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BACK TO THE PAST!

続・エンジョイ新生活


投稿者名:核砂糖
投稿日時:08/ 1/ 4

「それにしても君ってイイ霊力持ってるねぇ。何て言うかなー、こう、清涼感があるって言うか若々しさがあると言うか。お陰でこーんなに強い力を使っても全然疲れない!」

「くっ…」

全身の体温を引っ張り出されるような嫌な感覚が走り、ごっそりと霊力を奪われるのが解る。忌々しい悪魔は吸い出した力を恍惚とした表情で吸収した後、今度はそれを破壊活動にと役立てた。


いや〜な感じの波動が迸り、ステンドガラスが砕け散って、少し古いが趣がある白塗りの壁に穴があく。そしてこの教会の主たる神父様の頭皮に間接的ダメージを与えた。

「もうイヤーーッ!!」

「先生ーーっ!気を確かにっ!」

何もかもが嫌になりつつ頭を掻き毟る師匠を、その弟子が何とか宥めようと努力しつつ自分もパニックに陥っている。

それを見たインキュバスはさも可笑しそうに笑い、その反応を楽しんでいた。



そして俺の方はどうかと言うと





――――――成す術も無く地面に倒れ込んでいた。





力の吸われ過ぎで立っていられんかったのだ。

インキュバスが魔力を引き出せないだけまだマシか…。どうやら俺の本当の力を操る事は出来ないみたいだな。悟空の体を乗っ取ったギニュー隊長みたいなもんか。





「さぁ〜ってもう十分楽しませてもらったし、





――――――もう黙ってていいよ」




ズオオッ!!

「なっ!?」

「でかいっ!?」




女性を人質に取られて操られたお陰で(またその女性がメチャンコ強かったお陰で)反撃する事も出来なかった唐巣神父とピートは、破壊活動に飽きたインキュバスの特大霊波砲攻撃を、やっぱりどうする事も出来ずに受け止める羽目になり、師弟仲良く教会の床をぶち抜くというレアな体験をする事になる。

…あ〜あ〜大穴開いちゃったよ。


「神父!ピート!くっそぉ……」

「おやおや、こんな状況で他人の心配かい?」

「……お前らが居なくなったら俺一人フルボッコやん!!」

「…」

インキュバスが何か汚いモノを見るような目でこっちを見てくる。

だってほんとーじゃん!コイツ相手だと俺何も出来ねえとか何!?卑怯だよこんなの。誰だよこんな設定考えた奴はぁぁぁぁっっ!!

俺は何か時空を超えた恨みを込めつつ、インキュバスを睨み返す。睨まれた方は何処吹く風で、寧ろ楽しげな笑みを顔に貼り付けた。

「フルボッコだなんてそんな…。ボクがレディーに暴力を振るう訳無いだろう?さて、邪魔者も居なくなった事だし」

そう言うとソイツは俺の肩を掴むと俺の体を仰向けに寝転がす。
ゴロリと体が回転し、グルリと視界が反転し、にこやかに笑う悪魔の笑顔が目の前に広がった。


…へっ?ちょっと待てお前、何を


「何って…決まってるじゃあないか。淫魔、女性、敗北と来たら、次に来るモノなんか決まってるだろうお嬢ちゃん」


…思考中。

…思考中。




…深刻なエラーが発生致しました。




「ちょっ…おまっ!?!?」

「大丈夫、直ぐに病み付きになって、ボク無しじゃ生きられなくなるから」


どうやら本気で貞操の危機が訪れているらしい。えっ、ちょっ…マジで?

俺は必死の思いで力の入らない四肢に気合を入れ、その場から後ずさろうとする。が、

「だーめ」

いとも簡単に組み敷かれてしまった。
押さえ付けられた肩から伝わる野郎の感触が堪らなく気色悪い!

「あ、あはは…。冗談だよな?」

「ううん。本気(はぁと)」

…。


…。



…。



ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!

魔人時代に培った危険メーターの針がビンビンに振り切れている。「ボクだってさっきからビンビンさ!」「やかましぃっ!!」
必死になって辺りを見回して何か使えそうな物を探してみるも

「…体が動かんから意味無ぇし!!」

「だから無駄だって。女性がインキュバスに勝てるわけ無いんだから」

「いいっ!?」

ついに胸にまで手を伸ばされる。野郎の指先が乳房に触れたとたん、吐き気を催す様な不快感が全身を駆け巡った。。


――――――コンニャロー…調子に乗りやがって!!この際魂が砕けようと知った事か!!心と体を汚されるよりマシじゃぁ!!魔人の力でてめーを葬り去ってやるぅぅぅ!!!!


