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横島ドタバタ恋物語

リポート9  休む間もなくまた試験!?


投稿者名:雅樹
投稿日時:05/12/ 8

キーンコーンカーンコーン

「お・・・・終わったぁ・・・・」
「お疲れ様でした、横島さん。」
「やれることはやったぞぉぉぉぉ・・・・」
「できはどうだったんですか?」
「今回は何か結構できたと思うんだけどな・・・」
「自信はあるってことですね。」
「まぁな・・・」

テストのあるこの何日か横島は事務所のメンバー(美神&タマモ)に
詰め込み(スパルタ)教育を施されたお陰か、今回のテストに中々自信があるようだ。

「さって・・・バイト行くかぁ・・・」
「途中まで一緒に帰りませんか?」
「いや・・・ダッシュで行かねば美神さんにしばかれてしまう・・・」
「そ・・・そうですか・・・では、気をつけて。」
「あぁ・・・またな。」

ピートに別れを告げ、ダッシュで事務所を目指す横島。
美神にこき使われている成果が出ているのか、かなり足は速い。

「ち〜っす。」
「あっ、タダオ。早かったのね。」
「まぁな。遅かったら美神さんに折檻(せっかん)されてしまう。」
「美神さんなら自分の家だけど?」
「え゛・・・・何で!?今日の朝までずっと事務所に泊まり込んでたのに・・・」
「美神さんの住んでる所マンションだもん。家賃払わなきゃいけないし。」
「マンション?あぁ・・・・そうか。そう言えばそうだな。美神さんは一軒家とか買わないのか?」
「さぁ?結婚するまでは買わないつもりかもよ?」
「美神さんならいつでも豪邸が建てられるだろうしな。」
「GSの仕事は儲かるからねぇ・・・」
「相場の倍以上請求する美神さんだからこそ儲かるんだろうな・・・」

「で、タダオの時給は?」
「・・・・・聞かないでくれ。この事務所で働けてそれなりに満足しとるんだ・・・」
「ふぅん・・・私がいるから?」
「・・・・・何でそういうことになる?」
「もう・・・照れちゃって。」
「いつ!?誰が!?誰に!?何故照れるんだ!?」
「またまたぁ。」
「タマモ・・・お前、キャラがどんどん違ってくるな・・・」
「・・・・・そういうお年頃なのよ。」
「そういう年頃って・・・900年以上生きてるし、普通ならババァじゃねぇか・・・」
「何?文句あるの?」
「いや・・・何でもない。じゃあ、俺は一度帰って着替えてからまた来るわ。」
「うん。分かった。」

久しぶりに見る自分の住んでいるアパート。
何故か妙に懐かしく思えてくる横島であった。

「あっ、横島さん。」
「小鳩ちゃん。」
「久しぶりですね。最近帰ってなかったみたいだから、小鳩心配でした。」
「いや、事務所に泊まってたんだよ。今回のテスト悪いと留年になっちゃうからさ。美神さんたちに勉強教えてもらってたんだよ。」
「そうだったんですか。テストはできましたか?」
「まぁ、それなりにね。小鳩ちゃんは今からバイト?」
「はい。今日は学校が早く終わったので、バイトの時間が長いんです。」
「へぇ、頑張り屋だねぇ。」
「そんな・・・横島さんも頑張ってるじゃないですか。」
「まぁ・・・ね。バイト頑張ってね。」
「はい♪それじゃ。」

小鳩と別れ自分の部屋に入る横島。
「はぁ・・・いつ見ても汚い部屋だなぁ・・・」
自分の部屋に文句を言う横島。
汚いと思っているのなら掃除すればいいと思うのだが・・・
横島には自分の部屋を掃除するという気はないらしい。

「さて、さっさと着替えてバイト行かなくちゃな。」
せっせと学ランを脱ぎ捨て、美神に買ってもらった服を着る。
まだ着ていない服がたくさんあるので、とりあえずその中の一着を着る。
「美神さんのお陰で服に不自由しなくなったな。」


