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〜GS・短編集〜

唐巣教会での出来事


投稿者名:道化師の黒銀
投稿日時:07/ 5/30



横島は道路を歩きながらこれからの事を考えていた。

「う〜ん、これからどうするべきか。」

「あいつらの車には、(忘)の他にもう1つ転移の(移)を仕込んであるから、今は東京から離れた所へ移動しているはずだが、なんか事務所にあいつらの仲間がいるっぽいな。」

実際、そのとおりに事務所の前に横島の前に現れた男達の仲間がいたのであった。
そう、シロが言っていた“怪しい男”である。

ここまで、考えて・・・・・・・「まあ、いいか。 仮にいたとしても、美神さん達ならなんとかなるだろう。」と、なった。


「となると、アパートには時間を置いて戻るとして、その間はヒマだな〜。・・・よし、教会へ遊びに行くとするか。」

(ついでに家庭菜園で取れた野菜も出来れば少し、もらえるかな〜。)
横島は、時給が上がったのにナゼこんな事を思うのか?


―そのわけは、横島の性格を考えれば当然のことである。


両親からの仕送りは学費と家賃だけである。
その分、給料の15万円は・・・・・生活費&お小遣いの3万円と美神から言われた事もあり貯金の3万を残して、9万円は・・・・・・・横島のクラスの悪友らに借りたお金を返した後は定期券の代金、18禁の本とビデオに消えたのであった。
当然、生活費とお小遣いの3万円は18禁のレンタルビデオに1万、1万はカップラーメンなどの長期保存できる食料へ消えて手元に残るのは1万であった。

(給料が上がったからって勝手に他の所へ引っ越すと後が怖いじゃ・・・・・。) by横島談


それでも、横島にとってはブチ大金持ち状態であった・・・・・・・・・・・が、今の残金は2,500円であった。

そのわけは、横島の給料が上がった事を聞いた悪友らに7千円くらいおごさられたのであった。

(はっはっ、アリガトーな!)
(テメーラ! 何で、俺がおごらんないけんのだーっ!!)
(そのわけは・・・今、お前がブチ大金持ちだからだ!!)
(納得できるかーー!! しかも、7千円分も食いやがってーーー!!!!)
(わははは!!! 頑張れよーっ!!)

そんなわけで、次の給料日までまだ20日もある上に、通帳とカードは両親の希望により美神が預かっているので引き下ろす事もできない。
後、ゴミ袋などの生活用品も必要である。


・・・さて、ココで1つ気になる点を美神さんに解説してもらいます。
では、どうぞ。
[え? 私が、横島君の貯金をちょろかますじゃないって? まっさかあ! コレは、横島君のお金なんだから、私のお金じゃないわ。 そこの所の節度はあるわ。]

[さすが! 美神!!](タマモの心の声)



・・・というわけで、横島は唐巣神父の教会へ家庭菜園の野菜達ができていることを願いつつ行く事にした。



そして、教会に着いた横島はかって知ったる教会の中へ入って声をかけた。
「ちわ〜す。 神父、ビート元気か?」

教会の礼拝堂から続くドアを開けて中を入るとピートがテーブルに座っていて年季の入った本を読んでいた。
「あれ、横島さん?」
「いやー、野菜を分けてもらいに来たんだ。」
「あはは・・・。 確かに、横島さんの給料が上がったと知った友達にたかられたですもんね。」
「くそー! あいつら、どこから聞きつけたんだが・・。」


そこへ、庭にいた唐巣神父が部屋の中へやってきた。


「おや、横島君今日は何の用で来たんだい?」
「いや〜、家庭菜園の野菜を少しもらいに来たっす。」
「そうかい。 今、収穫したのは・・・・・三つ目のトマトと普通の目の野菜なんだが・・・。」

唐巣神父の手にあるカゴに入った「うけけけ〜」「ぎゃぎゃ〜」と笑う野菜を見た横島は叫んだ。

「・・・・忘れてたーっ!!! 前に、美神さんが精霊石で野菜に刺激を与えて霊的変化を起こした事をーー!!!!」


「まあ、確かになれないと食べづらいのもあるけどね・・。 ピート君、すまないがお茶を入れてくれないか。」
「はい。」

叫んでいる横島をなだめるべく、唐巣神父はピートに「うけけ〜」と笑う野菜の入ったカゴを渡す。
ピートは本にしおりを挟んでカゴを受け取って台所の方へ向かった。

「うう〜・・どうするか? 勇気を出して食うべきか? それとも食わざるべきか・・。」
「まあ、落ち着きたまえ。 横島君。 あの後、私もしてみたんだよ。」
「え?」
「数は少ないけど、大きい野菜が取れるようになったから後で少し分けてあげるから。」

