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横島、逝きま〜す!

GTOで逝こう!(中編)


投稿者名:担当V
投稿日時:07/ 3/21

溶解・・もとい、妖怪学校。

それは、閉ざされた箱庭。

そこは、亜空間に広がる無限の校舎。

それは、机の中の不思議空間。

現在、俺はそこの学生として青春を謳歌している・・・じゃなくてっ!!

「ちょっと待てぇぇ!なんで俺が掃除係やねん!」

「なに?学級委員長である私の決定に逆らうの?・・・真面目な学級委員長と不真面目な生徒の禁じられた関係?・・・ああっ!青春だわっ!」

教壇に立って俺のクラスでの係を決定する委員長、愛子に俺は全力で叫びを挙げた。

なんかこう、新入生として色々突っ込まねばならないような発言が連発されているんだが?

そこんとこどうよ?委員長さん?





第9話 GTOで逝こう!(中編)





☆★☆★



このクラスに編入・・・というか、入学というか。まあ、取り敢えずこのクラスの一員となった俺だが。

無難な自己紹介も終え、席決め(愛子の隣に決定)をし現在はクラスの係決めのためホームルームは続いている。

「おーい。ちょっと。俺の話聞いてる?」

でもって愛子は俺の叫びを完全に無視して俺を掃除係に任命する。

俺の周りの生徒は全員一致の拍手を送って・・・え?俺、清掃係決定?

「この学校はとても広いが頑張ってくれたまえ。横島君。」

「いや。だからさ。ちょっとは俺の意見を聞いてくれやがりませんか?あんた達は!?」

「じゃあ。今週の目標は・・・『掃除をさぼらない』!で決定ね。」

高松さんと愛子の司会に盛大な拍手を送るクラスメイト達だった。

拍手を送るクラスメイトを呆然と見ながら、(こ、これがイジメか?)とか考えていた俺だが、そこで違和感に気付いた。

(こいつら・・・何かに取り憑かれてる!?)

ここに閉じ込められた生徒達、俺を含め40人。ちょうど一クラス分の人間が居るわけだが・・・。

司会進行やら俺の叫びやらには全くの無反応。

しかし、何らかの決定事項には血走ったかのような瞳で拍手を送っている・・・明らかにおかしい。

俺の思考もだ。

最初は『どうやってここから脱出するか?』を考えていた筈なのに・・・いつの間にか思考のベースが『この学校生活をどう生活するか?』になってしまっている。

大体、自己紹介は兎も角。席決め何かに参加する必要性が無いじゃないか!?

ましてや係の決定なんて脱出に全然関係無い。

誰かが俺を陥れようとしている・・・と言うか、思考を操作されてるというのか。

だとすると、この学校自体が妖怪の中なのだから、思考を操作・支配することで閉じ込めた人間を使って何かしようとしているのか?・・・解らん。



☆★☆★



「じゃあ。横島君は、清掃係とし・・・「きゃああああああぁぁっ!!!」


ドスン!!


「な!オカマ!?」

愛子の話しを遮って突然教室の天井付近からオカマが振って来た!

「あらぁ?忠夫ちゃんじゃない。ここは?」

教壇の上に尻餅を付き痛めたのか、尻をさすりながら聞いてくるオカマ。・・・神聖な教壇の上で女の子座りはどうかと思うよ。俺。

「な、なんでオ「先生!!」「先生ーーっ!!」

「な、なになに?どうなってるの?」

「先生だ!ついに先生がいらっしゃったぁ!」

ええーいっ!!このクラスの連中は人の話も聞かんのかい!

オカマに声を掛けようとした俺を後ろから押し倒し、踏み付け、教壇のオカマの下に駆け寄るクラスメイト。

・・・まただ、あの何かに取り憑かれたような目。

やっぱりなにか『変』だよな。

オカマがオロオロと辺りを見回している。・・・いや、オカマが変なのは普段通りだが。

教壇の下には感極まったのか涙を流す生徒や尊敬の眼差しでオカマを見ている学生達。

(君達、尊敬はするな。絶対に。)

そこにオカマの前に進み出ていく人影・・・愛子が胸の前で手を組み合わせ、瞳を輝かせ叫ぶ。むう。こうして見ると意外と大きい。ゲフン!いや。そうじゃなくて。

「これで授業が出来ますわっ!学級委員長として、クラス代表として歓迎します。」

「この学校に幽閉されて以来、よりよい学園を作るため励んできましたが・・・先生がいないのでは授業が出来ません。しかたなくホームルームを続けて来たのですが・・・。私達は何時の日か先生が現れることを待ち望んでいたのですっ!」

う〜ん。可愛いんだが、やっぱりなんか間違ってる。

「ん〜?どういう事なのよ〜?忠夫ちゃん?」

漸くまとわりつく生徒達から解放されたのかこっちに来て話しかけてくるオカマ。

いや、それ以前に。

「オカマこそ何してるんだよ?」

突然のオカマの登場にビックリしていた俺は、半眼になって尋ねる。

俺ってたしか自分の学校の教室で机に飲み込まれたんだよな?

