてこそ、有意義なのだ。

(今、この場合は・・・)

 横島は、真剣に考えていた。


___________


「いくら文珠があるとはいえ・・・。
 横島さん大丈夫かしら・・・!」

 お茶をつぎながら、小竜姫がつぶやいた。
 
「安心して・・・!
 ああ見えても、結構あいつ頼りになるから。
 それに、一秒とたたずに外へ戻れるんでしょ?
 私がドーンとパワーアップして、
 助太刀してやるわ!!」

 その横に来て腰をおろす美神。少し前までゲーム猿の相手をしていたのだが、今は、雪之丞が代わっている。

「雪之丞さんだけなら、そうですが・・・。
 あなたもいますから!!」
「・・・え?」
「あなたの場合霊的成長期のピークを過ぎてます!
 パワーはあるけど彼らほどの柔軟さは失われてるんです」

 美神が来てしまったので、ここに適応して外に出るまでの時間も変わる。中で経過する時間は同じでも、外に戻るには数分はかかるだろう。
 小竜姫の説明を聞いて、

「・・・何それ!?
 話が違うじゃない!!」

 美神が表情を変えるが、怒りたいのは小竜姫のほうだ。

「何言ってるんですか!!
 だから来ちゃいけませんって言ったのに!!
 勝手についてきたのは美神さんじゃないですか!!」

 二人がケンカ口調なのを耳にして、ゲーム中の雪之丞が、言葉だけを二人に投げかけた。

「おーい!!
 自業自得って言葉知ってるか?
 今回は美神の大将が悪いだろうよ。
 ・・・な!?」

 口は悪いが、雪之丞なりの仲裁であった。


___________


『・・・なにブツブツ言ってるのさ?
 来ないならこっちから行くぜ!』

 その言葉と共に、デミアンの正中線が割れた。そこから肉が吹き出してきて、大きな口をもつモンスターを形成する。獣のようにも竜のようにも見える顔をしていた。

「げっ!? 変身・・・した!?」

 横島が驚いている横で、

『姉上、今だ!!』

 ジークフリートが、強力な魔力弾をぶつけた。
 飛び上がっていたワルキューレが、その隙に、

『うおらああッ!!』

 空から強力な一撃をバケモノの頭に叩き込んだ。
 落下する勢いに加えて、全体重をこめたエルボーである。見事、頭部を破壊したのだが・・・。

『甘いんだよ!!』

 ワルキューレの背後で、デミアンの肉の一部が盛り上がり、再び少年の体を形成した。しかも、今度は胸の部分に光る球体を用意しており、そこから強力なエネルギー波を発射する。

「ワルキューレ!?」
『姉上えぇーっ!?』

 横島とジークフリートが叫ぶ中、ワルキューレは背中から腹部を貫かれ、地面に倒れ込んだ。残った一枚の翼も、今の攻撃で、もげてしまっていた。
 
『私にダメージを与えられる者などおらん!
 相手が悪かったな、ワルキューレ・・・』

 デミアンがワルキューレを見下ろす。
 それを見た横島が、

「そうだな・・・。
 ダメージを与えても再生してしまうというなら・・・」

 何かを思いついたかのように、つぶやいた。
 文珠に入れるべき文字が決まったのだ。

(だが・・・。
 本当にそんなことが出来るんだとしたら、
 ちょっと極悪すぎるぜ・・・)

 横島の顔には、悪役のような笑顔が浮かんでいた。


___________


「魔族はもう時間能力者を追ってない・・・!?
 それって・・・」
「能力者を追っていたのは
 あなたを見つけだす口実だったのではないでしょうか。
 美神さんが連中のリストに載って以来
 魔族はその動きをとめました」

 美神と小竜姫は、今、外の景色を眺めながら話をしていた。
 まだ仮想空間の中なので、ここでは長い時間が経っている。ケンカしかけた二人だったが、とっくに仲直りしたのだろう。

「時間移動はもともとそんな大した力ではないんです。
 過去も未来も変えられることしか変えられない・・・。
 時間の復元力は
 人や神の力よりずっと強いのですよ」

 そう言われても、美神としてはピンとこない。

「死んだ横島クンを
 生きかえらせたこともあるけど・・・?」
「それは多分
 そのままでも蘇生可能だったんでしょう」

 美神は、中世ヨーロッパでの事件を思い出してみた。

(完全に死んでいた横島クン・・・。
 あれが『そのままでも蘇生可能だった』というの・・・?)