その言葉を聞いた横島は、一転して目をキラキラと輝かせた。

「本当っすか! ありがとうございます!」


横島が唐巣神父へ礼を言った時にピートがお茶を持って来た。
「神父、横島さんお茶が入りましたよー。」

「おや、ピート君ありがとう。 横島君、折角来たんだからお茶でも飲んでいきたまえ。」




お茶タイム

「で、何があったんだい?」
「いや〜、それがさあ。 聞いてくださいよ・・・。」


横島は、教会に来る事になった経緯を2人に話した。

「銃ですか・・。 そりゃまた、物騒ですね・・。」
「無事でよかったね・・・。」

横島の話を聞いたピートと唐巣神父はデカイ汗をながしていた。
「・・なるほどね。 それで、美神君の事務所でなくここへ来たわけだね。」
「はい。」

「美知恵君に連絡をとるから、お茶でも飲んでいくといいよ。」
「いただきます〜。」

唐巣神父は電話をかけるために席をはずした。


残された二人はお茶を飲みながらオカルト関係の古代文字で書かれた年季の入った本の話をしていた。

「で、ビートその本は面白いか?」
「ええ、面白いですよ。 いろんな知識が詳しく書かれていますしね。」
「そうか・・。 俺には、宇宙語にしか見えんがな。」
「あはは・・。 まあ、暗号で書かれていますからね。」
「うげぇ〜・・頭が痛くなりそうだな。」
「まあ、父が前に書いた本を写した写本ですが、かなり勉強になりますよ。」
「そーだな・・。 まさか、お前の親父と島の皆が演技をしていたとはなー・・・。」
「ううっ・・。 あの後、皆さんが帰った後、父さんから聞かされてしかもその証拠まで見せられて・・。」
「まあ、確かに美神さん達も騙されたもんなー・・。」



そう、ピートの父親は島の皆と演技をしていたのだった。
この事についての話はまた別の機会にでも書きます。

横島と話をしながら、ピートはあることを回想していた。

イタリアの海にある島に里帰りしたピートは父親ブラドーから持って行くようにと言われた物があった。

ブラドーが居住にしている城の一室にて

ピートは窓枠に腰掛けているブラドーと会話をしていた。

(ピート、GS試験に合格したようだな。)
(はい、そうですが・・・。)【一体、どうやって知ったんだろう・・?】

ピートはブラドーの言葉に疑問を覚えたが、それはブラドーに見抜かれた。

(お前、どうやって知ったんだろう?という顔をしているな。)
(!!)ギクッ
(顔に出ていたぞ。)
(・・・あ。)

息子の様子を見てブラドーはやや呆れた様子をした。

(・・・ったく、そんな事でどうする。 お前は、我らと人間との架け橋になるんだろう。)
(う・・・はい。)
(まあ、いい。 コレを持っていくが良い。)

そう言ってブラドーがテーブルの上に置いてあった本をピートに渡す。

(・・? この本は何ですか?)

(その本は・・・・・・・前に私が書き写した物だ。 お前の役に立つだろう。 おまけに、ある仕掛けをしてある。)
(? 仕掛けとは何ですか?)

ブラドーはその言葉を聞くとニヤリと悪戯の笑みを浮かべた。

(暗号で書いてある。)
(暗号ですか。 それを解けば分かるんですね。)

(そうだ。 だが、古代文字で書かせてもらったぞ。)
(え?)

その言葉にピートは本を開いて読んだが・・・・・・・・分からなかった。

(何ですかーっ! これは!!!!)

(そう叫ぶな。)
(コレが叫ばすにいられますか!!)

本を読んだピートはブラドーに詰め寄った。

(僕が知らない古代文字じゃないですか!!)
(おい、心外だぞ。 お前も知っている古代文字だぞ。)
(でも、この暗号は何ですか!!! さっぱりですよ!! コレで何の意味があるんですか!! 詳しい説明を要求しますよ!!!)

