椎名作品二次創作小説投稿広場


BACK TO THE PAST!

誰が為に鐘は鳴る3


投稿者名:核砂糖
投稿日時:06/12/ 2







・・・・前回の試合で見事美神さんから勝利を掠め取り、ドキドキしながら控え室に戻ろうとした横島(ヨーコ)は、いきなり何者かに拉致され、呪縛ロープで縛られた挙句、何処かの倉庫に押し込まれてしまいました。

気付けば回りにはあの時GS試験の不正を暴こうとしていた世界トップクラスのゴーストスイーパーの方々(プラス小龍姫さま)に囲まれておりまして、うわ〜い豪華な顔ぶれうれしーなー・・・・





(って恐いっすよ!!!)





皆さん絶望的な表情でこちらを見下ろしていて、今後どうすれば良いかを決めかねてるっぽい。(冥子は一人、よく分かっていないみたいだったけど、それはそれで恐い)

特に美神さん。何かに取り付かれたようにナニカを呟いている。

「この私がアマチュアに負けるなんて何かの間違い何かの間違い早く修正しなければ・・・」

「ちょっ・・・マジ勘弁!!闇に葬られるのだけはいやぁぁぁぁぁっ!!!」

横島(ヨーコ)が本気泣きしそうになりながらじたばたと暴れると、まさに神の救いか。唐巣神父が場を和ませてくださった。

「・・・美神君、ちょっと油断しすぎただけなんじゃないかね?
まあこうなってしまった事は仕方がありませんし、どうです?美神君の役を彼に引き継いでもらうのは?」

「ナイス提案唐巣神父!あなたに髪のご加護のあらんことを!」

「・・・見捨てるぞゴルァ」

「キャラ違くねっ!?」


唐巣神父が若き日の迫力を取り戻しかけたその時、エミも続けて口を開く。

「その考え賛成なワケ。そもそも令子が負けちゃった訳だから他に手は無いしね。

それにしてもアマチュアの癖にアンタやるわね。令子のヤツは油断してたなんて言っていたけど舐め切っていた訳じゃないし、それに実践だったらそんな事言ってられないワケ」

そう言ってはにかむような笑みを浮かべるエミ。


なんかカワイイ。・・・そういやこの人美神さん並に美人なんだよな〜(性格悪いけど)


横島(ヨーコ)は一瞬そう思ったが、

「よかったわねー令子。これが実践じゃなくて・・・・ほ〜ほほほほほっ!」

「ぐぬぬ・・・・」

やっぱりエミはエミな訳で、がっくしと肩をおろす。

エミは横島(ヨーコ)に負けたせいで大恥かいた美神が愉快で仕方がないようだった。挑発されても言い返せない美神さんはプルプル震えながらこうなった原因(ヨーコ)を睨みつけてくる。

・・・エミさん、この人苛めるのはこの辺にして置いてください。なんだかその皺寄せを全て俺が喰らうような気がするんです!!!


横島(ヨーコ)の心の叫びを知ってか知らずか、美神は自ら状況を切り崩した。
「あ〜もう!分かったわよ!私の負けよ!!使い慣れた武器じゃなかったし、道具制限まであったんだから次はそうはいかないけどね・・・てゆうかアンタ何者なのよ!

アマチュアにしては戦い馴れしすぎてると思うんですけど!」

ついに吹っ切れて、グリグリと横島(ヨーコ)の事を踏みつけながら問い掛ける美神。



ああやめてっ!クセになるからっ!!そして踏みつける為に振り上げた足の隙間から秘密の花園がっ!!!



「私も知りたいですね。協力してもらう人について素性を知らない訳にはいきませんし・・・」

小龍姫さまも美神さんと同様問い掛けてくる。(しかし小龍姫さまは横島(ヨーコ)の狙いを知ってか知らずか踏みつけてくれなかった)


「ってゆうかワタクシ協力するって事を前提に話が進んでいるような・・・」
ふとおかしな流れになりつつあることに気付いた横島(ヨーコ)はそう発言するが、
「拒否しようなんて考えない方が良いワケ」
「拒否するんなら冥子をけしかけるわよ。それだけの霊能力を持ってるんなら六道家の恐ろしさぐらい知ってるでしょう?」
「よくわかんないけど〜〜冥子がんばるわ〜」


退路は絶たれてしまったようだ・・・。


そこの神父と神様、頭抱えるぐらいなら助けてくださいよ!!迷える子羊が大ピンチですから!!


