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蛇と林檎

愛の禁じ手


投稿者名:まじょきち
投稿日時:07/ 7/ 5



ヨコシマがいない。
アタシとヨコシマの記録は、どこにも残ってないはず。
人界の記録はヨコシマだけで、天界の記録はアタシだけで。
アタシとヨコシマが、関わっているなんて、知ってるのは一部だけのはず。

だれが、アタシの居場所とヨコシマの事を小竜姫に教えた?

美神?ワルキューレ?死津喪比女?おキヌ?雪女?・・・いや、自分の目を信じろ。
アタシは決して人の目利きで失敗したことは無い。大丈夫、美神たちは信頼できる。

・・・・美神が、笑っている?



「美神、・・・・美神?あんた、笑ってるのかい?」

「・・・・ええ、可笑しいじゃない。出る時にはアンタに大口叩いといてさ、帰ってきてみたらコレ。」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・そうだね。ま、油断大敵とは真にこの事かもねえ。」



美神は完全に白だ。
目も泳いでて、手も震えてて、肩が泣きそうになっている。
自分の非を何かで感じて、落ち込んでいる。
馬鹿だね。アンタには何の落ち度も無いのに。

落ち着いてよく考えろメドーサ。アンタはこんな美神も大好きなんだろ。
・・・とりあえず、ヨコシマをさらったのはアタシが目当てなのは間違いない。
だとしたら、今後の展開では美神だって危うい。
別行動するべきだ。

美神には、出来るだけ動かないで欲しい。
ヨコシマの事で動き過ぎれば、小竜姫に見つかる。



「美神、頼まれて欲しいんだけど、聞いてくれるかい?」

「どーしたのよ改まって。」

「電話番、しててくれるかい?もしかしたらヨコシマから電話がくるかもしれないだろ?」

「所長はどうするのよ?」

「情報収集さ。ワルキューレとか、ツテはいくつかあるからねえ。何か判ったら私も電話するよ。」

「いいわ、あたしのほうも一号の方を治せないか、調べてみるし。」

「悪いね。・・・・・美神、アタシがいなくても、無理するんじゃないよ。」

「判ってるわよ。」

「あ、そうそう。電話は壊れてないからね。」

「?・・・・・・そりゃ、壊れた電話の番なんか馬鹿みたいじゃない。当り前でしょ。」



電話は壊れている。
ヨコシマと初めて買い物に出たその日に、その事は知ってた。

でも、敢えてアタシだけの秘密にしてきた。
あんまり派手に動けば、小竜姫に見つかると思ってたから。

でも、その事がこんな風に役に立つなんてね。



「いいかい、敵の強さは常に感じる事。自分より強い相手には無理に飛び込むんじゃないよ?」

「ええ。」

「ここがやばいと思ったら、放棄するんだよ。拠点に固執すると敵に策を与えちまうからね?」

「・・・ええ。」

「あと、機転が効くのと無闇に逃げるのは違う。常に二手三手先を読んで、保険をかけること。」

「・・・・・・わかってるわよ。あたしこれでも人間の中じゃトップクラスだったのよ?」

「あはは、そうだったね。すまないね、子ども扱いしてさ。」


すまないね。
アタシが、ヨコシマをここに連れて帰るまで動かないでおくれ。
きっとアンタたちは幸せになる。アタシは、人の目利きは確かなんだよ。
必ずヨコシマだけはアンタの元に返すから。
待っていておくれ。


「じゃ、後は頼んだよ。・・・美神の幸運を、祈ってるよ。」

「ナニ言ってるのよ。あんたが神様でしょーが。誰に祈るのよ。」

「あはは、そう言えばそうだったね。・・・じゃ、よろしく頼むよ。」

「いってらっしゃい。」


さよならって、何度も喉から出かかった。
でも、言ったら美神は絶対感づいてしまう。
人間はアタシたち神よりも、言葉に対して敏感だから。



とりあえず、事務所の屋上出る。
知りたいことが山ほどある。


『ワルキューレ、聞こえるかい?ワルキューレ!』

『・・・・・どうしたメドーサ。随分と焦っているようだな?』

『何度もすまないが、アンタの力を借りたい。無礼は承知の上さ。』

『そうか。貸しにしておく。イケブクロ第256ブロック202に来い。魔界の拠点がそこにある。』

『すぐ行くよ。』


アタシのような神崩れですら入れる拠点ってことは、妙神山と同じ双方向拠点か。
トーキョー都内に作るっていうのは随分大胆だねえ。
しかし、イケブクロ256って・・・どっかで・・・


