椎名作品二次創作小説投稿広場


GS六道親子 天国大作戦!

アメリカン・ドリーム? 5


投稿者名:Tりりぃ
投稿日時:06/ 3/ 4





成田空港に美神令子はいかにも新婚っぽいワンピースとなぜか帽子をかぶって佇んでいた。

「ふふふふ…最後のしめはロマンティックに飾らなきゃね」

なんだか黒い雰囲気を発する令子の周りには…誰もがお近づきにならないように避けて歩いていた。





 GS六道親子 天国大作戦! 〜 アメリカン・ドリーム? 5 〜





美神令子はアメリカに行く準備に一ヶ月かかってしまった。
税金問題とアメリカへの渡航準備で日々飛び回っていたのだが、そこは令子。やるときはやる。

特にGS関係と横島問題は手を抜かなかった。

小笠原エミのオフィスには早々に襲撃した。

エミのオフィスに勢い良く横島・おキヌ なぜか唐巣とピートを引き連れて現れる令子。
きょとんとしたエミに横島が思わずル○ンダイブをかましてしまうのは割愛する。

「で、これが私の4月からのめ・い・し。よろしくね」

胡散臭そうに名刺を受け取ったエミが硬直する。

『 GS REIKO・MIKAMI・WINDER 

     GS 令子・美神・ウィンダー

                 GSウィンダーオフィス 所長   』

「あ、住所がわかったら葉書で知らせてあ・げ・る。その時は私のウエディングドレス写真付きだろうけど」

ほーっほっほっほと高笑いをかます令子にエミがどす黒いオーラをまとう。令子としばかれて床に
血だるまで横たわる横島以外は皆1歩下がる。

「なんだったら結婚式には呼んであげるわよ? ブーケも奮発してアンタの方に投げてあげるし」
「……ま、結婚は墓場への入り口って言うワケ。さっさと墓場へと片足つっこんでいればいいワケ」
「負け犬の遠吠えがこんなに清々しく聞こえるとは思わなかったわ。ほーっほっほっほ」
「オタク、何しに来たワケ?!」
「勿論、負け犬の遠吠えを聞きにきたのよ」
「ムガガガガ!」

結婚はハッタリのくせにここまでやる令子はすごい。
青筋を立てるエミに唐巣が、高笑いする令子にはおキヌがまあまあとなだめて令子をみんな(エミ
除く)でオフィスから出した頃には冷や汗で衣服が湿っぽくなってしまっていた。
この日を境にピートにアタックするエミの視線が鋭くなったとかならないとか。





令子とマイクは「新婚さん」スタイルで決めていた。
対する見送り組は美神美智恵・唐巣神父・おキヌ・横島・西条・ピート・冥子といったメンバーだ。

「先生、今までありがとうございました。横島君のこと、よろしくお願いしますね?」
<先生、横島君の教育、怠ったら容赦いたしませんのよ。おほほほほ>

口で言っている文句と違う言葉をテレパシーで送る令子に唐巣が青ざめながらも令子の握手にこたえる。

横島はGS免許は持っているが、いまだ一人前のGSではない。これから横島をGSとして鍛えていく
面倒を令子は唐巣にまかせていた。勿論唐巣には異論はないのだが

<すまん、美神くん……私も命は惜しいのだよ……監視だけはするから、許してくれ>

脳裏に浮かぶ六道幽子の笑顔に負けた唐巣は、心の中でわびる。誰だって命は1個なのだから仕方ないとも
いえるだろうか。


隣にいるマイクに横島が顔を引きつらせながら言葉をかけていた。

「ふっ、マイク。結局お前には負けたぜ。美神さんをよろしくな」

眉をしかめて残念そうに、顔をふる横島にマイクと冥子以外のツッコミが入る

<<<<<<暗殺しようとばかりしていたクセに>>>>>>

勿論心の中でだ。

「戦友(とも)よ! また今度会おう」

渋く笑って右手を差し出す横島にマイクも苦笑して手を差し出そうと

グイ

令子が横島の右手の平を上向きにする。そこには両面テープで貼り付けられた画鋲があった。
先はなにやら緑の液体が付着している。

「よぉ〜こぉ〜しぃ〜まぁ〜」
「堪忍やぁ〜〜! 出来心なんやぁ〜〜〜!」

全力の令子のしばきにみるみる血まみれになっていく横島。これももう最後の見納めだろう。
マイクと冥子以外は苦笑する。

「横島君、とりあえずこちらに来たまえ」

マイクに遠慮したのか、西条が横島の足と思われるところを掴んで引きずっていく。西条も鬼では
ないので成田空港から完全に追い出さないだろう。令子の乗る飛行機が離陸していくのが見える場所へと
移動している様だ。

