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GS六道親子 天国大作戦!

アメリカからのレポート!


投稿者名:Tりりぃ
投稿日時:07/ 2/ 8


今回の話は、登場人物が美神令子さん以外はオリキャラです。
それでもOKな方のみスクロールしてくださいね。

























ゴースト・スイーパー、ゴースト・ハンターと呼ばれる職業につく者達がいる。
彼等は現代社会において、幽霊・悪霊・精霊・妖怪・怪物・悪魔と呼ばれるいまだ未知なる生命体を
退治、または追い払うという仕事をしている。

それらは「現代版のエクソシスト」とも呼ばれ、尊敬もされる職業だった。






 GS六道親子 天国大作戦! 15  〜 アメリカからのレポート! 〜












 とある町にたどり着いたジープから2人が出てくる。
 運転手側から出てきたのは白人男性で、平凡的な容姿とやや筋肉質な体格を持った男だった。男は
リュックを片手に地図を広げ始める。
 助手席側からは女性が出てきていた。こちらは亜麻色の髪を持っているが黄色人でジーパンとカットソーの
地味な格好だが、引き締まった肉体を持ちつつも出る所は出てきる肉感的な美女だ。
 こちらもリュックを背負っているが、右太ももには警棒の様なものをつけていた。

「さっさと行きましょう。久々の大物なんだから」
「ああ、依頼主の家は…あそこだね」

 美神令子の声にマイクは地図を片手に歩き始める。

 町に入るが、そこは人通りが果てていた。2人を出迎えるのは乾いた風と砂のみ。
 2人の足音のみが通りに響く。
 どの家もドアはしっかり施錠し十字架が飾られ、窓にはなぜかニンニクがセロテープでくっ付けられている。
 
 依頼主の家に到着して用件を言うとすぐ通された。予想通り教会だった。
 ドアを開けたら席がずらりと並んで遠くにキリストの像がある部屋に通されれば誰だって気付くだろう。
キリスト様の頭にニンニクの環が乗っているあたりがこの町らしいと言えばらしいが。

「遠い所までありがとうございました」
「………いえ、お気になさらずに」
「ささ。どうぞ」

にこやかな初老の神父にマイクも令子もモウロウとした笑顔を向ける。

 実はキリスト様のニンニクワッカを突っ込まなかったのも辺りに立ち込めるニンニク臭が原因だ。部屋は
もとより、正面の神父からも漂うニンニク臭。お茶請けに出されたニンニクの姿焼きからの臭いで可憐なる
フィニッシュを決めている。

「ハハハ、ご覧の通りわが町ではもうニンニクが手放せなくておりましてな。ささ、おひとつどうぞ」
「ほほほほほほ…お、お仕事のお話を進めていただけないかしら」
「おお、そうですな、ハハハハ」
「…なるべくならあっちを向いてしゃべっていただけると」
「何かおっしゃいましたかな? ミズ?」
「いえ、おかまいなく」

 神父の口臭もひどい。2人とも青ざめながら口呼吸に変えていた。
 青ざめる2人にさすがに話を早く進めようと気付いてか、神父はちょっと顔を横にずらして語りだした。

「昔からこの森の」
「昔語りは結構ですので、今現在の状況をおっしゃって下さい」
「年寄りの楽しみを奪うのですか…まぁ、いいでしょう」

 一言でもニンニク臭を避けたい令子の遮ぎられ、神父は寂しそうに肩を落とすが現状を語りだした。
森に住んでいる昔語りの吸血鬼が森の動物達と町の半分の人間を手下に暴れだしたので苦労している。
助けて欲しいと切実に簡潔に話した。報酬額はここに来る前に既に決着済みだ。