 ここで、美神は、その時の様子を詳しく説明するべきだった。
 あのケースでは、いわゆる時間移動とは状況が違っていたのだ。少し前の過去へ飛んだのではなく、少し前の自分に成り代わっていた。自分でも『時間を逆行したんだわ』と叫んだように、むしろ時間逆行という概念で説明される現象だったのだが・・・。
 残念ながら、今の美神は、その相違点を失念していた。だから、小竜姫の言葉をとりあえず受け入れることにして、

「じゃ、なんで私なの!?」

 と、話を続けてしまった。

「わかりません・・・。
 神族の上層部も知っているかどうか・・・。
 とにかく外の魔族が片づいたら
 すぐに上層部へ報告します。
 事がこれほど重大ならすぐに神族も
 アクションを起こすことになるでしょう。
 くれぐれも慎重に行動してください」


___________


 門前では、まだ戦いが続いていた。だが・・・。

「これで終わりだ!!」

 横島が、デミアンに向けて文珠を投げつけた。

『今度は何だ・・・!?』

 文珠の効能は知っているデミアンだが、この人間には使いこなせないと思っていた。
 何しろ、生まれて初めての文珠に『裸』と入れた男なのだ。いくら人間が低級とはいえ、そんな馬鹿、聞いたことがない。
 
『フン、どうせ・・・』

 全く安心しているわけではないが、それでも軽蔑する態度をとった。人間の馬鹿一人に怯えたとあっては、魔族の尊厳に関わるからだ。
 そんなデミアンの目の前で、文珠が光る。

『なにーっ!?』

 その光の中に呑まれるかのように・・・。

 ドシュウウウ!!

 デミアンの姿が、消えてしまった。

『おい・・・』
『な・・・何をしたんだ・・・!?』

 ジークフリートとワルキューレも、その予想以上の効果に唖然としている。

「へへへ・・・。
 丸ごと消滅させたんスよ!!」

 横島が、サラリと言ってのけた。

「『消』って入れて、
 もし透明になるだけだったら困るから、
 ちゃんと『滅』のほうを入れましたよ?」

 ちょっと自慢げな横島である。
 あれだけ時間をかけて考えた結果にしては、ひねりも何もないのだが、それでも本人は満足しているようだ。

(そんなバカな・・・!!
 いくら霊力を凝縮したとはいえ・・・。
 人間ごときが扱う文珠で、
 あのデミアンを消滅させることができるのか!?)

 ワルキューレとしては、信じがたい話だった。
 文珠が反則的な技だというのは知っていた。しかし、それは上手く応用してこそなのだ。
 消滅というイメージで『滅』と入れただけで、デミアンクラスの魔族まで消し去ることが出来るなんて!
 これでは、いくらなんでも『反則』の度が過ぎるであろう。
 今の話が本当であるならば、正面から自分が戦っても、一瞬で消されてしまうかもしれない。

(横島・・・恐ろしい子!)

 ワルキューレは、彼を脅威とすら思い始めていた。
 デミアンからのダメージは深く、ワルキューレはかなりの重傷だ。魔界に帰って養生すればすぐに回復するだろうが、今この瞬間は、ケガのせいで弱気になっているのかもしれない。だが、もしそうだとしても、人間に恐怖するなど、あってはならないことだった。
 横島の話を否定したいワルキューレだったが、彼が嘘をつく理由もない。それに、目にした事実を無視するわけにもいかなかった。


___________


 しかし・・・。
 実は、デミアンは滅んではいなかった。
 横島が『デミアン』だと思っていたのは、デミアン本体が操っていた肉の塊にすぎない。だから、横島のイメージ通りに消滅したのは、デミアンの『肉塊』だけだったのだ。
 守っていた塊が消えたことで、デミアン本体のカプセルは、カランと音を立てて地面に落ちていた。
 ただし、戦勝気分に浮かれていた横島たちは、それに気付かなかった・・・。