横島(ヨーコ)は救いを求めて仏教神&神の使いに子犬の目線を送る―――が、目をそらされる。


祈り通じず。どうやら自分で何とかしなければならないようだ。




・・・仕方ない。ばれるかも知れんけどでっち上げのプロフィールでも答えるか。


「え〜とですね・・・美神さんの読みの通り俺は素人じゃないっす。

まぁ俗に言う・・・はぐれ霊能力者の一人なんですよ」

「はぐれ霊能力者だって?」

唐巣神父が話しに食いついてきた。


はぐれ霊能力者――――それはGS協会などの表の社会ルールに適応できなかった霊能力者たちの総称である。
例えば一子相伝の秘伝を有している奴らとか、強力すぎるゆえに禁止されてしまった技を伝承し、密かに裏の社会を生きるとか、そういう奴らの事である。

そう言った連中は、スネに傷があるゆえに、普通は一生裏社会で暮らすのが普通なのだが・・・

「いや〜最近ウラの方も不景気でしてね。それでちょっくらオモテ社会にでも出てみようかと、チョチョイと戸籍をねつ造して、んでもってGS免許とって普通の暮らしをしようかと」

「イヤ・・・ねつ造とか、GSとかやってる時点で普通じゃないワケ」

「それを言っちゃ〜お終いっすよ〜」

「・・・明らかに嘘臭いわね」

美神は、ちっとも信用していない様子で、未だに横島(ヨーコ)をグリグリと足蹴にしている。


・・・イヤ、俺腕折れてんだって。マジ痛いんですけど。


しばし、「どうするコイツ?信じる?・・・やばいんじゃね?的」な空気が流れるが、今は時間が惜しい唐巣神父が、結局の所協力を頼む事に決めたようだった。

「まぁ時間も余り無い事ですし、信じる事にしましょう。

え〜っと・・・」
「シマタダとでも呼んで下さい」

「それ偽名?」と、すかさず美神の突っ込み。

「ノーコメントっす」
「ふ〜ん。ナマイキ」
「・・・」

三白眼で横島(ヨーコ)を睨む美神。
どうやらよっぽど根に持っているようで。

ちなみに、GS業界で偽名と言うものは割りと一般的なものである。それどころかこのGS試験のエントリーでさえ偽名を使って良い事になっている。

その訳は、オカルト分野では相手の真名を使って発動させる呪術が多々あるからで、
己の名を公開したがらない連中が多いからである。

ちなみにGS免許には複雑な術がかけられており、偽名でも本人と確認できるようになっているので身分詐称とかそう言う心配は(ほぼ)無いらしい。



「ま、それはいいとしてだ。

シマタダ君、我々の任務はこのGS試験に紛れ込んだ魔族の手先である受験者を探し出し、不正を暴く事だ」
「えっ!?魔族だって!!」
神父の説明に、驚くふりをする横島(ヨーコ)。かなりわざとらしかったが、幸い勘付かれる事は無かったらしい。

そして横島(ヨーコ)は脳みそをフル回転させ、今後の行動を練り始めた。


う〜む。今回は前と微妙に歴史が変わっちまったからな・・・。でも何とか雪ノ丞と過去の俺が戦えるようには仕向けたい。
・・・これはかなり個人的な我侭かも知れんが、この戦いは俺が本当に霊力を使えるようになった原点だ。そして、雪ノ丞というライバルを得た瞬間でもある。


なんとかうまくやらねぇとなぁ。


「一応現時点で犯人の目星はついた。我々はどうも白龍会という連中が怪しいと睨んでいるんだ。
そこで今度は何とかして彼らからメドーサ――魔族のことなんだが――とのつながりを証明する証拠を掴もうとしているところなんだ」

「白龍会!俺、そこの人間に知り合い居るっすよ」
「本当かい!?」

横島(ヨーコ)の言葉に、また神父は上手く食いついてきた。

「分かりました。奴に証言するように頼んでおきます(ホントはもう言ったけど)。

・・・ですが一つだけ条件が」

「条件?相手は魔族に手を貸していたんですよ!そんな事・・・」
突然飛び出した「条件」発言に、小龍姫は声を荒立たす。
しかし横島(ヨーコ)も譲らなかった。

「すみません・・・ですがどうしても奴に証言させるのは、ヤツがこのGS試験を戦い抜いてからにして欲しいんですよ。って言うか試合が終わり次第向こうから証言しに来ると思います。