 手下になったと思われる町人のリストを渡されるマイクを横目に令子は不思議に思ってある提案をしてみた。

「吸血鬼の根城がわかってるなら、そこら辺に飛行機でニンニクをバラまけばいいんじゃない?」

 一番低コスト・尚且つ安全策にマイクも神父もギラリと目を輝かせる。

「ベトナム戦争の二の舞的な発言はしないで下さい!! ニンニクが与える環境破壊を…」
「あなた、日本人でしょ?! 『もったいない』は御国の言葉ではなかったんですか?!」
「わかりました! もう言いません! もったいないですもんね! さ、さぁ早く町人達を助けに行かないと!」

 どうやらマイクには「アメリカ人アレルギー」的発言であり、神父には「慈善活動NGワード」だったらしい。
令子の中ではベスト案だったが、彼等には最終兵器的発言に聞こえたのだろう。
 いまだ説教を続けようとする神父に令子はマイクを引っつかみさっさと教会を後にする。これは修行時代の
成果的行動だった。





 マイクは車に戻るとワイヤーとお札を点検しながらベストのポケットへと入れていく。

「金縛りの札とかあったらいいんですが、町人吸血鬼はワイヤーで抑えるしかないんでしょうね」
「そうね。ん〜、ドッチにしようかしら…」

 令子は目の前に置かれたミニボウガンとミニバズーカーを見比べている。

「使い道はミニボウガンの方がありますが、今回は敵が多いですからね。
煙も出せるミニバズーカーの方をお勧めしますよ」
「道具持ちがいれば…」
「素人に荷物持たせてどうするんですか? 目の前で再起不能な怪我して倒れられたり死なれたりしたら
良心に悪すぎるでしょう」
「………」
「あ、僕も自分の荷物で手一杯ですから」

 動きを止めた令子にマイクが予防線を張ってリュックを目の前に持ち上げる。リュックには詰められるだけの
お札と手榴弾、弾があり重量もそこそこあった。

 マイクの荷物を睨みつけながら、今更ながらに日本にいた頃の自分を振り返ってみる。
 荷物持ちの横島は、避ける・逃げるに一級品の動きを見せ、ケガをしても見た目は派手に出血していたが
重傷は…両手両足の指の数位しかなっていない。

<…確かに横島クン、今までよく生きていたわよね>

 まぁ、横島クンだし。と結論を出してミニバズーカーを手にし

「な、何するんですか?!」
「これ入れてくれない〜?」
「ダメです! 却下です! 捨てますよ?!」
「ケチ」
「ケチで結構です!!」

 マイクのリュックに入れようとして阻止された。







 悪路をジープで走る事数分、依頼人が怪しいと言っていた地点までたどり着いた。
 そこからして確かに怪しい。

「…『汝、全ての欲を捨てよ。そして称えたまえ。吸血鬼千年王国万歳!』って…確かに怪しいですね」
「な、なんかどこかで見たような〜聞いたような〜」

 呆れたマイクと頭痛を堪える姿勢をする令子は門のマーチに書かれた文句をしみじみ見ていた。
 そして、そこに吊られているモノには目を背けている。

「ちょっと! 明らかに無視しないで下さい!! 私! 私が見えてるでしょ?!」

 ゆさゆさと揺れ始めた蓑虫、もとい吊るされた少女が動き始めたのでアーチ自体が不気味な軋みの音を立て始める。

「このまま吊るされてたら餓死ですよ! 餓死したら貴方達、身の毛もよだつ怪談話を枕元で延々と呟いてやるわよ!
ここから助けて助けて助けてキャァ?!」

 呆然と見ていた2人の前で蓑虫少女がアーチと共に落ちた。しかし2人とも助けの手を差し伸べなかった。
なにせ少女が西洋式の鎧を身に纏っていたからだ。

 鈍い音をたてた少女だったが、土煙の中で立ち上がる仕草に怪我はなかったようだ。
 感心した素振りを見せる2人の前に怒れる鎧少女が縛られたまま胸を張った。

「この私をアン・ヘルシングと知ってての狼藉ですか?! 今すぐその首かっさばくのでそこになおりなさい!」
「あ〜。あの有名なヘルシングさんの親族の方ですか」
「吊るしたのは私達じゃないし、それに縛られたアンタがどうやって?」
「この縄をほどきなさい! 今なら感謝の言葉をかけてあげてもいいわよ!」
「………相変わらず、世間ズレしている子ねぇ」

