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GS六道親子 天国大作戦!

アメリカン・ドリーム? 3


投稿者名:Tりりぃ
投稿日時:06/ 3/ 2





「ちわー。美神さん〜来ましたよ〜」

いつもの様に学校から家に帰ってジーパン姿で現れた横島は、美神の横にいる男を見て立ち止まってしまう。
令子は横島の放つ雰囲気は気付かずに横島の後ろから顔を出したおキヌちゃんにも説明を始めた。

「こちらはアメリカのゴースト・ハンター協会のマイクさん」
「はじめまして、マイク・ウィンダーです」
「今日は私の除霊を見学したいっていうから…聞いてる? 横島クン?!」
「ハイ!! 除霊にかこつけて暗殺っスね!!」
「誰がそんな事言ったかぁぁーーー!!」

令子はどこからか取り出した神通棍で横島を張り倒す。
壁でうなっている横島を見てさすがにマイクは顔を青ざめるが

「おキヌちゃん、準備できているわよね?」
「はい。破魔札と笛と〜」
「一応おキヌちゃんも精霊石、身につけときなさいよ?」

令子もおキヌも横島の事は気にしてもいない。その事にもマイクは腰がひけていた。







 GS六道親子 天国大作戦! 〜 アメリカン・ドリーム? 3 〜
 








「極楽にいかせてあげるわ!」

令子が気合と共に目の前の悪霊を神通棍でなぎ払う。
悲鳴を上げて散っていく悪霊を見ながら額の汗をぬぐっているとマイクが無言でタオルを差し出した。

「ありがとう、悪いわね」
「いえ、見学させてもらっているからこれ位は」

令子はマイクが差し出したタオルを受け取りニッコリ笑う。その笑顔は悪霊ただようビルにはまったく
不似合いなものだ。

「…美神さーーーーん!! コッチも手伝ってくださいよーーー!!」
「横島さん! 右!」
「うぎゃあああ!!!」

50m程離れた場所では雑魚悪霊相手に横島が栄光の手で奮闘している。
横島の実力だったら雑魚悪霊などぺぺいのぺいなのだがこの雑魚悪霊、姿が惨殺死体なので横島の
恐怖心がブレーキとなって中々致命打を見舞えない様だ。

「来るなぁぁーーー! 死ぬぅぅぅ〜〜?!」
「左! あ、斜め右!」
「……横島クン、落ち着きなさい!!!」

あまりにへっぴり腰な横島の戦いぶりに令子がカツを入れると途端に雑魚悪霊に致命打を与えて行く。
散っていく悪霊達。

「し、死ぬかと思ったぁ〜〜」
「うう、ぐちゃぐちゃのでろんでろんでしたね」

青ざめながらも息が荒い横島に同じく青い顔のおキヌ。どちらも惨殺死体風味はイヤだったらしい。

「た、助かったっス! 美神さん!!」

ヘロヘロしながら歩いてきた横島に美神はにっこり笑う。但し目は笑っていない。

「惨殺死体より私の方が怖い……とでも言いたいのね?!」
「ふべし?!」
「あ、あの、美神さん? 今日はお客様もいますので…」
「それがナニ? おキヌちゃん? しつけはその時が大切なのよ?」

笑いながら神通棍をヒュンヒュン回す美神におキヌもマイクもそれ以上のツッコミは出来なかった。













いつもの通り、除霊が終わりおキヌの夜食をたいらげた横島が自宅へと帰る準備をしていた。
と言っても彼に必要な準備というのは全財産入りの財布をポッケに仕舞うという動作だけだが。

「じゃ、帰りますね〜。次回は明後日っスね」
「え、う、明日来てくれるかしら?」
「明日っスか?」

首をかしげる横島に令子があやふやな表情でうなずく。

「ど、どうしたんですか? 美神さんが命令形じゃなくて希望形の語尾じゃないなんて?!
ハ?! もしかして愛の告白変形バー…」
「さっさと帰りなさい!!!」

軽いパニックを起している横島に令子の神通棍がムチになって襲いかかる。あっさり倒れる横島。
令子の前に座っていたマイクが苦笑しながら横島を担ぎ上げる。

「わかっているわよ!…明日には言うわ。まったく、どいつもこいつも…」
「今言っても構わないと思うのですが」
「こ、こっちにも色々と事情があるのよ」

そっぽを向く令子にマイクもそれ以上につっこむ事もなく除霊事務所を出てタクシーを呼び、横島を
乗せると横島の住所を言ってお金を払い、自分は滞在するホテルへと帰っていた。
後刻、タクシー内で気付いた横島がマイクの親切に感動したのは余談である。










