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〜GS・短編集〜

美神事務所の夏 〜リゾードで〜


投稿者名:道化師の黒銀
投稿日時:07/ 8/14

美神事務所の夏 〜リゾードで〜


カッ!! ギラギラ!!と容赦なく照りつける太陽。

アスファルト舗装の道路、コンクリートの道路が熱気を反射・・・もとい、熱気を土とシャットアウトして、溶けるような熱を持っている。
裸足で歩いたら1秒もしない内に飛び上がって靴を履く事間違いなし。


――ただ今、全国地方で記録的な猛暑である。


東京―― 気温40.1度 湿度85%



事務所には、『ただ今、美神事務所は休んでおります。 ご用の方は下記の電話におかけください。』の張り紙があった。


美神事務所の面子は・・・・・・仕事を休んで海外へ遊びに行っている。




事の発端は、記録的な猛暑とムンムンと漂う熱気、ジメジメと肌に湿ってくる湿度が原因であった。


『・・・・。』
事務所では美神と横島とおキヌは3人ともタンクトップに半パンで、頭にタオルを巻いて書類の整理をしていた。

タンクトップから覗く胸の谷間、二の腕、腹!!!
短パンから見える白い脚!!
タオルで上げられて見える細いうなじ!!

普通なら、この光景に横島が飛び掛って美神に撃墜されるのだが・・・・
今は黙々と仕事をしている。


「・・・。 電気不足で節電になるなんて・・。」
「そうっすね・・。 この暑さで上手く文珠が作れないし・・。」
「電気停止はまだ続くようですね・・。」


三人とも、床にタライに水をはりその中に氷を入れ、足を入れて少しでも涼を取っているのだが、この暑さですぐにぬるくなってしまうのであった。


「・・・あの〜、気になっていたのですが・・。」

そんな中、おキヌが気になる事を言うのだが、この暑さで思考がまともに働いていない。

「さっき、シロちゃんとタマモちゃんの様子を見たのですが、二人とも床にばてていましたけど・・。」
「あー。 あいつら、元々は獣だから夏毛になったとはいえ、毛皮があるからな。」
「そういえば・・・、二人の部屋って屋根裏だよね・・・。」
「あ、はい。 二人とも、部屋で日陰に獣形態でいましたよ。」



『・・・・・・。』
書類を整理する音だけがするが、ややあって横島が口を開く。

「・・・そういえば、俺のアパートの部屋は2階にあるから太陽の熱で天井が物凄く暑くなって部屋の中はサウナみたくなっているんっすよ。」

「なるほどね。それで、ココへ避難したのね。」
「はいっす。 できれば、この夏の間ココへ泊まらせてくれませんか?」
「いいわよ。 そういえば、アンタの隣の小嶋って子は少しいいアパートへ引越ししたったけ。」
「そうですね。 貧乏神が福の神となった事で金運が良くなってきたので引越しする事になりましたよね。」
「はいっす。 小嶋ちゃんが引越しした所は近くに自然が多い公園があるからこの暑さも乗り切っていると思いますっ・・・・!!」


「「!!」」


三人とも同時に何かに気付いて、タライから足を抜いて濡れた足を拭かずに一目散に屋根裏へ向かう。


「二人とも、大丈夫!!??」
「シロ!! タマモ!! 無事か!!??」

『うっ!!』
二人の部屋のドアを開けた瞬間、むわっと熱気が出てきて、人間形態の時に流したと思われる大量の汗で水溜りができていた。

その中でシロとタマモが獣形態の姿で意識を飛ばして倒れている姿があった。

「「うわーーっ!! シロ!! タマモ!!」」
「きゃーーーっ!! シロちゃん!! タマモちゃん!!」


熱帯地獄から救出した後、氷水を身体に当てて、団扇で風を送ってシロとタマモの体温を下げさせる三人であった。


ちなみに、今は断水になってしまったので、タライにまだ残っていた氷と水を利用しているのである。

水は断水になる前に大量に汲み置きして保存しておいた。






――――

そうして、シロとタマモは意識を取り戻した。

「危ないところだったわ・・・。」
「全くでござるな・・・・。」

「そうね。」
「本当だな・・。」
「本当ですね。」


「・・・・。」

美神は何かを考えこんでいたが、結論に達したらしい。

「横島君、おキヌちゃん、あなた達たしか今夏休みだったわよね。 しかも入ったばかり。」

「? はいそうです。 」
「? 私もです。」

「・・二人とも、夏休み中・・。 今は悪霊もこの猛暑に何からの影響で少ない・・。 四人のパスボートもある、期限も来ていない。」

顎に手を当てて呟いていた美神であったが、次の瞬間、衝撃の言葉を言う。

「よし!! 皆、外国へバカンスへ行くわよ!!」

『おお〜〜〜〜っ!!??』


こんなわけで、行き先を美神が決めた結果、ハワイへ行く事になった。




ジェット機に乗って日本を旅立った皆はハワイのビーチにいた。


『あ゛〜。 日本と違う〜。』

「こんな事なら、もっと早く来るべきだったわね。」
「日陰の風が涼しい・・・。」
「よく眠れそう・・。」
「海が透明な青でござる。」
「空が深い青。」


「そんなわけで、遊ぶわよーー!!」

わーっ

美神の言葉に盛り上がる一同であった。





シロとタマモは海ではじゃいている。

横島とおキヌは夏休みの宿題を砂浜に置いたテーブルの上で解いている。

美神は二人の横でよくブールでみられる背もたれが変化できるイスに寝転がっている。



時折ナンパ男が声をかけるのだが、横島の文珠によって撃墜される。
『(禁)(下)(心)(持)(近)(声)』


シロとタマモにも声をかける男がいるのだが、二人は動き回っているので互いの声しか耳に入らないので気がつかない。


おキヌは横島と宿題をしているので声をかける男はいない。
[ちぇ、ヤロー連れかよ。]


こうして、横島とおキヌの夏休みが終わるまで美神達はハワイでたっぷりとバカンスをしたのであった。


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