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GS六道親子 天国大作戦!

GS 六道親子 天国大作戦  〜 アメリカン・ドリーム? 2 〜


投稿者名:Tりりぃ
投稿日時:06/ 3/ 1



ご存知の通り美神令子の朝は遅い…というか優雅である。

朝シャンが終わってリビングへ行くと笑顔の召使い…もといおキヌが朝食と共に出迎えてくれている。

「おはようございます」
「おはよ…いつも悪いわね」
「いいえ、ではいただきます」
「いただきます」

女性2人の朝食らしく、パンにサラダ、コーヒーと目玉焼きという質素にして素晴らしい食事を堪能
しながら今日の予定なんかも2人で確認しあったりもする。

「今日は朝からGS協会に呼ばれているのよね…何の用なのかしら?」
「じゃぁ、今日はお仕事なしですか?」
「午後には終わるから。仕事は…1件あったかな? 横島君も来ると思うけど」
「はい、じゃぁ学校から帰ったらお仕事ですね」
「そうなるわね」
「じゃぁ、早めに帰って来ます…どうしたんですか? 美神さん?」

目の前で眉間を揉む令子におキヌが不思議そうに問いかける。

「なんか、今日は悪い予感がするのよね…外行きたくない気分がヒシヒシするわ」
「…もしかして今日は午後から雨でしょうか?」
「おキヌちゃん……貴方、私をどう思っているのかしら?」
「え、えっとぉ。あ、もうこんな時間ですね! 急がないと!!」

令子の額に怒りマークが浮かんだ途端に逃げ出すおキヌ。まぁ、確かにいつもより5分は過ぎているので
おキヌの指摘も間違いではない。

「すいません! お皿、つけておいてください〜! 行って来ます!」
「いってらっしゃい」

慌てて家から出て行くおキヌに令子も手をヒラヒラさせて見送る。
ため息をついてからモソモソと朝食を食べ終わった令子は皿を水につけてから身づくろいをして、
渋鯖人工幽霊一号に声をかけて愛車で出かけて行ったのだった。





GS 六道親子 天国大作戦  〜 アメリカン・ドリーム? 2 〜





令子が通された部屋の扉を開けるとそこにはズラリと並んだGS協会の幹部となぜか唐巣神父、見知らぬ
スーツ姿の外国人、最後に7・3ワケ髪型のスーツ姿の男性を見た瞬間、扉を閉めようとした。

「…あら、令子。ここに呼ばれたでしょ? 入りなさい」
「ゲ?! ママ?!」
「ほら、さっさと行く!!」

いつの間にか後ろに現れた美神美智恵に押されて部屋に入る令子。
幹部達を目の前にして座った令子の顔色ははっきりいって青い。正面に座った美智恵もしかめ面をしている。

「さて、令子。貴方がなんでここに呼ばれたか…わかるわよね?」
「さ、さぁ……」

美神美智恵の刺す様な視線に視線を漂わせる令子。美智恵に言われる原因に心当たりがありすぎるの
だろう。更に強くなる美智恵の視線。

「巨額の脱税とGS助手の労働基準違反。ざっとこれだけなんだけど…令子?」
「な、なによ?」
「すいぶん前にちゃんとする様に言ったわよね? どういうことかしら?」

冷や汗をかきまくる令子に美智恵は更に視線を厳しくする。美智恵の隣にいた唐巣神父などトバッチリで
かなり顔色を悪くしている。

「アシュタロス戦の〜 都合の英雄として〜 貴方を擁護したいけど〜 法律違反は〜 見逃せません〜」

物言わぬ憤怒像と化した美智恵に六道幽子がニコニコしながら引き継ぐ。

「お金の方は〜 脱税は〜 追徴課税で〜、労働基準違反が〜 追徴課税に〜 本人に〜 
今までの賃金を支払うことで〜 後はね〜」
「違法が目にあまりますので刑務所に入ってもらいます」
「勿論、GS免許も剥奪だよ」

幽子の言葉に7・3わけのスーツ男とGS協会幹部がきつい言葉をなげかける。いきなり令子、ピンチである。

「ちょ、ちょっと、それはあまりにもヒドイんじゃない?!」
「だからさっさとなんとかしなさいって…」

令子、母に援護を頼む視線を送るが美智恵は頭痛を堪える仕草を返すのみだ。

「でも〜 やっぱり都合でも〜 でっちあげでも〜 アシュタロス戦の英雄を〜 刑務所って
言うのは〜 ちょっとかわいそうかな〜 と思って〜 良い案を用意したのよ〜〜」

