椎名作品二次創作小説投稿広場


速き者達

逃走そして遭遇


投稿者名:鷹巳
投稿日時:05/11/ 2

「フフフフフフフフフフッ、見つけたぜ!」


ここは街全体を見渡すことの出来る超高層ビルの屋上。そこには不気味な笑い声を響かせ、地上のある一点を見つめる男が一人立っていた。
男の格好は上下ともにバランスの取れた黒で統一されており、ジャンパーにはどくろのマーク、髪は金髪、耳にはいかにも高そうなイヤリングをつけている。


「あいつか・・・・・・ヒャハハハハハハハハハ!」


男の体はわずかに震えている。だがそれは別にビビっているわけではない。そのことは、男の顔を見ればすぐに分かるだろう。これから起こることを心の底から楽しんでいるような顔をしている。
おそらく誰もがこの震えをこう言うだろう・・・・・・武者震いと。


「いっくぜーーーー!」


そう言い残すと、男は何十階もある超高層ビルから飛び降りていった。
男の見据えていた先、そこには・・・







爆走している横島と横島に憑依している韋駄天・八兵衛の姿があった。














「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!バッカヤローーーーー、どちくしょーーーーーー!!」
《落ち着いてくれ横島クン》
「これが落ち着いていられるかー!命狙われてるんだからにげなきゃやばいっしょ!この前に読んだ本にもそう書いてあったし」


いったいどんな本だ、と言うツッコミは置いといて、横島はまだ都内を暴走して走り回っていた。途中八兵衛が何度も説得してみるもまったく効果なし。
実は八兵衛がその気になれば彼の“絶対憑依能力”で横島の体を乗っ取って暴走を止めるという手もあるのだが、もともと厄介ごとを持ち込んだのはこちらの責任なので、そこまですることは八兵衛には出来なかった。
その結果がこれである。


《とにかく落ち着いて私の話を聞いてくれ。だいたい私が今回以外に君に迷惑をかけたことがあったか?》
「思いっっっっっっっっっっっっっきりあるわい!!この前に俺に憑いたとき、少しの痛みとか言って『両腕両脚がまずボキッと折れて、そこにロッ骨にヒビが入り、ちょっと苦しくなったところに子錦がドスンと乗ってきた感じ』の痛み味合わせたのはあんたでしょうがー!!」
《あ、あの時は韋駄天ならば少しの痛みですんだのだが・・・人間の受ける痛みの限度を計算に入れ忘れてしまい・・・》
「アホかあんたはーーーーーーーーーー!?」


普通の人間ではとても追いつけないスピードで走り、自分の中にいる韋駄天と会話する横島。はたから見れば不審者に勘違いされてもおかしくないこの状況。しかし、意外にもそんな横島を見ているものはいなかった。そう・・・・誰も・・・・


《ん?・・・!、止まれ横島クン』
「え?・・・・・・・てあれ?)


いつの間にか八兵衛は能力を使い、横島を奥に引っ込めて自分を前に出した。
当然横島は八兵衛のこの行動に困惑している。


(おい、どうなってるんだよ)
『しまった!はめられた!』
(へ?どゆこと?)
『よく考えてみてくれ。まだ朝早いとはいえもう日も出ている時間、だが周りには人が一人もいない』
(あ!!)


横島にも分かったらしい。
今の時刻は午前4時過ぎにも関わらず、人が見当たらない。普通ならば新聞配達のバイクの音や、そうでなくても車の音ぐらい少し聞こえてもおかしくないのに。それに何だか辺りが神々しい気で包まれているような感覚、となれば答えは一つ。


『(結界!?)』


二人(?)の声は見事にはもった。
横島達は敵の結界内にまんまと入り込んでしまったのだ。


「正解だぜ。八兵衛、それに横島忠夫」
(な、何だ!?)
『この声は・・・・・』


横島達は突然の反応に驚き、とっさに声の聞こえた前方へと視線を移した。そこには、上下ともに黒で統一された服をきた金髪の男が立っていた。
そして男はその場で堂々と自分の名前を明かした。














「おめえとは初めてだったな、横島忠夫。俺の名前は韋駄天特九隊の一人・・・六麻呂(ロクマロ)だ」


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