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GS六道親子 天国大作戦!

GSのお仕事! 前編


投稿者名:Tりりぃ
投稿日時:06/ 3/10







「やっぱり〜 いい話は早くするっていうのが〜 お約束だと思うの〜〜」
「さ、さいですか……でも今授業中ですから」
「大丈夫よぉ〜 先生は今日〜 事故にあっちゃったんですって〜〜〜」

横島は後ろで呆然としているクラスメート達を振り返る。

愛子は、机に戻ってガタガタと震えていた。…ナニカを見てしまったらしい。小声でブツブツ呟いている。
タイガー寅吉は露骨に視線をそらせている。彼もなにか単語を呟いている。
ピートは目が合った瞬間、最強首振り扇風機と化していた。ちなみに色はブルーなイメージ。
その他雑多のクラスメート達は横島と目が合わないように必死に教科書を見ている。

そして、横島は窓から見える4時間目の担当教師を見る。
彼はナゼか校門と校舎の間に道路につっぷしていた。まるでナニカに押しつぶされた様な格好で、時折
ケイレンを起しているので生きてはいるようだ。

横島は改めて窓の外にいる六道冥子を見る。
今日はちょっと寒めなので薄手の上着と乙女チック(だろう)ワンピース姿。にっこり笑う姿はまるで
無害なお嬢様だ。………彼女が浮かぶ式神シンダラに乗っていなければ!!!

「もうすぐお昼でしょ〜 お弁当も持ってきたのよ〜 愛子ちゃん、ピート君、ジャガーさんもいかが〜?」
「わ、私も?! 私は妖怪だから食事は」
「ぼ、僕もバンパイアーハーフですから食事なんて?!」
「ワ・ワッシはジャガー扱い?!」
「来るよな…トモよ!!!」

横島最大出力の栄光の手でがっしり捕まれたピートとタイガー、冥子に捕まった愛子は泣く泣く冥子の先導のもと
屋上へと連れて行かれたのだった。







 GS六道親子 天国大作戦! 6 〜 GSのお仕事! 前編 〜







屋上に着いた5人は誰もいない屋上で広げられたお重の弁当をパクついていた。

「メシーーー!! タンパク質ーーー!!!」
「パン耳以外の食事なんて久しぶりじゃぁぁーーーー!!!」

いつもの叫びが暫く続いたが冥子はニコニコと学生達を見ている。
あらかた食べ終わり、食後のお茶を飲んでいるとそれまで無口だった冥子がほんわか切り出した。

「ところで〜 横島くんは〜 税金って知ってるぅ〜?」
「……イヤな義務だってぐらいは」

てっきりGS関係の話しに来たと思っていた学生達が怪訝な顔をすると冥子は困った顔をする。

「令子ちゃんの〜 お弟子さんの〜 横島くんの〜 役に立てることっていったら〜
私だとこれくらいしかないから〜 早めに言いにきたのよ〜〜
所有権が移った次の月から〜 不動産所得税が〜〜 かかるのよ〜〜〜?」
「ゲ?!」
「あと〜 これから〜 保険にも入ったほうが〜 いいわよ〜〜? ケガした時の入院費くらいは〜
用意しておかないと〜〜」

次々と冥子の口から社会常識的な発言が出てきて目が丸くなる3人。

「ケガした時は〜〜 今までどうしてたの〜〜?」
「…自腹っス」
「医療費控除は〜〜 受けてた〜〜〜?」
「いえ……」
「大変ねぇ〜」

「…美神さん、労災とかってしてくれなかったみたいね」
「美神さんらしいというか…」
「入院した時は給料もくれなかったケンノ〜。お腹に学校の水をたらふく入れておったジャケン」