___________


「ここまでよくやったわ、横島クン!!
 トドメは私が・・・」

 美神が門から飛び出してきた。だが、

「・・・あれ!?」

 そこにデミアンはいないので、拍子抜けしてしまう。

「・・・どうやら終わっちまったよーだな」

 美神の後ろから、雪之丞も出てきた。

「あれ!?
 おまえ、その姿・・・」
「そうだ。
 これが新しい魔装術の装甲だ」

 横島が指摘したとおり、雪之丞の外見は、従来とは異なっていた。
 甲殻類を想起させるような突起はなくなり、滑らかな装甲になっている。今度の魔装術では、顔の部分は完全に覆われていた。頭の後ろに鞭のように伸びていた二本の角も洗練されて、アンテナのような形になっている。全体として、かつての魔装術ではモンスターのイメージだったのに対し、むしろ、特撮ヒーローを連想させる姿に変わったのだ。

「外見はともかくとして、どれほど強くなったのか、
 実戦で試してみたかったんだが・・・」

 雪之丞は、何だか悔しそうだ。

(これだから、バトルマニアは・・・)

 苦笑する美神だったが、今回に限っては、その気持ちも分からないでもない。そんな美神に、

「美神さんも・・・
 パワーアップしたんですか!?」

 と、横島が声をかけた。

「まあね・・・。
 あんたたちほど劇的な変化じゃないけど、
 純粋に『パワーアップ』ね」

 美神は、神通棍を取り出して、霊力を込めてみせた。普通ならば棍が伸びて棒状になるのだが、伸びた部分が美神の念の出力に負けて、グニャリと変形している。
 それは、もはや『神通棍』ではなくて『神通鞭』だった。

「ム・・・ムチかあ・・・。
 ますます女王さまっスね・・・」

 横島に言われて調子に乗った美神は、

「ホーホッホッホッ!!」

 と高笑いを上げながら、何度か地面を叩いてみせる。
 実のところ、単に調子に乗っているわけではなく、そうやって鞭を振るうことで、攻撃範囲などを確かめているのだ。今後、神通棍を『神通鞭』として使うのであれば、それがどこまで届くのか、また、どのように手首を捻ればどこへ鞭が飛ぶのか、そうしたことを理解しておかなければならない。
 そのための素振りでもあった。

「信じられない・・・!
 彼女の成長期は
 もう過ぎてるはずなのに・・・!」

 門のかげから美神を見ていた小竜姫は、素直に驚いていた。
 その横で、斉天大聖が声をかける。

『あの小娘、人間の中でも
 そうとうな変わりダネじゃ。
 わしゃおどろかんよ』
「ま・・・まーたしかに
 いろいろ非常識な人ではありますが・・・」

 小竜姫が苦笑しているが、彼が言ったのは、そういう意味ではなかった。
 斉天大聖は、仮想空間で魂に負荷を与える際、霊波をシンクロさせている。だから、美神の前世の秘密に気が付いたのだった。横島の魂にも何か混じっていたようだが、それは微量に過ぎない。美神の前世のほうが、遥かに面白かった。

『それだけではないぞ。
 あの様子では、面白いことが起こりそうじゃ。
 まあ、見ておれ』

 ニヤリと笑う斉天大聖。
 彼は、美神の鞭の先を見ていた。


___________


(納得いかん・・・!!
 私はどんな魔族にも神にも
 こんな目にあわされたことはないぞ・・・!!)

 今、デミアンは、肉の塊を全て失い、丸裸のカプセルとして地面に転がっていた。

(それを・・・。
 あんなボンクラなヤツに・・・!?)

 いくら文珠使いとはいえ、あいつは、どう見ても馬鹿だ。その馬鹿に、ここまで追いつめられてしまったのだ。
 しかも、誰も自分の存在には気付いていないはずなのに、先ほどから、近くの地面を何度も鞭で叩いている奴までいる。

(もう終わったと思ってるんじゃないのか!?
 だったら早く帰れ・・・!!
 いつまでも遊んでいるとは・・・)

 本当に、人間の考えることは、よくわからない。

(非常識だー!!
 納得いかーん!!)

 だが、それが、デミアンの最後の思考となった。
 美神の鞭が、デミアンのカプセルに当たってしまったのだから・・・。


___________


 グシャン!!

