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横島ドタバタ恋物語

リポート8  楽しいはずのない勉強


投稿者名:雅樹
投稿日時:05/11/13

――朝7時――

ピピピピピピッ・・・・・・
「ん〜!!朝かぁ・・・朝ごはん作らなきゃ・・・」

朝、いつもの様におキヌちゃんがキッチンへ向かいますと・・・

「え゛っ!?何ですか・・・この栄養ドリンクの山は・・・」

そう、おキヌちゃんの目の前に現れたのは栄養ドリンク(空)の山・・・
それを飲んでいたのは言うまでも無かろう・・・横島だ。
横島はソファー何やら本を必死で読んでいるようだ。

「よっ・・・横島さん?まさか・・・寝ないで勉強を?」
「や・・・やぁ・・・おキヌちゃん。どうしたんだい・・・こんな時間に・・・」
「こんな時間って・・・もう朝ですよ?」
「朝・・・・・・朝ぁ!?朝なのかぁ!!??」
「えぇ・・・まぁ・・・」
「朝だぁ!!やったぁぁぁぁぁ〜!!お日様おはよ〜!!」

朝という単語を聞き途端に元気になる横島。
朝日に挨拶までする始末・・・周りから見れば奇妙極まりない。
一体どうしたというのだろうか?
さて、時間を少しさかのぼってみましょう。

――まだ夜中4時頃――

「じゃあ横島、この「けしき」はどういう意味?」
「これか?これは・・・景色じゃねぇの?外の景色とか・・・」
「違うよ・・・はぁ・・・」

ボッ!!
「アギャァァァー!!俺の髪がぁ!!どんどんなくなっていく〜!!」
「あんたが間違えるから悪いんじゃない。」
「普通もっと別の注意の仕方があるだろうがぁ!!」

「・・・・この場合の「けしき」は「景色」じゃなくて「気色」って書くのよ。
訳は、「気配」とか「様子」、「雰囲気」って訳すのよ。まぁ、大体「様子」ね。」

「タマモ・・・今サラッと流しやがったな・・・」

「ほら!!もうちょっとで終わるんだからしっかり集中してよ。」
「集中させたいんなら髪の毛を焼くな!!嫌でも神経が髪の毛に行くわい!!」
「・・・・・」
「なっ・・・何だよ?」
「・・・・・髪の毛の無い横島とってもしぶくて素敵・・・・よ?」

グッ!!

「親指立てて笑顔で嘘ついてんじゃねぇ〜!!最後に「?」がついとるわ!!」
「・・・・わかっちゃった?」
「当たり前だ!!」
「まぁ、どうでもいいから次やるよ?」
「・・・・俺は本当にこれでいいのか?何か違うような・・・」

横島はタマモに古典を教えてもらっている事に何らかの不安があった。
頭を焼くのは当然として・・・・・・
タマモは確かに900年という長きを生きている妖狐だ。
古典の知識という点でもタマモ以上の奴はおそらくいないであろう。
しかし不安を抱かずにはいられない・・・
横島はふと、1つの心当たりに思い至った。

「なぁ、タマモって人に物を教えた事ってあるのか?」
「全然ない。」
「・・・・だろうな。」

そう。横島が抱いていた不安・・・それはタマモの教え方だった。
タマモは教え方が非常に・・・・下手だった。
なぜなら、タマモは全然要点を掴んでいないからだ。
本来、学校の先生は要点を掴み順を追って説明するものだ。
しかし、タマモの場合は・・・

「あっ、この問題解くの面倒くさいからやらない。
このページの問題簡単だからこれ先にやっちゃお?」

などと、教科書が行ったり来たりしてしまうため、
横島は順を追ってやることができず、行ったり来たりしているのだ。

「なぁ、タマモ。順を追って教科書どおりに進んでくれないか?」
「だって、順番通りに進むの面倒くさいじゃん。楽なの先にやろうよ。」
「お前・・・面倒くさいのが後に後に残っていくのが分かってるのか?」
「・・・・・・面倒くさいのは美神さんにでも教えてもらってよ。」
「お前なぁ・・・美神さぁん・・・こう言ってますけど、どうします?」

