「なんで撤退した(怒)」
あたり一面に広がる黒い空間。韋駄天特九隊の作り出したこの空間で二人の人影の一人、六麻呂がもう一人の人影、三世に殺気を放って明らかな怒りの表情を向ける。
「だって危なかったじゃないですか♪」
だがそんな六麻呂の感情は三世にあっさりと流されてしまった。
三世は相変わらずの笑顔でそのまま話を進めていく。
「あなたの着けているイヤリング、もう少しで外れちゃうところだったんですよ」
「このイヤリングを作ったのはおまえだろ(怒)第一、こんな外れやすいもんよりもピアスを作りゃよかっただろうが!!」
「だってピアスは私の趣味じゃないんですもん(笑)」
「なんで俺がおまえの趣味にあわせなきゃなんねーんだよ!!」
あまりにもふざけた理由に怒鳴り散らす六麻呂。しかし、彼の叫びも三世の底なしのマイペースにはかなうはずもなく、段々と静かになっていった。ちなみに静かになった六麻呂が息切れしていた事は言うまでもないだろう。
三世はまた話を進めていく。
もう六麻呂は三世の話を聞くことだけに専念することにした。
「それに私が来た時に六麻呂が闘っていた相手、たしかアシュタロス大戦にも参加していた伊達雪之丞さんですよ。大戦ではそれほど大きな実績は残していませんが、人間にしては相当な実力者なんですよ♪」
そんな事は言われるまでもなく分かっている、といった顔で六麻呂は話を聞いていた。
実際にヤリあった時にその力は嫌でも伝わってきた。強がってはいるが、あの時に三世が来てくれなかったらもしかしたら負けていたかもしれないと言う不安も一瞬生まれたほどに。
「そしてもう一つに・・・・・」
「ん?」
「横島さんのライバルでもあるらしいですよ」
「!!、そいつは本当か!?」
六麻呂の額から汗が流れ落ちる。
このときに初めて三世に感謝した。何しろ自分は『イヤリング』というハンデを抱えている状態で、自分が『最強』と思っている相手のライバルと戦っていたのだから。
あのまま戦っていたら間違いなく負けていた、という予想は確信へとたった今変わった。
それと同時にとことん横島への評価を下げる事のない男の姿がここにあった。
「ま、雪之丞さんの話はこれくらいにして、あの横島さん・・・・・」
「・・・・・何だ?」
三世の口から出てきた横島の名前に反応して問い掛ける六麻呂。
そして語られた言葉は・・・・・
「素敵な方でしたわ〜!!(キラキラ)」
ズシャーーーーーーーーーーーッ!!
予想だにしない発言に六麻呂が気持ちいぐらいのズッコケを見せてくれた。
「お、おまえ“アレ”がタイプだったのか!?」
「もちろん!!男性はまず第一に積極性がなければ。それにあの動きの速さ、韋駄天顔負けでしたわ♪」
目を輝かせ、時には拳を作ってバックには炎をまとって横島を誉めまくる三世。
横島の『人外に好かれやすい』という特異体質が神をも虜にすることができるという証明になった瞬間だった。
六麻呂も三世の反応にけっこう引いてる。
それはそうと、六麻呂は六麻呂で雪之丞の乱入で中断された横島との再戦を望んでいる。別に三世が横島に惚れていようがいまいが殺すつもりで戦う気でいた。だが、そのためにはまず三世に頼んでこのイヤリングをなんとかしてもらわなくては困るのだ。
とにかく六麻呂はまだ引いている気持ちを引きずりながらも、三世に頼む事にした。
「お、おい・・・それはそうとこのイヤリングをなんとかピアスにでも替えてもらえねぇか?」
「いいですよ。私の能力を応用すれば簡単にできますから♪でも六麻呂・・・もしそれで横島さんを殺すような事があったら・・・・・どうなるか分かってますよね(ゴゴゴゴゴゴゴ)」
(この女本気だ・・・・・(汗))
六麻呂は初めて仲間に恐怖したと言う。
「聞きましたか?今の話」
「フッ、あんな大声嫌でも聞こえたわ!」
六麻呂と三世から離れた所に二人の人影が話している。