着替えた横島は再び事務所へ。
「ただいま〜。」
「おかえり〜。」
「あれ?まだ美神さん帰ってきてないのか?」
「うん、まだみたい。」
「そう言えば・・・シロもいないな。」
「馬鹿犬はおつかいよ。」
「おつかい?」
「そっ、厄珍堂って所にお札とかの商品取りに行ってるの。」
「あぁ、そっか。」
「何か暇だねぇ。仕事も美神さん帰ってこないとないし。」
「そうだな。まぁ、平和でいいんだが・・・」

特に何もやることのない二人はお茶を飲みながら茶菓子をポリポリ食べ、美神の帰りを待っていた。
しかし、美神が中々帰ってこない。
二人は美神の身に何かあったのでは?と、心配しだしていた。

「遅いなぁ・・・美神さん。」
「うん・・・何かあったのかな・・・」
「まぁ、美神さんのことだから大丈夫だとは思うが・・・」

ブロロロロロロン・・・・

「おっ?美神さんのコブラの音だ。」
「帰ってきたみたいね。」

しばらくするとガチャッとドアの開ける音がして美神が入ってきた。

「ただいま。」
「お帰りっす。ずいぶんと遅かったんすね?」
「おかえり〜。」
「えぇ、ちょっとある人と話をしてたの。」
「なんの話っすか?」

「今度のゴーストスイーパー資格取得試験の審査員を頼まれたのよ。」
「あぁ、あの試験っすか。で、やるんすか?」
「やるわ!!だって審査員やるだけで1億よ!?最高の大名商売じゃない!!」
「えぇ!?審査員やるだけで、い・・・1億!?」
「そうだ!!横島君もやりなさいよ!!」
「えぇ!?俺がっすかぁ!?」

「そうよ。私の他に何人か探してるんだって。よかったら紹介してって言われたわ。」
「お・・・俺なんかが審査員に!?」
「そうよ?だって、あんた文珠が使えるのよ?今の世界に文珠作れるのは多分あんただけだから先方も快諾してくれると思うわ。」
「じゃあ・・・俺に1億が・・・「これで2億!!ボロいわ!!」・・・・え?」
「何?どうしたの?」
「いや・・・1億って俺のもんなんじゃ・・・」
「・・・・・何で?」
「何でって・・・俺が審査員するのに俺の分1億貰えないんすか!?」
「だって、あんたは『美神除霊事務所』のバイトなのよ?」
「えぇ、まぁ・・・」

「私の事務所から私と代表として行くんだから私が貰うのは当然じゃない?」
「おかしいっすよ!!俺が行かないと2億は貰えないんですよ!?」
「何?あんたも欲しいの?」
「当たり前っす!!」
「仕方ないわねぇ・・・」
「仕方ないって・・・あんたなぁ・・・」
「じゃあ・・・奮発して1万円!!」
「1万分の1!?それはないっすよぉぉ〜!!」
「何よ・・・私が奮発してやってるのに・・・じゃあ・・・10万よ!!これ以上はあげれないわ!!」
「くぅぅぅ・・・10万も大金だ・・・わかりました、やります。」
「わかったわ。じゃあ、試験は3日後だからね。」
「うぃ〜っす。」

じゃあ、連絡しとくからと言って美神は電話を取り誰かに電話をしだした。
横島は「10万か・・・・エロ本何冊買えるかな?」などと、くだらない事を考えていた。

しかし、ここで美神は本当のことを言わなかった。
実際、GS資格試験は二日あるのだが言わなかった。
つまり・・・一人一日1億ということなのだ・・・・
横島は二日で1億だと思っているだろう・・・
金は全て自分のもの!!まさに美神らしい考えである。
(二日で4億・・・くぅぅぅぅ!!ボロい!!ボロ過ぎるわ〜!!)