当の美神はというと・・・?
「zzz・・・」
やはり睡魔には勝てなかったようだ。
可愛い寝息をかいて横島の後ろの方でスヤスヤと眠っている。

「み・・・・美神さぁ〜ん・・・・」
半べそ状態の横島。

「横島・・・そんなに私に教えてもらうの嫌?」
こちらも少々心外だという感じのタマモ。

「いや・・・そうじゃないんだが・・・いや、タマモの教え方はいいよ。
ただ・・・面倒くさがったり頭を燃やしたりするのはどうかと思うぞ?」
「だって・・・」
「そ・・・そんな目で俺を見るなぁ!!上目遣いをやめてぇ〜!!
違う!!俺はドキッとなんてしてないぞぉ〜!!違うんやぁ〜!!」
「ふぅん・・・ドキッとしたんだ?」
「違う〜!!違うんやぁ〜!!俺は・・・俺はぁぁぁ!!(血涙)」
「分かった分かった・・・だから血の涙流さないでよ・・・怖い。」
「あぁ・・・すまんすまん。」

涙を流しすぎたせいか、普通に寝ていないせいか目がうつろになってきた横島。
まぁ、普通の人間なら寝ている時間なのだが・・・・

「・・・・・・横島?」
「んぁ?何だぁ?」
「眠たいの?」
「まぁな。普段除霊の仕事がない時は寝てる時間だな。」
「そうね・・・・ちょっと待ってて。」
「?」

トテトテトテトテ・・・・・
普通ならありえない足音をして(多分)キッチンへと向かったタマモ。

そして数分後・・・・

テトテトテトテト・・・・・
ありえない足音が戻ってきた。

「タマモ?何しに行ってたん・・・・・・だぁ!?」

横島の語尾が上がってしまう。
それもそのはずだろう・・・
タマモの手に持たれていたのは大量の栄養ドリンク・・・と思わしきもの。

「タマモ・・・・それは・・・・何だ?」
「何って・・・見て分からないの?こういうの飲んだ事無い?」
「いや・・・俺の記憶が正しければそういうビンに入っているのは、大抵栄養ドリンクだと思うんだが・・・・」
「何だ、知ってるじゃん。」
「それが栄養ドリンクに見えるか!!何だその名前は!!
「毒サソリエキス」だと!?どう考えても栄養ドリンクじゃねぇだろ!!」
「いいから飲みなさいよ。元気出るから。眠気も吹っ飛ぶわよ?」
「嫌だ!!誰が飲むか!!どう考えてもヤバイじゃねぇか!!カオスのおっさんの発明品以上に怪しいわい!!」
「ムカッ・・・いいから飲みなさいよ!!」
「ギャァァァァ!!飲ますんじゃねぇ〜!!」
「あっ!!逃げるんじゃないわよ!!ちょっと・・・きゃぁ!!」
「ぐへぇっ!!」

逃げようと試みた横島の足をタマモがダイビングキャッチ!!
しかし、その反動で横島もろとも床に顔面ヘッドバッド!!

「ぐぅぅぅ・・・きいたぁ・・・」
「いたぁい・・・」
「タマモ、大丈夫か?」
「大丈夫・・・」

何とか体勢を立て直し二人は立ち上がる。
近くで寝ているの美神はというと・・・・
「zzz・・・・」
起きる気配は無い。どこまでも図太・・・マイペースな人であった。

「・・・・・・あぁ!!」
「ど・・・どうしたんだよ!?」
「手に持ってた毒サソリエキスがない・・・・」
「いや・・・いらないと思うぞ・・・」
「ダメ!!せっかく買ったんだからもったいない!!」
「って!!お前が買ったんかい!!」
「だって・・・」
「だって?」
「・・・・・・なんでも無い。」
「なんだよ・・・」
「・・・・・まぁ、いっか。まだあと19本あるし。」
「って!!どんだけ買ったんだよ!!」
「まぁ、それは置いといて・・・代わりの飲むから机まで戻ろう?」
「も・・・・戻りたくない・・・・」

嫌がる横島を無理矢理机に向かわせるタマモ。
横島の手をグイグイ引っ張り机の上に大量に置いてある「毒サソリエキス」の元へ。
しかし・・・幸(タマモにとって)か不幸(横島にとって)は起こるものである。

ズルッ

「えっ!?」

横島が何かにつまずきバランスを崩した。
横島がふんずけたものはコロコロと転がって行ったようだ。
横島がふんずけたもの・・・そう、それは「毒サソリエキス」だった・・・
机の電気以外点けていなかったのがあだとなったか・・・・
しかし、ここからが楽しいのですよ・・・・

「おわぁぁ!!」
「ちょっ・・・横島!?倒れてこないでよ!!」
「そんなこと言ってもバランスがぁぁ!!」
「キャァァァ〜!!!」

ドスン・・・・・

チュッ♪
「えっ・・・・」
「・・・・・あ?・・・・・あぁぁぁぁ!!!!!!!」

横島は一直線にタマモの所に倒れていった。
当のタマモは横島が倒れてくるので避けようと思ったが、時既に遅し。
横島はタマモの上に覆いかぶさる感じで倒れてしまった。

・・・・・・・・そこで終わるはずが無かろう。
あろうことか横島はタマモの頬に自分から(←ここ重要!)キスしたのだぁ!!

