椎名作品二次創作小説投稿広場


GS冥子?

式神使い


投稿者名:案山子師
投稿日時:06/ 4/30

 「・・・・!?」
 ガバッ!! 
 「おっ! 俺は一体・・・なッ! なんじゃぁ〜〜〜っ!! この部屋は〜〜〜ッ!!」
 気がつけば見たことも無い豪勢な部屋に寝かされていた。高級ホテルのスイートルーム置かれているようなベット。壁には、なにやら高そうな絵画が飾られており、その横には立派な角を生やしたシカの顔がこっちをにらんでいる。
 (俺に、こんな部屋の知り合いは居ないぞ。おっ、俺はなんでこんな部屋に・・・そもそも俺は今日何をしていたんだ!?)
 長い夢を見ていた感覚がある。それはとても大切だったもの・・・・・・のはず、だけど頭に霞がかかっているようで思い出すことは出来なかった。
 「俺、一体どうしちまったんだ」
 何か大切なものをなくしてしまったはず・・・
しかし、それが何なのかどうしても思い出せない。
 「まあ、忘れるってことは大したことことないよな!」
 だが、やはりどこかすっきりしなかった。
 

 ガチャ
 「あら〜〜〜起きましたの〜〜〜」
 妙に間延びした声につられてそちらに目をやると、豪華な服に身を包んだ綺麗なお姉さんが立っていた。
 「ずっと前から愛してました!!」
 「私たち〜〜〜会ったことありました〜〜〜」
 お嬢様の気品を漂わすオーラ! その円らな瞳! 風になびくショートの髪もなかなかキュートです!!
 「愛は時空をも超え〜〜〜ッ(ズキッ!!)!!!」
 いつもの条件反射で飛びかかろうとした瞬間! 頭の中に誰かの顔が浮かび上がって来た。だが、そのイメージが固まるよりも早くに頭に走った激痛のせいで思考が中断される。
 「ッ! いまのは!?」
 「あの〜〜〜大丈夫ですの〜〜〜」
 「いや。なに。ちょっと立ちくらみが」
 「あら〜〜〜それは大変なの〜〜〜」
 飛び掛るタイミングを逸したので、仕方なく自己紹介することにした。
 「はじめまして、横島忠夫です。お嬢さんお名前は?」
 「私は、六道冥子と申します〜〜〜はじめまして〜〜〜」
 「それよりも僕はどうしてココに?」
 「横島さんは〜〜〜私と話している途中で〜〜〜いきなり倒れたんですの〜〜〜」
 俺が!? このことしゃべっている途中にいきなり倒れただと・・・・・・まったく記憶にないのだが。
 確かに会話はしていないな。
 「私、びっくりして〜〜大急ぎでインダラちゃんに運んでもらったの〜〜〜」
 「それは有り難うございます(インダラって誰だろう? 外人?)」
 「それでねぇ〜〜お母様が〜〜〜貴方に聞きたいことがあるみたいなの〜〜〜」
 「俺は別にかまいませんが(このお嬢さんの母親が一体俺に?)」
 「それじゃぁ〜〜〜ついてきてね〜〜〜」

