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BACK TO THE PAST!

決戦の日


投稿者名:核砂糖
投稿日時:06/ 7/15


何処かのやや寂れた町の上空にて、数人の(人間じゃないのも居るけど)人間が何やら不穏な雰囲気で対峙していた。

しかしその異様過ぎる光景はかなり強力に隠匿されており、通常の人間には感知できる物ではなかった。

フルバーニアンなマリアを除けば、先ほどから皆文珠の力で宙に浮遊している点をみると、なんだかドラゴンでボールでZな雰囲気だ。




「うわぁすげぇ。タイガーが飛んでるよ・・・」

「まずそこから入るのでござるか!?」




ついに始まってしまった決戦。我らが横島は、早速一発ギャグをかます。

「いやいや。なんか雰囲気がわりぃから場を和ませようと・・・」

「和みようが無いでござる。と言うよりも余計悪くなったでござるよ!」

ぽりぽりと頭を掻く横島に、ツッコミを入れるシロ。これぞまさに夫婦漫才か。
タマモはそれを見て呆れている。マリアは何やら不満そうにモーターをキュルキュル回した。

だが、見れば敵側もこちらのやる気の無さにキレつつある雪ノ丞を必死になって抑えているので、緊張感の無さ加減においては五分五分かも知れない。


このままでは話が進まないので、とりあえず横島は敵側に一つ提案を出した。

「おーい敵さんよ。

提案があるんだが」

対して先ほどからヤル気満々のユッキーは、ニヤニヤしながら
「見逃せって言うのは受け付けないぜ?何しろこっちにはもう文珠使いが居るんだ。何処へ逃げようと地獄の果てまででも追いかけてやるぜ」

・・・その悪い目つき相まって、となんだかこっちの方が悪役っぽい。


「ああ、それはこっちも分かってる。

だがせめて場所を変えようや。ここでドンパチやったら下の連中に迷惑だろ?」
地上の町を指差して言う横島。

提案された小竜姫達は、リーダー格である小竜姫を振り返り、意見を求める。

「どうします?確かに奴の言う通り、ここでの戦闘は避けるべきですが・・・」

「そもそももっと相手が人気の無い所に移動してから叩く手はずだったんですケンノー・・。それなのにユッキーは・・・」
賛成派のピートはそう言って顎をしゃくり、タイガーはジト目で雪ノ丞を睨んだ。

「わ、悪かったな!それとユッキーって言うな!!」


横島の声→「おー!そう呼んで良いのは弓さんだけだもんなーー!!」


「・・・って何でテメーが弓を知ってる!!??


・・・っと、とにかくアイツは仮にも魔人だぜ?こんな人道的なこと言うからには、何か裏が有るんじゃねぇのか?」

横島がなんで自分の妻(だいぶ前に入籍した。今ではユッキーは二児のパパだったりする)を知っているか頭を捻る雪ノ丞はそう言い、小竜姫の考えをあおる。

「・・・確かに雪ノ丞さんの言う通りかもしれません。しかし罪も無い人間を巻き込むわけにはいかないのも事実。おとなしく提案を受け入れましょう。

それに・・・・・あくまでも噂ですが一説によると魔人ヨコシマは無益な殺傷を好まない。という取り方もできるという行動を取っているという事を主張する少数派意見があります・・・。
ここはもしかしたらそうかもしれないという可能性を信じるしかありませんでしょう」








そんな会話を遠くから聞いていた(盗み聞きとも言う)横島は、うぇぇと顔をしかめた。

「うわ〜小竜姫様きびしー・・・。俺ってそんなに嫌われ者なんだ・・・」

「当たり前でしょ。世界どころか三界中の敵なんだから。あんたの意思に関係ないようなそこら辺の不満まで、全部あんたのせいにされてるぐらいなのよ?」
タマモはそんな彼に追い討ちを掛けるような事を平気でのたまいなさる。

だが、先ほどからスカートをはいている為かやけにもじもじしている。別に地上に人が居たとしても見上げた所で気付かないし、第一遠すぎてなんだか分からないだろうが、そこは気持ちの問題だ。
しかも上空ゆえに吹き付ける強い風にスカートをあおられまいと端っこをしっかりと抑えている所も・・・何か、イイ。

ちなみに今の彼らの服装は、タマモが高そうなグレーのスーツ。シロがジーンズ(破かれていない)にウインドブレーカー。残りは大体10年前の何時もの通り、と言ったところか。



横島の言葉からしばらくの間を置いて、小龍姫は返答をかえしてきた。

「魔人ヨコシマ!ここより西へ行った所に富士の樹海があります。


そこで決着をつけましょう!」




「だってさ。じゃ、行こうか・・・」
彼女の言葉を受け取った横島は、まるで「お出口はこちらです」とでも言われたかのような飄々とした態度で仲間を促した。

「小僧・・・やけに余裕だな」
「そうでござるよ。とんでもない事態になりつつあるのに・・・ちと不謹慎ではござらぬか?」
そのあまりの態度に、仲間からはブーイングが募る。しかし、横島は