――そして三日後――

ゴーストスイーパー資格取得一次試験会場

「久しぶりやなぁ・・・・」
「今年はあんたが受けた前よりも受験者が多いのよ。」
「へぇ・・・たしか・・・前が1800人くらいでしたよね?」
「まぁ、それくらいね。でも、今回は2000人超えてるのよ?」
「えぇ!?に・・・2000人!?」
「そうよ。でも、合格枠は変わらず32名ね。」
「あいかわらず狭き門やなぁ・・・・」
「さって、そろそろ審査会場に行くわよ?」
「うぃ〜っす。」

審査会場

「あっ、唐巣神父!」
「おぉ、横島君。それに美神君。」
「神父も審査員に?」
「あぁ、前回も頼まれていたんだが、メドーサの件があったしね。」
「へぇ〜、神父の収入源はこれっすか?」
「ハハハ・・・・痛いところをつくねぇ。」
「全く・・・最近は除霊料金とってるみたいですけど、まだ全然とってないんでしょ?」
「ハハハ・・・・」
「善人者やなぁ・・・神父は。美神さんとは正反対・・・ブッ!?」
「やかましいわよ!!」

「つつつっ・・・・・あれ?今日ピートは来てないんですか?」
「あぁ。彼は今日一人で仕事をやってくれているよ。」
「へぇ〜、頑張ってるんすねぇ。」
「あぁ。オカルトGメンに入るには実績も必要だからね。」

「さて、そろそろ説明の時間よ。」
「説明?」
「あぁ、霊力を測る機械の説明だよ。」
「霊力を測る機械?そんなのあるんすか?」
「あんた・・・自分も測定されてたのに分からなかったの?」
「えぇ・・・あん時は美神さんのスリットに釘付け・・・・ブゥッ!?」
「あんたってやつはぁ〜!!」
「まぁまぁ、美神君。君のお陰で横島君は一時審査を受かったんだから。」
「はぁ・・・・はぁ・・・・はぁ・・・・」

そして数分後・・・・
前回と同じく審査委員長の春野氏が登場した。
彼もプロのGSらしい。服装からいくと流派は仏教系のようだが・・・

「諸君。今日は集まってくれて感謝している。では、今から霊力測定器の説明をしよう。」

(お金のためじゃなきゃ審査員なんて面倒くさい事やるわけいじゃない・・・・)
(美神さん・・・絶対に金のためじゃなきゃ来なかったとか思ってるな・・・・)

そして数分間うんぬんかんぬんと測定器の説明などがされた。
ここでもGSの性格はでるらしい。
唐巣神父は真剣に聞いているし、美神は何やら電卓で計算をしている。
横島にいたっては、美神以外女性審査員がいないのでがっくりしている。

「・・・・・では、説明は以上だ。」
「やっと終わったわね・・・退屈だったわ。」
「ねぇちゃんが・・・・いない・・・・」
「君たちねぇ・・・話を聞いていなかっただろ?」
「あっ!!もうそろそろ始まるわ!!」
「ねぇちゃん・・・」
「君たち・・・」

呆れるしかない神父。
しかも、一人は自分の弟子だった人物・・・
一体どこで教育が間違ったんだろう・・・いや、自分のせいではない!!
僕は間違っていない!!美智恵君が教育を間違ったんだ・・・そうであって欲しい!!
もう神父らしからぬことを心で思う唐巣神父。
しかし、美神令子が弟子ともなればそう思うのは当然ではないだろうか・・・・

その頃、試験会場の外では、GS協会広報課が有力選手や有名選手にインタビューをしていた。

横島や美神の知り合いの雪之丞やタイガー、Drカオスなどもいる。

「伊達雪之丞選手ですね?前回は資格を取得したにもかかわらず剥奪されたとの事ですが、何かそれに対して回答を・・・」
「・・・・悪いな、俺は始まるまで精神を集中したいんだよ。」

香港の一件でブラックリストから外されたが、資格は剥奪された雪之丞。
公(おおやけ)のGSになるには今回再び資格を取得しなければならないのだ

「カオス選手!!前回はおしくも銃刀法違反という形で落ちてしまいましたが・・・」
「ふん!!今回は前回のようなヘマはせん。今回は何としても合格して貧乏から脱出してくれる!!」

