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横島、逝きま〜す!

GTOで逝こう!!(前編)


投稿者名:担当V
投稿日時:07/ 2/28

さてさて、この間は貞操の危機には陥るは、オカマの掌で踊らされたりと大変だったが・・・。

陰念はめでたく霊波砲を開眼するに至った。

本来であれば、時間を掛けて自分の都合の良い様に出力などを調整しながら霊波の放出を覚えていくそうなんだけど。

あの時、貞操の危機に瀕した陰念は刃状の霊波砲を撃ち放った。

これはとても特殊な霊波砲だそうで、師匠は陰念の深層心理にある過去の事故の思い出やイジメられた時の辛い記憶等が影響して発現したのではないか?と予想している。

事実、霊波砲と言えば人間が霊力を集め易い(収束をイメージしやすい)指先や掌から撃つのが普通なんだそうだ。

それを身体の傷痕からの収束・放出(しかも刃状に変形している)するのは非常に珍しいらしい。

昨日まで休憩していた陰念は今日から本格的に霊波砲自体をコントロールする修行を行う様だ。

現在、彼は霊波を放出すると無意識に体中の傷痕から放出してしまい、結果として刃状の霊波が服を切り裂き霊波砲を撃つ度に全裸になってしまっている。

(コントロール出来る様になるのが先か、全裸に暴走したオカマに貞操を奪われるのが先か・・・。)

出来れば、修行を応援してやりたいところなのだが・・・ここんとこ修行やら除霊やらで、さっぱり学校に行ってなかった俺。

さすがにほったらかしでは良くない。

っつーことで久々に登校しようというわけです。





第8話 GTOで逝こう!!(前編)





☆★☆★



「ふ・・・学校か。久しぶりだぜ。」


ざわっ!


俺が校門を潜った途端、校庭にいた登校途中の生徒達からざわめきが起こる。

「横島・・・!?」

「横島クンだわ!」

「うそっ!やめたんじゃなかったの?」

「なんでも下着ドロが発覚して刑務所に入っていたとか・・・」

「いや。嫉妬団に・・・」

「SOS団じゃ?」

「いやいや、胴衣のオカマとホモ疑惑・・・」

「宗教に勧誘されて・・・って聞いたわよ?」

クラスメイトの何人かが俺の前に来てひそひそと、・・・いや。

「お前ら本人の前であること無いこと言うんじゃねー!!まる聞こえじゃ〜!!」

なんか一部否定できない内容も聞こえるけどそれはスルーの方向で。だって、ほら、ねぇ?

今だに有ること無いこと言っているクラスメイト達に1週間程来ていなかった理由を告げる。

だって、流石に俺がモーホだって話しが聞こえてくればね〜。

止めなくては。

何処まで尾ひれが着くのか・・・考えただけでも恐ろしい。

「前に言っただろ?GSの道場に弟子入りしたんだ。ちょっとそっちが色々あってな。」

・・・いや、思い出しただけでも涙が出そうになる。

オカマに襲われそうになって、除霊現場に行って、また襲われそうに・・・。

なんか進むべき道を間違えてないか?俺。

俺が思考のループに嵌りそうになっていると、俺の話を聞いていた女子が色めき立つ。

「GSに弟子入り?」

「うそっ!じゃあ横島君GSになるの!」

「あ、いや。そーゆーわけじゃなくて・・・」

ある程度霊力がないと成れないしな。それと戦闘術とか諸々。

そういや、GSに成るってことは考えてなかったなぁ。現状、どっちかっていうと白竜寺の食客ってスタンスのつもりなんだが。

俺の事は置いてけぼりで女子達は話しに華を咲かせている。

それは、テレビで見たGSの仕事内容とか報酬とか・・・そんな仕事の表面上の話しだった。

「GSったらすっごい儲かる商売じゃん!!」

「そうそう。この間テレビでやってたわ!」

「儲かるかどうかは解んねえよ。家の道場は裕福って方じゃないみたいだし。」

当たり障りの無いように回答する。

テレビなんかで放送されてるのは仕事の表面上だけで、本当は命の危険が沢山あって、GSの除霊中の死者が年間何十人も居るってことを解っているのだろうか?

それに・・・あんな事で報酬を貰っても・・・。

俺の頭にナミコさんの涙を流す顔が浮かんで来て、「じゃ、じゃあ今の内に落とせば・・・玉の輿!?」

「なっ!」

その女子の発言に我に返る。・・・つまり、俺は女子達からモテる可能性が有るってことじゃ!!?

「で、でも。横島君よ?」

「私ダメ。絶対挫折するわ。」

即座に否定する何名かの女子達。

(・・・い、いつか見返しちゃる〜!)