「魔界の拠点にようこそ、メドーサ。」

「ようこそって・・・ここ、ヨコシマの前の棲家じゃないか!」

「そうなのか?このへんで一番安い拠点を探させたらココだっただけだが?」

「あー、なるほどねえ。それなら納得だよ。」


しかし、住む人間が変われば部屋も変わるのは知ってたけど、こうも変わるもんかね。
ピンク色の壁紙に、動物のぬいぐるみに、ひらひらのカーテン。


「・・・ワルキューレ、アンタが少女趣味だったとは驚きだよ。目が痛くなりそうだ。」

「何を勘違いしている?これは全部ジークの趣味だ。」


ジークって、あの情報士官の弟だったっけ。たしか、顔がそっくりな。
うは、姉に足りない女らしさが弟に行ってるわけか。
業の深い姉弟だねえ、マッタク。


「なんか失礼な事を考えてないかメドーサ?」

「いや、別に。」

「で?何の用だ?横島と挙げる婚礼の会場選びなら、既に済んでいるが?」

「そりゃあ助かる・・・ってなんでそんなの選んでるのさ!違う!そんな用事のワケナイダロ!」

「ちっ、まだ肉体関係に進展して無いとはな。恥を知れ!」

「恥を知るのはアンタだよ!てか、そんな話題じゃないんだよ!」


アタシはかいつまんで、状況を説明した。
拠点がばれた事、ヨコシマがさらわれた事、美神がうろたえた事。
ついでに、その、ヨコシマとアタシの馴れ初めなんかも。


「間違い電話が恋の始まりか・・・ちょっとしたライトノベルだな。」

「恋の始まりって、そ、そんなつもりじゃ・・・ってちがーう!アンタの意見を聞きたいんだよ!」

「じゃあ言おう。やはり貴様はヨコシマとくっつくべきだ。」

「そんな意見じゃなーい!ヨコシマを取り戻したいんだよ!小竜姫から!」


ワルキューレは、いつだってアタシの事をからかって喜ぶ奴だ。
しかし、コイツくらい頼りになる奴はいない。
非常に不本意では有るが、コイツは親友だ。


「小竜姫は、恐らくヒャクメを使っているだろう。ヒャクメの事はお前のほうが詳しいだろう?」

「知ってるよ。天界の情報機関じゃ一目置かれてる、プロの情報屋さ。」


情報を得る為に特殊改造した元妖怪の神族。
元々はただの女泥棒で、その悪業から目が体中に張り付いて鬼になったとかって奴だっけね。
ろくでもない罪人が妖怪になって、神界で更に利用されているって話さ。


「だが、小竜姫の魂胆がわからんな。ジーク、何か知っているか?」

「やっぱり今話題の7席問題に絡んでると思いますよ、姉上。」


狭いキッチンから中間色の暖簾をかき分けて、例の弟君が現れる。
・・・軍服の上に、ピンクのエプロンを掛けて大皿を持ちながら・・・
魔界ってのは、やっぱり業が深いのかねえ。


「7席と言うと、大竜姫か。メドーサ、お前確か公安時代に因縁があったはずだな?」

「ああ、確かに大竜姫は因縁があるけどね。7席って最高会議第7席のコトかい?」

「ええ。彼女、関聖帝君って正式名称になってますけど、元は大竜姫ですよ。」


関聖帝君って言えば、ここ千年で急に最高会議まで上り詰めた人界改革派のトップだったっけ。
なるほどねえ。人間を粛清しようって考えは確かにあの大竜姫にはピッタリかもねえ。


「知らなかったよ。・・・でも、確か天界反逆罪で随分きつい処罰を受けてた筈だけどね。」

「彼女、その後すぐに起きたラグナレクで功績を上げてたらしくて、出所後すぐに天界勤めしてます。」

「はぁ?天獄に入ったのはその前だよ?どうやって功績を上げるのさ!」

「知りませんよ・・・私だってその頃は魔界に入りたてでしたし。」


ピンクのエプロンが、ガラステーブルに次々と料理を運んでくる。
揚げ物に、カラフルなサラダに、薄い皿に盛りつけたゴハン、etcetc。


「これ、お隣の小鳩ちゃんって子に教えてもらった魚の煮付けです。美味しいんですよ。」

「ジーク、人間の女が親戚になるのは私は薦めんがな。」

「ち、違いますよ姉上!人界の料理を教えてもらいながら情報収集しているだけです!」


初心な弟ですら、何の躊躇も無くからかうワルキューレ。
やはりコイツに裏表は無い。もし全てが演技であるなら、笑って負けを認めてもいい。
コイツからの情報は全て信用して行動できる。


「・・・アタシ小竜姫を追うよ。大竜姫絡みなら、先にヨコシマだけは手に入れたいし。」

「せめて食事くらいして行け。ジークの料理は姉の私が言うのもなんだが、いい線行ってるぞ?」

「そうですよ。・・・姉上も私も、メドーサさんの事には協力するつもりなんですから。」


海老の揚げ物の尻尾を摘んで口に入れてみる。
衣は脂っぽさが無くてサクサクと小気味いい。海老だけが汁気を含んでいて、旨みが広がる。
衣には既に味が付けてあって、その風味と一緒になると海の匂いが頭に流れ込む。
確かに、ワルキューレでなくてもこの海老のフライはいい線を行っていると答えるだろうね。