 炎を背負って立つ令子にさすがのマイクが助け舟を出した。

「ところで、アンさんでしたか? こんな所でどうして吊るされていたんですか?」

 マイクの中でこんな場所にいる3割・吊るされている7割の疑問をブレンドした問いにアンはやはり胸を
張って答える。

「ここに邪悪な吸血鬼が封印されていると聞き、このアン・ヘルシング。ゴリアテと共に急襲しましたがゴリアテの
攻撃で吸血鬼の封印が砕けてしまって、戦略的後退の間にゴリアテは卑怯な落とし穴にかかり、私は邪悪なる
吸血鬼に『保存食だ』と言われてここに幽閉されておりましたの!」
「………つまり、この騒動はアンタが原因で起こったってワケね?」
「ヒ?!」

 なだめるつもりが油を注いだ事になり、真っ青になるがアンの言葉は取り消せない。

「か、彼女に責があるんですから責任をとってもらいましょうよ! そ、そうだ! レイコは荷物持ちを欲しがって
いたじゃありませんか! 彼女に荷物を持ってもらうって事で! ね、ね」

 逃げ腰ながらも懸命に悪の道を阻止しようとするマイクに令子も少し機嫌を直して無言のままジープに
戻る。それを了解ととったマイクはへなへなと座り込んだ。

「あのぉ〜、できれば何か食べ物をいただけると嬉しいのですが」
「………」

 更に疲れる言葉をかけられて、マイクはそっと胃の辺りをさすった。








 これでもかと霊能グッズをパンパンに詰め込まれた登山リュックを背に、それでも鎧は外さない少女を先頭に
3人が進んで少しすると開けた場所に出た。そこには出ないように迂回しながら、その奥に見える木製の御殿
に3人ともつい目が行ってしまう。
 遠目ながらも、そこは人間が黙々と作業をしているように見える。どうやら町人達は屋敷建設に狩り出されて
いたようだ。

「あいつらは、ただ屋敷を作るだけだから気にしなくても大丈夫。問題なのは」
「ん?」

 こちらを見ていたアンが硬直してしまったのを見て令子もマイクもとっさに自分の後ろを見る。
 そこにいたのはヘビだった。正確に言えば大蛇。いや、正式名称は違うだろうが。

「ヘビ―――?! それもなんだか熱帯雨林系な感じ?!」
「あの邪悪な吸血鬼は希少価値の高い動物を手下にしているんです!」
「そういえば来る時に動物園の動物が盗まれたってニュース流れてたわね」

 真っ青になっているマイクと苦渋の表情をするアンを余所に、令子は登山リュックからミニボウガンを
取り出して射出セットをする。何も殲滅せずとも矢で木に縫い付けて行動不能にすれば良いのだから。

「ダメですよ! そのヘビはワシントン条約で輸出ができないヘビですよ! 価格は1億くだりません!」
「い、1億!」
「そっちですか! 驚愕するネタは?!」
「おまけに、殺したら動物園からの謝礼金も受け取れませんよ!」
「しゃ、謝礼金…!」
「目を輝かせる類の話ですか?!」

 アンと令子のボケツッコミにつっこみながら、マイクは令子のミニバズーカーを構える。
 唐辛子入り弾幕と書かれた弾をセットして木にぶち当ててから3人共風上、屋敷へと走り出した。

 そのまま逃げ切ろうとしたが、今度は正面から本家本元・吸血鬼の使い魔コウモリの大群が押し寄せてきた。

 それを予想していたのか、マイクの手には既に銀弾の機関銃が握られており、令子は神痛棍を構えていた。

 マイクの機関銃が激しく振動し、令子は撃ちもらした使い魔を鋭く叩きのめして行く。2人の後ろでは
人間には聞こえない音を響かせる文庫本大の物を右に左に後ろにふるアン。