 何かが潰れるような音がした。

「あれ・・・!?」

 神通鞭を振るっていた美神は、思わず、その手をとめた。

「今、何かを叩き割ったみたいなんだけど・・・?」

 とつぶやく美神に、斉天大聖が声をかけた。

『それがデミアンの本体じゃよ』
「・・・えっ!?」
「デミアンの本体!?」

 その場の全ての視線が、いっせいに斉天大聖へと向いた。

『なんじゃ、誰も気付かなかったのか!?
 情けないのう・・・』

 斉天大聖は、ここで、デミアンの正体を解説してみせた。そして、

『口出ししてはならんと思って、
 敢えて言わなかったがな。
 言われんでも、戦っているうちに
 わかりそうなものじゃが・・・』

 と締めくくった。

『そうか・・・。
 やはり、横島の文珠では
 デミアンは倒せていなかったのだな』

 ジークフリートに抱えられたワルキューレが、納得している。

(文珠はそこまで凶悪ではなかったのだな。
 ・・・よかった。
 それならば、あいつは普通の戦士だ・・・)

 と安心している横で、

「・・・じゃあ、
 私があのバケモノにトドメをさしたってこと!?」
「運よくムチが当たっただけじゃないですか。
 狙ってたわけじゃないくせに・・・」
「運も実力のうちって言うでしょ?」

 美神と横島が陽気に会話している。
 それを見て、ワルキューレは、

(やはり『悪運の強さは筋金入り』なのだな・・・)

 と、美神を評していた。


___________


「・・・横島クン」

 事務所に戻った美神は、横島を自室に呼び出した。
 彼の前で、一つのケースを開けてみせる。精霊石を保管しているのと同型だが、このケースは空っぽだった。

「・・・なんです?」

 意味が分からない横島が、眉をひそめた。しかし、美神は冷静に宣告する。

「・・・今持っている文珠を、
 全部この中にしまいなさい。
 今後、あなたの文珠は全て私が管理します」

 別に、横島の文珠を全て巻き上げてしまおうというわけではない。『横島を単なる文珠生成工場にして、使うのは自分』などと思っているわけではないのだ。そこまで横暴な美神ではなかった。
 あくまでも、文珠を使うのは原則として横島なのだが、ただ、その使用を自分の管理下に制限しておきたいのだった。
 それでも、

「・・・いっ!?
 そりゃないっスよ!?」

 と抗議する横島である。だが、美神はそれをはねつけた。

「あれは精霊石以上の切り札になるのよ!?
 ・・・特に強力な魔族相手だったら!!
 でも、あんたに持たせておいたら、
 痴漢やセクハラの道具にしちゃうでしょ!?」
「何言ってるんスか!!
 そんなに俺が信用できないんですか!?」
「当たり前だあ!!
 今までの行動、胸に手をあてて考えてみろ!!」

 これを否定する言葉は、横島にはなかった。
 だが、シュンとなってしまった横島を見て、美神の口調が柔らかくなる。

「・・・まったく信用してないわけじゃないけど、
 ほら、最初の文珠が『裸』だったでしょ?
 あれがね・・・」

 顔を上げた横島に、美神は笑顔を見せた。
 そして、少し条件を緩やかにする。

「横島クン、まだ十八歳未満なのよ!?
 それで『裸』は、いくらなんでもマズイわけ。
 ・・・だから、十八歳の誕生日まで、
 ってことにしましょ!?
 それまで私が管理するということで、どう?」
「・・・そういうことなら、それでいいっス。
 だけど、俺が十八歳になるまでに
 文珠を全部使い切っちゃった、
 なんてオチやめてくださいよ?」

 横島の口調が軽くなった。
 美神も、彼の表情に合わせて言葉を返す。

「私だって、無駄遣いする気ないわよ?
 でも文珠しか通用しないような魔族が攻めてきたら、
 その時は、ねえ・・・?
 だから、
 そんなに消費するほどの敵が出てこないよう、
 祈ってなさい!!」
「ちょっと、美神さん!!」

 朗らかに笑い合う二人である。
 だが、しかし。
 美神も横島も気付いていなかったのだが・・・。
 この作品の中では、原作漫画同様、登場人物の年齢は変わらない。だから、いつまで経っても、横島に十八歳の誕生日は来ないのであった。



(第二十二話「前世の私にこんにちは」に続く)
  


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