「メドーサ、悪魔の私でも今のお前を止めようとは思わん。だが、友人の好意は素直に受けるもんだ。」

「・・・判ったよ。じゃあ、頼りついでにもう一つ、お願いしたいんだけどね。」

「まかせろ。親友の頼みなら美神の一人や二人は闇に葬る覚悟だ。」

「逆だよ。美神と、アタシの眷属がいるんだけど、それを守って欲しい。」


ワルキューレの顔つきが少々きつくなる。
しょうがないねえ。ワルキューレは元々人間嫌いだし。


「そうか。貴様の願いなら叶えよう。だが、一つだけ約束してくれ。」

「なんだい?」

「もしも、横島と貴様が無事に生還できたなら、魔界に住め。美神も一緒でかまわん。」

「・・・魔界でアタシを匿おうっていうのかい?」


サラダは薄味で、野菜独特のえぐ味もかけてある汁のおかげで感じない。
ふーん、何だか上品だけど、こういう味付けもあるんだねえ。


「そうだ。いかに天界第7席とはいえ、魔界の中枢には手が出せんだろう。・・・不服か?」

「そうだね、うん、それもいいかも知れないね。美神も結構悪魔ウケする性格だしね。」

「そうか!約束するか!よし、聞いたなジーク!メドーサは魔界に来るって言ったぞ!」

「え?そ、そうですね、確かに聞きました。姉上、どうしたんですかいきなり?」


ワルキューレが満面の笑みを浮かべてアタシを見る。
やっぱり親友だね。アタシちょっと目からサラダの汁が出そうだよ。


「気にするな!いいかメドーサ!横島の手はちゃんと握るんだぞ!判ったな!」

「???そ、それはいいけど・・・美神は勘が鋭いからね。アタシが小竜姫を追ったって判ると・・・」

「まかしとけ!横島とメドーサは難を逃れる、美神と一緒に魔界に来る!問題ない!」

「あ、ああ・・・頼んだよ・・・・」


正直、アタシには小竜姫は倒せるとはおもう。
だけど、噂の武闘派幹部の関聖帝君が大竜姫だって言うなら、勝てる保証は無い。

ごめんよ、ワルキューレ。アタシは多分、横島を助けたあとは魔界には行けないよ。
親友に、嘘の約束をして悪いけど、魔界になんか辿り着く前に、向こうは追いつくと思う。


「ワルキューレ、これからの作戦行動では通信は出来ない。返事がなくても気にしないでおくれ。」

「ああ、判っている。お前はちゃんと戻ってくるさ。安心していってこい。」

「頼んだよ。」






天界拠点、妙神山。
人骨温泉と同じ竜脈がびんびんと感じられるねえ。
さて、どう攻めようか。


「とうとう来おったか、メドーサ。随分と久しいのう。」

「・・・メルキオールじゃないか。アタシが部下だったのなんて、まだ覚えてたのかい。」

「また懐かしい呼び名じゃな。今のワシの呼び名は斉天大聖じゃがな。」

「なるほどねえ。最高会議第9席とは随分出世したじゃないか。アンタも大竜姫組かい?」

「残念だが、ワシはワシで貴様に話があった。・・・悪いがちょっと座らせてもらうぞ。」


今は人間の姿こそしてるが、こいつは猿神。
しかもコイツも実戦派の戦士だ。


「メドーサ、貴様大竜姫にかなり恨まれておるようじゃな。」

「ふん、犯罪者を捕まえる仕事をしてたんでね。逆恨みは日常茶飯事さ。」

「だが相手が悪い。大竜姫は貴様を捉えて手元で拷問でもする気らしいぞ。」

「ああ、あの女ならやるだろうさ。・・・だからと言って退けないけどね。」

「人間、じゃな。そこで小竜姫が捕らえている小僧、アレが切り札のようじゃな。」


やっぱり、小竜姫が。
てことは、何とか間に合ったわけだね。
『そこ』に小竜姫と、ヨコシマがいる。


「でも解せないねえ。大竜姫がいかに7席とはいえ、アンタほどの奴が従う謂れは無いだろうに。」

「あたりまえだ。ワシが大竜姫の下であったことは一度も無いぞ。」

「・・・じゃあ、なんでアタシの邪魔をするんだい?」

「邪魔などはせんよ。ワシはただ、こうして話をしようと待っておっただけじゃ。」


如意金箍棒。
数々の大物妖怪や神を屠った、神器。
敵として相対するのは初めてだけど、流石だねえ。
このアタシが、背中から手にかけて痺れる様な感じが止まらないよ。


「メドーサ、正直に言うとワシとていつまでも若くない。だが、小竜姫は弱い。」