雪之丞やカオスはインタビューをされたが、タイガーにだけは広報課がインタビューをすることはなかった。

「何か不公平を感じるノォ・・・・」
人差し指をくわえながらぶつくさ文句を言う。
傍から見れば2メートル近い大男が指をくわえてるなど奇妙極まりない。

そして、ついにGS資格取得試験が始まった。

「横島君。審査が始まったら審査員として振舞うのよ?」
「分かってますよ。」
「・・・・・美女見つけたからって飛び掛ったりひいきしたりしちゃだめよ?」
「しますか!!俺にだって、金が掛かってるんすからひいきなんてしませんよ!!」
「そう、ならいいんだけど・・・・

「よーし、最初のグループ入りなさい!!」
ゾロゾロと入ってくる受験者たち。中には横島好みの美女も居た。
美神はチラリと隣の横島を見てみると、横島は今にも血涙が出そうな勢いを堪え、
歯を食いしばって飛び掛りたい衝動を抑えているようだ。
(ちゃんと我慢はしているのね・・・・)

「諸君の霊力を審査します。足元のラインにそって並んで霊波を放射してください!!では始め!!」

受験生達が次々に「はー!!」などの掛け声をかけながら霊波を放射している。

横島達審査員は霊波計を見つめ、規定値を下回った受験生の番号を春野氏に告げていく。
「22番、7番、31番、19番、15番、2番!!失格だ!!帰っていい!!」

次々と受験生を失格にしていく春野氏。

「よーし、そこまで!!1番!!34番!!20番!!48番!!5番!!
君たちは合格だ!!二次試験会場へ向かってくれ!!」

その後、横島は雪之丞やタイガー達が審査会場へやってきた時は少々驚いていた。
たまたま雪之丞の霊波を測っていた横島は、今まで測ってきた受験生とは全く次元の違う雪之丞の霊波に驚きを隠せなかった。
今まで一緒に何度も仕事はしてきた。小竜姫の元で修行をしたこともある。
だが、雪之丞がこれ程の霊力を持っているとは・・・
おそらく、他の受験生や美神や他の審査員も雪之丞の霊波がずば抜けている事を悟っているだろう。
それ程に雪之丞は強さを求め修行してきたのだ。

――数時間後――

「やっと一時審査終わった・・・疲れたぁ。」
「本当ね。審査員がこれだけ疲れるなんて思っても見なかったわ。」
「ハハハ。これもまた修行のひとつだよ。」
「はぁ・・・腹減った・・・」
「じゃあ、お昼食べに行きましょう。」
「マジッすか!?」
「自分の分は自分で払いなさいよ?」
「そんな殺生な・・・・」
「ハハハ。じゃあ、横島君は僕がおごろうか?」
「ホントっすか!?・・・いや、いいっす。神父美神さんと違って金に不自由してそうだし・・・」
「そうよ。神父は人におごれるほどお金ないんだから。」
「君たち・・・『失礼』という言葉を知っているかね?」
「仕方ないわね・・・横島君、おごってあげるわ。」
「マジッすか!?感謝しますよ!!」
「君たち・・・『人の話には耳を傾けましょう』って聞いた事ないかな?」

神父の言葉を無視して美神と横島はレストランへ。
残った神父は「神よ・・・」と両手を合わせて天に何かを祈っている。

――レストラン――

「ご注文は何になさいますか?」
「私はランチを頂戴。」
「俺、ハンバーグとミラノ風ドリアとチョコレートパフェ!!」
「はい、かしこまりました。」

「・・・・・あんたねぇ。」
「はい?」
「頼みすぎよ。」
「仕方ないんすよ!!必要最低限のカロリー摂取せな死んでまうぅ!!」
「カロリー取りすぎよ!!しかも何?あんた高校生でパフェって・・・」
「仕方ないんやぁ〜!!パフェが好きなんやぁ〜!!」

「相変わらず・・・お前らは所構わず漫才か?」
「誰が漫才よ!!・・・・って、雪之丞?」
「よっ。」
「お前も昼飯か?」
「まぁな。」
「っていうか・・・あんたまだ白龍GSの門下生だったの?」
「あぁ、まぁ免許を取ったらさっさと抜けるがな。」
「そっか、一応どこかの所で門下生になっとかないと受験できないもんね。」