なんでここにオカマが居るんだ?

「いやぁねぇ。忠夫ちゃんが机に食べられちゃったって連絡を貰ったから〜学校に来たんだけど。私も食べられちゃった。・・・てへっ。」

失敗、失敗。とペロっと舌を出し、照れながら頭を掻く。

いや。可愛いとか思わないから。

やめて。

「と、取り敢えず逃げよう!こいつら何かおかしいんだっ!!」

俺じゃ全然脱出の糸口も見つからないけど、オカマなら・・・。

オカマの手を取って逃げ出そうとする俺の前に愛子が立ち塞がる。

「え?逃げるんですか?先生なのに・・・登校拒否?」

「誰が先生なのよ〜!!」



どよよ〜ん



オカマの一言にクラスが凍り付く!

「せ、せんせぇじゃない?」「じゅ、じゅぎょう」

みんな暗い顔で沈んでしまってブツブツと独り言を呟いて・・・って怖いわっ!何か危ない薬キマってる人みてぇ!

「あ、あらぁ。みんな何かに取り憑かれてる?(これはヘタに刺激出来ないわねぇ。)」

オカマが呟く。

そうかっ!やっぱり取り憑かれてたのか!

俺じゃあ、ハッキリしたことは解らなかったけどオカマが言うなら間違いないだろう。

「ど、どうするんだ!逃げるのかっ?」

俺の問い掛けにジッと考えたオカマは・・・

「さぁ!授業を始めちゃうわよっ!席についてぇ!」

「おいおいおいっ!」

「わー!」「やたー!」「授業だ授業だ〜!!」

教壇をバシっと叩くとそう宣言し、直後の俺の叫びはみんなの喜びの咆吼に掻き消されるのだった。

う〜ん。そんなに授業がしたかったんか〜?

この光景を俺のクラスメイトに見せてやりたいぜ・・・まあ、俺も授業なんて嫌いなんだが。

「で、でも!」

オカマが授業をすることを選んだのだったら、それがこの場合正しいのだろう。

これでも除霊方法とかに関しては、それなりにオカマのことは信用してるんだからな。・・・そこっ!あくまで除霊に関してだからなっ!間違えないようにっ!

だけど、俺にはどうしてもオカマに確認しなくちゃいけないことがある!

「良いから席に着きなさい。脱出方法は後で考えるから!」

ほら早く席に着いて。と何処からか取り出した数学の教科書を振りながらジェスチャーを送ってくるオカマに、俺は

「いや。うん。勘九郎がその方が良いってんならそうなんだろうけど・・・。」

「なに?心配してくれるの?」

「いや。それもそうなんだけど。その・・・勘九郎。授業出来るの?」




「・・・あははは。や〜ね〜。私、義務教育も満足に受けてないのよ?・・・こんな教科書見ても何も理解出来ないわよ?」


ズデ〜ン!!どんがらがっしゃ〜ん!!


当然じゃない?と胸を張って答えるオカマ。

みんなが机をひっくり返してずっこけている。

「うあ。使えねぇ。」

ダメだ。呆れてものも言えない。



☆★☆★



「う〜ん。授業ねぇ。」

「何かしらねぇ。私に出来る事って・・・。」

オカマと俺が頭を抱えて考えていると、


ポンッ


という音と共に教壇の上に何かが落ちてくる。

「な、なんだぁ?」

俺とオカマが落ちて来た物を恐る恐る覗き込む・・・こ、これはぁぁ!!

ぶ、ブルマー!!

そう。落ちて来たのは、体操着とバレーボールだったのだ。

「ぶ、ぶ、ぶ、・・・ブルマーやぁ!!」

「つまり、体育。体育の授業をしなさい。ってことかしらぁ?」

オカマが何やら呟いているが無視する。

(すげぇ。初めて実物を見た。・・・こ、これがブルマー。)

俺は徐にブルマーを手に取り、何事かと覗き込んでいた愛子にそれを突き付ける!

「愛子!さあ!着替えろ!バレーだ!」

「ちょ、ちょっと横島くん!?そんな目で見ないで!怖いんだけど!」

「さあ!さあ!さあ!」


ぐんぐんぐん!


恐怖に後退る愛子にブルマーを掲げたまま迫る俺。

他の生徒はビビって退いている。

「い、いやぁ!!」

「なにぃ!?これを着るのがいやなんか?これを着ないと体育の授業が出来ないじゃないか。」

ブルマーと言えば『一度は着てみたい魔王も倒せる最強装備』なんだぞ!

「さぁ!いざ、お着替えをっ「待ちなさいって!」


ゴン!!