ちょっと泣きそうになりながらも、その不快感を怒りに変え、普段無意識の内にかけているリミッターを解除しようとする…が、

「ぎゃぁぁぁ!駄目やぁっ!全くコントロール出来ないぃぃぃっ!!」

「五月蝿いなぁさっきから。女の子がそんなんじゃぁ駄目だよ。それ、もーみもみ」

「うわなにをするやめくぁw背drftgyふじこlpッッ!!」

胸を揉みしだかれて全身に鳥肌が立つ。



正直すいませんでしたーーーーーっ!自分今までセクハラされている側の気持ち理解してませんでしたーーーーーっ!!もうしませんから誰か助けてぇーーーッ!!


今までの所業の罪深さを改めて知る俺。しかし、過去の行為を悔いた所で状況は変わらなかった。


「放せーショッカー!!ぶち殺すぞぉーっ!!」

「おや、まだ反抗的なのかい?じゃあ仕方ないなぁ。ちょっと早いけどこっちで行ってみようか」


インキュバスが俺から一旦離れ、視界が開けたお陰で奴の股間が目線に入る。


…チョモランマ?









「ぎゃぁぁぁぁぁぁっ!!!やめやぁぁぁぁっ!!!このホームページ的にもマズイからぁぁぁっ!!!」

「はっはっは。大丈夫大丈夫。直接的な描写がなければ見逃してくれるさ!!」


再び迫ってくるインキュバス。

動けぇぇぇっ俺の体!!今動かないとイロイロやばいんだ!!!


…やっぱり動かねぇぇぇっ!!!ちくしょー!!ここぞと言う所で裏切りやがって俺の体!!!てめーに期待した俺が馬鹿だったぁぁっ!!!そもそも何で勝手に性別なんて変えやがったコノヤロー!!!


とか自分の肉体に喧嘩売ってる間にも迫り来るチョモランマ。


絶対的なピンチ!マジ泣きしそうな俺!


そしてあわやエロゲー展開に突入しようというその刹那。
俺の右足が跳ね上がり、インキュバスの股間を蹴り上げた。


――――――ぐしゃん

「はおっ!?」


急所中の急所、キングオブウィークポイントたる男の魂を揺さぶられ、思わず股間を押さえつつ倒れこむインキュバス。


ナ、ナイスだ俺の右足…。前言撤回だ。もう一生お前を大事にするぜぇぇぇっ!!

…それと、


「助かったぜ、ピート!!」

俺は恐らく生まれて初めてイケメンに心から感謝した…。







「な、何で…。どうして!?こんな事有り得ない!!」

インキュバスは驚愕で歪む顔を目の前の女に向ける。

「にひひ…。どうやら立場が逆転したみたいだ、なっと!」

ヨーコは先ほどまでのインキュバスを真似た、イヤミったらしい笑みを浮かべると、未だに痛みから立ち直れない彼に、容赦の無い蹴りを入れる。ただでさえ恐るべき攻撃力を有する彼女の回し蹴り。乙女(?)の花を散らされかけた怒りも相まってか、いつも以上の切れを見せ、その場の空気を切り裂いた。


―――ごっ!


「ぎゃばぁっ!!………クソッ!有り得ない、有り得ない筈なのに!」

ふらりふらりとよろめきながら、教会の周りに張られた結界の事も忘れてその場から逃げ出そうとするインキュバス。しかし蹴り一発程度の復讐で消滅されてしまっては、彼女の腹の虫が収まるはずもなく、ヨーコさんは軽やかに空宙へ舞い上がるなり、インキュバスの上へと着地した。

「がふっ!?ち、畜生!!」

大地にひれ伏す悪魔。彼の上に降り立った彼女は、さながら天使のように美しかったが、その顔に浮かぶのは、どう見ても天使っつーツラじゃなく、どちらかと言えば寧ろこちらの方が悪魔であった。それも恐ろしくサディストの。