 コンコン
 「失礼します〜〜〜お母様〜〜〜横島さんをつれてきました〜〜〜」
 「ありがとう冥子〜〜それじゃあ横島君〜〜とりあえずその辺に掛けてくれる〜〜」
  訳もわからずに通された部屋の中には、冥子さんを後何十年か過ぎた感じの女性が座っていた。俺たちが座ると六道婦人は笑顔を崩さずに言った。
 「さっそくだけど〜〜横島君〜〜、貴方にみせたいものがあるの〜〜」
 六道婦人は俺に向かってビー玉ほどの小さ玉を差し出した。
 「これが一体どうかしたんですか?」
 「覚えていな〜〜い? 冥子の話ではこれは貴方が作ったそうね〜〜」
 「いえ。まったく記憶にありませんが」
 「そう〜〜・・・なら〜〜、何かのはずみで無意識に作り出したってことかしら〜〜」
 (このビー玉に一体何があるっていうのか知らんが、俺は何でこんなところに居るんだ?)
 「横島君! よく聞いてちょうだい。これは文殊といって貴方の霊能力がうみだしたものなの」
 「ちょ! ちょっと待ってください!! 俺に霊能力だなんてそんな!!」
 「偶然でも何でもこれを貴方が生み出したことに変わりはないは! しかも、文殊を使える人間の霊能力者は一人も居ない! これは偶然ではすまされないことよ!」
 「へぇ〜〜〜横島さんって〜〜〜すごいのね〜〜〜〜」
 「まさかっ!! 俺にそんな力が!!(信じられネェ〜〜俺がそんなすごい力の持ち主だったとは。もしやこれを機に平凡な人生に終わりを告げた俺は一気に薔薇色のロードへと走り出すのか!)」
 まじまじと自分の体を見下ろす横島の頭の中には、すでに煩悩の海が広がっていた。
 「そこで相談なのだけど。貴方今度GSになる冥子の助手になる気はない?」
 「・・・・・へっ!?」
 「どうかしら。給料ははずむけど」
 そう言ってどこからとも無く取り出した電卓には、結構な金額が表示されていた。
 (高給料。さらに! こんな美女と一緒にお仕事!!!)
 「是非にやらせてください!! 冥子さんのためなら例え火の中、水の中です!!!」
 「うれしい〜〜〜横島さんも〜〜〜冥子の事務所てつだってくれるのねぇ〜〜〜」
 「ありがと〜〜〜話が早くて助かるわ〜〜〜それじゃあぁ〜〜〜契約書に早速サインを(人類唯一の文殊使いが六道に居ればかなりの宣伝になるはず〜〜。横島君! がんばって冥子をサポートしてね〜〜)」
 「サインでも何でもしまっせ!(美女とお仕事! 美女とお仕事!)」
 
 「それじゃ〜〜〜早速横島君には霊力の使い方を覚えてもらわないとねぇ〜〜〜」
 喜び勇む横島の前で、六道婦人がポント手を鳴らすと、
 「「お呼びですか? 奥様」」
 どこからとも無くスキンヘッドの二人組みが六道夫人の背後に現われた!
 「日光、月光、横島君をプランDで育成してちょうだい」
 「「お任せください」」

 「えっ! えっ! えっ!」
 修行僧のような格好服に身を包んだごつい兄ちゃん二人組、しかも同じ顔が二つ。巨体のわりにすばやい動作で二人は横島を左右から挟み込み。
 「さあ、これから貴公に早速式神のイロハを骨の髄まで叩き込んでやろう」
 「なあに。心配することは無い。我らに任せれば三ヶ月で一人前の式神使いにしてやろう」
 「そうとも。悪くてもちょっと死んでしまうくらいだ」
 何時の間にか左右から腕をロックされて、部屋の外へと連れ出されていく。
「ちょっと!! 何ですか!これッ! 聞いてませんよぉおおお!!」
「横島君の体はまだ霊力にほとんど目覚めてないわ、だからしばらく彼らに付いて霊力の使い方を学んで頂戴」
「出来ることなら俺は冥子さんに手取り足取り〜〜〜ッ!!!」
「安心したまえ。我らは式神使い育成のエキスパート冥子様も幼き日々は、我らが育てたのだ。なあ、月光」
 「そうだとも日光。あれは我らの歴史で一番の地獄であったなぁ」
 涙を流しながら語る二人の中には、プッツンで暴走する冥子の幼い姿が蘇っていた。
 「冥子さぁあああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜んんん!!!」
 ドップラー効果を残しながら、日光、月光に運び出される横島であった。

 「横島さん〜〜〜がんばって〜〜〜」
 「文殊の修行も忘れないでね〜〜」
 扉の向こうでは満面の笑みで手を振る六道親子。
 「貴方も〜〜のんびりしている暇はないのよ〜〜今度の試験落ちたらどうなるかわかっているの〜〜」
 のほほんとした口調とは裏腹にものすごいプレッシャーが伝わってくる。
 「う・・・うう・・・冥子がんばるの〜〜〜〜」



