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GS六道親子 天国大作戦!

もし星が神ならば! (後編)


投稿者名:Tりりぃ
投稿日時:06/ 9/30







おキヌがホテルの扉を蹴り上げる。

「横島さん!!」

そして、立ちはだかった最後の扉をも力いっぱい開け放った。
そこには妙齢の女性が男性にのしかかっていた。女性の方はなんじゃ、という顔だったが男性の方はさながら
浮気現場を妻に抑えられたがごとく、慌てていた。

上にいた女性が少し体勢を直したので下の男性の顔全体がおキヌの瞳に映る。

「何してるんですかぁ?!」

男性に向けて、おキヌが悲鳴をあげた。
1歩遅れておキヌの後ろから現れた美智恵が驚愕で体を硬くする。
女性はバスローブ、男性は腰にバスタオルを巻いた状態であったのも原因の一部であるが。

先陣2人に目もくれず、彦星と織姫が痴話喧嘩に突入するのを横目におキヌと美智恵、神父はフリーズしたままだった。
そこへ、冥子がとてとてと部屋に入ってカメラのシャッターを切った。

「これも〜 思い出よね〜 ………お久しぶりです〜 西条さん〜〜」

冥子のつぶやきに天神たち以外は、時間を取り戻した。






GS六道親子 天国大作戦! 13  〜 もし星が神ならば! (後編) 〜





そう、織姫の下で暴れていたのは西条だった。

冥子はニコニコとしたままだったが、唐巣神父は気を取り直した。

彦星と織姫は相変わらず痴話喧嘩を繰り返している。これはよい。良くないのは織姫が変身している人物が
問題だった。唐巣神父の目に映る織姫は亜麻色の髪をアップにし、ボン・キュ・ボンの身体をバスローブに
包んだ美神令子に見える。が、どうも全体的なイメージは、やや令子より大人っぽい。

織姫が変身した元が美神令子に見えるか、ちょっと若い時の美神美智恵に見えるかでこの場の惨劇の度合いは
違ってくるのではないだろうか?
神父はそぉっとおキヌと美智恵を伺った。

数秒後、地獄の底から這い上がる声がおキヌから漏れ出した。

「………人妻になった美神さんに、そんな妄想をいだいていたんですか?! 最低です!!」

世界を狙えるくらいの速さで近づいたおキヌの平手が西条に決まった。
どうやらおキヌの目は、織姫は令子に見えたらしい。まぁ、美智恵に見えても結果は同じだったろう。

神父は更に顔色を青ざめながら美智恵に視線を送った。美智恵は晴れやかな笑顔をしていたが背後に背負った
炎は修羅だった。視界が歪んで見えるのは気のせいであって欲しい。

「貴方が、私に歪んだ想いを抱いていたなんて思わなかったわ。でも、私には愛する主人と可愛い娘達がいるの
諦めて頂戴」

こちらも、瞬間移動したのではないかと思うほどの速さで西条に近づくとヤクザキックをかました。
2人とも、西条に弁解の暇を与えることなく制裁を加える手腕はものすごい。宙を舞った西条は床に転がった。
ついでに腰のバスタオルもはだけてしまった。

「きゃ?!」

慌てて悲鳴を上げて目をそらす冥子の声で西条は正気に戻った。

そして、最後の処刑人が現れてしまった。

冥子の声に、外で待機していたマリアが部屋に顔を出したのだ。
マリアの高性能な瞳に西条の姿が映り、そしてカオス条例がインプットされた高性能な脳が瞬時にマリアに
命令を下した。

「公然ワイセツ・陳列と・判断・排除・します」
「排除?!」

西条の悲鳴と同時に繰り出されるマリアのロケットアーム。見事に急所に当たり悶絶しているが、マリアは
そんな事でへこたれない。なんといってもカオス謹製だ。
多少は手加減して(いなかったらホテルの床に穴が開きまるだろう)繰り出されるキックに死に物狂いで
避ける西条に、神父は聖十字をきる。