翌日、令子はため息をつきながら指を見ていた。
輝くシルバー色の指輪は内側に極小さな精霊石があり、指輪に刻まれた祝福が加えられてそれなりの
能力アップアイテムと化している。実はアメリカGHの証である指輪だったりする。

「まったく、日本のGSだって、コレ位のアイテム出せばいいのに…そうすりゃ」
「…神さん………みさん」
「大体、こ〜ゆうアイテム作るのに最適な組織があるじゃ」
「美神さん!!」
「わ?! おキヌちゃん? いつの間に?!」

令子が指輪から目を離すとそこにはおキヌが机に身を乗り出していた。

「さっきからです!!」

おキヌにしては珍しく強気な姿勢で令子に対している。なんとなくひるむ令子。

「それよりも美神さん、おめでとうございます!!」
「………えっと、なんで?」

おキヌが熱の篭った瞳で令子を見つめる。そして手はなぜかがっしりと令子を握っている。

「婚約指輪でしょう! 相手はどなたなんですか?!」
「…………え」
「マイクさんですか? やっぱりアメリカの方は早いんですね!」

キラキラした瞳のおキヌはバッとソファーに座っていたマイクに振り返る。

「あの、おキヌちゃん?」
「あ、ああ。昨日渡したらミズ・令子が受け取ってくれてね。僕も頑張って選んだ甲斐があったよ」
「いいな〜美神さん…あ、でもそうしたらアメリカ行っちゃうんですか?」
「そうなんだよ。早いとは思うんだけど僕らの愛はもう国境を越えていてね。ハッハッハ」

明らかにアメリカン・ジョークのつもり(だろう)で朗らかなマイク。まぁアメリカに行く事はもう
決定済みなので差はないと思っているのだろう。

「待った! おキヌちゃん!! それはち」
「あら〜〜〜、令子ちゃん〜 結婚するの〜〜〜?」
「ゲ?! 冥子?!」

おキヌの後ろからいきなり現れた冥子に令子は仰天する。

「おキヌちゃんと〜 一緒に来たんだけど〜 令子ちゃん、気付いてくれなくて〜 ちょっとショックだったわ〜 
でも〜 令子ちゃんが〜 幸せ一杯で〜 私が目に入らなかったのなら〜 納得だわ〜〜〜」
「何度も言わせないでよ?! 私は結婚なんて…」
「私より〜 先に結婚なんて〜 …冥子、ショック〜」
「なんか今、すんごく失礼な言葉を聞いた気がするけど…」
「ミ・みみみみ…美神さぁぁ〜〜〜ん!? その薬指の指輪わぁぁ〜〜?!」

せめて冥子の誤解だけでも解こうとした令子だったが、その寸前でメイン・クラッシャー・横島が
事務所へと現れてしまう。

「結婚指輪っスかぁ?! 婚約指輪っスかぁ〜〜!? 誰が俺の美神さんを〜〜〜!! 許せん!!」
「誰が誰のモノだってぇ?!」
「シクシクシク…俺以外が高嶺の美神さんを………許せん!!!」
「だから、誰が! どうして!! どうやって!!!」

真っ赤な顔をした令子は八つ当たりのごとく、横島に神通棍でシバイていたがその間に致命的な事が
起こってしまった。

オロオロしながらおキヌは美神美智恵と唐巣神父に。
冥子はちょっといつもより口調を早めにGS協会幹部と母・幽子に

「あ、唐巣さん! 美神さんがアメリカの方と結婚してアメリカに行っちゃうんです!」
「聞いて〜 令子ちゃんが〜 結婚して〜 アメリカに行くんですって〜 お祝いを〜 あげなきゃ〜」

それぞれ、携帯電話で美神令子の結婚を話してしまったのだった。

どちらも悪意でやっている訳ではない。恐るべし、乙女パワー!



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