「まぁまぁそう急ぎなさんな、もう少しゆっくりして行けよ。ほら、どうして俺が動けるか教えて欲しいだろう?」

呻きながら這いつくばるインキュバスを蹴り転がし、仰向けにさせる。そして自らの服の首周りを少しずらした。
見る者を魅了する白い肌、エロティックな鎖骨、艶っぽいうなじ…が順々に露になる。そして彼女の首筋には、二つの小さな傷口が見て取れた。

「…まさか。あのバンパイアハーフめが!!!」

激昂したインキュバスが、先ほどヨーコが組み伏せられていた床を睨み付ける。するとヨーコの頭があった辺り…ちょうどその辺りに野球ボール程の穴があり、そこから霧が噴出した。霧は見る間に形を成し始め、終には美しい青年の姿を形どった。

「いやぁ正直成功するかどうかは微妙だったんですけどね。結局上手くいって良かったですよ。支配の重ねがけを行った場合…どうやらこれはより多くの力を込めた方に支配権が移行するみたいですね。こう見ても僕は700年もの齢を重ねているんだ。さっきはヨーコさんが人質に取られて後れを取ったけれど、単純な力比べならお前如きには負けない!」

カラクリはこうだった。インキュバスに吹き飛ばされ、床にめり込んだピートは、持ち前の回復力でやがて目を覚ました。そしてヨーコが、あわやエロゲ展開に突入しかけているのを発見。しかしこのまま助けに行っても先ほどの二の舞になってしまう。そしてしばし考え(決してヨーコの痴態にハァハァしていた訳では無い。たぶん)そして思いついた。彼は体を霧に変えると床下からヨーコに接近。続いて相手を噛むのに必要な分だけ実体化しヨーコに噛み付いた。こうしてヨーコを『バンパイアの支配能力』で新たに支配したのだ。そして与えた命令は

「…さぁヨーコさん、『ソイツを、好きなだけやっちゃってください!!』」

「任せろピート!!

…さぁ覚悟しやがれ、この糞野郎ッ!!」

「う、うわぁぁぁぁぁっ!!!!」

「まずはヒトの体を勝手に使いやがった分!」

ゴッ!!「ぎゃぁっ!」

「次にガンガンヒトの霊力を吸いまくってくれた分!」

ガスッ!!「ごあっ!」

「そして胸を揉みしだかれた分!女の胸を揉んでいいのは俺だけじゃぁ!!」

「な、何言って『ごめすっ!!』うぎぃっ!?」

「さらにあわや掲示板利用規格に引っかかりそうな事をしかけてくれやがった分ッ!!」

「た、助け…『ごりぃっ!!』がはあっ!!」

「何か自分の事ばっかりなんですね…」←ピート

「続いて……えーっと、とにかく今なんかムカついた!!」

ぐしゃん!「ぎゃあっ!!…あ、あんまりだぁぁぁっ!!」

度重なる恐ろしい程の暴力で、もはや瀕死状態のインキュバス。因みに描写があんまりなのは、彼女の行為が残虐極まりなく、まさに筆舌しがたいからであって、決して手を抜いている訳ではない。


…とにかく息も絶え絶えのインキュバスに、終に止めを刺すべく最後の一撃をくれようとするヨーコ。

「そしておまけに、貴様によってすべてを奪われた、唐巣神父とピートの分!!」

「ちょっ、僕達はおまけですか!?」とピートが突っ込みを入れた瞬間、必殺の一撃を繰り出そうとするヨーコを、ボロボロの法衣を纏った腕が遮った。

「待ちたまえ、ヨーコ君」

「…神父!!」

「…今の君は復讐心に囚われ、恐らく本当の自分を見失っていないかい?君は強い力を持っている。そしてそうであるが故に苦労もしてきた筈だ。…こんなんじゃいけない。解るだろう?」

「あ…」

ヨーコの中で、燃え上がるように高ぶった気持ちが急速に冷めてゆく。

(しまった、神父の言うとおりじゃねぇか…。好戦的で残虐…。魔族の本能丸出しだった…。)

あちこち破れた法衣の背中を見ている内に、心の中で深い反省心が生まれた。

(クソッ…!テメーの中じゃもう自分は大人だって思い込んで、自分を律する事も出来ると思って…それで結局これか。へっへっへ…、まだまだじゃねぇか、俺も)

