『しかしよく気づいたな。我ら韋駄天特九隊の隊員が一から九までの数を名前に持っていることを』
「当たり前よそんなこと。それに読者の方からも分かっちゃったって言うコメントが届いたんだから」
『み、美神どの・・・そのような話は出さぬ方が・・・(汗)』
美神が八兵衛のことを韋駄天特九隊のメンバーだと言う事を指摘したすぐ後の様子がこれである。
少々危険な発言を耳にして、声が震える八兵衛をよそに美神のほうは「何か問題でもあるのか?」と言いたげなキョトン顔になっている。
しかし、ここはひとまず話を戻そう。
『と、とにかく、分かっているのなら話が早い。韋駄天特九隊は強くなるにつれて自身の名前の数が『一』に近づいていくのだ』
「と言う事は、八兵衛さまは『八』だから・・・」
『・・・・・下から・・・・・二番目・・・・・だ』
己のレベルの低さにセリフが途切れてしまう八兵衛。
一方、美神の方は意外と今の状況をまじめに考えてた。
状況としてはあまりよくはない。あちらの戦力が最強の韋駄天七人に対し、こちらは美神、横島、八兵衛、おキヌ、シロ、タマモ。それにオカルトGメンの協力や他の知り合いGSに援軍を頼むにしても、はたして相手に通用するかどうか・・・
しかし八兵衛の口から(正確には横島のだが)からさらにとんでもない言葉が。
『美神どの。実は頼みたいのだが、人間界にはおかるとじーめんと言うものがあるらしいが、そこの者達には何も話さないでほしい』
「な・・・ちょっと待って下さいよ。オカルトGメンにはこの事件に介入させるなって事ですか?」
『勝手な事は百も承知、だがしかないのだ。聞けばその組織は人界でかなりの影響力があるそうではないか。そんな組織が関わっては人界を監視しているほかの神族にこのことを知られてしまう・・・すまない』
深々と頭を下げる姿に何も言い返すことも出来ず、美神の悩みはさらに膨らんだ。
オカGを加えても危ういところなのに、それさえも出来ないとなると、状況はさらに悪化する。しかも、他の神族に知られてはならないとなると、あまり大勢での戦闘も出来なくなってしまった。そのため他のGSの協力も出来ないに等しくなった。
六道冥子は・・・いざと言う時に式神が暴走した場合、嫌でも目立つ上に、誰も止められないため却下。
小笠原エミ&タイガーは・・・初めから頼む気なし。
ドクター・カオス&マリアは・・・肝心な所で役に立ちそうにないのでボツ。
唐巣神父&ピートは・・・さすがに神様と戦えとは言えず・・・
「・・・・・・・・・・う〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん・・・・・・・・・・」
あまりに急激な状況の変化にどうしたものか、と腕を組んで悩む美神。
しかし、彼女を本当に悩ませるのは、これからだった。
『それと奴ら七人は私や九兵衛とは違い、人間の姿で活動することが出来る。あ、それと言い忘れていたが、韋駄天特九隊に所属する韋駄天には全員それぞれ特殊な“能力”がつくので承知していただきたい』
ピシッッッッッッッッッッッッッッ!
美神真っ白に凍りついた。
『ちなみにその能力というのは、例えば私で言えば今こうして横島クンの体に憑依している。これが私の能力、“絶対憑依能力”。入ろうと思えば無生物であっても憑依して操る事が可能だ』
美神はまだ真っ白に凍りついている。
『だがしかし、他の者の能力を私は知らないのだ。この前の九兵衛の事件で、初めて奴の能力が“連続超加速”であることを知ったぐらいだから・・・・・ん?』
美神はバックに地響きのような効果音を出して震えている。
その光景を目の当たりにした八兵衛はあるデジャビュに襲われた。そう・・・朝早くに美神を起こしてしまった時の光景を・・・・・
『み、美神どのーーー!!気を確かにーーー!!』
「やかましーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
『んぎゃああああああああああああっ』
慌てて美神を落ち着けようと試みた八兵衛だったが、時すでに遅く、横島の体なので再びしばかれることとなった。
再びしばかれ中です。しばらくお待ちください。
『・・・・・・と・・・・・・言うわけだ・・・・・美神どの・・・・・(ガクッ)』
能がオーバーヒートを起こし、大暴れした美神にもう一度能力についての説明と厄介なことに巻き込んでしまったことの謝罪を何十回と言って八兵衛はその場に倒れた。
塞がりかけていた傷口がまた開き、床は血の池となっていた。
「なるほどねー。そこまで謝るんだったら引き受けてあげますよ♪」
《己が言わしたのだろうが〜〜〜〜〜〜(泣)》
思いっきりしばいたのですっきりしたのか、美神の声はいかにも喜んでいると分からせるものだった。
そんな美神を目の端で捕らえた八兵衛は、心の中で泣いていた。