西条が命がけで逃げている横では、いまだに天神たちの痴話喧嘩が続いていた。

「おまえがそれ程浮気をしようと言うなら、私がその相手を全て呪い殺してやろうではないか!!」
「彦星、おぬしは天神であって悪神ではないであろう?!」
「愛のなせるワザに善も悪もない!!」

こちらは、彦星が織姫を論破し始めているようだが時間がかかりそうだ。

西条の方はやはり、マリアにかなうわけはないので早々に捕まって首を絞められる体勢に持ち込まれてしまった。
慌てて神父がマリアの腕を引っ張るが勿論、マリアがそんな事にめげるわけはない。

「西条さん・さぁ・吐くのです・横島さん・どこですか?」
「マリア君! とにかくその腕を放さないとしゃべれませんよ?!」

律儀にも横島の居場所を聞くマリアに神父の冷静なツッコミが入り、マリアがその手を弛緩させた。
勿論重力に従って床に落ちる西条。

西条の周りにはマリアはおろか、おキヌ・美智恵までが異様な輝きを放つ瞳で西条を見下ろしている。

さりげなく、落ちていたバスタオルを腰にかけながら神父が再度問うと、西条がとつとつと数分前の
状態を話し始めた。






西条は、仕事をやっと終えて帰宅するところだった。
今日はあいにく運転手が休んでいるので、自分で車を運転していた。

「…ん?」

前方になにやら、騒々しいスピンをかけた車が曲がってきた。
遠くてよくわからないが、車は日本には珍しいオープンカーで、男女1組が乗っているようだ。

それだけなら、西条はその車を忘却のシュレッダーに捨て、自分の家に帰っただろうが彼の霊感が
その車から異様な霊気を感じていた。正確に言えば女性の方に。

「追ってみるか」

この後の予定も入っていない西条は、気軽に言い捨てて車を追って行くことにしてエンジンの回転を高めた。

トンネルに入る前に、その女性が変わったように見えた。そして、男性がそれにすごく驚いたようだ。
しかし、一瞬後にはトンネルの暗闇に消えてしまった。

続いてトンネルに入り、ゆるやかなカーブを曲がりきった後に地上に出ると、西条の車は、予想以上に
その車に近づいていた。そして、見えてしまった。

「……これならどうじゃ? 先ほどの姿よりは良いじゃろう?」

女性は、黒髪を肩のあたりで風に泳がせながら左手を胸にあてていた。
西条は知っていた。その女性の名前を。

「ルシオラ?! い、いや、彼女のわけ…」

ない、という言葉がルシオラに似た女性の横に座っていた男、横島の声が被った。

「ルシオラの姿を真似るんじゃねぇ!!」

悲痛な叫びと、横島の右腕から放射される霊力に慌ててハンドルを切ってブレーキを踏んだ。

轟音と霊力の輝きで数秒、視界が遮られたが幸い対向車もなく、西条の車も無事に止まることができた。
慌てて車から降りた西条が見たのは、肩で息をする横島と左手をヒジからなくしているルシオラに似た女性だった。

「むぅ、失敗か………にんげんというのは難しい。が」

落とされた左腕を無造作につけた偽ルシオラがやおら、西条に視線を向けた。
ヤバイと思い逃げようとしたが、相手はそれを許さずに細腕に似合わない握力で西条をつかむと、いまだ
エンジンのかかったままの西条の車に乗り込む。

「な、な、な、な?!」
「今宵はおぬしがワラワのダーリンじゃ。横島と申したな、そちはこの場をなんとかせよ」
「ダーリン?!」
「ではさらばじゃ! ヌハハハハハ!!」