横島の発言に、横島(自分も含む)の今までの生活を思い出して同情するタイガーとピート。

「これから〜〜 横島くんは〜 どうやってGSやってくの〜?」
「唐巣神父のところでGSの助手をやっていくんスよ」
「へ〜…横島くんが〜〜 聖書片手に〜…」

冥子の発言で思わず4人は想像した。


神父の服を着て聖書片手に「聖なるかな」と祝詞をあげる横島。後光が清らかに射している。


「ブ! ワハハハハハ!!! 似合わんケー!!」
「に、似合いませんね! 合成写真くさいです!!」
「あははははは!!」

床をバンバン叩くタイガー・ピート・愛子に横島も口元を引きつらせる。

「うるせぇーーーー!! 大体美神さんだって聖書片手に除霊してねーー!!」

瞬間、3人の脳裏にシスター姿で十字架を胸に持った令子が現れた。後ろにはチビ小竜姫とチビヒャクメが
羽根をもってはばたいている。

「み、美神さんが…シスター姿で除霊…アハハハハ!!!」
「に、似合わなすぎる! あはははははは!!」
「ブハハハハハハ!!」
「可愛いわね〜」

横島と冥子以外は息も絶え絶えに床に転がっている。
なんとか体勢を整えた3人は未だ止まらない。

「横島君って、大体キリスト教系じゃないでしょ? ちょっと無理があるんじゃない?」
「そうですケー、どちらかって言ったらエミさん系ジャケンノー」
「ほんだら〜はんだら〜って踊るんだっけ? 半裸で」
「「「ブ!!」」」
「お前ら〜〜〜!」

3人が思わず横島が腰衣を巻いて怪しい踊りをする想像をして再びふき出す。
じゃれあう学生達を尻目に冥子はマイペースにぽんと手を叩く。

「それなら〜〜 陰陽術はどうかしら〜?」
「陰陽術っスか?」

にっこり笑ってうなずく冥子

「特に神様を〜 信仰する必要は〜 ないし〜 なにより日本語の呪文よ〜〜」
「……たしかに。」
「文珠への〜 応用も〜 効くし〜 お札も効果的に使えるわ〜」

冥子が首をかしげながら言う。
日本GSがよく使う破魔札は、日本の陰陽寮という所が作成しているいわば「陰陽札」である。
お札に一定量の霊力が注ぎ込まれており、GS達はそれをお札の一点に集中させて爆破等して
いるのだが、やはりお札の最大効力を発揮させる事ができるのは陰陽師だったりする。

「でも陰陽術を教えてくれる人なんて…いるんですか?」

ピートも興味津々で話に加わる。なにせ陰陽術は絶滅危惧術。使える人もGS協会全体でも10人はいないだろう。

「いるわよ〜 私と〜 マーくん〜」
「…あ、陰陽術教わるの、止めときます」

横島が顔色を青ざめて冥子に断りを入れる。
この後に続く展開が読めたのだ。冥子が横島を弟子として迎えいれてくれると言うのだろうと。
実は横島、令子に釘を刺されていたのだ。

「先生以外のところに弟子入りしたら…わかっているわね?」

あの時の令子以上に怖いものはない。

「え〜? マーくんには〜 もう話しちゃったのに〜〜 マーくんも〜 放課後なら〜 いいって言ってくれて〜
六道女学院で放課後〜 一室予約入れたのにな〜…」
「是非マーくんの弟子にしてください!!!」

「…相変わらずの変わり身じゃノー」
「何を想像しているのか、わかりやすいですね」
「青春……とは言い難いかな」

横島にとって、未来の恐怖より今日の幸せの方に目が行くらしい。

「よかったわ〜 これで私も安心だわ〜」
「なにがっスか?」
「ううう〜〜ん、なんでもないわ〜 じゃぁ、学校終ったら六道女学院の校門前でね〜〜」

心底安心したように冥子が笑ってお重を片し始めるのだった。





 





横島は冥子との約束通り、学校が終わり今目の前に六道女学院が広がっている。

「秘密の花園が…いま、ここにぃ〜〜〜!!」

横島が絶叫しながら校門をくぐろうとした瞬間、ガン!! という音と共に弾き飛ばされる。
 
「誰じゃぁ!! 秘密の花園を閉ざす狼藉者がぁぁ!!」

血まみれながらも不死身っぷりを披露する横島の前に立ちはだかったのは弓かおりだった。
それも、水晶観音の術を使った戦闘バッチオッケ〜な格好である。

「破廉恥な狼藉者に、わが神聖な校門をくぐらせるわけには参りませんわ。いざ、尋常にわが術の
前に血まみれで倒れなさい!」
「まて!! 俺はめい…」
「問答無用!」

 