「・・・・・横島に・・・・・キスされちゃった。」
「す・・・すまんタマモ!!やろうと思ってやったわけじゃないんだ!!不可抗力やったんやぁぁ!!堪忍やぁぁ!!」

自称ロリコンで無い横島にこれ以上無いという汚点がついてしまった。
たとえ900年生きた妖孤であろうが、外見は少女だ。
そんな少女に手(口だが)を出してしまった横島・・・
事実はもう消す事ができないのだ・・・・

「横島・・・・キスしたよね?」
「違うんやぁ!!わざとと違うんやぁ!!」
「あぁーあ・・・どうしようかなぁ・・・」
「頼む!!誰にも言わないでくれ!!何でもするから!!な!?」
「・・・・・何でも?」
「おぅ!!やるぞ!!やらせてくれ!!俺にできる事なら何でもする!!」

さぁ、ここで頭のいい妖狐は考えました。
「なら、私と結婚して。」
こう言えば幾分と早いだろうが、横島は納得しないだろう。
ましてや、周りはもっと許すわけが無い。
何かもっと周りを認めさせるように横島をゲットする方法・・・
横島がいなくなる?いや、それではダメだ。
地球上にいる以上絶対見つけられてしまう。
横島が周りから嫌われる?
・・・・・・・・・・・・・嫌われる!?そうか!!(キラーン)
頭の良い妖狐は瞬時に考え付きました。その間わずか52秒。

「分かった・・・横島が私にキスした事は黙っててあげる。」
「本当か!?」
「えぇ・・・ただし、条件があるわ。」
「な・・・何だ?」
「条件は2つ。1つ目は・・・その・・・横島のこと・・・た・・・タダオって・・・呼んでいい?」
「は?そんなことでいいのか?まぁ、別にいいけど・・・そういやぁ、皆俺のこと名前でよばねぇな。」
「あと1つは・・・そうね、朝まで寝ないで古語でも覚えてて。」
「何!?寝ないで!?それは無理じゃぁ!!」
「大丈夫よ。「毒サソリエキス」を飲めば目が冴えるわ。」
「うぅぅ・・・殺生やぁ・・・」
「まぁ、無理なら言って?美神さんとかおキヌちゃんに言ってあげるから。横島が私を押し倒してキスした事。」
「押し倒してねぇ!!・・・・わかったよ!!やってやるよ!!」
「そっ、やるんだ?頑張ってねタ・ダ・オ♪」
「ちくしょう・・・・」

じゃ、私眠いし寝るわね〜っとタマモは自室に帰っていった。
最後に「ちゃんと覚えた古語の単語にはマーカーか何か印打っといてね?
朝にちゃんと確認するからね。」と言い残し去っていった。

タマモが本当に言いたかったのは横島のことを名前で呼ばせて貰う事だけだったが、
それだけだと怪しまれるかもしれないと思った頭のいい妖狐の知恵だった。

さて、残された横島はというと・・・・?

「や・・・やるしかねぇ・・・やらねば・・・」

横島の目は既に血走っていた。
既に両手に「毒サソリエキス」を1本ずつ持っている。

タマモの作戦とは一体何なのだろうか・・・・

そして、今に至る。

「・・・・ん・・・・さん・・・・・横島さん!!」
「はひぃ!?あっ、おキヌちゃん・・・・」
「どうしたんですか?いきなりボォーッとしちゃって?」
「いや、何でもないよ。それより・・・俺はこんなに勉強したの初めてだな。結構テストに自信が出てきたよ。」
「はぁ・・・・・」

本当は睡眠をとったほうが効率よく記憶に残りますよ?
などとは、今の横島に絶対言えないおキヌちゃんであった・・・・

ドンッ!!