「何が言いたいんだい?まさか命乞いをするタマでも無いだろうにさ。」

「仲間になれメドーサ。ワシは腐敗の進む天界の再編を考えておる。公安に戻らんか?」


・・・ワルキューレといい、この猿といい、何を考えてるんだかねえ。
アタシなんかを何で有難がるかねえ。
たった一人の大事な相手を、守れもしないアタシなんかに。


「残念だけどね、そういう話は受けられないよ。」

「なぜだ?」

「魔界からも誘いもあるし、それに、正直どっちもどうでもいいのさ。」

「人間の小僧が大事というわけかの。」

「ああ。アタシはヨコシマが好き。それ以外に考えは無いよ。」


ほんとはずっと続いて欲しかった。
ヨコシマと美神とアタシで、ずっと笑っていたかった。
でも、やっぱりアタシは、戦いの業が手から拭えない。


「ならば小僧と一緒に来い。・・・正直、腑抜けた貴様のほうが、理想的じゃの。」

「どいつもこいつも、同じ条件でビックリするよ。宇宙の王にするとか言う奴はいないのかねえ。」

「なりたいのか?」

「ふん、ぞっとしないねえ。ごめんこうむるよ。」


ヨコシマがすぐそばに居るのに、手が出せない。
このサルは、適当にあしらって逃げられる相手じゃあない。


「ならばメドーサ、何が望みだ?ワシとてそれなりには力もあるぞ。」

「ヨコシマを、助けたい。ヨコシマには人界で幸せになって欲しい。そしたら言う通りに働いてもいい。」

「判った。・・・ヨコシマとやらは自分で助けるんじゃ。後はワシが全て処理しよう。」

「・・・いいのかい?小竜姫を殺しちまうかもしれないよ?」

「殺されればそれまでじゃな。だが、殺せんよ。あれでもワシの弟子だからの。」


正面から戦った事は無かったけど、以前の小竜姫なら格が低かった。
だけど、斉天大聖の弟子となれば別だ。
多分、戦闘力はかなり上がってるんだろうね。


「もしアタシが小竜姫を倒してヨコシマを助けたら、死んだ事にして欲しいんだけどね。」

「リビングデッドか。ま、公安ならその方が都合の良い事も多かろう。約束する。」

「悪いね。」


アタシは、多分もう頭がイカレている。
矛盾する約束をどんどんしてる。
でも、正直もうどうでもいい。

ヨコシマが、アタシが見えない所でもいい、またあの笑顔を見せてくれるなら。



「メ、メドーサ!ここは天界の門、お前のような犯罪者が通って良い所ではない!」

「うるさい鬼だねえ。・・・アタシは少々機嫌が悪いよ。」

「ぬ、ぬうう!小竜姫さまはどうしたのだ?左の!」

「右の・・・それが、先ほどから反応が無い・・・」

「ならば、我々が・・・・この・・・メドーサを・・・・倒・・・・せるのか?」


律儀な鬼だねえ。
多分、こいつらには天界の服従機が入っているんだろうさ。
天界の連中は余所者を全く信用しないからねえ。


「しょうがないね。金蛇眼女錫叉が天界の門番に問う!ここは神を通す門か通さぬ門か!」

「無論神なら通すが、犯罪者となれば話は別!通す事は相成らん!」

「語るに落ちたね!アタシは容疑こそあれ犯罪者として刑は受けてないよ!」

「右の・・・ど、どうなのだこの場合・・・・」

「左の・・・確かにメドーサが言う事も一理ある・・・通すべきか?」

「それに通したところで小竜姫が悪人を野放しにしておくと思ってるのかい?」

「そんな事があるわけなかろう!小竜姫さまは悪を見過ごさず善を行うお人!」

「通れ!通って小竜姫さまの審判を仰ぐがいい!」

「それじゃ、じゃまするよ。」

「「あ、あれ?」」


まぁ根は悪い奴らじゃないんだろうねえ。馬鹿だけど。
だから、こういう手合いは問答で何とかできる。

ふふ、感じるよヨコシマ。
そこにいるのが、肌でわかる。
ああ、もう会えなくなるのに、ワクワクしてるよ。
なんて浅はかなんだろうねアタシ。
いま、いくよ。








時間は少々遡る。
メドーサ達が、雪女の依頼で事務所を空けている時間まで。


「ふぅー、やっと落ち着いた。まったく、美神さんも人が悪いよなー。」


我らが主人公は、数日もの間、ひたすら一人漫談を繰り返していた。
目は深く窪み、頬はこけていた。髪もいつもに増して乱れている。
しかし、やり遂げた充実感で彼の目は光り輝いていた。