☆★☆★



「あれ?・・・なんで俺の机だけえらく古いんだ?」

「ホントだ。」

「イジメってゆーんじゃない?」

俺が教室に入って俺の席、窓側の一番後ろの席で見たのは何十年も前に使われていたような全て木で組まれた机だった。

周りのクラスメイトの机はステレンスやらで組まれているんだが。

みんながこの机がここに在る事を不思議がっている。

ってお前ら毎日学校来てるんだろう?

何で気が付かん!?

つか、イジメってなんだよ!?

・・・でも、よく見るとこれはこれで味のある机だな〜。

やっぱり木製だからだろうか?不思議な暖かさがあるんだよな。

しかし・・・。

「それにしても古い机だなー。どっから持ってきた・・・うわああああ!!??」

「えええええぇぇぇ!!!」

机を覗き込もうとした瞬間!中から緑色の手が出て来て引きずり込まれる!

なんだ!俺が一体何をした〜!!!

クラスメイト達の驚きの声を聞きながら、俺の意識が遠ざかっていく・・・。



☆★☆★



はっ!

「な、何が起きた?」

一瞬、気を失っていたようだ。

・・・俺は、リノリウムの床に仰向けに倒れていた。

即座に立ち上がり身体に異常がないか確認する。・・・よし。どこも異常はない。

身体に異常がないのなら次は現状の確認だ。

俺が倒れていたのは、ずっと使われてない様な、人の温もりのない教室だった。

(俺は、『何か』に机の中に引きずり込まれたんだよな。)

ふと、窓の外を見る。

「な、なんだこれは!」

其処に広がっていたのは地平線が無く、幾何学的模様をした灰色の空と不思議な木?が所々に生えている空間だった。

「異界空間!?・・・か?」

師匠の講義で聞いたことがある。

亜空間とも呼ばれる人間界とその他の世界の狭間にある空間・・・。

「まさか、妖怪か何かに引きずり込まれた?」

「その通りよ。あの机は妖怪が変化した物だったのよ。」

思わず独り言で現状を確認していた俺に背後から声が掛かった。

「だ、誰だ!!?」

気配も何も感じなかったぞ!・・・って俺は気配感知なんて出来ないが。

「ここは化け物の腹の中・・・もう外へはでられないわ。」

勇気を振り絞って振り返った。

教室の後ろのドアから顔を半分だけ出した、古めかしいデザインのセーラー服を着た日本人形を彷彿とさせる女の子が俺を見ていた!

「出たーー!?うわぁぁぁぁぁ!!!」

教室の前ドアから出て逃げ出す!

絶対妖怪だっ!このタイミングで出て来た日本人形っぽい人なんて怖すぎっ!

「あっ待ちなさいっ!!」

女の子の声が聞こえるが、無視っ。

お、俺を食べても美味しくないですよ〜!

「待てって言ってるでしょっ!」

「わっ!」

声と一緒に足が捕られて転げる。な、何だ?

「スライディングっ!?」

女の子は俺をスライディングで転ばせたみたいだ。その体勢のまま此方を睨んでいる。俺は倒れたまま女の子の方に目を向ける・・・って

(ああっ!もうちょとでパンティーが!ブラがっ!くうう。見えそうで見えないと言うのもこれはこれでなかなか・・・」

「ど、どこ見てるのよー!」

彼女は俺が見ている所に気が付いて、顔を赤らめながら慌ててスカートの裾を押さえ付け女の子座りになりキッと此方を睨み付ける。

・・・こうして見ると意外と可愛かった。睨み付ける瞳の橋に涙が溜まっててプリチー。

第一印象は、場の雰囲気に嵌り過ぎた怖い子だったが・・・それを補って余りある恥じらい、仕草、表情。

どれをとっても、完璧な乙女だった。

女の子が睨み付けたまま口を開く。

(やべっ!怒鳴られる!?・・・怒らせちゃったかな?)

「『廊下は走らない!!』基本ルールでしょっ!!」

「そんなこと問題にしとる場合かー!」

予想通り怒鳴られた。

いやいや。怒鳴られたのは良いんだが、内容に全力で突っ込みを入れてしまった。

違うんじゃない?廊下は走らないとか今は必要なくない?

どこかズレてるような気がするんだけど。

「まーまー委員長。彼はここへ来たばかりなんだ。大目に見てやりたまえ。」

「高松君。」

俺達が不毛な漫才をしているところに現れたのは俺より年上の学ランの男。

どうやら高松と言う名前らしい。・・・男の名前なんてどうでも良いけど。

セーラー服の女の子はスカートを押さえながら立ち上がり、その男の隣に立つ。

「あ、あんたらは?」

「・・・怖がらないでくれ。君と同じようにここへ閉じこめられた生徒だよ。僕は高松。」

「私は愛子よ。」

いつでも逃げ出せる様に身構え2人に質問する。

俺の腰が退けているのを見てか、優しく声を掛けてくれる高松さん。

そんな遣り取りをしていると、廊下の向こうからざわめきが聞こえてくる。

(人の声?誰か他にも居るのか?)