「ゲバァッ!!」
何かの突撃に背中を強打される横島。
こんなことをするのは一人(一匹)しかいないが・・・・

「せんせー!!おはようでござる!!」
「シロ・・・朝からヘビーな一発ありがとよ・・・お礼だぁ!!!」
「キャウン!!尻尾はだめでござるぅぅぅ!!毛がぁ〜!!」

シロの尻尾をこれでもかというぐらいに引っ張る横島。
何かと鬱憤(うっぷん)が溜まっていたのか力を弱めるつもりは無い。

「ま・・・・まぁまぁ、横島さん。」
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・シロ、タマモは?」
「くぅぅん・・・女狐はまだ寝てるでござる・・・そろそろ起きると思うでござるが・・・」

「あんたら・・・朝から何騒いでるの?横島君、勉強ずっとしてたのに元気ね・・・」
「あぁ、美神さん。気がついたら寝てたからビックリしましたよ。」
「当たり前じゃない・・・人間、夜は寝るものなのよ。」
「俺は寝てませんけどね・・・・」

「ふぁぁぁ・・・眠い・・・おはよう・・・」
「おはよ〜。」
「おはよう、タマモちゃん。」
「やっと起きたでござるか?」
「タマモ!!見てくれ!!古語めちゃくちゃ覚えたぞ!!」
「そう・・・頑張ったのね・・・・タダオ。」
(((た、たたた・・・・タダオだとぉ〜!?)))

(タマモにとって)予想通りの反応を見せる三人(二人+一匹)
タマモの顔はうっすらと笑っているように見える。

「古語って、やろうと思えば案外覚えれるもんなんだな。人間やる気になれば何でもできるってあながち嘘じゃねぇな。」
「そうね、タダオ頑張ったもんね・・・・・・私のために。」
(((私のためにだとぉ〜!?)))

「お・・・おい、タマモ!!お前何言ってんだよ!!それは・・・・・ハハ・・・タマモってば何言ってんでしょうねぇ〜。」
「あっ、そっか。内緒だったんだね。タダオが私にキスした事。」
(((き・・・・・・キスぅ!?)))

(タマモぉ〜!!お前、俺が何のために古語死ぬ気で覚えたと思ってるんだぁ〜!!!
あぁ〜!!俺のイメージがぁ!!絶対にロリコンと思われてるぅ!!)

そう、タマモの作戦はこれだったのだ・・・・
横島がキスした事をバラす。(約束を守ってようが守っていまいがバラす)
そして、無駄に「タダオ」という単語を連呼する。
これで大抵の植え付けはできたのだが、ここでタマモは+αを思いついた。

「でも、もういいんじゃない?隠しててもしょうがないよ。」
「しょーがなくねぇ〜!!!(血涙)」
「横島さん・・・どういうことか説明してもらえませんか?」
「いや・・・そのですね・・・・実は・・・・」
「私、タダオに押し倒されて「いいよな?」って・・・・」
「何いっとんじゃぁ!!そんな事言ってねぇ!!」
「そっか、違ったね。「やらせてくれ!!」って凄い剣幕で言ってきたね。」
「こらぁ!!そんなこと・・・あ!?」
「言ったでしょ?」
「違う!!意味が全然違うわぁ〜!!」

既に引いてる二人(一人+一匹)
しかし、一人冷静に状況を見極める人物が・・・・そう、美神だ。

「ちょっと待って。何かおかしいのよねぇ・・・」
「何よ?私が言ってるのは本当の事よ?」
「別に嘘とは言ってないじゃない。ただ・・・引っかかるのよ。」
「・・・・・・何が?」
「横島君は絶対に自分からタマモに迫ったりしないと思うけど?
だって、横島君はロリコンじゃないんですもの。ねぇ、横島君?」
「み・・・・美神さぁ〜ん。」
「・・・・・・・・・・・・・でも、横島にキスされたのは本当よ?」
「どうせ、事故か何かが偶然に重なっただけでしょ?ねぇ、横島君?」
「さすが美神さん!!俺は信じてましたよ!!」
「まぁね。私は横島君と「一番」一緒にいるからね。」
「「「・・・・チッ」」」
※ おキヌちゃん(黒)・シロ・タマモの三拍子です。

「残念だったわねぇ・・・タ・マ・モ。」
「何よ・・・・年増の癖に・・・」
「なぁ〜んですってぇぇ〜!!!!!」
「何よ!?本当のことじゃない!!ここにいる中で一番年寄りの癖に!!」
「あんたねぇ〜!!私はまだ20なのよ!?年寄りなんかじゃないわよ!!」
「そ・・・そうだぞ、タマモ!!美神さんはまだピッチピチのムッチムチだぞ!?」
「おのれは何をいっとるかぁ〜!!」
「めべばるぁ〜!!!」
「横島さん!!」
「せんせ〜!!」
「タダオ!!」
「もう・・・ダメだ・・・勉強やら何やらで、もうダメ・・・」
「きゃぁぁ〜!!横島さんしっかり〜!!」
「せんせ〜!!眠っちゃダメでござる〜!!」
「まぶたを閉じちゃダメよ!!」

既に目がうつろになっている横島。
倒れている横島に駆け寄る三人(一人+二匹)
そんなやりとりを見ていた美神は?

