〜ねがい〜
まっくらやみのなか……
わたしはふらふらとただよっている……
なにもわからないけれど……
ひとつだけたしかなことがある……
なにもしらないわたしが…かれをおいつめてしまった……
かれのこころのなかはからっぽで…なにもない……
なにもないけど…わたしがいる……
きっと…かれがつくりだしたわたし……
そんなことをぼんやりとかんがえていると……
こえがきこえた……
もしかしたらこえじゃなくておとかもしれないけれども……
たしかにわたしはそれをこえだとかんじた……
…なぁ…ルシオラ……
その声を聴いた瞬間(とき)に私の意識がハッキリした……
そして…その声に込められた想いが私を締め付ける……
ただ…昔のままであろうと……
私が惚れた昔のままであろうと……
だけど…わたしはそんな事を望んだんじゃなくて……
ただ…あなたの…ヨコシマの生だけを願ってしまった……
きっと…それが私の罪なのだと思う……
ヨコシマの生を強く願うあまりにヨコシマの幸せを願わなかった……
いえ…ヨコシマの幸せは願った……
けれども…あの時ヨコシマの幸せの本当の形をしっかりと認識できていなかった……
だけど…今なら解る……
いえ…今だからこそ解ってしまった……
そして…想定してみる……
もしも私とヨコシマの関係が逆になっていたら……
結果は…全て死亡……
正確には…体は生きているけど心は死んでしまっている……
きっと…私たちはお互いが生きていないと私たちは幸せになれない……
そう…思い知らされてしまった……
そこまで想定して…愕然としてしまった……
これは傲慢なのかもしれない……
でも…私ならそうなった事……
それは…二度と幸せという物を手に入れることが出来ない……
何故なら…失うことを恐れてしまい先に進めなくなってしまう……
またあの時のように失ってしまったらどうしよう…と……
またあの時のように自分だけ助かってしまったらどうしよう…と…
私ならきっと…こんな事を思ってしまう……
そして…誰も近寄せないで生きてしまう……
そんな想定結果が出てしまった……
胸をかきむしりたい衝動に駆られながら…私は涙した……
そして悟ってしまった……
私が最初(はじめ)からいなければ……
そうすればヨコシマもこんな生ける屍となる事も無かったのに……
そんな時…ふと……
本当に前触れさえなくソレは聞こえてきた……
ソレは私が最も欲しくて……
最も聴いてはいけない禁忌……
だけど…抗う(あらがう)ことの出来ない悪魔の呼び声……
ソレは…ヨコシマの心の声……
…もう一度ルシオラをこの手に……
それを聴いてしまって……
それを感じてしまって……
私は…自己の完全消滅を願い……
過去…未来…そして現在……
全ての事象から私がいたという存在そのものの消滅を願い……
そして願いきれなかった……
彼の…ヨコシマの心の声を聴いてしまったから……
一人の人間を廃人寸前まで追いつめたくせに……
それでも尚…飽き足らないのかと……
そう…言われるかもしれない……
でも…もう一度逢って……
彼の本当の幸せを守りたいと思うのは行けないことなのでしょうか?
そう叫ばずにはいられない……
声にならない声で……
もし…私の願い事が叶うのでしたら…
私の願い事を叶えてくれる者がもし存在(い)るのなら……
ほんの少しだけでもいいですから魂(ちから)を分けて下さい……
そうすれば…私はヨコシマから離れて私となれるから……
ヨコシマと一緒の(おなじ)時間(とき)を歩むことが出来るから……
どうか…私の願いが聞き届けられますように……
暗闇の中で私はそう願い続ける……
例え叶わぬ夢物語でも……
信じていれば少しだけ楽になれるから……
信じていればもしかしたらこの願いが届くかもしれないから……
だから私は願い続けている……
だけど…今はなにもできない……
せめてヨコシマの心が壊れないように抱きしめていようと思う……
仄かな暖かさを感じてくれるといいな……
『翼を下さい』という曲を聴きながら、それをイメージして作ってみた詩です。
今回は、前回・前々回の台詞がいくつか被っていたりしますが、基本的には、小説ではなく詩です。
また、ルシオラ復活なんて事も(今のところ)予定はありません。
尚、私生活がこれから忙しくなるので、これからこの作品が続くかどうかは不透明ですが、出来る限り続けていきたいと思います。
長々と失礼しました。 (霧咲)
[本当の幸せを守りたい]の行の
[行けない]でしょうか
翼の代わりにルシオラは魂を願った
ルシオラの願い叶うといいっスねー
目汁がホロリと……
では失礼します (金森)
以下に金森様のコメントに対するレスを書きます。
> 誤字報告を〜
誤字報告ありがとうございます。誤字チェック機能等を使って探しているのですが、どうもそれすらもすり抜けるみたいでなかなか修正のないものを作ることができないでいるのが目下の悩みです。
そして、今回もお教えいただき感謝いたします。
> 翼の代わりに〜
私の書きたかった事が凝縮されていて感服いたしました。
今回はあくまで『ルシオラが願った事』ですので、『現実は残酷なのだよ ケケケ』な内容の詩になっていくと思います(現在執筆中)
ですが、友人と相談(ここまでは完全に一人でやってますが以後は友人との共作になる可能性もあり)したりして、変更する可能性もありますが、今の時点では『ルシオラの願った事』が叶った後の詩などは思いついていません。
> 目汁がホロリと……
ありがとうございます。
今回は悲恋物語の中核を担うルシオラさんの『感情の吐露』というのが私の中でのsサブタイトルでしたので、このような感想を頂けると、私としてはとても嬉しく思います。
以上をもってコメントに対するレスとさせていただきます。
長々と失礼しました。 (霧咲)