それにあいつらだって好き好んで魔族と手を組んだ訳じゃないんです。
ただ、チカラを得る方法を間違っただけなんすよ」

「しかしだね、君・・・」

「そこを何とか!」

床に転がされた状態から、更に床に額を擦りつけるようにして頼み込む横島(ヨーコ)に、人の良い唐巣神父は結構簡単に折れた。

「・・・分かった。君の言う通りにしよう」

「ちょっと唐巣神父!?」
この大甘決定に思わず美神が食いかかってきたが、同じく人の良い小竜姫さまもこれに賛成したため、しぶしぶと引き下がる。


「それじゃぁとりあえずシマタダ君、キミはこれからも試合で勝ちつづけていてくれ。それで不審なヤツが居たら報告して欲しい。

・・・おっと、もうすぐ私の弟子の試合だ。そろそろ試合会場に行こうか。美神君、彼の縄を解いてやりたまえ」

唐巣神父の言葉に従い、美神、横島(ヨーコ)を除く一同はゾロゾロと部屋を出て行く。




そして部屋には美神と横島(ヨーコ)だけになり、なんとなく気まずい沈黙が流れた。



やがて沈黙に耐えられなくなった横島(ヨーコ)が口を開こうとした時、美神の方が口を開いた。

「あんた、ちょっと聞きたいんだけど・・・。やっぱ、アタシの変装ってバレバレだったりする?」


横島(ヨーコ)は、一瞬彼女の言葉を理解できずにいたが、やがて合点が行く。
美神は、試合中横島(ヨーコ)が、思わず美神の名を口走ってしまったときのことを言っているのだ。


(ちなみにその時の声は余り大きくなかったので、周りには聞こえていない・・・・という事にしておいて下さい。・・・(涙)by筆者)


横島(ヨーコ)は、まさか「いや〜自分未来知ってるもんですからっ!」などとのたまう訳にいかないので、当り障りの無い言葉を吐いてみる。
「いや・・・そりゃ最初は解かんなかったんすけど・・・。よく見りゃ美神さんだなって・・・」

「・・・そうよね〜。なのに何でみんな気付かないのかしら・・・声も同じなのに・・・」





―――――人はそれを『お約束』と言う。








さて、横島(ヨーコ)が、文珠で折れた腕を治療しつつ、えっちらおっちら試合会場に辿り着くと、そこでは雪ノ丞とピートが激しくドンパチを繰り広げている所だった。




――――URYEEEEEEEE!!!!

――――くそっ!吸血鬼め!!!




 あ〜なるほど。そういやこのタイミングだったのか・・・。


そんな事を考えながら、試合を観戦していると、ふとあることに気付く。

「ん?アイツ・・・なんであんなに怒ってるんだ?」

そして思い出す。過去のこの試合で、ピートは試合前に師匠である唐巣神父が、どうやらこの対戦相手の手の内の者のせいで大怪我を負ったというでたらめを吹き込まれていたのだ。

今回もどうやらこの歴史は繰り返されてしまったらしい。よく見れば観客席に唐巣神父の姿は、あの時と同じ、まるっきり似合っていない女装だった。


・・・この作戦は雪ノ丞をボコして白龍会の事を吐かせるための作戦だ。


「おいおい、試合が終わるまで待つって言ってたじゃねーか!!」

思わず横島(ヨーコ)は美神に詰め寄るが

「しょうがないじゃない。その話が出たときにはもうピートに話を吹き込んじゃってたんだから。

それにコレで試合に負けたとしてもそれは試合終了って事でしょ?」

といけしゃあしゃあとのたまう。


確かにその通りな訳で、そして未来の記憶だと雪ノ丞が勝利する事を知っていたので、仕方なく引き下がる横島(ヨーコ)。






だが・・・



 そーいやあの時、白龍会の妨害がなければピートが勝ってたかも知れないんだよな・・・。


・・・・やべぇ今回はアイツ、もう白龍会と手ぇ切ってるじゃねぇか!















―――――この場合・・・・どっちが勝つんだ!?


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