ひとまずその後すぐ、韋駄天の七人が九兵衛やアシュタロスのように人界に災いをもたらすために動いていること、さらにそれに反対する八兵衛は一度やられてしまい、完全に回復するまでは横島の体からは出られず、今度こそ八兵衛を殺そうと考えている七人に、八兵衛共々抹殺される恐れがあることも知った。もちろんその時美神は、あまりに勝手な考えにつかみかかったが、八兵衛の熱意に負けて引き受ける事にした。
ついでに言うと、このときに美神は八兵衛から多額の依頼料を請求しようとしたが、八兵衛が以前にこき使われた事を覚えていたので、結果は・・・・・
「はぁぁぁーーー・・・分かったわよ」
『さすが美神どの。感謝する(笑)』
〜回想シーン・終〜
「と言う訳よ♪」
「『と言う訳よ♪』じゃないっスよーーーーーーー!!なんですかそれはーーーーーーー!?」
話し終えると、横島はすぐにデスクに身を乗り出して美神に怒鳴った。
「韋駄天が入ってる程度ならまだいいですけど、命まで狙われるってんだったら話は別っスよーーーーー!!しかも、最後はちゃっかり金まで巻き上げようとしてーーーー!!」
「こっちは仕事でやってるのよ。あんたがそうなるのも仕事の一つ。それにあんたは私の丁稚なんだから、私の言う事に逆らうな!」
「あんた鬼以上やーーーーーー!!!!」
何を言ってもどうこうできる問題ではないのだがとにかく横島は叫ばずにはいられなかった。しかし美神の一言一言は横島をさらに追い詰めていく。
「う〜〜〜〜。美神さんはいつもそうだ〜〜。俺を奴隷のようにこき使って、挙句の果てにはこんなやばいそうな事に巻き込んで・・・美神さんの・・・美神さんの・・・バッキャローーーーッ!!どちくしょうーーーっ、この女王様気取りのバカ女ーーー!!」
そういい残すと、横島は事務所を飛び出し走り去っていった。すぐに美神も後を追おうとしたのだが、さすがに韋駄天を憑かせているだけあって速い速い。とても美神が追いつけるスピードではなかった。
ギィー、ギィー、
そのすぐ後に階段から誰か降りてくるような音が聞こえた。
「ん〜〜〜〜?美神さんどうしたんですか?」
「あ、ゴメン。おキヌちゃん起こしちゃった?」
「いいえ。いいんですよ。それよりも何があったんですか?何だか横島さんの声が聞こえたような気がしたんですけど」
降りてきたのはおキヌであった。
まだ眠いのか、手で目をこすりながら美神に騒いでいた理由を聞いていた。しかしあれだけ騒いだ後に今になって起きてくるとは。
さらに耳をすましてみると、今度は屋根裏部屋の方からドタドタと騒がしい音が聞こえてきた。どうやらシロとタマモもめを覚ましたようだ。
(しょうがない。みんなにも説明するか。)
そう思うと美神は残りの三人(?)にも今の状況を説明する事にした。
これで美神事務所の全員が本格的にこの事件に介入する事になった。
今回はあまり長くなってもなんなのである程度短縮できるところは短縮して書いたつもりです。
とりあえずここまで書けて一安心といった感じです。
次の話では韋駄天特九隊の一人を出したいと思っているのですが、七人の内誰から出したものかと悩んでいるところです。
これからも頑張りますのでコメント方、皆さんどうかよろしくお願いします。 (鷹巳)
やってることじたいはSSでよくある神魔の傲慢って感じなんですが、ど〜も頼んでる八兵衛がほんとにいい奴だから許したくなってしまいます。いやほんとにGSでは珍しいくらいいいやつですからね。バカだけど。 (九尾)
<九尾様へ>
今回もコメントありがとうございます。
八兵衛に対するいいイメージが伝わってよかったです。確かにバカですけど、おっしゃるとうり僕も八兵衛のことはいい奴だと思っていますので、このイメージをどうにか崩さないで話を進められるように頑張りたいと思います。
<ただりん様へ>
楽しく読んで頂いて光栄です。
ヒャクメにばれないかどうかの心配をなさっているようですが、そこは僕も少し引っかかった所でして・・・しかしよくよくヒャクメの性格やポジションを考えてみると、案外気づかないのではないか?と、言う考えにたどり着きました。(適当だな・・・(汗)全国のヒャクメファンの方たちには申し訳ありません)
<meo様へ>
う・・・鋭いところを突いてきますね。確かにこれまで散々神魔の騒動に巻き込まれてきた美神に監視などがつかないのはおかしいと思うでしょうが、魂の結晶のなくなった美神は原作でも神魔とは関わっていないので、僕の想像ではもうそのような監視はないのでは・・・?、と言うことになりました。(また勝手な推測を・・・(汗))
<由李様へ>
僕の特殊能力の案を誉めていただきありがとうございます。
おっしゃるとうり、七人の韋駄天の名前や能力を考えるのには今なお苦労しております。しかし・・・・・・・・うぉぉぉぉぉぉ!期待されているとなれば話は別じゃーーーーーー!!今の俺の知識のない頭をなんとか搾って考えます! (鷹巳)
横島への監視か・・・・・たしかに横島はアシュタロス大戦でも一番に活躍した男ですからね。
このことを考えなかった訳ではないのですが、あまりそこにばかりとらわれているとここから先の話を上手く組み立てる事が出来ないので、そのことはあえて話には絡ませることはしないで事を進めて行きたいと思います。 (鷹巳)