椎名作品二次創作小説投稿広場


横島、逝きま〜す!

忠夫さん修行ですよ。


投稿者名:担当V
投稿日時:07/ 2/ 4

「よし。横島そこで座禅をするんじゃ。」

「はい。師匠」

俺に稽古を付けてくれている60才過ぎの頭髪の寂しくなった(剃ってるんじゃっ!)この人。

現白竜寺住職にしてGS白竜会の会長・・・白竜斎師匠だ。

GS業界での実力は下の上(余計なお世話じゃっ!)。

但し、他人に修行を付けるのは割と巧いようだが。

都心部の地価高騰により自縛霊の除霊は超ボロい商売になった。

もはやこの日本に幽霊を住まわせる土地など無いのだっ!

私の名前は横島忠夫。この白竜寺で門下生として修行を付けて貰っている。


理由はもちろん−−−−、


「あら。忠夫ちゃん座禅中?良いわぁ。お目覚めの『ちゅう』しちゃおうかしら?」

「やめてぇぇぇ!!!!」


このオカマのせいである・・・・。




第2話 忠夫さん修行ですよ。




☆★☆★


あの日、泣いて弟子入りを志願した(と言うか強要された)俺は家に帰ってから考えた。

(ぜってぇオカマの弟子なんかにはならんっ!)

(俺から白竜寺に行かなければオカマに付き纏われることもないだろう)

そう考えた俺は、明日からいつもの日常に戻ることを信じて疑わなかった。

(あ〜あ。明日は駅前の方に絞ってバイトを探してみるか)



キーンコーン、カーンコーン


「きりーつ。れい。」

日直の声が聞こえて目が覚める。

(終わったん?・・・帰ろう)

授業は出るだけで基本的に寝ている方が多い俺。

放課後になったので今日は駅前の方に行ってバイトを探そうとカバンを掴み教室を出る。

校門を出て駅前に向か、って・・

「あら?学校は終わり?忠夫ちゃん。」

居た。

紺色の胴衣に『白竜』の文字。

頭髪は綺麗にポマードが塗られている。う〜ん。ダンディだねぇ。

無駄にさわやかに笑いかける最終兵器オカマ田勘九郎がそこに居た。


「ダメじゃなぁい?稽古をさぼっちゃぁ。」

俺に擦り寄って耳に息を吹きかける!

「はあ〜ん!!無理ッス!耳はっ!息がっ!いやああああ!!」

全力で走ろうと、逃げようとするが。

「・・・だから猫じゃ無いんだから。」

猫のようにぶら下げられ白竜寺に拉致(違うわよ。エスコートよ)されていく俺であった。

「お師匠様が忠夫ちゃんに会うのを楽しみに待ってるわよぉ。」

後日、クラスに横島忠夫ホモ疑惑が蔓延するんだがそれは余談だ。


☆★☆★


「ハアハア。師匠!石段往復終わりました。」

恒例の石段往復ダッシュを終えて師匠の所に行く。

ここに通い始めて既に3週間。最初の日に死に掛けていたのが嘘のようだ。

「うむ。なかなか速くなったようじゃな。よし。次は基礎霊力の増量稽古じゃ。」

「は、はいぃ。」

新入りの俺は師匠直々に稽古を付けて貰っている。

正直オカマに稽古を付けられるよりずっとマシだ。しかも、あのオカマは学校から帰るのが遅れると迎えに来るし。

おちおちサボることも出来ない。

で、なんで俺が霊能力関係の稽古を付けて貰っているかと言うと、

「ワシは霊的格闘術以外は知らん。教えられん。」

との師匠の一言だった。

外見を取り繕うため白竜寺の門下生として修行するのだから、才能があろうが無かろうが関係なく霊能力の稽古をする事になったのだ。

一応、人間は多かれ少なかれ霊力というのは持っているらしい。

それを知覚して使いこなせる者が、悪霊と闘える力を持つGSと言うわけだ。

そのコントロールの条件は先祖代々の血筋だったり事故の後遺症だったりするんだが、修行によって目覚める者も多々居るのだ。

この俺にも微々たる物だが霊力は有るっつーことで、まずは霊能の基礎の基礎。

自分の霊力を知覚する修行を行っている最中なのだ。

これについては説明するまでもない。

只々、座禅を行う。

精神を集中して己の霊力を解放する。ただそれだけ。

詰まるところ、既に霊力を知覚している人間から見れば自分に霊的負荷を掛けることで霊力を増量する稽古ってことだ。

だから師匠やオカマは霊力増量稽古とか言ってるが、

(持久走の走り込みみたいなもんか?)