「ああ。みんなが来たみたいだ。・・・駄目だよ委員長。この校舎の中を勝手に移動しちゃ。」

「心配かけてごめんなさい。みんなで探しに来てくれたのね?・・・ああ。単独行動の女生徒を探しに着てくれるクラスメート達・・・青春だわ〜。」

(おいおい。青春って・・・)

謝っているのか、ウットリしているのか判別のしようがない愛子。

(いったい何なんだ?ここは。)

そうこうしている内に廊下の角から一目で学生と解る集団がこちらに近付いて来た。

ただ、その服装に統一性が全くない。セーラー服の女生徒やブレザーの子。学ランの奴も居ればYシャツの奴も居る。

すべてどこかの学校の制服なんだろうけど、デザインが違う所を見ると別々の学校から来たみたいだ。

(ん?すると、こいつらも机に引きずり込まれてここに来たクチか。)

「おおっ!新入生だね。」

「仲良くしよーね。」

「歓迎するわ!」

俺を取り囲み口々に歓迎の言葉を掛けてくれる生徒達。

年齢も疎らだ。明らかに中学生の様な子も居るし・・・。大学生にも見える年齢の奴は居るし。

「ど、どういうことだ?」

俺が高松さんに向けて聞くと、彼は感極まったように拳を握り締め、

「我々は、ここに閉じ込められた者同士団結して、この不毛な学園をよりよい物にしようと努力してるんだ!」

「そうよ!もろ青春って感じよね〜!」

愛子が高松さんの言葉に相槌を打つ。

いや。『よりよい学園』とかじゃなくて・・・。

「外に出ようとは思わないのか?」

至極当然な疑問を青春、青春と呟きながらアッチ側に逝き掛けて瞳をキラキラさせている愛子にぶつけて見る。

俺の疑問に愛子は青筋を立てながら此方を睨み付ける。

「私達が何年ここに居ると思って?出るための努力をしなかったと思って?」

「ここでは時間の感覚は殆ど意味はないが・・・この愛子君が一番の古株でね。ここに来て31年になるそうだよ。」

「さ、さんじゅういちねん〜!!?」



☆★☆★



あの後、愛子(学級委員長だそうだ)と高松さんからこの学校について説明を受けた。

それを要約すると、この学校は学校として機能出来るだけの設備が整っている。

妖怪の仕業で引き込まれたと思われるが生徒に直接害を為す行動は無い。

当初、探索係を設立して学校内の探索を行ったところ、校舎の内部が変化して迷宮の様に成ったことから探索は打ち切られ単独行動はとらないようになったそうだ。

(なるほど。それでさっき高松さん達が愛子を探しに来たんだな。)

先程は、生徒達が普段使っている教室の方に凄い音(多分俺が落下する音)が聞こえた。と、愛子が先走って見に来たというわけだ。

それを追ってクラスみんなで愛子を探しに来た。と。

そんな訳で俺は現在この妖怪学校に閉じ込められたみんなが普段使っている教室に居る。

なんでも、俺は新入生らしいので自己紹介を行わなくちゃいけないらしい。

(なるほど。確かに脱出方法の模索のためには意思の疎通が必要だ。そのためにはお互いを知らなくちゃな。)

後は、どうやって脱出するかだけど・・・。

30年以上も探して無理だとなるとな〜。

師匠も亜空間からの脱出方法なんて知らないんだろうな〜。・・・教えられたことなんてないし。

「それじゃあ。第10625回ホームルームを始めます。議題は、『新入生の歓迎と自己紹介、よりよい学園を目指して』です。」

「さあ。横島くん。みんなに自己紹介してね。」

委員長(愛子)が教壇で司会を務めている。

高松さんは書記の様だ。なかなか達筆なチョーク捌きで黒板に議題と俺の名前を書いている。

(な、なんか違うようなっ!?)

ホームルーム・・・って言うか、『よりよい学園』ってなにさ!?

もっと、こう。脱出に向けた相談とかそういう物じゃないのかな?フツー。

・・・なんで。

なんで学校に登校しただけでこんな目に遭わなきゃいけないんだ!

俺は平凡な学生だっつーの!オカマでもバトルジャンキーでも無いんだぞ。コンチクショー!!

「・・・誰か助けに来てくれー!!」

「横島くん。発言がある時は手を上げてから!」

うぅ。俺が一体何をしたって言うんだよ〜!


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