只今、阿鼻叫喚な現場となっているので描写を控えさせていただきます。



弓かおりが颯爽と校門を潜って自宅へと歩き出してから一分後、おキヌが半ば走るように校門へと
現れた。

「早くバイト先に行かないと…あれ、このゴミ袋…」
 
おキヌが校門の隅に置かれたビニール袋に眉をしかめる

「ペンキを塗りたくった布かしら? 生ゴミは明日だけど……」

数秒天を仰いで考えたおキヌはゴミ袋に紙をペタリと貼ってペンを出して紙になにかを書き始める。
書き終わると満足そうにうなずいていたおキヌだったが、それと同時に学校の時計も目に入ってしまう。

「いけない! 早く行かないと〜」

慌てて走り出すおキヌ。そして冥子が校門に現れる前に校門を通った何人かの女子高生達は
「生ゴミです。よろしくお願いします」と書かれたシクシク泣くゴミ袋を目撃することになるのだった。




赤いペンキらしきものも既にどこかへといった横島が冥子に伴われて視聴覚室へと行くと、そこには
既に冥子と同じ位の歳の青年が立っていた。
名を鬼道 マーくんとい「マーくんなんて名前あらへん」…言わない六道女学院の教師である。

お互い苦い思い出を共用する2人は挨拶もそこそこ、鬼道は教卓へ横島と冥子は向かい合った席に
座る。勿論横島は冥子に視線を向ける。

「私も〜 マーくんの授業を〜 受けるように〜 言われているの〜 同じクラスメートね〜」
「そ、そうっスか…」

「え〜、では、まずGSの基本的な仕事に関してお話していきましょう。
では、横島君。GSというのはどういう仕事をしていると思いますか?」

このまま冥子と話していると日が暮れる事を察知した鬼道がさっさと話しを始めると横島も普段には
ない真面目な切り替えを見せる。

「え〜〜…依頼された悪霊とかを退治する…かな」
「それは物事の半分。冥子さんはどうですか?」
「えっと〜〜 うんと〜〜〜 あ〜〜〜」
「簡単に言うと、霊障のある悩める物件を調査し、それを取り除くことだ」

未だにうんうん唸っている冥子を置いてけぼりにして鬼道は話を進める。

「GSの中には見鬼能力者や忍者系能力者がいるだろう?
GS協会は依頼があったらまず、彼らに依頼して本当に霊障なのか見極める。実は暴力団がいやがらせ
で暴れている可能性もあるからな?
次に霊障と認められた時は、一般のいわゆる「お祓い系GS」に情報を公開する。
協会でその仕事を請けたGSが、また調査系GSに調査を依頼して、その物件に一番合ったやり方で
霊障を除く。というわけだ。…美神さんの所でもやってたろう?」

ブンブンと勢い良く頭を横に振る横島だが、令子がそれを見たら憤慨していただろう。
横島が事務所に入る前は金銭的な問題から自分の霊感のみを信じて特攻していた令子だったが横島が
メンバー入りした直後からはちゃんと調査系GSに調査依頼をするようになっていた。(その分依頼料に
より厳しくなってしまったが)そして調査の内容で道具を選別して行っていた。
そうしなければ道具の多さにさすがの横島だって荷物に潰れただろう。令子の配慮はまったく届いて
いない模様だ。親の苦労子知らず(?)を地で行く横島である。

「そうなのよ〜 私も〜 調査系の依頼なら〜 達成率100%なの〜〜」
「という訳で実戦編だ。冥子さんの調査に同行してくれ。横島君」
「ナニが実戦編だーーーー!!」
「冥子〜、横島くんが一緒に〜 来てくれると〜〜 嬉しいな〜〜〜」
「おまかせください。冥子ちゃん! 貴方に襲い掛かる悪霊など、私の手にかかればお茶の子サイサイ!」

にこにこ笑って手を差し出す冥子に、つい調子にのって手を握り返して了解してしまう横島。
12神将という冥子のボディガードも彼の前では無意味なオブジェなのだろう。

「じゃぁ〜、ケガの保険に〜 サインしてね〜」
「ここっスね!!」

正面では鬼道も笑って冥子と横島を見守っている。

<すまんな〜 横島君。 幽子さんには逆らえんさかい>









一方、冥子とは逆にあせっている人物がいた。美神美智恵である。

「あーーー! なんか、私の霊感が告げているわ!! 早く横島君のところに行かないと、ダメな
予感がするのよーーー!!」
「顧問! 2番からお電話です!」
「後日にしなさい!!」
「しかし、首相の秘書からなんで…」
「ええ〜〜い! なんでこう朝から電話がぁ〜〜!!」


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