「やっぱりお笑いは関西やなー。東京吉本にも顔を・・・・・ん?」

『すみませーん!ヨコシマタダオさん居ますかー?』

「む、なにやら美少女の声!」


普通に声だけで容姿を知る術はない。
女性声優で見た目とイメージが異なる例は列挙に暇が無い。
しかし、我らが主人公である横島忠夫には不可能はない。


『主よ、少々待たれよ。なにやら相手の様子が変です。』

『ちょwww待ったwwwこいつら神wwwww』

「こいつら?神?チビメド、もうちょっと判りやすく・・・・」


そこで階下の入り口で轟音が木霊する。
その振動は、横島にも当然伝わる。
その場にへたり込み、焦りに焦りまくる我らが主人公。


「な・なんだー!何が起きてる!一号、なんなんだー?」

『何者かが私の結界を突破して侵入している。主よ、逃げる準備を!』

『緊急モード!緊急モード!接近個体小竜姫とヒャクメと確認!』

「小隆起って、あのお胸の小振りなミニスカポリス?なんでここに?」

『階段のトラップ突破!主よ、早く・・・・・・』


木材がひしゃげる音と共に、事務所の扉が内側に倒れこむ。
その破壊現場の埃煙の向こう側から、光る二つの目が現れる。


「ふふ、見つけましたよ。ヨコシマタダオさん、ですね?」

「間違いないのねー。この冴えない男が、ヨコシマタダオなのねー。」

「え?俺はいかにも横島忠夫だけど・・・・、俺に用なの?」

「いいえ、メドーサが居ればもっと良かったのですが。今は居ないようですね。」


小竜姫が部屋に入ろうとした瞬間、その手に付けている鱗模様のリストバンドが光る。
ミニスカポリスは、ヒャクメのほうを見て、小さく頷いた。


『小さき竜神よ、去れ!一歩進めば500年歳をとる結界を敷いてある!』

「アホかー!俺が歩いたら骨も残らんわー!無茶すんなよなー!」

『主よ、貴方は例外だ。この狭き王国の王なのだ。呪縛は適用されない。』

「なにー?すると小竜姫ちゃんは動けず、俺は動き放題・・・・ちゃーんす!」


人類では出せないほどの勢いで、若い少女に飛び掛る我らが主。
しかし、その動きは寸前で止まる。
目だ。その汚物か何かを見るような視線が、横島の動きを封じる。


「人間という種族は、やはり愚劣ですね。そうは思いませんか?ヒャクメ。」

「うーん、まーそうかもしれないのねー。でも、小竜姫は人間擁護派のはずなのねー?」

「・・・擁護していた、と言ってください。私だって常に勉強していますよ。」

「う、なんだか判らんがやばい・・・に、逃げ・・・・・」


踵を返して去ろうとする横島に、小さき竜神の手にあった刃のない剣が、
その頬の横をかすめて動きを封じる。


「駄目ですよ、横島さん。貴方にそんな選択肢はありません。潔く死ぬか、一緒に来るかだけです。」

『主よ、ハッタリだ。彼女はその場を去るしか手がないはずだ。早く部屋の中へ!』

「そうかしら?」


小竜姫の斬撃が次々と空を切る。横島とはまったく別の方向に。
だが、小竜姫が平然と放つその空振りは、事務所の調度品を軽々と壊していった。
ただの空気の圧縮による衝撃波。げに恐ろしきは神の力。


「ひぃぃぃぃ!だ、だめだぁぁぁぁぁぁ!ストップストップ!」

「ふん、アタシのいない間に随分と好き勝手やってくれてるじゃないかw」

「メ、メドーサ!いつの間に入ってきたのですか!」


部屋の中央にはいつの間にか姿を現した、メドーサの勇姿。
その手には、得意の得物の刺又が握られており、既に臨戦態勢に入っている。
小竜姫は、横島を放して破魔の剣を正眼に構える。


「小竜姫、アンタがアタシに勝てると思ってたなんてねwwwウケるよマッタクwww」

「・・・・?ウケる?メドーサ、人界での言い回しが随分とうまくなりましたね・・・」

「うはwwwアンタなんかに本気でやるだけ馬鹿みたいって事さwwww」


刺又を軽々と振り回し、腰の所でピタリと止める。
蛇神の眷属である大喰らいの蛇たちが、その髪から次々と現れる。


「ここは狭いからね、屋上でカタつけようか。小竜姫、やるからにはガチだよ(☆▽☆)」

「ええ、いいで・・・・・」

「ちょっと待つのねー!そのメドーサは偽者なのねー!」


横島は、一瞬小竜姫が手を放したその隙に、玉座である所長席に隠れる。
メドーサだった姿は、煙を吐き出すと小さなメドーサに変化した。


「うぇうぇうぇwwwwもうね、アボガドwwwバナナかとwwww」

『ナイスです、チビメド殿!^−^』

「よくも、神に向かって無礼の数々・・・・許しませんよ・・・・」


小さき竜神の目が紅く光りだす。
その裂帛の気合が、周囲の気圧を下げて小竜姫を中心とした竜巻を起こす。
調度品の残骸が次々と飛び回り、モニターは破裂し、壁紙は無残に引き裂かれた。


