椎名作品二次創作小説投稿広場


速き者達

状況最悪


投稿者名:鷹巳
投稿日時:05/11/ 6

横島は今猛烈に目の前の六麻呂という男に対してあきれていた。
六麻呂の格好は、身につけているズボン、ジャンパー、シャツ、靴、さらにはイヤリングまで真っ黒で統一されていたからだ。自分も人の事は言えないが(今は学生服)あまりにもセンスが悪すぎる。
そのせいか、六麻呂の金色の髪がより一層強調されていて目立つ。
目は絶えず何かをにらみつけているような獣の目をしており、大体の人間はこの目を見ただけでビビることは間違いない。


(おわぁぁぁぁメッチャ怖えーーー(涙)!!)


訂正、横島はあきれるよりも先にビビっていた。


『横島クン、恐れている場合ではないぞ!』
(何言ってるんスか!?あんないかにもやばそう奴と戦える分けないでしょう!?俺はただでさえ不良とケンカすんの苦手なのに!!)


完全に相手のペースにのまれている横島に喝を入れるつもりだった八兵衛だが、昔からこの手のガラの悪い奴とはいい思い出のない横島にとって六麻呂の存在は予想よりも大きなものだった。


(大体なんでいきなり『六』から来るんスか!?普通こういうのは一番弱い相手から来るのが少年誌のお約束みたいなもんでしょが!!)
『そ、そんな事を私に言われても・・・(汗)』
「・・・・・・・おめーらいい加減にしねーと殺すぞ!!」


六麻呂の怒鳴り声でようやく二人は再び六麻呂の姿を見た。その時の六麻呂の顔は始めに見たときよりも遥かに迫力が増し、その体からは今までに感じたこともないほどの神力を放出していた。
横島は内側にいるのにも関わらず、信じられないプレッシャーを感じていた。一方、表に出ている八兵衛の方はそんなプレッシャーにも臆せず、うっすらと笑っている。やはりこいつもただ者ではないと、横島は理解した。


『相変わらず短気だな、六麻呂』
「黙れ!今はてめーに用はねー。横島忠夫と変われ」
(え?お、俺!?)


突然の敵からの指名に戸惑う横島。だがもちろんおとなしく入れ替わる八兵衛でもない。


『そう言って私がおとなしく従うと思うか?それよりも横島クンに何をするつもりだ?』
「俺の性格知ってるんならそんぐらいわかんだろ?」
『あー、分かる、だからこそ・・・・・断る!!』


そう言うと、八兵衛は六麻呂に向かって突っ込んでいった。
六麻呂はそんな状況でもまだせせら笑っている。まるで新しいおもちゃを見つけた子供のような無邪気な笑いだった。
気づくと、もう二人の距離は手を伸ばせばすぐに届く位置にまで近づいていた。横島の体とはいえ、今は八兵衛の“絶対憑依能力”で体の主導権は完全に八兵衛のものになっており、普段ならばありえないほどの力を発揮できるのだ。


「けっ、雑魚が!!」


しかし、いくら力を発揮できても所詮は人間の体。そのために普段の八兵衛の力を100%発揮する事は出来ない。六麻呂にはそのことが分かっており、ほんの少しの動きで八兵衛をいなし、とっさに懐から一枚の札を取り出して貼り付けた。すると・・・


「あ、あれ?」
《何だとー!?》


いきなり横島の精神と八兵衛の精神とが強制的に入れ替わった。
六麻呂はまたもや不気味な笑みを浮かべていた。


「フフフフッ、これでお前と思う存分戦えるぜ。文殊使い・・・横島忠夫!!」
《な・・・文殊使いだと!?》
「さ・・・最悪・・・」


文殊使いと聞いて驚く八兵衛をよそに、当の横島は今の状況に心底絶望していた。だが横島にはそんな余裕さえ与えられなかった。なぜなら、すでに六麻呂が迫って来ていたから。


《!!、横島クン逃げろ!!》


横島はその一言で自分が危険な状態にあるのかを理解した。
目の前にはすでに六麻呂の拳が迫っている。すぐに直感した。この拳・・・よけなければ・・・・・・・・・・・・死ぬ


ズシャンッッッッッッッ!!!!!!





























(あ・・・危なかった・・・)


横島のとっさの判断は正しかった。さっきまで横島のいた場所には、まるで隕石でも落ちたのではないかと思わせるほどの大穴があいていたからだ。
大穴の中心にいる六麻呂への恐怖が横島の中でさらに膨れ上がった。


《無事か横島クン!?》
「あ、あともう少し遅かったら即死でしたよ・・・」
《もう分かったと思うが、あいつはより強い相手を求め闘い、闘いに快楽を抱いているのだ》
「バトルマニアってことかよ・・・(汗)」


薄々感ずいていたものの、いざ聞いてみるとやはり額から出てくる汗を止める事はできなかった。横島の中で希望がどんどん失われていく。
八兵衛の方も同じだった。一瞬横島が文殊使いと聞いて安心したのも事実、だが圧倒的な力の差を感じているのも事実。さらに分からないことも一つあった。先ほど六麻呂の取り出したあの札・・・あの札をつけられてから強制的に横島とチェンジし、今でも入れ替わる事が出来ない。


「はははははっ、面白い!面白いぞ横島忠夫!!あの一撃をよけるとは思わなかったぜ。もう少し能力抜きで遊んでやるよ!!」


完全に目がイってしまっている。
穴から出てきた六麻呂は狂ったように笑い、さらに力を増した。


《横島クン、今もっている文殊はいくつある?》
「手持ちの文殊は一つしかありません・・・」
《なんとかならないのか!?私は妙な札のせいで君と変わることは出来ないし、奴の能力もまだ何なのかわかっていないのだぞ!!》
「ちきしょ〜!煩悩エネルギーがたりなすぎる〜!!」
《ぼ、煩悩・・・!?(汗)》


八兵衛の心にも絶望の二文字が浮かび上がってきた。
























「なんだこの馬鹿でかい霊圧は!?あっちの方みてーだな・・・」


横島達のいる結界領域から少し離れたところで、結界の霊圧を感じた一人の男が近づいていた。


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