最初に教えられた時はそんなイメージだったが。

得てして間違ってはいないだろう。


・・・バシィィイイイッ!!


「痛ってぇぇっ!」

師匠が白竜寺式精神注入棍、通称『ホワイト・ファング』で俺を打つ。って痛いちゅうねん!!

「横島ぁぁぁ!なっちゃいない!本当になっちゃいないぞっ!」

「し、師匠ぉぉ!!」

俺はこの修行を10分以上持たせたことが無い。

霊力が知覚出来ないんで目を瞑ってるだけになってしまい結果、雑念が・・・

「何でお前は集中できんのじゃあ!!」

師匠のお叱りを受けながら俺は憮然として、足下を指さす。


そこには俺の膝に擦り寄っているオカマの姿が・・・。


「いやぁん(ハート)」


いや。もうマジで死んで下さい。師範代?さん。


☆★☆★


長い石段を登って、今日もやって来ました白竜寺!

「なあ。横島。俺と組み手しようぜ!」

道場に来るなり雪之丞からのお誘いが、って組み手?

ああ。そういやこいつ何時も道場で1人稽古してたんだよな。

俺が弟子入りするまでは師匠達と組み手もしてたって師匠から聞いたぞ。

オカマが俺に付き纏っているから1人稽古せざるを得ないのか。

「おいっ!聞いてるのか?」

何故か苛立ちながら聞いてくる雪之丞。

「痛いから勘弁な。師匠は?・・・それと、オカマ。」

組み手は痛そうだからスルーの方向で。話題を変えるのに2人の行方を聞いてみる。

「2人は仕事だってよ。」

ああ、除霊の仕事ね。で、あぶれた雪之丞は機嫌が頗る悪い、と。

そして、俺の話題を逸らすって言う目論見は完全に破れた。

「俺も現場に行きたかったぜ。これじゃあ何のために強くなってんのか解りゃしねえ!」

右手に霊力の光を宿らせ呟き俺を見る。

(うっ!むしろ逆鱗に触れたって言うか火に油を注いちまったぁぁ!)

「師匠に格闘術の基礎くらいは習ったんだろ?」

「ま、まあ。構え方くらいは。」

ん?後、防御と足捌きを中心に幾らか教えて貰ってるな。

「じゃあ。手加減するからよ。殺るぞ?」

そう言って構える雪之丞。

(あうあうっ!目がっ!ギロ!ってちょっと待って、やるってイントネーションおかしくね?)

「ふっ!」

右半身に構えていた雪之丞が飛び込んでくるっ

「おわぁっとっ!」

突き出された右のストレートを左に飛んで避ける!

(おいおいっ!右手っ右手!霊力集まってる!光ってる〜!!)

霊力を込めた拳で物を殴るのは、ただ殴るのより何倍もの衝撃を与えるのだ。

その破壊力は収束した霊力や総量に比例して強くなる。

それを防ぐには受ける側も霊力で防御すること。霊力は霊力で相殺するのが霊的格闘術の基本だ。

「俺は霊力使えないんやど〜!」

続いて来た左回し蹴り(霊力込み)を更に後ろに飛ぶことで回避する。

「へっ!避け方は様になってるじゃねえか!・・・少しは楽しめそうだぜ。」

雪之丞がさっきまでの不機嫌は何だったのよ?つーくらい楽しそうな笑みを浮かべて構え直す。

(こいつ。バトルジャンキーの気が有るんやないんか!!?)

「おらおらぁ!!次々行くぜぇぇ!」

とっても上機嫌で飛び込んで来ようとする雪之丞から更に後ろに大きく飛んで間合いを取る!