ドクター・カオスは免除になっているが、その他はそうはいかない。
雪之丞の実力は最高クラスのなのだが、まだ一応は白龍GSの門下生なのだ。
門下生でない奴は(カオス以外)受験資格が貰えないのだ。

「そうだ。物は相談なんだけどよ・・・」
「ん?何よ?」
「俺が資格取ったら俺を旦那のところで雇わねぇか?」
「却下。」
「早いな!!」
「私はあんたを雇ってる余裕なんてないのよ。」
「おいおい・・・あんた滅茶苦茶稼いでるだろ?」
「私はお金が好きなのよ。あんたを雇ってお金払うくらいなら・・・・あんたを殺す!!」
「何でそうなるんだよ・・・・」
「独立すればいいんじゃないか?」
「いや・・・独立はしねぇよ。手続きやら何やら面倒だしな・・・」
「じゃあ、かおりちゃんの所で働いたら?」
「なっ!?何言ってんだよ!!」
「雪之丞〜!!貴様やっぱり弓ちゃんとできとんのか〜!!」

「横島君・・・知ってたんでしょ?」
「ぐっ・・・・ちきしょ〜!!認めん!!認めんぞぉぉ〜!!」
「てめぇが認めようと認めまいと関係ねぇよ!!」
「話がややこしくなるからあんたは話に入ってこないでよ!!」
「うぅぅぅ・・・・ちきしょぉぉぉぉ・・・・」

「で、何でかおりちゃんの所には行かないの?」
「そっ・・・それは・・・」
「かおりちゃんのお父様に一人前になって有名になって、かおりちゃんを貰おうと?」
「うっ・・・」
「当たりみたいね。それなら、私のところで働くより独立したほうが早く有名になるわよ?」
「いや・・・だから、手続きは面倒で・・・」
「1000万くれるなら私が手続きしてあげるわよ?」
「いらねぇよ!!」
「あらそう?じゃあ・・・・頑張って♪」
「ちくしょう・・・・」

雪之丞はトボトボとその場を去っていった。
その後、美神のランチが来て、横島のミラノ風ドリアやハンバーグが来た。
二人が昼食を取っていると、二人の下へ迫る人物が・・・・

「どうも。」
「んむ?鬼道じゃねぇか。お前も受験しに来たのか?」
「あんた・・・気づいてなかったの?」
「いやぁ・・・ハハハ・・・」
「あんた、六道理事のいいつけで受験しにきたの?」
「まぁ、そんな感じやね。実際には冥子はんのためになんやけど。」
「ふぅん。で、冥子とはいつ結婚するの?」
「そんなん・・・まだわからへんわ。でも、いつかしたいね。美神さんはどうなん?」

ピキッ・・・・
「何?私が何よ?」
「え・・・いや・・・美神さんもそろそろ結婚するんかなぁって・・・」
「私が?何で?私はまだ若いのよ!!」
「いや・・・別にそういう意味で言った訳やないんやけど・・・」
「いいわよ・・・私は冥子みたいに相手が居るわけでもないし・・・」
「美神さんの相手ならここに〜!!」
「「・・・・・・・・・・・」」
「な・・・何だよ、二人とも!!ちくしょ〜!!どうせ俺は美神さんに釣りあわねぇよ〜!!」

横島はいきなり全力ダッシュでどこかへ行ってしまった。
テーブルの上にはあまり来てから時間が経っていないのに空になった皿。
全て横島のものだった。

「で、まだ横島君に想い伝えてないんやね。」
「なっ、何よ!?私が横島君の事好きだって言うの!?」
「・・・・・そうやろ?見てたら分かる事やん。」
「うっ・・・・」
「もしかして・・・気付かれてないと思ってるんか?気づいてないのは横島君だけやと思うで?」

「うっ・・・そんなに・・・分かるの?」
「まぁ、露骨やと思うで?横島君に色々お仕置きやるのも愛情の裏返しやろ?」
「あれは・・・横島君が・・・ゴニョゴニョ」
「そうやって赤くなってる姿横島君に見せたったらええのに。」
「・・・・・・絶対に見せないわ。」
「頑固やねぇ・・・素直になったらええのに。」
「・・・・・・うるさいわよ。」
「ハハハ。あんまり頑固やと氷室に横島君取られるで?」