偽ルシオラは豪快に笑い、エンジンブレーキを外した。






「で、それから織姫様が『おぬしの好みに合わせるぞ』と言って」
「Yes・わかり・ました」

それ以上は興味がないマリアとおキヌはあっさり西条包囲網から脱退した。

「警察・無線・傍受・事故現場・探索………1件該当あり・今から・向かい・マス」
「わ、私も行きます!」
「う〜ん、私も行こうかな〜」

マリアの提案におキヌと冥子が名乗りを上げると神父と美智恵が視線を合わせた。
マリア組には、大人が必要である。いざとなったらとりあえず冷静になれ、と声を上げる大人が。
一方、織姫と彦星にも大人が必要である。このまま痴話喧嘩で1日が終ればよいが、そうならない場合に
後のフォローができる人間がいないとホテルにもGメンにも悪い。

と、なると

「待ちたまえ、私も同行しよう」
「私は織姫様たちを放っておけないから、先生がいっていただけると助かりますわ」

美智恵が頭を下げ、神父はおキヌとマリア、冥子を伴って部屋を後にするのだった。






少し時間を遡り、横島はどうしているのかというと、彼は今絶望のハテに身を置いていた。

気付けば公道に1人ぽつんと立っていた。これは良い。
気付けば目の前に右ドアが完全に壊れているコブラが鎮座していた。―――これは大変良くなかった。

横島は記憶がとんだワケではない。怒りに我は忘れたが自分が何をしたのかはっきり自覚していた。

「美神さんのコブラに傷―――?! 傷―――?! きず………」

あまりの負荷に脳がついていけず、ショートを起して倒れる横島。
その口は耐えず「かんにんや〜 わざとやないんや〜 かんにんや〜」と呟かれていた。
今、彼の脳裏には令子が壮絶に折檻されるパターンが浮かんでは消えている。地獄のそれも真っ青な折檻なので
描写は避けるが、横島が白目をむいて血の気を失い、口から泡が出ている位すごいものだと思っていただきたい。

数分、公道に倒れていた横島だったが幸いな事に後続の車も対向車も通ることなかったが、そこに1人、ひょっこり
現れた人影があった。
街灯に照らされたその人影は、セーラー服を着た横島には馴染み深い人物、小鳩だった。

小鳩が駆け寄ると横島の鼻に手を当ててからコブラに駆け寄り、どこからか三角の赤い反射板を取り出して
立てかけると、また慌てて横島の元に駆け寄った。

ゆっくりと横島の頭を触ってみるが血もケガも見当たらない。いたって健康体に見える。
納得と安心のため息をついてから小鳩はえいやっとばかりに横島を持ち上げた。

横島の体重が軽いためか、小鳩がバイトで筋肉がついているのか、身長差で横島の足を地面に引きずる程度で
小鳩はなんとか自分の家にたどり着いた。
部屋に行く前に、大家さんの家で警察に伝言を頼み、帰りついた時には全身汗だくになってしまった。

「お帰り〜こば…よ、横島やんか?! どうしたんや?!」

ドアの開く音に元貧乏神のビンがふわふわ漂ってきて、小鳩の横にいる横島に気付いて驚きの声を上げる。

「道に倒れてて………怪我はないみたいだし………み、水」
「小鳩大丈夫かいな?! 水水!!」

慌ててビンがコップに水を入れている間に小鳩は横島の身体を居間に寝転がせた。
息を切らせながら座り込むと、ビンがコップを小鳩に差し出してくれた。

「ありがとう………なんともなかったから、連れてきちゃった」
「連れてきちゃったって…まぁ、小鳩らしいけどな〜」

お互いに笑って、視線を横島に向けた。

相変わらず白い顔で「かんにんや〜」と呟いている横島に、ビンは薄気味悪そうに、小鳩は苦笑いをしてしまう。

小鳩は食事を終えて、銭湯に出た帰りに横島を拾ったのでこれ以上にやることはない。
いつもなら電気を消して寝るだけなのだが、今は汗をふき取りたい。
あいにく、この部屋にシャワーはないのでタオルでふくしかないのだが。

「ビンちゃん、私、汗をふきとりたいんだけど…」
「任せておけ! 小鳩はあっちの部屋でやって来い! その間ばっちり見張ってやるからな!」

胸を張るビンに曖昧に笑って小鳩が続きの間に入り、ドアを閉める。いつもは母が寝ている部屋だが
今日は検査入院しているので誰もいない。濡れタオルで身体をふきとり、ついでにパジャマに着替えて
居間に戻ったが、相変わらず横島は倒れたままだった。