「あんたら何朝からコントやってんのよ?元気ねぇ・・・・・
ほら、横島君とおキヌちゃんは学校でしょ?早く朝ごはん食べて準備しなさい。」

((((朝からコントやらなければならないのは誰のせいだ・・・・))))
口にこそ出さないが、皆(美神以外)の言いたい事は一つだった。

「そうですね・・・朝ごはんにしましょう。」
おキヌちゃんの鶴の一声で皆の朝食となった。

そして朝食後。

「じゃ、行ってきま〜す。」
「行ってきます。美神さん、シロちゃん、タマモちゃん。
お昼はいつものように冷蔵庫に入ってますから、レンジで温めて食べてくださいね。」
「わかったわ・・・行ってらっしゃい。」


「横島さんと一緒に学校行けるなんて、私嬉しいです♪」
「はは・・・そういや、女の子と一緒に学校行くなんてそうそうある訳じゃないし。」
「じゃあ、私はここで電車ですから。」
「うん、気をつけてね。」
「はい♪横島さんも勉強頑張ってくださいね。」
「ありがと。おキヌちゃんにお弁当も作ってもらったし、頑張るよ。」


「そういや、美神さんの事務所からだったらアパートからより近いな・・・」
「横島さ〜ん!!」
「ん?おぉ、ピートじゃねぇか。」
「どうしたんですか?いつもより早いですね。」
「いや・・・ちょっとな。」
「はぁ・・・それよりテスト勉強はしていますか?」
「まぁ、ボチボチってとこだな。」
「大丈夫なんですか?横島さん、留年かかってるんでしょう?」
「まぁな・・・だから今必死で・・・」
「必死で?」
「必死すぎて・・・死ぬかもしれん・・・」
「よ・・・横島さん・・・一体何が・・・」
「うぅぅ・・・」
「よ・・・横島さん!!学校に早く行きましょう!!ね!?」

何か横島の触れてはいけない部分に触れてしまったと思い、
話題を変えようかと思ったが思いつかず、学校に行こうとしか言えないピート。
重苦しい雰囲気を纏(まと)ったまま学校へと足を進める横島とピート。

――学校――

「あら?横島君、今日は早いのね。感心だわ。」
「まぁな。」
「じゃあ、授業始まるまで勉強しましょうか。」

そう言うと愛子は誰かを彷彿(ほうふつ)とさせるかのごとくメガネを取り出し、
装着すると勉強を教える気満々になっていた。
しかし、横島はというと・・・・・

「すまん・・・愛子。寝かせてくれ・・・」
「えぇ!?べ、勉強は!?」
「ここに来るまで登校中以外やってきた・・・もうダメ。」

そういうと横島は机に突っ伏し5秒後には「グーグー」といびきをかいて寝てしまった。

「よ・・・横島君?勉強してたって・・・私は!?私はどうなるの!?青春〜!!」
「ま・・・まぁまぁ。まだ昼休みも休み時間もあるじゃないか。」
「うぅぅ・・・」

しかし、どの授業が始まっても横島の起きる気配は無かった。
うるさいいびきが勉強に集中している生徒たちのやる気をそいでいく。
いびきによって授業を邪魔された先生が横島に対して、
「横島ぁ〜!!俺の授業がそんなに不満か!?あぁ!?俺の授業を潰して満足か!?おぉ!?」
などと、不良が言っているかのように言うが、横島には聞こえていなかった。
教師必殺(!?)のチョーク投げも今の横島には効かなかった。

そして昼休み。
目覚ましがあるかのごとくガバッと起き上がった横島。
側に居た愛子・ピート・タイガーはそろってビックリしていた。

「よ・・・横島君?」
「横島さん?」
「ど・・・どうしたんじゃ?」
「腹が減った・・・・」
(((何て正確な腹なんだ・・・・)))