「のわー!だ、大丈夫なのかー!さっきより一層ピンチにー!」

『だ、大丈夫のはずだ!その玉座は硬度10!ダイヤモンドは砕けない!』

「ふふ、そうですね。・・・でも、横島さんはただの人間でしょう?」


小竜姫の気合が更に上がっていく。部屋中の空気が次々と集まっていく。
横島の顔色がだんだんと紫色に下がっていく。


「ちょwwwヨコシマ酸欠かよwwwおし、アタイに任せるぞなwwww」

『いかん、チビメド殿!』


小竜姫に飛び掛るチビメド。
メドーサと同じ動きをトレースし、その残撃の隙の無さは全くの母親譲りである。
だが、余りにも地の力差は歴然としていた。


「・・・眷属ごときが私に楯突くとは!身の程を知りなさい!」

『ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!』

「壱号―!」


チビメドの刺又は、無造作に放たれた小竜姫の一撃をものの見事に受けるコースを取っていた。
しかし、小竜姫の破魔の剣が完全に触れぬうちに、得物は粉々に砕かれる。

刃が精霊に到達するその刹那、ロングコートとカンカン帽を被った霊体が割り込んだ。
人工幽霊壱号の実体としての形であった。
その背中の布は無残に引き裂かれ、その切り口から火花がバチバチと上がっている。



『ち、チビメド殿、電力をカットします・・・申し訳ありません・・・・』

「ま、まって!アタイ、ごめん、壱号、やだ、ちょっと!」

『・・・・普通にしゃべる貴女も、魅力的・・・です・・・よ・・・・^−^』


人工幽霊の姿と、泣き崩れる電子精霊が同時に消える。
呆然と所長席で立ち尽くす横島と、二柱の神だけがその場所に残された。


「さて、横島忠夫さん。あなたには私と一緒に来て頂きます。」

「え?俺が?いやじゃー!まだ死にとうないー!」

「別に成仏しろって訳じゃないのねー。メドーサを誘き寄せる餌なのねー。」


横島忠夫は、急に真面目な表情になり、その場に直立する。
数秒の間だけであったが。


「・・・バッカだなー。メドーサが本気で俺を追うって?くくく、相変わらず単純だよなー。」

「?何を言っているのです?」

「メドーサは元々、逃げる為の保険として俺の名前を出したのさ。俺も部下だからな。」

「ま、まさか・・・・・・いや、確かに・・・・・・でも、そんな・・・・・・」

「メドーサの事務所で一杯食った事をもう忘れたのか?ここもメドーサの塒の一つなんだよ!」


我らが主人公の一世一代の賭けであった。
横島忠夫は、嘘とハッタリにおいて非凡な才能が有る。
つまり無いものを有る様に見せる交渉術という特殊技能だ。


『こいつらの目的はメドーサ!俺が役立たずだと判れば居なくなる!俺助かる!ヒャホーイ!』


だが、その技能には天敵があった。


「小竜姫、騙されちゃ駄目なのねー。その男、根っからのうそつきなのねー。」

「ま、瞬く間にバレたー!な、なぜだー!」

「昆虫並みに単純なら離れてても心くらい読めるのねー。」


ヒャクメの108式感覚器が一つ、読心。
原作初登場時に披露したスーパー能力の一つである。
素直過ぎる嘘つきには、この能力こそが天敵であるといえた。


「はわわわわわ、すんませんシター!お、お助けー!」

「こ、こら!はなれなさい!」


必死の懇願の為に小竜姫に抱き突く横島。
その時、横島の魂に何かの閃きが走った!


「この感触は、さらしを巻いてるが、意外に着痩せ!」

「ちょ、だ、何処に顔を埋めているのですか!・・・それに、着痩せだなんて、そんな甘言!」

「小竜姫、今度は本気なのねー。その男、根っからの助平なのねー。」

「やっぱ若いうちから体に合ったブラは必要だと思うんです!さ、小竜姫さま!俺と一緒に買い物に!」

「下がりなさいこの、ミジンコ野郎!」


轟音。

真っ赤に頬を染め鉄拳を振るわせる小竜姫。
意識を失って、なおハグを続ける横島。
他人事のように、その場を眺めているヒャクメ。

やがて2柱と1人は、メドーサのそれと同じように、
瞬間移動独特の振動を残して消えていった。




「おお、小竜姫さま、いかがなされました?」

「なにやら顔色が優れぬ御様子。我ら鬼門で出来ることがあれば・・・」

「下がりなさい。あなたたちは自分の役目を守っておればよいのです。」

「小竜姫、ちょっとナーバスになってるのねー。触らぬ竜神に祟り無しなのねー。」


天界の出張所にして修行場としての妙神山には、当然敷地より大きい空間が存在する。
異空間を使った、修練道場もそのうちの一つだ。
通常は、ここで小竜姫の下級眷属を使って、人間への強化訓練などが行われる場所であり
結界内結界として、最大の防御力を誇るのである。