「どうしたらいいのかなぁ」
「放っておいたらいいやん。ま、布団でもかけときゃその内気付くだろ、怪我もないし」

横島の頭付近に座り込んで顔色を見る小鳩だったが、ビンの方は男に情けをかけないのであっさり返して
ふわふわと自分の寝床へと移動していく。

それを見て数秒、小鳩の目が輝いた。

「…横島さんだって、身体をきれいにしないとダメですよね?」
「小鳩?!」
「うふふ、仕方ないですね」

それも怖い方向で。
ビンの制止を振り切り、横島の服をぱっぱと脱がせにかかる。なにせ母親の看病で小鳩のその技はプロ級。
横島の残りの衣服がパンツ一丁になるのは、ものの数分もかからなかった。

「やめるんや小鳩! 男のプライドってモンが木っ端微塵になる!」
「うふふふふふふ」

慌てて小鳩の右腕をなんとかブロックしたが、左腕の方はフリーなままだ。哀れ、横島のトランクスに小鳩の
左手がかかった。

「横島! 早う起きんかぁ〜!!」
「うふふふふ、いざ、れっつ・ほっぷ」

怪しげな英語を繰り出す小鳩の左手に、やっと気付いた横島の手と悲鳴が響き渡った。

「小鳩ちゃん?! なんか、ヤバい事されてるみたいなんスけど?!」
「大丈夫! お身体をきれいにしましょうね?」
「自分でできますので―――!!」
「お気になさらず♪」
「なんだかとってもピンチ―――?!」

右手はビンにつかまれた左手のみの小鳩に横島は両手アンド全力で最後の一枚を守ろうとしていた。
ビンではないが、これは男のプライドがかかっているのだ。

「脱がせるのは良いけど、脱がされるのはイヤ―――?!」

プライドをかけた叫びに、家の扉が開かれた。いや、外から誰かが躍り出て来た。

「先生! 逢いたかったでござ………」
「横島の弱みを拝みにきてやっ………」

なぜかシロとタマモが現れたのだ。
万歳の姿勢のシロと腰に手を当てた格好のタマモが数秒体を硬くした。なにせ彼女らには小鳩が横島に
襲い掛かっているようにしか見えない。

一方、横島もフリーズしてしまった。
シロは良い。いつもの格好なのでこちらはいいのだが、後ろにいるタマモはいただけなかった。
彼女は、七夕パーティというので冥子とおそろいで色違いのひまわり柄の浴衣を着ていたのだが、彼女は
その格好で全力疾走をしてきたのだ。結果、浴衣が着崩れて胸元がアヤシイ。

小鳩もまた、固まってしまった。
2人の乱入者の存在で我に返ったのだ。なんだかとっても気恥ずかしくなって思わず床に倒れこんで
しまった。………手に持ったものをつかんだままに。

「「「あ」」」

見事に、生まれたままの格好を披露して数秒。

「何披露してるのよ――――――!!」
「ギャァァ――――――?!」

顔を真っ赤にしたタマモの巨大な狐火を腹部に受けて、窓から強制排除される横島だった。










「横島く〜〜ん お見舞いに〜 きたわよ〜〜」

冥子は扉を開けながら声をかけると、そこには横島と西条、そして美智恵とカオス、マリアがいた。
横島と西条はベッドに横たわり、ミイラ男よろしく包帯でぐるぐる巻きだ。

「お土産〜 ここに〜 置くわね〜〜」

りんごをベッド横のテーブルに置いて、腰をかける冥子の後ろに隠れるように、ちょっと頬を赤らめて
そっぽを向きながらタマモも椅子に腰をかける。

「……それで、織姫様たちの方は、彦星の説得が効いてね、今回は泣く泣く帰っていったわ。
『来年は見ておれ!!』って吼えてたけど」
「………」

苦笑いを返す横島に、美智恵はハンドバッグを手に取り席を立つ。

「そうそう、コブラの方は扉を換えておいたから見た目無傷よ。後で請求書送っておくから」
「………請求書…」

美智恵の最後の置き土産に横島はばったりとベッドに倒れた。
良心的な請求書である事を祈るが、元はコブラである。せっかくもらった預金が全てパーになり、貧乏生活に
逆戻りしそうな予感に涙を流す。