(こうなったらっ!)

俺は雪之丞に背を向けて、


「戦略的撤退〜〜!!!」


全力で道場から走り出すっ!!

「んなっ!?・・ま、待てっ!」

今日は、このまま雪之丞を撒いて帰ろう。

痛いのは何より嫌だし。それにオカマが居ないなら夕飯も期待できない。

(い、いや。決してオカマの手料理が食いたいとかそういう事でなく・・・)

何か考えて悲しくなって来た。さっさと帰ろう。

俺は道場を抜けて母屋へ、更に本堂に入って疾走する!

「待てぇ。横島ぁ〜!」

母屋の方から雪之丞の声が聞こえてくる。

ふっ。甘いな。遅すぎだぜ雪之丞。入り組んだ本堂なら俺を捜すことも出来ないだろう!!

(完璧だ!!完璧な撤退経路過ぎて自分が怖いぜ。)

さて、境内を横切って山門へ抜ければ後は街まで一直線だ。

(あ〜ばよ〜♪とっつぁん、ってね。)



☆★☆★


「遅かったなっ!横島ぁっ!!」

・・・山門には霊力全開の雪之丞が仁王立ちで待っていた。

ボク、その全身から立ち上る霊力が怖いんですけどっ?

「な、な、な、ななななぁぁ!ゆ、ユッキーぃぃのじょぉぉ!」

「あめぇぜ横島。街に降りるにはこの山門を通るしか道がないんだから。」

が、ががーん!!!!

(よ、よりによって雪之丞に先読みされるなんてっ!誰だよ!完璧な撤退経路とか言ってたやつは!)

雪之丞が得意の右半身に構える。・・・さっきより霊力が増えてるように見えるのは気のせいでせうか?

「い、い、いや。あの。ゆゆゆ雪之っじょうっさん」

恐怖に呂律が回らない。自分でも何を言ってるのかさっぱりだ。

「覚悟しろよ横島ぁ!お前は俺に火を着けた。この火照り、冷まさせて貰うぜぇっ!」

「言ってて恥ずかしくないか?その台詞?」

(ぬぁぁぁぁっ!!何でそう言う時だけ呂律回るのっ?)

悲しいかな関西人の性。突っ込みどころでは恐怖も凌駕するらしい。

「う、う、うるせぇぇっ!」

真っ赤になって殴り掛かって来るっ!!

「い〜やぁぁぁ!犯されるぅぅぅっっ!」

右に飛ぶ。さっきまでいた空間を雪之丞の拳が通り過ぎていく。

やべえって!当たったら普通に死ぬぞっ!

「犯すって何だよっ!」

空ぶった勢いを利用してそのまま流れるような右回し蹴りっ。

っじゃないっ!!

回し蹴りと見せかけ、上げた足を降ろしそれを軸に左ストレート!

「うわわわわっ!!!」

当たったら死。間違いなく死んでしまう。

思わずしゃがみ込んでゴキブリのように後ろに下がる。


ガッッッ!!


俺の背が山門に当たる。

「あ、あ、あ。」

やべえ。怖いっ!しょんべんちびりそう。

こっちを向いた雪之丞が掲げた右手に霊力の光が収束していく。

にやぁ

ユキノジョウガワラッテイル。

ユキノジョウガミギテヲフリカブッテ・・・。

「喰らえぇぇ!横島ぁ!」

イヤダイヤダシニタクナイ・・・ドウテイノママシニタクナイ

「俺は後楽園ホールで全裸美女にもみくちゃにされながらジョニーBグットを歌うんだぁ!」

俺の身体の底から何か熱い物が湧き上がって、

・・・それが右手に「すいません。俺、陰念って言うんすけど。

無意識にかざした俺の手と雪之丞の拳がぶつかりあうっ!


ずど〜ん!!!!


門下生のぼ、しゅううううううぅぅぅぅぅぅぅぅ〜〜」ひゅ〜〜ん・・・・グシャ。

ぶつかり合った場所を中心に霊力の爆発が起きて、俺は、気を、う、し、な、っ、た・・・。


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