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〜GS・短編集〜

美神と横島の怒り 〜おキヌの苦しみ〜 4話


投稿者名:道化師の黒銀
投稿日時:07/ 4/ 4

立ちのぼる黒煙の中から爆発を逃れたパトカーが飛び出る。
外の装甲が剥がれて中のエンジンが見えていたり、凹んでいるのもあるがしつこく追いかける。

そんなパトカーにリタイアしたパトカーに乗っていた警察官達が口々に叫ぶ。

「頑張れよー!!」
「俺達の分まで追いかけろー!!」
「あの車の正体をつきとめるんだー!!」
「しかしー! あの車に乗っている男女の2人組は一体何なんだー!!」

その声援に追いかけるパトカーから片腕を出して親指をビシッと立てる警察官。
それに涙を流すリタイアした警察官達であった。
ああ、うるわしき職場友精神である。

《お前達の分まで頑張るぞーー!!》
《うおおおーーーー!!!!》
《我らは行くぞーー!!!!》
《わははは!! オレは速度の鬼になるぞーー!!》
《あの車を止めるぞーー!!!!》

そのやり取りに思わず拍手するギャラリー。

パチパチパチ・・


追いかけるパトカーに無線が入る。

ビービー

≪こちらはオカルトGメンです。 私達も合流します。≫



そして、パトカーにオカルトGメンの車が合流する。

《そこの道行く車止まれーーー!!!!》
《俺達はリタイアした他の奴らの分までやるぞーー!!》
《止まらない場合は霊的の行使をすることになります。》
《警察とオカルトGメンの誇りにかけて捕まえるんじゃい!!》
《うおおおーー!!!》
大量のパトカーとオカルトGメンの車に追いかけられる。

『ちっ!!』
舌打ちする2人の間で弱々しい声で訴える2匹。
「お願いだから〜とめてぇぇ〜・・・。」
「お願いでござ〜る〜・・・。」

<しかし、その言葉は耳に入ることは無いのでございます。>

オカルトGメンの車が無線で霊的行使をする事を他の車に伝える。
≪今から霊的の行使をします!≫
≪やれー!!!≫


オカルトGメンは霊的行使の準備をする。
それを感じた美神と横島は慌てることはなかった。

オカルトGメンの車から霊波と低級霊を閉じ込めたお札が入った玉が発射される。


「ふん! 甘いってのよ!!」
霊波を美神は運転の腕で避けるが、弾の方は地面に当たった瞬間にお札の中から低級霊達が飛び出して車の方に飛び掛る。

これは、運転の腕だけでは振りほどくのは難しい、

「けっ! 低級霊が!!」
横島の周りに浮かんでいる文珠の1つに(浄)の文字が入った瞬間、効果がが発動して低級霊達が全て除霊される。


それにオカルトGメンは驚く。
《な!?》
《あいつら、オカルトの関係者か!?》



オカルトGメン本部に連絡が入る。

「先生。 連絡が入りました!」
「西条君、犯人の車と特徴は?」

美神隊長に西条が入った連絡を読み上げる。
「はい。 なんでも、真っ赤なボディのコブラに赤い髪の女に赤いバンダナを額に巻いている男の男女の2名に、ビー玉のような玉が光ったかと思えば撃った低級霊が全部浄化されたようです。」

その言葉に美神隊長はこける。

「・・あの子達ったら・・。」
「そうですね・・。」

「とりあえず、私達も行くわよ!」
「はい!」


邪悪な表情で美神と横島は物騒な事を話す。
「横島君。」(あいつら全員を足止めしなさい。)
「了解です。」

これだけの短い言葉で通じる2人は、今なら全世界のSG達が束になっても敵わないだろう。

横島はまだポコポコと生み出されて宙に浮かんでいる文珠を両手の前と顔の前にそれぞれ20個くらい集めると文字を込めた。

右手の前にある文珠には地雷と爆発の(地)と(爆)
左手の前にある文珠には束縛の(縛)
顔の前にある文珠には氷結の(氷)

合計60個もの文珠に文字を込めた横島はまず、右手の前にある文珠を飛ばした。
「ほれっ。」


カッ

(地)と(爆)で地面が爆発する。

ドオオオオンンン!!!!!

《うわああーーー!!!???》
《地面が爆発したーー!!??》
地面がいきなり爆発してその上と近くにいたパトカーとオカルトGメンの車を弾き飛ばす。


《くっ!!》
爆発の範囲から逃れた車は、なおも追いかけ続ける。
その直後に、横島は左手の前にある文珠を飛ばす。
「甘い。」

束縛の(縛)で自動車が何かしらの理由でストップする。
《な!?》
《ガソリン切れ!!??》
《エンジンがなくなった!?》
《うわー!! タイヤがあ〜〜〜!!!!》
《ひいい!!!》
《・・・・・・!!!!!》

運転できなくなった車は次々と他の車、電柱、建物、街道樹に追突する。
それらをかろうじて逃れた他の車はもやは意地で追いかけた。

《きっさまらああーーーー!!!》
《ずえっったたたいいいに捕まえたる!!!》
《うげえぇぇぇーーっっっ!!!》
《おげぎょぷよげええ!!!!!》

<・・・・なにやら、皆さんイッているようでございます。>


「これで、最後だ。」
そう言うと、横島は顔の周りにある文字を込めた文珠を地面に向かって飛ばす。

地面につく前に、文珠が力を発する。
さっき飛ばした(縛)の文珠はまだ後ろの方に残っていたので、(氷)の文珠と同時連携を起こし・・・・

《!!??》
《な・・!!》
《氷!!??》
《俺達は氷の中にいるのか!?》
《あ!!》

道路全体に巨大な氷の塊が生み出される。
氷の中に閉じこもられた警察とオカルトGメンの車を尻目に悠々と走り去る。

氷付けになった車の中に閉じ込められた人達は口々に叫んだ。
《どちくしょー!!!》
《てめーら!!》
《おのれぇぇぇ!!!》
《この中から、どうやって出ればいいんだーー!!》

<そして、このようなやり取りの間におキヌさんとマスターはカウンターにいた男に逃亡を邪魔されていたのでございます。>


[あ! お前達・・!]
2人に気付いたカウンターをあさっていた男は飛んできた声で取り押さえようとした。
[おい! そいつらを捕まえろ!]
[言われなくとも・・!!]