「ぬはははは、小僧、まぁ終ったことじゃ。くよくよするな」
「…なぜにおっさん、俺の土産を口にしてるんじゃ」
「けち臭いこと言わぬが花じゃ」
「ううう、皆で俺を貧乏にしていく………」

もしゃもしゃと冥子の持ってきたりんごの皮を剥かずに食べるカオスに更に涙が流れる。

「大丈夫よ〜〜 タマモちゃんだって〜 借金生活なんだから〜 みんなでかんばりましょ〜〜」
「………なんでタマモが借金生活?」

冥子の慰めにならない慰めに興味を持った横島が持ち直してベッドに座りなおした。
冥子の後ろでは完全にすねたタマモが横を向いている。話す気はないようだ。

「小鳩ちゃんの〜 お家〜 少し〜 焦がしちゃったから〜〜 内装代を〜 お母様が〜 肩代わり〜
したのよ〜〜」
「………あんなの見て、こっちが慰謝料もらいたい位なのに!!」

天に気鋭を吐くタマモだが視線は未だに横島の方に向いていない。その様子にタマモ以外は苦笑する。

「早く〜 復帰して〜 お金稼がないとね〜 横島くんとタマモちゃん〜〜〜
というわけで〜〜 令子ちゃん直伝の〜〜 滋養食を〜 持ってきたのよ〜〜」
「待ってください?!」

カパ、と持ってきたタッパを開ける冥子に横島が悲鳴を上げる。令子直伝の滋養食といえば思いつくのは
アレしかなかった。

そう、イモリの姿焼きである。

「はい〜〜〜 あ〜〜〜〜ん」
「イヤァァ―――?! にんじんとイモリは嫌いっス―――!!」

逃げようとする横島だったが、相手は冥子である。
冥子の影から出てきた式神達に手足・身体を拘束されてしまった。

冥子はニコニコ笑いながら横島の鼻をつまんだ。

「はい〜〜 あ〜〜〜〜〜ん」
「いや〜、横島君、大変だね〜〜」

ニヤニヤ笑って横島の惨状を見ていた西条だが、彼にもやはり魔の手が伸びていた。
ガシ! と肩をつかまれて恐る恐る見ると、そこにはマリアがいた。その後ろにはニヤニヤ笑ったカオスもいる。

「マリア・先日の・お詫び・イモリの姿焼き・持って・来ました」
「うむ。マリアの手作りイモリの姿焼きじゃ。とくと味わえ」

数分後、その部屋から男性2名のうめき声がしばらく続くのだった。














〜 お ま け 〜

「なぁ、キーやん。アレ、契約違反でっせ」

しばらく、見ていたサっちゃんが横にいるキーやんに語りかけるとサッとキーやんは遠くを見つめて
緑茶をすすった。

「なぁ、キーやん」
「そこまで言うなら、貴方が注意しに行ってくださいよ。ついでに魔界に連れて行っちゃってもかまいませんよ」

にこやかにサっちゃんに返すとめっそうもないと手のひらを左右に振った。

「いらへんいらへん、あんなごっついオナゴ。ノシつけて返すわ」
「説得したって無駄ですしね〜。絶対来年も行きますよ。彼女」
「せやな〜。なんか、死なれても封魔できなさそうや〜」
「今ならついでに彦星もついてきてお買い得ですよ?」
「絶対いらへん。お断りや」

こうして、織姫と彦星の人間界への訪問は、最高神2柱のとりなしでうやむやにされてしまったとさ。


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