季節は秋。温泉シーズンが始まったある朝から始まる。
「・・・で、横島君これはどういうことかしら?」
朝から美神の声が事務所に響く。その美神の座ってるデスクの上には『休暇願』と書かれた物が置いてあった。
「いや・・・字のとおり休暇をお願いしてるんすけど・・・」
「何であんたに休暇なんかやらないといけないのよ!!!」
と美神の鉄拳が横島の顔にめり込んだ。
「ぶへっ!!!」
とお決まりの言葉を口にしながら床にノックダウンされる横島。鼻からは鼻血が出ている。
「ちょっ、美神さんいくらなんでも理由も聞かずに殴っちゃ駄目ですよ!!!」
とお決まりのおキヌちゃんの制止がかかった。
「そっそうでござるよ!!!いくらなんでも横暴でござる!!!」
「まあ、確かにひどいよね〜」
とこれまたおなじみのシロとタマモの抗議が出てくる。
「(うっ・・・)」
流石にこうまで言われると流石の美神も話ぐらいは聞かざるをえない。
「(まあ、話しぐらい聞いてもいいわよね・・・)それじゃあ話を聞こうかしら?」
流石に悪いことしたかもと思った美神は話を聞くことにした。
「いや、実はですね・・・」
とさっきまで鼻血を出して床に倒れたはずなのにすでに復活している横島、恐るべしである。
「温泉に行こうと思ってまして・・・」
「「「「はあ!!!?」」」」
見事に横島以外の声がはもった。
ことの始まりは昨日の夕方である。
「はあ・・・このインスタントであと給料日まで過ごさなあかんのか・・・」
と商店街のスーパーから帰り道で横島はつぶやいた。片手に持ってる袋にはカップインスタント数個が入ってる程度である。
「ああ・・・どっかにお金でも落ちとらんかなあ・・・」
とそんな夢のようなことをいいだす始末である。
「こうやってふと足元見たらお札の一枚でも・・・・・」
と下を向くとなんとそこには夢みたいにお札があったのだ。
「おお、お札!!!!!」
とすかさず拾おうとするとそこはお決まり。お札は風に飛ばされ宙を舞いひらひらと飛んでゆく。
「逃がすか〜〜〜!!!」
と全力疾走でお札を追いかける横島。お札は路地を曲がっていき横島もラストスパートをかけた。そしてそのおかげかお札はとうとう地面に落ちた。
「よっしゃ〜〜〜!!!これでしばらく首がつなが・・・」
とひろったお札を見ると『超☆ガラガラ福引券〜絶対に当たるヨ♪〜』と悪徳キャッチセールスのような福引券だった。
「ダーーーッ!まぎらわしいんじゃーーーッ!!!」
とキレて福引券をビリビリに破きそうになったそのときであった。
「お、お兄さん福引かい♪」
と突然に声をかけられた。
「へっ?」
と横島が声がしたほうを見ると・・・
路地の中だというのになんと福引所があったのだ。しかも看板には例の悪徳キャッチさながらの『超☆ガラガラ福引〜絶対に当たるよ♪〜』と書いており、店員は怪しさ全開でハッピを着ているのにサングラスとマスクと野球帽をかぶった長髪のおにいさんがいた。
「お兄さん福引券持ってるんだから福引するんだろ?」
「いや・・・俺はたまたま拾っただけで・・・」
「お、そんなに商品が気になるのかい?フフフそんなにいうなら教えよう」
「そんなん一言もいってないわ!!!」
とすかさず突っ込む横島。
「ではまず三等のティッシュだろ?そんで二等はカップインスタント一年分!!!」
「商品数少なっ!!!」
「そんで一等は超☆豪華温泉極楽天国温泉宿『地獄亭〜地獄の泥沼や血の池もあるよ♪〜』の送迎タクシー付全食喰い放題(マツタケついてるよ)の二泊三日お一人様宿泊券だ!!!」
「おい!一等突っ込みどころ多過ぎじゃねえか!極楽なのに絶望!?しかもペアじゃねえっ!!!」
と関西人顔負けのコントを繰り広げた。
「ま、とにかく一回きりの人生だ。潔く往生しろ」
「何で福引で往生しなアカンねん!!!」
といいつつ横島はガラガラの取っ手に手をかけた。一等は絶対無理だが二等にはとても興味を引かれたのである。
「(フフフ、これならしばらく食には困らんぞ)」
「ガラガラガラ・・・」
と心の中で既に二等に当たった気になった横島はガラガラをまわし始めた。
「・・・コロン」
「「・・・・・・・」」
「おめでと〜〜〜!!!見事金玉一等当選〜〜〜〜!!!!!」
「よっしゃあああ〜〜〜インスタントも惜しかったけど喰い放題の旅ゲットじゃ〜〜〜!!!」
とこれまた大はしゃぎした横島。怪しすぎる福引所に何の疑問も抱かず目録を受け取って帰宅したのであった。