 マイク・令子の攻撃よりもアンの攻撃に地面にぶつかり戦闘不能が続出してわずか5分ほどで全滅に近い
有様になっていた。

「このままあの屋敷まで行くわよ!」
「ま、待ってください!」

 慌てて令子を止めようとしたアンだったが、その体はボールの様に横に吹き飛ばされる。

「え?!」
「ナ?!」

 アンはあの重いリュックを背負ったままの状態だ。それをあんなに勢い良く吹っ飛ばされれば一瞬呆然と
してしまった。

 アンがいた場所の少し脇に、ソレは存在していた。
 全身を黒で固め、白いというより青いというべき顔色の長身の男。その瞳には殺気が揺らいでいる。

「またか…」

 男が地の底から呟く声にマイクはサっと銃を構える。

「また我が家を壊し来たな! このならず者共!!」

 その発言にマイクと令子は半眼でアンを睨む。

「じ、実は前にちょこっと大黒柱をへし折っちゃいまして。てへv」

 可愛く笑ったアンに目の前の男は更に殺気をみなぎらせる。

「今度は何をしに来た? また奇声を発して我が心臓を狙いに来たか?」
「私をあの娘と同じに見ると痛い目見るわよ!」
「僕は入ってないんですか?!」

 勢い良く振りかぶる令子と、機関銃を置いてもう一丁の銃を手にするマイク。しかしどちらも男に
攻撃が届かなかった。男は霧の様に姿を消したのだ。

「霧に身を変えたわね?」
「当たり前だ。君等の相手は我が下僕で十分だ」

 吸血鬼の言葉を合図に、周りから動物達が姿を現した。

 オコジョ
 キングペンギン
 カピパラ
 オラウータン
 カンガルー

「「「………」」」

 なんとも可愛らしい下僕達に3人ともフリーズしてしまう。
 それを恐怖と見た吸血鬼は更に得意絶頂になる。

「フフフフ、アメリカ大陸は我が手に、ユーラシア大陸は伯父のブラドー伯爵が、後の細々とした大陸は
ピート辺りにくれてやるかな。これで千年王国の完成だ! ハハハハ!」
「アンタ、もしかしてあのブラドーの一族とか言わないわよね?!」

 可愛い下僕達に成す術もなく突かれたり蹴られたりするマイクとアンを尻目に、1人神痛棍を振るって
容赦なくしばき倒している令子が吼える。

「門に書いてなかったか? マクスヴェル・ド・ブラドーと!」
「「いや〜、アーチの方が気になって」」
「やっぱあのバカ吸血鬼一族かぁぁ!!」

 激高する令子が胸ポケットから携帯電話を取り出して電源を入れる。
 すると、それを待っていたかの様に呼び出し音が鳴り始める。ちなみに着メロは『森の熊さん』だ。
 ピ、という電子音と共に携帯から声と騒がしい音が流れ出した。

『令子ちゃ〜〜ん、今大変なの〜〜!』
「それより冥子、今そこにピートいる?!」
『え〜、いるわよ〜〜』
「じゃ、伝えて。こんのバカ吸血鬼一族!」
『え〜?! ちょっ』

 まだ言い足りない冥子を無視して強引に電話と電源を切る。
 そして、腹立ち紛れにカンガルーに延髄蹴りを決め、腰から手榴弾を取り出した。

「ちょ! 待ちたまえ! それは?!」
「最終兵器・ニンニク爆弾よ!! くらえ!!」

 風上へと投げて2秒、ニンニク爆弾は炸裂した。
 威力の程は低レベルだが、そこからあふれ出る煙にニンニク粉が多量に含まれており、可愛い下僕
達はバタバタと倒れていく。

「レイコ! ニンニクが環境破壊をおこすよ?!」
「グァァ?! 臭い!!」
「環境破壊より今ある危機よ! 続いて第二弾! 聖水スプレー!!」

 スプレーとは名ばかりの拡散型水鉄砲を声のした方へと連射する。

「ギャァァ?!」
「な、なんだか、吸血鬼の倒し方にしてはなんというか…」
「文句ある?! 次! とどめよ! NASA開発のミニ太陽ミラーボー」
「ま、待て! いや待ってください!!」

