椎名作品二次創作小説投稿広場


〜GS・短編集〜

番外編 マスターの日常


投稿者名:道化師の黒銀
投稿日時:07/ 4/15


『遊夜心』の店主マスターは聴覚障害者である。

そのため、朝は目覚まし時計は普通のではなく、枕などの下に入れて強力な振動で起こすタイプの目覚まし時計を使う。



ブルルルルル!!!!


「うウ〜〜んん・・。」

カチッ

強力な目覚まし時計を止めて起き上がり、アクビをひとつする。

「ふわあぁああ〜〜・・・」


目を覚ましたマスターは、スリッパをはいて洗面台まで行き、顔を冷水で洗い顔をすっきりさせた後、台所へ行く。

トントン・・・

軽快なリズムの音を響かせながら朝食を作る。


朝食を完成させた後は、テーブルの上に運んでTVを見ながら食べる。

《今日のニュースは・・・・》

TVは字幕が出るものを使っている。

もぐもぐ・・


朝食を食べ終えたら、後片付けをして歯を磨き、再び顔を洗って本格的にすっきりさせた後、着替える。

この時点で7:30である。

身支度を済ませたマスターは、2階にある部屋から1階の店の部分へ降りて店の中を簡単にチェックしながら裏口のカギを開ける。

「ん〜・・。」
(きれーだな・・。 
先日、あんなことがあったのに喜んでいいのやら複雑な気分だが・・、まあいいか。)


そして、裏口から遊夜心の従業員が数名入ってくる。

『おはようございます。』

「あ〜、おはヨう(おはよう)。」

先日、美神と横島の暴走によって店を壊されたマスターは、2人から超特大過剰ともいえる程のお詫び料を貰ったマスターはそれで店を再建したのだが、あの出来事で半日の間に世界でもトップクラスの大金持ちに入ったマスターにあやかろうかと思う人達が店に来るようになったので、今までは常連客を1人でさばいていたマスターであったが、店を再建する時にあたり客が増えるかもしれないと思い、美神隊長と西条に相談して正規の従業員を応募して10人ほどの従業員を雇ったのであった。

マスターの読みはあたり、マスターにあやかろうかという客の他に、文珠を買い付けようとするオカルト関連の人達も来るようになった。

しかし、マスターが売ることはない。
なぜなら、美神隊長、西条、おキヌから文珠の効果を聞き、実際に使ってみたことがあったからだ。

“文珠は使い方を間違えれば危険な兵器になりうえる。”

だから、マスターが文珠を売るのは自分の目で見て、信頼できる人だけである。
厄珍のような人物は超危険人物!!!!であると写真を見ただけで直感した。

(失礼なあるね〜! 私はただ、覗きとかムッフフンな事とか、あんなことやこんなことだけに使いたいあるね〜! by 厄珍) 

(それも危険なんじゃー!! by 遊夜心の店主【マスター】)
従業員がやってきて、マスターは従業員と一緒に店の中を掃除したり、材料のチェックとかをしたりしている。


8:00 『遊夜心』開店

店に常連がいるのは、朝早くからやっているので一人暮らしのサラリーマンに便利がられているのである。

1時間ほどは店の中は戦争である。

「店員さ〜ん!」
「はい!」

「これ、お願いな。」
「はイ。」

「Aランチです。」



9:00

サラリーマンが出勤する時間をすぎて一息ついた店に徹夜明けのホステス、ナース、医師、消防士などと警察とオカルトGメンの職員がやってくる。

一人暮らしの者は、家に戻ってすきっ腹を抱えて眠るよりも何かを腹に入れて寝るためにやってくる。
元々はホステス、ナース、医師、消防士などの深夜・徹夜での仕事をしている人達だけだったが、先日の出来事をきっかけに遊夜心が8:00からやっていることを知った警察とオカルトGメンも利用するようになった。

そして、持ち帰りを頼んでご飯を食べた後に、持ち帰って家で寝てから食べるのである。

11:00

この時間帯は客が少ないので従業員達とお茶、お菓子を食べて一息をついている。

「九栄さん、最近やせたじゃないか?」
「あらV 本当ですか〜!」
「そういえば、今頃富山県では雪解けの時期ですよね。」
「ソーたね。(そうだね。)」
「富山の人は働き者だと聞いていましたけど本当ですか?」
「あー、ソレハこシんさがぁあルかラ私にはーわからないヨ―。(それは個人差があるから私には分からないよー。)」

わいわい

賑やかな会話は12:00になってお客さんが大量に来る頃には終わっている。

12:00

昼食を食べに来る客で店の中はこっだしがえしている。

店の中を店員が忙しく動き回る。

「!!」
その時、マスターが何かに気付く。

マスターはお客さんに気付かれないように、他の店員に合図をすると店の奥の方へ消えた。


マスターのプライベート領域で引き出しの中を漁っている黒尽くめの男の背後にマスターは足音も無く静かに立つ。

そして、手をゆっくりと振り上げる・・・・。


その頃、店の中では姿の見えなくなったマスターに気付く客が数人いた。
マスターが、店の奥の方へ消えるのを見た客は目を輝かせて何かを期待しているらしく、ワクワクしている。


その時、店の中に音が響き渡る!

ごおお〜〜〜〜〜〜〜〜んんん!!!!!!!