「さて、早速お姉さまにご報告をしなければ・・・・」

「ほう、人間を拉致とは小竜姫らしくない暴挙じゃな。・・・それに貴様はヒャクメか。」

「お、お師匠さま!」


異空間結界の術も師匠である斉天大聖が教えた技の一つである。
もっとも、師匠の技はさらに高度であり、時空すら歪めるのであるが。
弟子の結界に気付かせずに入り込む事などは、序の口の技だといえる。


「人界不干渉の鉄則を知らぬお前では有るまいが。・・・さては、メドーサの絡みじゃな?」

「ええ、これが私の切り札です。この人間はメドーサが唯一相棒と認めた人間です。」

「なるほどのう。だが、メドーサを誘き寄せてもお前では勝てまいよ。」


冷徹に言い放つ、猿神。その目線は、動揺を隠せない弟子を射抜いていた。
不肖の弟子は、しかし、不適にも笑みを浮かべて対峙する。


「お師匠さまは買いかぶり過ぎです。メドーサとて中級神の一柱に過ぎません。私が負けるとは・・・」

「負けるわい。メドーサは、位こそ中級じゃが、実力は上級神クラスだからの。」

「ならばこの横島さんを使って、そのハンデを無くすだけの話です。」


我らが主人公は、ヒャクメが用意したボールギャグと麻縄で口先と身動きを封じられている。
無様に横たわる芋虫型の人間は、無駄な抵抗をもぞもぞと続けている。
斉天大聖は、その人間を眺めると、不意にその髪の毛を数本抜く。


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」

「すまんな。一応確認の為にその霊基を調べさせてもらう。」


抜いた髪の毛の一本を、猿の神が手元の杖で押さえつける。
杖が棒になり、チリチリと淡く光り始める。
だが、その数秒後、如意棒と呼ばれる赤い神器が中空に跳ね上がった。


「ほう、・・・・なるほどな。6層の霊基トラップとは。こやつの最前世はナニやら有るということじゃな。」

「お師匠さま、最前世に何かとは、一体?」

「ふん、姉の為に修羅に身を落とした元弟子には、これ以上の事は言う気もない。」

「・・・そうですか。」

「だが、最後に教えてやろう。このトラップ、貴様やヒャクメクラスでどうこうなる物ではない。忠告じゃ。」


頭の禿げ上がった猿顔の老人が、再び結界から姿を消す。
少々寂しげに、鬼門たちの守る門を後にした猿神の目の前に現れた人影こそ、
小竜姫と猿神が血眼になって探していた、事件の中心人物メドーサであったのだ。

そう、ここでメドーサと斉天大聖の時間軸が整合したのだ。









メドーサが冒頭の通りに斉天大聖と対峙し、鬼門を突破した。
低空を飛翔し、周囲に広く目線を落とす。
そして、その瞳が一点の違和感を捉えた。


「空間の歪み・・・・そこだね!」


そこは先程、猿の神が侵入したときの結界の微かな綻び。
蛇神は、手に得物を作り出すと、勢いを殺さずその一点を突く。
結界は薄い硝子の様に、粉々に砕けて崩れ落ちた。


「メ、メドーサ!」

「見つけたよ、エリートさん。・・・さ、お望み通りに勝負してやるよ!」

「ヒャクメ、横島さんを連れて姉さんの下へ行きなさい!」

「わ、わかったのねー。小竜姫も、がんばってなのねー。」


刃の無い剣を構えて、屹立する小竜姫。
同じく刃の無い槍を構えて、前傾するメドーサ。


「ふふ、これで貴女は天界でお姉さまに会わなければならなくなりました。」

「ふん、そういう事みたいだね。・・・じゃあアンタの仕事も終りじゃないのかい?」

「ですから此処から先は私の純粋な趣味の時間です。判っていただけますか?」

「判らないわけがないだろ?アンタはアタシの若い頃にそっくりだよ!」


互いに音速を突破する程の加速。竜神同士の激突。
払う、受ける、薙ぐ、避ける、斬る。
超加速と呼ばれる神の技を得た者だけが見る事が出来る世界。

互いに必殺の間合いに踏み込みながらも、その先に辿り着く前にかわされる。
小竜姫の剣はメドーサの前髪のみを払い、その白紫の髪が数本、キラキラと落ちる。
メドーサの刺又は、小竜姫の脇をかすめ、その胴衣のみを鋭利に引き裂く。