「ふぅ・・・さって弁当弁当っと。」
「あれ?横島君、今日はお弁当なの?」
「あぁ、おキヌちゃんが作ってくれたんだ。」
「へぇ、おキヌちゃんは優しいですね。」
「まったくだ。さて、と。おぉ!!おキヌちゃんの手作り弁当〜!!」
「・・・・何か不公平を感じるノォ〜。」
「お前には魔理ちゃんがいるだろうが!!」
「・・・魔理しゃんは料理が苦手なんじゃ・・・」
「それはご愁傷様としかいえんな。」
「うぅぅ・・・・」


「ふぅ〜、美味かった。おキヌちゃんの弁当はまた格別だなぁ。」
「よかったわね。じゃあ、食後は勉強ね!!」
「・・・・・やるのか?」
「当たり前じゃない!!食後に勉強を教える・・・青春だわ!!」
「・・・お前、もう何でも青春なんだな。」
((い・・・言えてる))

「さぁ、さっそくやるわよ。とりあえず横島君の苦手教科は?」
「ん?そうだな・・・特には・・・」
「えぇ!?」

横島にとって苦手だったと思われる教科は美神とタマモによって
克服(半強制)されたと思われたので、横島は今のところ苦手教科はなしらしい。

「じゃ、じゃあ・・・英語は!?」
「あっ、英語は得意だ。」
「うぅ・・・古典は!?」
「もう、多分得意だ。」
「うぅ・・・じゃあ、科学は!?」
「それも、多分得意だ。」
「うぅ・・・私、もう教えれるほど得意なのないわよ・・・」
「ははは・・・」
「横島君・・・頭いいんじゃない・・・」
「いや、別によくはないぞ?まぁ、ちょっとな・・・」
「まぁ、後はちゃんと授業聞けばいいと思うわ・・・」
「そ・・・そうか?」
「えぇ・・・どうせ私は無能ですもの・・・」
「あ・・・愛子!?そんなこと無いぞ!?」
「いいのよ・・・私馬鹿だもん・・・青春なんて・・・」
「そんな事無いって!!愛子はいいと思うぞ!?青春は最高だぜ!?
今という青春をだな・・・その、満喫するのもいいんじゃないか?」
「横島君・・・あ・・・」
キーンコーンカーンコーン・・・・

ズルッ!!
ベタなこけ方をする愛子。当然愛子の机も一緒に倒れてしまう。
ありがとうすら言えない自分は一体何なんだ、とつい考えてしまう愛子。



――放課後――

「いやぁ、横島さんがまじめに授業を受ける姿見たのは初めてですねぇ。」
「全くですノォ・・・」
「お前ら・・・俺は今回のテストに留年がかかってるんだよ・・・まじめに受けねば俺の将来が・・・」
「な・・・中々深刻な問題ですね・・・」
「そうじゃの・・・」

雑談をしながらの帰り道も悪くはないなと横島は思う。
普段学校にほとんど来ないのもあるが、学校が終わればダッシュで
事務所に行っていたので友達と一緒に帰るなど久しぶりのようだ。

「じゃあ、僕たちはこれで。」
「おぉ、またな。」

タイガー、ピートと別れ事務所へ向かう横島。

「ちーっす。」
「・・・・・・・遅い。」

明らかに不機嫌な顔の美神。

「えぇ・・・でも、学校終わってまっすぐ来ましたよ!?」
「いつもより遅いじゃない・・・あらかたピート達と一緒だったんでしょ?」
「す・・・鋭い・・・」
「ま、私はいいけどね。あんたの時給減るだけだし。」
「お・・・・鬼だぁ・・・・」
「さ、早く部屋に行くわよ。」
「え!?何でですか?まさか・・・ついに俺の愛を〜!!!」
「違うわバカタレ!!」
「ぎゃうぅ!!」

いつも通りの右ストレートが横島の顔面を捉える。

「勉強しに行くに決まってるでしょうが!!べ・ん・きょ・う!!」
「えぇ!?勉強なら学校でやりましたよ〜・・・・」
「甘いわよ!!まだ、現代文や数学とか残ってるでしょ!!今日は時間があるから徹底的にやるんだから!!」
「昨日も十分やったんじゃ・・・」
「何!?文句あるの!?」
「・・・・・・いえ。」

後ろに「ゴゴゴ・・・」という感じのオーラが見えたような気がした横島。
近くではいつもの如く仲良し二匹が隅でガタガタ震えていましたとさ。

「さぁ、とりあえず晩御飯までみっちり数学やるわよ!!」
「勉強ばっかしやがなぁ〜!!!」

事務所には横島の悲痛の叫びが木霊(こだま)していましたとさ。
おキヌちゃんが学校から帰り、晩御飯の時になると、
横島がブツブツと数学の公式を言っていたのは余談である。


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