「マイク君、令子のことよろしく頼みます」
「いやだな、今生の別れみたいなことを言わないでください義母さん。落ち着いたらお呼びします
ので、それまで楽しみにしていてください」
「そうよ、ママ。私は大丈夫よ!」
「……令子、アメリカで頑張るのよ」

令子は慌てた様に赤くなるがマイクはなんともいえない微笑を美智恵に返す。この親子を見て唐巣神父が
十字をきって神の祝福があらんことを祈る。

「令子ちゃんの〜 結婚式〜 楽しみに〜 待ってるわ〜」
「何度も言ってるけど、結婚式はしないわよ!」
「そんなぁ〜、イケズぅ〜」
「ナンとでも言いなさい!」

冥子の半泣きに腰が引けるもなんとか自分の意思を貫く令子。だって結婚なんてしないのだから。

そして、搭乗時間になりマイクと令子は手を振って見送りメンバーの視界から消えて行った。





飛行機の中で席についたマイクが隣の令子の方を見ると、令子は窓の外を見てた。
なんだか悪いことをしたなと今更ながらに思いながら令子に声をかけようとしてマイクはピタリと
固まってしまう。

「アイツら…見てなさいよ……アメリカですぐにアメリカ一のGHになって帰ってくるわよ
エエ、アイツラはギッタンギッタンにして、豪華な衣装をまとって、横島クンなんてお気軽に攫って
あげるわよ。おほほほほほ」

「あの〜…ミズ・美神?」
「ナニ?!」

ギョン!! と睨み返す令子だが、マイクは苦笑するのみ。彼だって一流のGHとして実力は持って
いるのだから令子の殺気だって表面上は余裕で対処できる。

「アメリカ一のGHになるという夢は良いとは思うのですが…アナタ、英語できますか?」
「……………」
「まず、英語の勉強から始めましょうね」

沈黙した令子にマイクがトドメの一撃を食らわす。
令子がアメリカ一のGHになって日本に再上陸するのは……ちょっと時間がかかるかもしれない。





一方、横島は空港の屋上でドでかい咆哮を上げていた。

「ウォォォ〜〜! 美神さぁぁ〜〜ん! 行っちゃイヤーーーー!!」

泣き叫ぶ横島の横では平然と構える西条がいた。平然としている割には頬に汗がうかんでいる
様に見えるが。

「落ち着きたまえ、横島君」
「ウォォォ〜〜ン! 美神さぁぁ〜〜〜ん! せめて俺と一夜の契りをぉぉ〜〜〜!」
「…何気に古風な言い回しもできるんだねぇ。横島君」
「うわぁぁ〜〜ん! 美神さぁぁ〜〜〜〜ん! せめて今までの元だけ返してぇ〜〜〜!!」
「………」

泣き叫ぶ横島にさすがに西条も黙り込んだ。さすがに呆れたのだろうか?
いや、この男。涙を流して震えている。横島の魂の叫びに共鳴を起したらしい。

「うぉぉぉ〜〜〜い! 美神さぁぁ〜〜〜ん! あと2日、いや1日いましょうよぉぉ〜〜!」
「令子ちゃん!! なんで君はそんなにお金と地位に弱いんだ!!」
「美神さぁぁ〜〜〜ん!!」
「令子ちゃ〜〜〜ん!!」

お互い令子の呼び声合戦になりつつある中、令子が乗っているとおぼしき飛行機は無情にも離陸を始める。

「美神さぁぁ〜〜〜ん!!」
「令子ちゃ〜〜〜ん!!」

もうお互い「いけ好かない奴」とか「令子を挟んだライバル」とかいうのを忘れて泣きながら金網を
ガシャンガシャンやる横島と西条。彼らは…特に西条は知らなかった。自分達の後ろに迎えに来た
美智恵と部下の田部美香(オカルトGメン)が半眼になって見守っていたのを。

「…このまま置いて行っちゃおうかしら?」
「………幻滅」

この後、西条がオカルトGメン女性メンバーの中での人気が落ちるのだが、それは違う物語として
語り継がれる…予定はない。


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