(えーい!! この不肖息子がっ!!!!)

ドンッ!!

ブラドーはピートの脳天を床に叩きつけた。

(ったく! 少しは落ち着かんか!!)

(・・はい・・。)

ブラドーは仁王立ちでピートを見下ろして説教をしていた。




吸血鬼はかなりの怪力なので叩きつけられた石の床に少しヒビが入っていたが、ピートは吸血鬼の回復力でややして復活した。

そういえば、前に美神達が城で暴れた時に・・・主に冥子の式神による被害はかなり大きかったのだが、今は無くなっている。
修理をしたのだろうか? いや、床が自動的に修復している!
流石に、普通の城ではなかった!!!


(いいか。 古代文字の暗号は、GSをする上で重要になる物だ。 そして、霊力と魔力の両方を使う事で暗号が意味があるものになる。)
(え? それはつまり、GSとしての知識と霊力と魔力を磨くための修行ってことですか。)
(そうだ。)

―回想終了―

「・・というわけなんだ・・。」

唐巣神父は固定電話へ向かうと、オカルトGメン隊長の美神美知恵へ電話をかけた後、美神令子へ電話をかけた。

ブルルル

呼び出し音がしばらくして消える。

『・・はい、美神事務所です。』
「やあ、美神君。」
『え? 先生??』
「今、横島君は何か揉め事に巻き込まれて、私の教会に来ているよ。」
『え? そこに? ・・・・!!! ・・・・分かりました。 今から行きますわ。』

美神に、横島が教会に来る事になった経緯を説明した唐巣神父は電話を切ると『この様子では。10分くらいで着くんだろうな〜。』など思っていた。


一方、美神の方は電話が終わると携帯電話を取り出して登録してある番号、横島忠夫の番号を押してかけた。


呼び出し音
トウルルル・・



横島の上着のポケットから着信音がしてくる。
ブルルルル

「? 横島さん、携帯電話を持っていましたっけ?」
「あ、忘れていた。 美神さんから支給されていたっけ。」

そう言いながら、横島は携帯電話の電話モードボタンを押す。

「はい、よこし・・・・『くおらーー!! 横島ぁ!!』」

美神の声が横島の脳天を揺さぶる!

『今、教会へ行くから移動するんじゃないわ!!』
「えっ?? み、美神さん何があったんですか。」
『このアホ!! 返事は!?』
「イ! イエッサー!!」

思わず椅子から立って直立で返事をする横島を目を丸くして見ているピートであった。

「今、美知恵君と美神君に電話をしたから、美神君はすぐにココに来るそうだよ。」

唐巣神父が2人のいる部屋へ戻ってきた時・・・・・




ドドドドド!!!
ギギギギギギ!!!



教会の外から車のアクセル音と急ブレーキ音がしてきた。

それにビクッとする横島と平然としている唐巣神父。

「おや、もう来たようだね。」



バンッ!!



教会のドアが開く音がして、走る音がしてくる。



ドタタタタ・・



そして、部屋のドアが開かれて額に怒りマークを浮かべた美神が飛び込んでくる。

「くおら!! 横島ぁ!! 前に連絡用に携帯電話をあげたのにナゼ連絡しなかったの!?」

バキッ!!


「げごおっ!!  あ・・・。 忘れてた・・・・。」

美神の鉄拳を受けた横島のその言葉にピートは小さく突っ込んだ。

「横島さん、忘れていたんですね・・。」


美神が入ってきたドアからタマモ、シロが入ってくる。


「このボケ!! 何かに巻き込まれたら必ず連絡しなさいと言ったでしょう!!」
「ああーっ!! 堪忍やーっ!!」

ドカドカ


「ええい!! 問答無用!!」
「だってー!! 携帯電話なんて、高額な物は怖くて使えなかったんだやー!!」


ゴキッ!!


「ええい! 壊してもいいから、慣れなさい!! 壊れたら、また支給するから!」
「え? それは、愛の告白と受けとっ・・・・ぶっ!!」

横島の顔面に美神の拳がめり込む。

「このあほんだらーっ!!」


その様子を唐巣神父、ピート、タマモ、シロの4人は見ていた。


そんな中、唐巣神父が言葉を発する。

「教会を壊さない程度にしてくれないか・・。」


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