キン!!
どこから出したのか美神の手には神通棍が握られている。
しかも美神の霊波を帯びてムチ状に変化している。

「ひぇぇぇぇぇ・・・じゃ、じゃあ僕は精神集中するから!!」

横島みたいな声を上げて、鬼道はすたこらと逃げて行ってしまった。

「全く・・・・・私だって分かってるわよ・・・・・素直にならなきゃいけない事くらい。」

美神も前よりは素直になった。周りも本人もそれは分かっている。
まして、美神と横島は前世からの付き合いなのだ。
・・・・・・・メフィストと高島として。
しかし、前世では結ばれる事がなかった・・・・
そして、再びめぐり合った現世。

最初はただのスケベ少年だった。
自分の事務所で働く事になったのも、ただの偶然のはずだった。

「偶然なんてありえない・・・・・・・・か。」

ポツリと一言つぶやく美神。確かにそうなのかもしれない。
世の中、人とのめぐり合わせは偶然ではなく全て必然・・・なのかもしれない。

そして二人はめぐり合った・・・・必然に。
しかし、前世とは大きく違った事があった。
それは横島には心から愛する魔族ができてしまったこと。
そしてその魔族は横島のために命を落とした・・・・・

「私は・・・あの子の代わりにはなれない・・・」

横島が愛した女性は横島の子供として生まれてくる・・・
もし、自分と横島の子として生まれてきたら・・・?
いや、自分の子としてではなくとも・・・生まれてきたとしたら・・・?
横島はその子だけを愛するのでは?不安は拭(ぬぐ)いきれない・・・・


「美神さん?」
「きゃぁぁぁっ!!」
「うぉぉぉぉっ!?」
「な・・・横島君!?」
「はい?何すか?」
「・・・・・いきなり現れないでよ。」
「いや・・・・さっきからいましたよ。」
「・・・・・・そう。」

いきなりの横島の呼びかけに不覚にも大声を出してしまった。
対する横島も、美神の大声に驚く・・・・
横島はいつの間にかちゃっかり帰ってきている。
眼の周りには相当泣いたと分かる涙の後が・・・・・

「美神さんどうしたんですか?何か顔がすっげー厳しかったっすよ?」
「え・・・・」
「何かあったんですか?俺でよかったら相談に乗りますよ?」
「・・・・・・・・何でもないわ。」

「あなたは生まれ変わってくる・・・・の事だけを愛するの?あなたの隣に歩く人は愛さないの?」
こんなこと本人に聞けるわけがない。
よしんば聞いたとしても、横島の口からの答えを聞くのが怖い・・・・

「そうっすか・・・そろそろ受験生同士の試合始まりますよ?」
「そうね・・・行きましょうか。」
「うぃっす。」
「・・・・・・・横島君。」
「はい?」
「覚悟しときなさいね?」
「・・・・・・・・・・は?」

多分、美神も何故こんな言葉が出てきたか分からないだろう。
当然、横島には分かるはずがない。
「覚悟しときなさいね?」
自分は何故こんなことを言ったのだろう?
だけど・・・何故か心の底から出てきたような気がする・・・・
本当は分かっているのかもしれない・・・でも、自分は意地っ張りだから・・・
この言葉の意味をワザと分からないといっているのだろうか・・・まぁ、いい。
今は分からなくていい。そう・・・・・・・今は。

「(俺が何したっちゅうんじゃ〜!!また帰ったら折檻か!?最近は何もしとらんぞ!?
いや・・・・アレか!?本の間に隠しておいたはずの美神さんの入浴写真を見つけられたか!?)」

・・・・・・哀れ横島。
最初は折檻なんぞはされなかったものを・・・
余計な一言で(横島は口に出してないつもりだったらしいが)帰ってからではなく、
その場で美神の音速と思えるほどの右ストレートをくらったのでした。

「また・・・・・・・・声に・・・・・・・・」

何度やられても懲りない横島であった。


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