 「それでは横島とやら」
 「早速修行を始めようぞ」
 そう俺は、冥子さんの助手をやるために霊能力の修行をするはめになったのだが・・・
 「ココは一体どこ何や〜〜〜〜〜!!!」
 見渡す限りの山、山、山、都会からそんなに離れてないはずなのに町は疎か、猫の子一匹歩いていない。まさに、人外未踏地。
 (俺はこんなところで、このにいちゃん達と過ごさなあかんのか〜〜〜〜)
 「君はなにも心配することは無い」
 「ココは六道の所有する修行場だ」
 「「ココなら何が起ろうと被害は自分達以外にかからんからなぁ。ふっふっふっふ〜〜」」
 (俺、もしかして今かなりのピンチなんじゃぁ・・・!)
「ではまず、貴公はまだ自らの霊力を自由に使いこなしてもらう」
「これから先の修行で霊力を扱えなければ話にならんからな」
  そう言って日光のは、懐から一枚の札を取り出し簡単な呪を唱える。
 ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
 「これは式神の中でも比較的弱い部類だ」
 「まずは自らの霊力を使ってこいつを調伏させてみよ」
 紙切れから現われたそれは奇妙な泣き声を上げて、ギョロッとした目玉でこっちを見つめている。
 単純に見ればそれは烏のような姿をしている。だが、その大きさは普通の烏よりも二回り以上あり、しかも目玉が一個しかなく、さらに脚も一本しか存在しない。
 「なッ!! 何いってんだよ!! 俺にこの化けモンをどないせいと!!」
 「行け! ヤタ!! 彼を攻撃しろ!!!」
 日光の合図と同時に、烏の姿をした式神はまっしぐらに横島めがけて襲い掛かる。
 「ちょっ! 待て! 待て! 調伏させろって一体どうすりゃいいんだ!?」
 必死に逃げ回る横島を追いかけて烏
 「逃げるなあ!! 貴様にはそれだけに力があるはずだ!!」
 「相手の目を見てにらみかえすのだ!! 」
 「そうはいうがなあ!! ぐはぁっ・・・」
 空中高く舞い上がり落下の勢いで横島の背中を蹴りつける。
 「ああ――――ッ!! いいかげんせいよトリの分際で!!」
 逃げるのをやめて全神経を集中しヤタをにらみつける。
 「月光まさか! あれは!?」
 「ああ!? その通り!!」
ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
 「グォッ!?」
 通中滑空からのけりが横島の顔面に綺麗に決まっていた。
 「ダメだ!? まったく霊力が出ていない」
 「彼は本当に文殊を出したのか!?」
 ココまであっさり決まってくれるとは、二人も予想外の状況にどうしていいのやら。
 (くっ・・・全然分からん。大体素人にあんなモンをどうにかしろっちゅうほうがどうかしとるわ・・・)
 「月光どうする? このままでは危ないのではないか?」
 「そうだな日光。別の方法を考えたほうが良いかもしれん」
 (ああ・・・全然わかんねぇよ。ゴーストスイーパーってこんな大変なもんだったんだなぁ。冥子さん今ごろどうしてるかなぁ・・・)
 そのとき、横島の脳内に都合のいい冥子の姿が浮かび上がってきた。
 横島脳内。
 (冥子さ〜〜〜ん! ダメよ忠夫君。これから一緒にお仕事するんだから冥子って呼んでくれなきゃ〜〜)
 ピィキィイーーーーーーーーン!!
 「!? 月光いま感じたか!?」
 「ああ! 日光。確かにいま彼から」
 ボロボロになりながらも立ち上がる横島。
 空中を旋回する烏は、その動きに多少警戒しつつもまったく臆した様子はない。
 「おい!? トリ〜〜何時までも思い道理になると思うなよ―――ッ!!」
 ニヤリ と式神が一瞬笑ったような気がした。
 次の瞬間。地上でこちらを見上げる横島めがけて今までとは比べ物にならないほどの速度で滑空してきた!
 「俺はッ! 負けん!!!」
 「これはすごい霊圧だ!?」
 「奥様が見込んだだけのことはある!?」
 今まで欠片ほども感じなかった横島の霊圧が、凄まじい勢いで周囲に放射されていく。
 「冥子さんのために〜〜〜〜〜!!! 俺のHAPPY LIFEのために〜〜〜〜ッ!!」
 煩悩により増幅された横島の霊圧が額から一直線に式神めがけて打ち出される。
 ギュゥウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウウ
 式神の叫び声と共に周囲に満ちていた霊圧が晴れていく。
・・・・・・
「やっ・・・やったぞ・・・・・」
バタンッ!
「月光」
「ああ。彼は霊力に目覚めた」
「ココからが本番だな」
ニヤリ×2
 式神を調伏した横島であったが、ココからが修行の本番であった。
 ボロ雑巾のようになった横島の上には、ヤタがぐるぐると輪をかいて飛んでいた。


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