「・・・分かってるよ。でもさ、このぐらいで慌てるぐらいじゃダメなんだ。

たぶんこの戦いを皮切りに、これから想像を絶する戦いになると思う。

何時まで戦えばいいのかも分からない・・・。もしかしたら、最高指導者にだってケンカを売らなきゃならないかもしれない・・・。


・・・実は俺だって結構参ってるよ?でもここはマイペースマイペース。

先は長いんだからさ・・・」

「先生・・」

「おいおいシロ、そんな顔するなよ・・・」

不安げなカオでこちらを見てくる妻の頭を、何時ものようにくしゃりと撫でる横島。

「まずは目の前に迫った問題を何とかしなきゃいけない。

コイツらは恐らく本体到着前に俺達を疲労させるのが任務だろうな。

だから、俺達はなるべく疲れずにこの状況を打破しなけりゃいけないんだ。








策はある。・・・めっちゃ難しいけど。」


そう言って横島は自分の影からシロの刀を出して手渡し、そして己はマントを引っ張り出してバサリと羽織る。

そしてカチリと音を立ててバイザーを嵌め、魔人ヨコシマと呼ばれる出で立ちになった。


「よし、行こう」





富士の樹海、上空。

そこは風も無く、視界は良好で、本日は晴天なり。







横島陣と小龍姫陣。二方は一瞬だけ何も言わずに対峙し、

そしてぶつかっていった。


「皆、打ち合わせ通りの組み合わせで行くぞ!」
横島が叫び、


横島は小龍姫。

タマモはタイガー。

カオスとマリアはピート。

そしてシロは雪ノ丞へと向かってゆく・・・・







ように見せかけてタイガーに向けて集中攻撃を浴びせ掛けた!!




ちゅどーん!!



「ひどすぎですジャーっ!!!!」

見せ場も無く、台詞まで殆ど無く、僕らのタイガーは落ちていった。

「タイガー!!」

友の叫びがむなしくこだまする。

「お前に死は無駄にしねぇ!!」

いや、死んでねぇから。




「よし、まず一人だ。すまねぇなタイガー・・・」

呟く横島は、すっとその目線を・・・

「ほう・・・。十年間追いかけても追いかけても俺の前から逃げ出して嫌がったお前が、相手をしてくれるのか?」


かつての強敵(とも)、雪ノ丞に向ける。


「・・・ああ。急にどうしても戦いたくなったのさ。それに下手するとお前・・・小龍姫様より強いだろ。

それに俺に予想だと、文珠使いは・・・お前だ」

メキリと音を立てて盛り上がる横島の右腕。
漆黒の闇を固めたような魔力のハンドオブグローリーだ。

ぴりぴりと肌をさすような霊気を浴びて、雪ノ丞は歓喜の表情を浮かべた。

「はっ!いいお世辞だ・・・光栄だね!勘もいい。

ククク・・・これだよ・・・。テメーが逃げるおかげで溜まる一方だった十年間分のストレス・・・思う存分発散してやるぜぇ!!!」


ごうっ、と風が唸った。







敵に小龍姫が居るとなると、そして横島が相手をできないとなると、こちらに損害が出るかもしれない。

しかし、相手を一人減らせば・・・




「目を覚ましなさい!!あなた方は魔人に操られているのですよ!」

「違うのでござるよ小龍姫様。拙者は自分の意志で戦っているのに過ぎませぬ!」

「・・・仕方有りません。少し痛い目に会ってもらいます!!!」


つば競り合いの状態からぱっと身を翻し、至近距離で霊波砲を打ち込む小龍姫。

シロの位置からすると、どう見ても直撃だった。
しかしインパクトの瞬間、彼女の姿はフッと掻き消える。

「幻術!?」
驚き、目を見張る小龍姫の背後に、何時の間にかシロの首根っこを掴んだタマモが回り込む。
「ふふふ・・・お久しぶり小龍姫様」

タマモの指先から火球が迸り、小龍姫は慌ててそれを切り払った。

「くっ・・・あなたとあろうものまで騙されるなんて・・・」

「・・・さぁ、どうかしらね。」

「私は仮にも竜神です。二人がかりなら敵うと思ったら・・・大間違いですよ」

しゃん、と真剣を構える小龍姫。


―――甘く見たらやられる・・・。

シロタマコンビはごくりとつばを飲み込んだ。

「・・・行くわよシロ。Gメンきっての最強美女コンビ、久々の大仕事だわ」

「了解でござる、相棒」










「小龍姫様!!

・・・くそっ!二人がかりなんて卑怯だぞ!」

一方こちらでシロタマコンビに翻弄される小龍姫を見て声を荒らげるのはバンパイアハーフのピート。

そして彼に対峙するのはヨーロッパの魔王こと、ドクターカオスとその最強にして最高の傑作であり、パートナーでもあるアンドロイド、マリアだ。


「卑怯と言われてものう。わしら後先ないし」

「イエス・ドクターカオス・全くです」

「ずぅ〜るぅ〜いぃ〜ぞぉ〜〜〜っ!!!いたたたたたっ!!」

やたらと不満を垂らしてくるピートに、まったりとした口調で、しかも想像を絶する量の弾丸を撒き散らしながら返答するカオス達。

フルバーニアン状態になったマリアは機動力、積載量共に大幅アップしているのか、未だかつて無いほどの戦闘力を有していた。これも、流れ者では有ったが、それなりの金は手に入れていた横島による援助の賜物である。




おかげでマリアは、戦闘力皆無に等しいドクターカオスをカバーする事ができていたっ!

「余計なお世話じゃっ!」












人を寄せ付けない富士の樹海。

その地で、愛友情正義その他モロモロが激しく交差する、熱い戦いが始まる。


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