その音に顔を上げる客であったが、すでに常連となって今の音の理由を知っている者は「アレが始まった!」と思い、常連となっても今の音の理由にあたらなかった者は「ついいに!!」と思い、常連でない者は「!!!?????」と少しパニック、不思議に思う。


ずるずる・・・


店の奥の方から何かを引きずる音がしてくる。

店員は音が聞こえてくるのと同時に、慣れた手つきである所に電話をかけて縄をとりだす。

そして、縄を持った店員が奥の方に入ってしばらくすると、気絶した男が縛られたままズルズル・・・と縄を片手に背負ったマスターに引きずられてくる。

その頭には・・・・大きなタンコブが出来ていた。

マスターの手には若干、中央が凹んでいる鋼鉄製のフライパンが握られていた。


マスターが店の中央を通るにつれて客の間から歓声が上がる。

『おお〜〜!!!』
「ついに! 見られた!!!」
「これが噂の!!」
「いや〜! 今日も見られた〜!」

そして、マスターは店の入り口から外に出ると店の前にある頑丈な棒に男を縛り付けた。

マスターのプライベート領域に入り込んだ男は、伝説のオカルトアイテム『文珠』を手に入れるために進入したのだった。
今までにも、何度も進入されたがその度に、マスターの前に陥落しているのであった。

それは、もうすでにマスターと並ぶ店の名物の一つとなっていた。


そして、しばらくしてオカルトGメンの車が2台やってくる。

車から出てきたのは美神隊長、西条の2人とオカルトGメンの職員4人である。

西条が慣れた様子でテキパキと指示を出す。
「いつもどおりに、運んでくれたまえ。」
「はい。」

職員が慣れた手つきで気絶している男の額に金縛りのお札をはる。

そう、先ほど、店員が電話をかけたのはオカルトGメンの所だったのである。

このわけは、文珠を狙ってくるのは大抵オカルトと国家絡みが多いので、オカルトGメンに任せた方が警察との連携が早いからである。


気絶した男を車の中に運び入れて車が去るのを見て2人は店の中に入る。

「こんにちは、マスターさん。」
「こんにちは。」

「イラッしゃいまセ。(いらっしゃいませ。)
 奥ヘ。(奥へ)」


店の中に入った2人は、奥の方へ通される。


奥の方へ通された2人は、手分けして行動を開始した。
美神隊長は、霊力を集中して何かを調べている。
西条は店の中とプライベート領域にある何からの道具を調べていた。

「・・・よし、今回もこの土地の霊気には異常はありませんでした。」
カキカキ・・・

紙にさっき言った言葉と同じ事を書いてマスターに見せる。

「こちらも地脈にも異常はありませんでした。」

戻ってきた西条はマスターにも分かるように、手で◎を作っている。

美神隊長と西条の2人が残ったのには、先日の美神と横島の暴走によって短期間で物凄い霊圧と霊力を急激に浴び、男達の負の感情・・・恐怖などいった感情がこの土地に与えた影響はかなり深いものだったので、土地が霊的変質してしまったかもしれないので、定期的にこうして調査に来ているのであった。

「それでは、また次に。 ほら、西条君行くわよ。」
「分かりました。 先生。」
「ハイ。」
調査を終えた2人は、車に乗って帰っていった。


2:00

この頃には、客の数も落ち着いてきているので、動きもゆっくりとしてきている。

そして、この時間に店でゆっくりしようとする地元の人達がやってくるので、その人達のために2階の客席を開ける。

2階の店は、ゆっくりしたい客のために作られた空間で、森の中にいるような居心地のよい空間となっている。

マスターは、森の空間の他に、海などの水の中にいるような空間、花畑の中にいるような空間も作りたいと思っているが、スペースの都合で月替わりでしている。

その時に、お客さんからアンケートを取っているので、かなり好評のようだ。


この時間には、普通ではないお客さんも来るので、この時間のマスターは1階のカウンターの脇にあるもう一つの部屋の準備をする。


普通ではないお客さんとは・・・美神の財産と横島の文珠をお詫び料に貰い、その契約書もあるために普通ではない稼ぎを手に入れたマスター自身に用があるお客さんであった。

勧誘、訪問販売、融資、文珠を売ってくれという人達などが連日、連続で来るので、それらに対応をしているマスターであった。

あまりにも強引で目に余る場合には、取引禁止をくらってしまうので、皆は猫を被っているが、商売事に長けた北陸の大阪の商人とまで言われる富山の薬売りのプライドを持っているマスターは、その人柄を観察して場合によっては、興信所、信頼できる探偵に調べてもらっている。

このため、マスターはこの時間には気が抜けないので2:30から4:30までと時間を決めてある。

なお、順番票を配っているため店の前にマスターに用事がある人らが押しかけることは無い。
もし、破ればエミの小笠原事務所に呪いを依頼するか、警察に突き出すと注意書きに書いてあるのでめったにないが、もし破れば真っ先にマスターの格闘技をその身にくらうことになる。


4:40

学校帰りのおキヌが友人の弓、一文字と2人で店にやってくる。

「「「失礼します〜。」」」

3人は店の中に入ると2階に上がってゆっくりと話をし、学校で出された課題を協力して解き、除霊の実習での反省点について話し合ってお茶を飲んだ後に店を出る。

「「「おじゃましました〜。」」」


そして、店は5:30に閉店となる。

マスター達は、店の中を掃除し台所も綺麗に片付けると従業員達は帰路につく。

「まーたあシタに。(また明日に。)」
『また明日に。』

従業員が帰った後、戸締りをするとマスターは今日の売上げを計算し、その金額をノートに書き込んだ後、自分の部屋へ戻る。


そして、その後は夕食を食べて風呂に入って、TVゲームとパソコンをしたりなどして楽しんだ後、軽い体操をしてタイマーをセットして眠りにつく。

「ZZZZZZZZ・・・・・・」



追伸・人工幽霊壱号より

このように、文珠を狙う人に入り込まれたり、お金目当て、文珠目当ての人達の間で色々と大変なマスターですが、いつもと同じような生活をしております。

もっとも、始めはお詫び料のあまりの桁外れに驚愕し、混乱したのですが、マスターは誤った使い道をすることなく今の道を選び、それなりに充実した生活を送っています。


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