 電源を入れようとしている令子の前に、霧から人間に姿を変えたマクスヴェルが現れた。先ほどより
顔色が青くなっている。

「今、ここで私を倒しても町人達は半吸血鬼のままだぞ? 私ならアイツラを元に戻せる」
「…今は吸血鬼病の薬があるのよ?」
「しかし、完治には時間も金もかかるであろう?」

 図星だったので令子は顎をしゃくって先を促した。

「何も私はずっと町人達を半吸血鬼のままにしたいわけではない。そこの小娘と連れのデカイ鎧に
半壊された屋敷を修復しているだけだ。直ったら、町人達は町に帰して対人と対魔結界を張る
つもりだったのだ」
「アハ、アハハハハ」
「やっぱアンタが原因じゃない…」

 冷や汗を流して笑うアンを睨む令子の横に銃を背に吊り下げたマイクが来た。

「では、やはりここはアンさんと大きい鎧さんに責任をとってもらうとして家を直してもらいましょう」
「ええ?!」
「ですから町人達は帰して下さい」
「…そうだな。それが責任というものだ。町人達には帰ってもらうか」
「うぅ…はぃ」

 マイクとマクスヴェルにも厳しい顔を向けられたアンはシュンとしながら了承する。
 帰ろうとしているマクスヴェルの後をビクビクしながら着いて行くアンを見ながらふと令子は声をかけた。

「さっき、貴方は『対人・対魔結界を張る』って言ってたわよね? 対人はわかるけど、対魔まで
どうして張るの?」
「我々は魔族だ。今、魔族は人界への介入が禁止されている」
「吸血鬼って魔族だったの?!」
「妖怪だと思ってました!」
「お前等…」

 暴言を吐く令子とマイクにマクスヴェルが鬼気を身にまといながらさっさと木々の奥へと消える。
 吸血鬼が消えると、さすがにマイクは疲れが出てその場に座り込んだ。
 
 吸血鬼と戦い、生き残れた事に安堵のため息が漏れる。
 今回の依頼は『吸血鬼退治』ではなく『町人達を助ける』事なのでこれで町人達が帰ってくれば依頼達成
なのだ。なにも好き好んでこれ以上命の危険を冒さず、町人達が戻ったらこの付近を立ち入り禁止にすれば
良いだけだ。お互い、住み分ける事ができる広さがあることに安堵が広がる。
 これが日本とアメリカの違いなのだが、日本にいた令子もそれを感じているだろうか?
 マイクは視線を令子へと向ける。

「ちょっと、手伝いなさい! 今のうちにこの動物達を縛り上げて確保しなきゃ! 謝礼金もらえないわよ?!」

 相変わらず元気な令子に、マイクは苦笑して手伝うべく腰を上げた。






















 翌日、町人達が元気に戻ってきたので令子とマイクがそれぞれ彼等の血液を採取してた。
 体温他を見ても、半吸血鬼から戻されたと思うが念の為、検査をするのだ。

 依頼主と町人達に見送られてジープに乗り込み町を出る。

 令子は助手席に座りながら携帯電話の電源を入れる。
 この携帯は仕事用ではない。特にメールも留守電も入っていなかった。

 令子の目にフと文珠2個が目に入る。
 透明色に輝く珠が手の平をすべり、ゆらりと視界から消える。

 その瞬間、令子の親指が動き、画面に現れた名前を数秒見てから何事もなかったように携帯を閉めて
胸ポケットに入れる。

「確か、次はニューヨークでの仕事だったかしら?」
「はい。図書館でのちょっとした騒動ですが、結構ニュースでも取り上げられてますから魅力的ですよ。
知名度を上げるためでしたら」
「そうね」

 令子は満面の笑顔を浮かべる。

「アメリカトップのゴースト・ハンター。私にぴったりの称号じゃない?」


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