そしてヨーコが、「やっぱり、あなたにはかないませんね神父…」などと呟いた次の瞬間、教会の空気が変わった。











ボリボリ…

「…そうとも。君にやってもらわなくとも、自分の仇討ちは自分でやるからね」

ゆっくりと、インキュバスによって無残に破壊された何かの残骸へと歩み寄る神父。




「し、神父?」「せ、先生?」
明らかに今までとは違う雰囲気に、戸惑うヨーコとピート。







ボリボリ…

「ああ、この長椅子はねぇ、私が自分で作ったんだよ。そしてこのマリア像は大切な人からの寄贈品でねぇ…」

神父はステンドガラスの成れの果ての大穴から降り注ぐ日光に目を細める。






ボリボリボリボリ…。

「あのステンドガラスは高かったなぁ。でも教会っていったらステンドガラスだろう?そして教会に懺悔に来た人たちは先ずあのステンドガラスに感動して心が安らぐんだ。だからだいぶ無理して手に入れたんだよ…それを…」







ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ!!!!

「何て事してくれやがったぁっ!!!この腐れ外道がぁぁぁぁっ!!!」

「うんぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」





…。




それは既に戦いではなかった。一方的な暴力であった。それはバンパイアハーフの心に「一生この師匠を超える事は無理だな」と言う尊敬心とも恐怖心とも言える何か(トラウマとも言う)を植え付け、「この人は本当に人間か?」と、正真正銘の魔人にすら畏怖を覚えさせた。


そして止め処無く涙を流しつつ頭を掻き毟り、そこいらじゅうに頭髪を撒き散らしながら戦う神父の姿は、さながら首筋を掻き毟る某吸血鬼のようだった。




ボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリボリ!!!!

「…フハハハハハハ。最高に、ハイって奴だぁっ!!(涙)」






因みに、血の海で一人泣き崩れる唐巣神父が余りに忍びなかったので、今回の騒動の責任が自分のせいであるとも言えるヨーコは、壊された教会をお札を使って修理してあげました。ただしそれは美神に教えた自分の限界を超える分のお札だった為、念入りな口止めをしてからだった。

そしてこの日からヨーコは唐巣神父から絶対的な信頼を得たのだった。一方ヨーコとは言うと、滝涙を流しながら感謝の意を示す神父に、若干引いていたが。





その日の晩。

ピートは一人、教会の自室で悶々としていた。


安物のベッドの上に横たわり、男性とは思えないその細くしなやかな指を唇に這わせる。そして彼が思い出すのは昼間必要だったが故に口にした、あの女性の血液の味である。

それは余りにも甘美で、思い出すだけで舌が蕩けるような美味だった。なぜならば、彼女が素晴らしく高い霊力を備えており、なおかつ健康的だからである。しかも美しいときた。その上…

「ヨーコさん…」

−−−−自らの心奪われる女性の血を不味いと言うバンパイアなど居ない。

「…ぼ、ボクは何を!」
不意に脳裏に浮かぶ心に、慌てて飛び起きるピート。

(なんて大それた事を考えているんだ僕は…。それに僕にはエミさんって言う僕に心を寄せてくれている人が居るのに…)

ぼふりと枕に倒れこむピート暫くそうしている内にふと思い出す。

(そういえば…)

…もう一つ、血の味が良くなる要素がヨーコにはあった。そしてハーフバンパイアたるピートには匂いでなんとなく、予想が付いていた。そしてそれは今日、血を飲んだ時に確信に変わった。

(処女、なんだなぁ…)

一瞬でもこんな事を考えれば妄想が炸裂するのが男の子。700年生きようとも中身は未だにナチュラルボーイなピート君も例外ではなかった。(一部には逆の意味で例外な奴も居たりするが。煩悩魔人横島とか)

彼の脳内でヨーコが踊る。一人は官能的なポーズを取り、また一人は服を着ていなかったり、ある者はベッドの上で、怯えと期待が混じった目でこちらを見つめていたり…


(あああああーーーっ!!僕はなんて事を考えているんだ!!!)


ごろごろとベッドの上を転げ回るピート。


(…でも、もしさっき支配を解かずにヨーコさんに命令していたら。




………って、うわぁぁぁぁぁ!!なんて事考えてるんだよぉぉぉっ!!)




ピートは邪念を振り払おうと横島忠夫のごとく壁に頭を打ちつけ始める。そして…








…。


















「…最低だ僕って」





















「…う〜ん。若いねぇ」

薄い壁のせいで一部始終丸聞こえの唐巣神父はにやりと笑った。


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