「ということなんすけど・・・」
と一通り説明をした横島。それをきいた美神以外の反応は・・・
「(横島さんが一人で温泉!!?もしその温泉にいけたらチャンス!!?)」
「(横島と一緒に温泉につかって・・・」
「(横島先生とご飯を一緒に食べて・・・)」
「「「(誰も知り合いがいない中で・・・)」」」
と各自悶々と妄想し始めた。
「「「(なんとしても行きたい!!!!!」」」
「横島さん行ってきたら!!?」
「たまには休暇もいいんじゃない!!?」
「先生温泉疲れを取って来て下さいでござる!!!」
とおキヌちゃん、タマモ、シロは口々に自分達のために勧め始めた。その勧め方は鬼気迫るものである
「(ああ、そんなに俺がいないほうがいいのか!!!)」
と並の人なら思うぐらいである。しかしそこは鈍感な横島なのでまったく気がつかずむしろ「(みんなありがとう!!!)」とジーンと感動した。
「・・・つまり三日休みが欲しいの?」
と美神は突然切り出した。
「へ?いいんですか休んでも?」
意外にあっさり?認める美神に動揺を隠せない横島。
「・・・休みはいらないって事でとってもいいの?」
「いえ、謹んでお願いいたします」
とオーラを放ちだした美神に土下座をする横島。とことん上下関係が発揮されている。
「じゃあ、日付け指定なんで来週の三連休でいいスか?」
と言うや否や美神は手帳にガリガリとさっと何かを書き、
「わかったわ・・・ただしお土産買ってくんのよ!!!」
といった後美神はデスクを離れて自室にもどった。
「ふう・・・」
と自室に入るや否や美神はバタバタと旅行カバンを出し始めた。
「《ミス美神、あなたもどこかにいくのですか?》」
と、どこからともなく人工幽霊一号か声をかけてきた。
「え、いや・・・ちょうど横島がいないし、私も羽根を伸ばしてもいいでしょ!?」
あからさまにあわてている美神。彼女も『横島と一緒に温泉計画』を実行しようとしていたのであった(笑
果たして横島の温泉旅はいかがなものになるのだろう?
しかしそれは次回のお楽しみ♪
GSの小説を書くのはもちろん初めてです。ですのでご指摘をいただけるとすごく嬉しいです。
ツッコミ・感想お待ちしてます。 (キンピカ)
でも、あからさまに作為的なものを感じる福引だ♪
最初は怪しんでも、すぐのるのが横島らしいし♪
キャラの性格も良いし、今後、どうなっていくか、楽しみにしています♪ (とろもろ)
一等賞にかこつけて女たちが企みだしただって?違うね!福引の時点でこれは罠だ!
思わずジョジョ風になってしまいました。横島はほんと疑うことを知りませんなあ
ところで人工幽霊はオーナーと呼ぶはずです (九尾)
>とろもろさん
そういってくださると自信が出ました。ありがとうございます。なるべく早くに更新するので楽しみにしてください。
>九尾さん
そうですね〜それが彼のいいところでもあり悪いところなんですがね〜(笑)
ギャーーーーッ!痛恨のミスorz確かにオーナーって言ってたーーーッ!
次回から気をつけます。 (キンピカ)
いわゆる「掴みはオッケー!」って奴ですな。
女性陣がどう動くか!
ここの美神さんは結構素直っぽいですな。ツンデレ?自分にまでは嘘ついてなさそう。
この怪しい店員の正体はもしや…
更新が楽しみです。
ところで。
>極楽なのに絶望!?
この「絶望」ってどこから出てきた言葉ですか?怪しい店員の言葉には「絶望」という単語はないんですが。
もいっちょ。
三時間かけて立ち読み…勇者ですか?つか、買いましょうよ(汗
いや、たしかに約40冊はけっこう高いか。
最終巻(39巻)までは読んでないんですねぇ。 (スケベビッチ)
ギックゥ・・・・・ダ〜ラダ〜ラ(滝汗)
自分で読み直していて途中で書き直しするのを忘れてましたorz
実は最初は『地獄亭』ではなく『絶望亭』にしようとしていたのですが途中で思い直して修正するのを忘れてました。
よく見たらミスがいっぱいなこの作品・・・つ、続きこそミスのないようにします(汗)
三時間かけては自分にとっては普通です(笑)
最長は5時間ぐらい?です。
自分は読み物はものすごく集中してます。
それでも古本屋には37〜39巻がない(泣)
この作品では美神はおっしゃるとおり完璧にツンデレです(笑)横島が好きなのは自覚してるんですが素直になれない・・・そんな美神にしていくつもりです。 (キンピカ)