「メドーサ、ここは私の本拠地、このまま力尽きるのを待てば私の勝ちです!」

「そういう事言っちゃう辺りがアンタは真面目で甘ちゃんなのさ!」

「私は貴女ほど甘くはありません!」


小さき竜神は、剣撃と同時に軸足を浮かせて蹴りを放ち、メドーサを二方向から襲う。
蛇神は咄嗟に軸足とは反対側の足を浮かせて足払いを受け、
脳天を襲う剣を刺又の軸で紙一重で受けきる。
傍目には防戦一方の形勢である。


「お師匠さまは貴女に敵わないと私に言いましたけど、どうやら勝てそうですね。」

「だからアンタは師匠に見限られるのさ。・・・ま、素質はあるんだろうけどね。」


不敵な蛇神の発言の根拠。
それは、小竜姫の左腕に生えた一本の白い糸であった。
打ち合いの末にメドーサが刈られた前髪。それが目にも映るかどうかの微細な蛇になって
しっかりとその毒を、小さき竜神に流し込んでいたのだ。


「!!!!メ、メドーサ!おのれ卑怯な!」

「現実は非情だねえ。・・・アンタは中級神族だ、石化毒が回りきるまで時間もかかる。退きな。」

「ま、まだまだ右手も身体も動きます!たとえ肉の一片になろうとも!」

『小竜姫、お退きなさい。貴女はまだここで失われて良い命ではありませんよ。』

「お姉さま!」


妙神山の天空に、巨大な美女の映像が映る。
竜の柄を模した鎧に身を包む武神。
以前に大竜姫と名乗った、天界の中枢神である。


『メドーサ、貴女には私の冤罪を証言して頂かなければなりません。』

「冤罪だって?笑わせるんじゃないよ!クロもクロ、ドス黒いアンタの腹と同じ色じゃないか!」

「黙りなさい!お姉さまの慈悲が判らないのですか!更生の機会を与えているのですよ!」

『メドーサ、私は智の神の神殿に居ます。古い貴女にはゼブルといえば判りますか。』


Zebul。智天使の宮殿とも呼ばれる、天界の地名の一つである。
様々な神の中でも、主に知恵に関する神たちが集う場所である。


「知ってるさ。・・・だけどね、一つ聞きたい。神が人間を拉致するのは、色々問題じゃないのかい?」

『古き蛇神よ。天の国は常に人界管理には尽力しております。』

「で?何が言いたいんだい?」

『審判の時です。不干渉は、人界の暦でいう1999年7月に解除されました。』

「ああ、そうかい。でも今日は6月30日だよ。」

『残念ですが、天界の基準はエルサレムです。既に7月1日、本日を以って審判の時は来たのです。』


微笑む関聖帝君の傍には、先程の人間芋虫が横たわっていた。
表情を何一つ崩さず、その芋虫をボールか何かのように蹴り上げる大竜姫。
目隠しもされない横島の瞳には、恐怖がありありと浮かんでいた。


「・・・なるほどねえ。3000年経っても、アンタは最低のクズだって判ったよ。」

「く、クズだなんて!言葉を慎みなさいメドーサ!」

『小竜姫、お退きなさい。貴女にはまだ役目があります。・・・何度も言わせないでいただけますか?』

「は、はい!お姉様!」


小竜姫が、霞む様に姿を消す。
メドーサと巨大な映像だけが、その場に対峙する。


「口が悪いのは直せても、性格は変わらないんだねえ。・・・アンタ、妹に洗脳したね?」

『私は身内を贔屓する事が許される立場にありません。必要とあらば妹といえど犠牲を厭いません。』

「ふん、なるほどねえ。・・・判ったよ大竜姫、そこで・・・・首を洗って待ってな!」

『お待ちしておりますよ。』



誇り高き蛇神が、ついに人界を離れた。
たった一人の、たかが人間の高校生の為に。


「メドーサよ、やはり行くか。・・・さて、最終戦争の時は来たか。難儀な事じゃな。」


猿神は、空の向こう側から現れる巨大な人影を眺め呟く。
それは、人間の宣戦布告による攻撃の、たった10分前の話であった。




************次*回*予*告******************

「星降る天界ゼブルの宮殿
関聖帝君大竜姫の
棲家に眠る横島忠夫
潜入するはメドーサが
ワルの臭いをかぎつけた
竜の姉妹の攻撃に、何故か昔の思い出よぎる・・・
次回蛇と林檎第13話『ゆずれない想い出』」

「銀河旋風ブ○イガーなんて、そこそこ大きな子でも判らないよヨコシマ。」

「お呼びとあらば、即、参上!!」

「あのね、横島クンが参上出来ればあたしたち苦労はしてないわよ・・・」

*************蛇*と*林*檎*****************


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