しかし、マスターにみぞおちに強烈なパンチを食らってしまった。
[ふん!]
[うげっ!!]

崩れ落ちた男の頭を強く踏みつけて男を床に這いつくばらせる。

ゴスッ!!

この間はわずかな間だったが、部屋から出た男達が近付くには十分だった。
そして・・・

「! 見えたわ!」

男の1人がおキヌに手を伸ばしてその腕を掴んだのと同時に車がガラスと壁を突き破って飛び込んで入ってくる。

ドガアアン!!!

「きゃあ・・・!?」
「へへ・・・!?」
「オジーサん(お嬢さん)・・・!?」
『うへへ・・・!?』

それに驚く。

土ぼこりで姿が見えないが、店の中にいた皆は入ってきたモノをみる。

しゅう しゅう・・


そして、瓦礫を踏みしめて2人の人物が現れる。

ダン!

「! 美神さん!? 横島さん!?」

おキヌの言葉通り、現れた2人の人物は美神と横島であった。
「おキヌちゃん!!」
「おキヌちゃん!!」

車の中ではシロとタマモが突き破った衝撃で目を回していた。

『うるきゅゅ〜〜〜〜。』
「お星様が見える〜〜。」
「ぴょぴょこが見えるでござる〜。」

<ぴょぴょことは、黄色いヒヨコのことでございます。>


2人の迫力にどもりながら請求の言葉を吐く男達であったが・・・・
今、このような言葉を言うのは地雷を踏むことであった。

「お・・・お前ら、この女の関係者かい・・!?」

「そうよ!!」
「そうだ!!」

「へへ・・。 なら、このアマの代わりに治療代と慰謝料を払って・・・・!! 」

ビュッ!!  バチ バチ

男の1人がその言葉を最後まで言い終わらないうちに男の横を何かが打つ!!

ドンッ!!  

カッ!

何かは地に当たった瞬間に落雷が上に立ち上がった。

ドオオオオンンンン!!!!!

何かの正体は、神通棍を発動させた美神であった。
「アンタら・・。 フザケタことを言ってんじゃないわよ・・・。」
恐ろしく、ドスの聞いた声で男に向かって言い放つ。
それに続いて横島も、同じ声で男達に言い放つ。
「テメエら・・。 おキヌちゃんの優しさに付けこみやがって・・!」

その迫力に男達はビビッて気押される。
そして、腕に包帯を巻いた男が脅しの言葉を吐く。
「ひっ・・! な、なんだよ! オ、オレはこの女とぶつかったことで腕を怪我したんだよ!!」

「あん? ウソついてんじゃねーよ。」
「そうよ。 今までのことは、おキヌちゃんに付けた文珠で全て見せてもらったわ。」

横島と美神の言葉におキヌはハッとした。
(美神さん・・、横島さん・・。
 私、お2人に心配をかけさせてしまっていたんですね・・。)

おキヌは申し訳なく思うのと同時に心の中に嬉しさがこみ上げてきた。
(でも、嬉しい・・。 2人が心配してくれて・・。)

「も、文珠だと!? そ、そんなこと聞いたことはねーぞ!!」

「あん?」
男の言葉に横島は腕に包帯を巻いた男を凶悪な手のままの栄光の手で指差した。
「なんなら、これを使ってお前がホントに怪我をしているか確かめるぞ。」

そう言うと、宙に浮かんでいた文珠に『(怪)(我)』『(確)(認)』『(音)(声)』の6文字が6つ入る。

そして、文字を入れた文珠が同時連携で発動する。
『!?』

『(音)(声)』の文珠から声がする。
【怪我の確認終了。】
【ケガ人は1名。 女性1人は打撲などのケガです。】
【その他はケガ人はいません。】

「どお・・。 これでも、まだ言い逃れをするつもり?」
「覚悟決めろや、コラ。」

<こうして、追い詰められた男達は最後の手段に出たのでございます。
そう・・。 決してしてはいけない手段に・・。>

「うっ・・・。 あ、甘いな!」
「オ、オレ達にはこいつがいることを忘れてはいないか!?」
「きゃあ!」

そう・・。 
男達の最後の手段はおキヌを人質にして脅迫することだった・・。

そして・・・・・。

男達はナイフを取り出すと、おキヌに突きつけた。
「!!」

「へへ・・。 この女の服と肌を切りされなくなかったら・・。」
「オレ達に金をよこし、この場から出しやがれ!!」

男達は脅しのつもりでおキヌに向かって・・・

「! きゃああ!!!」
おキヌの悲鳴が響きわたる。

制服の上着をブラウス一枚残して切り裂いた。

その光景をまともに見た美神と横島の中で最後の線が切れる。

それは・・・・理性という名の線であった・・・。

・・・・・恐怖の時が来た・・・・・・。


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