「いってぇぇぇぇ!」

暴走していた俺の頭にオカマの拳骨が落ちる。

痛いって!マジでお星様が見えたっ!

涙目でオカマを見ると愛子が泣き付いていた。

「ううう。せんせぇぇ。私、私。怖かったぁ!」

「あ〜。もう大丈夫よ〜。怖い人は居ないからねぇ。」

ああ!胸が腕に押し付けられて・・・。

う、羨ましくなんかないもん!

「で、でも。着替えないとバレーボールは出来ないぞ。」

ちょっと悔しかったので追い打ちを掛ける様にオカマに声を掛ける。

「う〜ん。教壇に落ちて来たって事は、それを私に着なさいって事なのかしら?」


『いや。それは有り得ないからーーー!!!』


クラス全員の突っ込みが炸裂した!!

・・・ちょっと想像してしまった自分が恨めしい。

「な、何よ皆してぇ。それに、言い難いんだけど。・・・え〜とね。私、バレーのルールって今一解らないのよねぇ。」

『はい?』

オカマの発言にクラス全員から誰何の声が上がる。

愛子なんて抱き付いたまま目が点になってるよ。

いや。だって普通、学校の体育か何かでやるんじゃないのか・・・って、そうか!

「学校も満足に行ってないんじゃ解るはずも無いじゃない?」

「そりゃそうだ。」

なにせ白竜寺じゃあバレーなんて教えないもんなぁ。

でもな〜。結構可愛い子が多いからなぁ。

やるなら体育が良いぞ。俺。

水泳とかならベター。いや、ベストなんだがっ!

・・・マテ。そうなったら、アレか?スクール水着オカマの爆誕か!?

考えちゃ駄目だ。考えちゃ駄目だ。想像するなー!俺ー!!

う〜ん。と考えて居たオカマだったが、ハッと何かを思い付いたように顔を上げる。


「・・・格闘技なら大丈夫なんだけど。」


『それは授業で教えることじゃないだろう!!』

その場にいた全員の心が一つになったのだった・・・。



☆★☆★



その後の授業内容の選定は熾烈を極めた。

なにせ先生が授業以前の問題なのだ。

義務教育すらまともに受けてない人間が教えられるもの・・・。

仕方なく、オカマに出来そうなものを片っ端から挙げてみる事にした愛子以下クラスメイトだったのだが。

「数学!」

「無理よ。」

「古文!」

「だから、分かんないってば〜。」

「理科!」

「・・・ちょっと厳しいわねぇ。」

「算数!」

「四則計算なら出来るけど?それ以外は無理ね。・・・分数?何それ?」

一事が万事この調子なのだ。ってか算数とか解らないってどうよ!?

オカマに出来そうなこと・・・。

ダメだ。思い付かん。

「道徳!「ダメだっ!こいつに人並みの道徳観念は無いっ!」

「ちょっとっ!聞き捨てならないわよ?忠夫ちゃん。」

人並みの道徳観念がある奴は、同姓を襲ったりしねぇ!

「・・・じゃあ!保健体育!」

「あら。いいわねぇ。じゃあ。男子は別室で、先生が特別な授業を「やめんかー!!!」

(こらっ!高松さん!そんな授業をしたら、ただじゃ終わらないだろーが!」

「あらぁ。そんなこと言うなら忠夫ちゃんが先生と見本になってくれる?」

し、しまったぁぁ!声に出てたぁ!

「あのー。先生。それじゃあ。女子が授業にならないんですが・・・。」

愛子が恐る恐る発言したことで俺は危機を脱出できた。

危ない危ない。

しかし、オカマの特異、もとい得意なものかぁ。

俺は白竜寺でのオカマの生活を考えて見る。

俺の修行の邪魔をするか、陰念と雪之丞のペアをからかっているか・・・。

除霊の仕事に行ってるか。

ダメだ。結局そんなんばっかりで。

後は、料理をしているか・・・って!

「料理実習はどうだ!!」

「それだわっ!!」



☆★☆★



お世辞抜きでオカマの作る飯は美味い。

そのことをクラス全員に話したところ、満場一致で調理実習と相成った訳だ。

と、言うかそれしか選択肢が無かったんだが。

愛子など「ああ!先生のお手本を見ながらクラスみんなで作るなんて・・・青春だわっ!」

と大喜びだったが。

メニューは、オカマの独断でキノコ炊き込みご飯。けんちん汁。サンマの焼き物に決定!!

で、愛子の案内で家庭科室まで移動して来た俺たち一同。

「はあ。キノコって良いわぁ。」

キノコを持ってウットリと見つめるオカマ。

「やめんかぁ!オカマが言うといろんな意味で洒落にならん!」

やめてくれ。マジで。

この学校・・・これで良いのだろうか?

妖怪や〜い。先生のクーリングオフが出来るうちに返品した方が良いと思うぞ〜。


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