キツイ言葉をのほほんとしながら言い切る幽子の視線を受けて外国のスーツ男が令子に近づき
名刺を渡した。令子は名刺を覗く。

「マイク・ウィンダーさん…ね。アメリカのGH(ゴーストハンター)協会が私を引き受けてくれるって
コトかしら?」
「ハイ。貴方の実力ならアメリカ一のGHも夢ではありません」

流暢な日本語を話すマイクを見ながら思案する令子。

「アメリカに渡れば刑務所とGS免許剥奪はチャラになるのだよ」
「GS免許は〜 GH免許と〜 引き換えになっちゃうんだけど〜」

GS協会幹部と幽子がアメリカに行く際のメリットを言うがそれでも考える令子。

「あと〜 一応釘をさしておくけど〜 横島くんを〜 連れていっちゃ〜 ダメ〜 だからね?」
「な?!」
「あらら〜 図星だったのかしら〜 でも〜 彼はGS見習いだし〜 なにより高校生なんだから〜」 
「アイツは私の丁稚なんだから、連れて行くのは私の勝手よ!!」
「横島くんの〜 お母様が〜 許してくれると思う〜〜?」
「う?!」

確かに横島の母、横島百合子は高校を中退してアメリカに渡ろうなんて…許さないだろう。
横島自身が希望しようが、希望を告げた途端、惨劇が待ち構えているのは容易に想像できる。
横島がそれを踏まえてアメリカに行けるだろうか? ………無理だろう。アメリカに行く前に空の
彼方へと消えそうだ。

「おキヌちゃんも〜 ダメだからね〜?」
「そうよ、令子。あの2人はまだ学生なんだから…中退させちゃダメよ」

美智恵のダメ出しに撃沈する令子。

「あ〜〜! わかったわよ! アメリカに行けばいいんでしょーーーー!!」


















結局令子はアメリカに行くしか選択がないのだと諦めてしまったのだった。



部屋を出て行く令子に美智恵は沈んだ顔を向けていた。
三々五々、部屋を出て行くメンバー達。唐巣神父は何か言いかけるが、ため息をついてからそっと
部屋を出て行く。
部屋には六道幽子と美神美智恵のみとなってしまった。

「残念だけど〜 どうしようもないわ〜 今の政局も絡んでいるし〜」
「ハイ。でも…私がもう少し早く察していれば……」
「でも〜 横島くんは〜 ずっと低賃金で〜 働かされていたのよね〜
私は〜 貴方の師匠として〜 それを見過ごすわけにはいなかいのよ〜」

にこやかな顔で言う幽子の顔だが、目は笑っていない。

「唐巣神父も〜 貴方も〜 令子ちゃんに〜 甘すぎよ〜。 彼女以外を犠牲にするというなら
……私が許しません」
「…………はい」

正に痛いところをつかれて美智恵は更に下を向く。
美智恵は横島に借りがあるのだ。アシュタロス戦で彼に背負わせた責任と心の傷に、そして令子の
命を救ってくれた恩。それをこれからは返さなければならない。なのに、あの後から何も恩を返して
いない自分に腹が立つ。が、それは置いておいて確認すべきことがある。
美智恵は顔を上げて幽子を見据えた。

「…でも師匠、横島君を冥子さんの婿候補として考えていると聞きましたが…」
「そう〜? それもいいわね〜」

ニコニコと笑いながら世間話調にお互いを見つめる。

「まさか、そのせいで令子をアメリカに追い出そう…とかしてませんわよね?」
「そんな事は〜 ないわよ〜 今回の〜 全ての騒動は〜 政治家にあるんだから〜」

美智恵の目が心持ち鋭くなっているが幽子の様子には異変はない。

「………本当ですか?」
「困るのよね〜 ちょっと議員が不祥事だからって〜 有名人のスキャンダルで煙に巻こうなんて〜
するんだから〜」

美智恵の鋭い視線にも動じることがない幽子。さすがは六道財閥オーナーである。


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