六麻呂と三世は話に夢中で二人の存在に気づいていない。
「だいたい何故三世はその横島と言う男を自分で相手にせんのじゃ?」
「多分彼女のことですから、六麻呂と戦って弱ったところに自分が行って救いの手を差し延べて自分のモノにするつもりなんでしょう」
「ハッ、くだらん!」
二人の人影は呆れきった声で、三世の横島を自分のモノにするくだらないアイディアをののしっている。
声からして若い男と老人のようだ。
二人はしばらく話していたが、若い男の声の方が突然言い出した。
「会いに行って見ませんか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
老人の声の方は何も言わずにしばらく無言の状態が続いた。が、しばらくしてその老人の声の方の人影が笑ったように見えた。
一方その頃、美神事務所では・・・・・・・・・
「横島ーーーーーー!!あんた今朝私になんて言ったか覚えてんのかーーーーーー!!」
「ヒィィィィィーーー、美神さん堪忍やーーーーーーーー(涙)」
横島にとっての修羅場が待っていた。
皆さんお久しぶりです。
前回の投稿のすぐ後に右手を怪我していまい、ここに来るのも久しぶりです。
今回は戦闘シーンはありません。戦闘シーンのための準備期間みたいなものです。期待してくださっている方には申し訳ないのですが、これからも頑張りますので応援宜しくお願いします。
出てきた二人組みは誰にしようか現在考え中です。
コメント宜しくお願いします。 (鷹巳)
今回わかったのは、結構こいつらバラバラだから7人といってもつけいる隙はあるってことですね。ピアスに直されてハンデがなくなりそうですが、まだまだどうとでもなりそうです。 (九尾)
横島に誰かが惚れるのはパターンではあるのですが、あまりにも唐突過ぎてちょっと納得できませんでした。もしや『恋』の文珠をどさくさに喰らったのか! な訳ないですけど。
悪の組織が出てきたときいつも思うんですが、一気に攻めれば絶対負けませんよね。
この小説の韋駄天にもそれができない理由とかがあればいいんですが。例えば一角が動けない理由があるとか。
他の韋駄天(のキャラ)が楽しみなので、ほくほくしながら次の投稿を待ってます。
最後に以前言ったことですが、もう少し展開を早くして欲しいところです。 (由李)
これからもなんとか頑張っていこう、と強く思ったところでコメント返し送ります。
<九尾様へ>
三世を気に入ってくれた様でありがとうございます。自分の作ったキャラを他の方に誉めてもらったり、気に入られたりする事はとても嬉しく思っています。
今回の話で韋駄天特九隊がバラバラであると言うことを分かってもらえた様子ですが、理由を言うとそうでもしないと仲良く全員で襲い掛かってすぐに話が終わってしまいそうだったので、そういうふうにしてみました。
次回も宜しくお願いします。
<由李様へ>
具体的な活動・・・・・(汗)、そう言えば横島と八兵衛を狙う以外にはこれといった行動を取らせていませんでした。とりあえず今は横島方面に目が行っていると言う事なので、おっしゃる通りにまったりした組織になってしまうのです。
惚れさせるパターンは唐突過ぎたようですね。読者に納得させられなかったのは俺の力不足なので、なんとか頑張って行きます。
一気に攻める展開と言うのもいいのですが、やっぱりここは少人数でジワリジワリ話を進めていきたかったのでこの展開で攻めてみました。でも、一角が動けない理由も考えておこう・・・・・
他の韋駄天を楽しみにしていただき真にありがとうございます。
話の展開のスピードは現段階では「すみません」としか言えません。なんとかしていきたいと自分でも思ってはいるのですが、なかなか上手くいきません。(涙)
次回も宜しくお願いします。 (鷹巳)