「間違いなく霊能者、それも精神感応の力をもつ者の仕業だ。そして各地で多発している事件の跡を辿ると、真っ直ぐに東京にのびていることがわかる。次に事件が起こるのはこの東京なんだ。このままこの事件の犯人、『マッドスキャナー』をのさばらせるわけにはいかない!頼む令子ちゃん。力を貸してくれ!」
アポもなしに事務所に上がりこんできた西条は、ろくな挨拶もなしに令子に事件の話と、それの助っ人の依頼をしてきた。無精ひげが切羽詰った西条の状況を表している。どうやら事件は難航しているようだ。
「西条さんの頼みなら、2割引きでいいわよ」
「そうか、よか……えぇ!?」
快く承諾してくれるとばかり思っていた西条は、令子の態度にショックを隠せなかった。急速に冷めた体で、令子の幼き頃を遠い目で回想する。昔はあんなに可愛かったのに……。
「あら、嫌ならうちの人員は貸せないわよ?」
「れ、令子ちゃん……」
「ふっ、諦めな西条。もう擬似妹プレイはさせないぜ」
横島は、西条が令子にお兄ちゃんと呼ばれていたことを、今だに根にもっているようだった。そんな横島をキッと睨む西条。すかさず横島は睨み返す。
いい年した2人がメンチを切りあっている事務所の中に、電話のベルが鳴り響く。おキヌが対応に出るが、表情を険しくした後、すぐに令子に電話を取り次いだ。令子の表情から、電話での内容が令子にとって芳しくない内容であることが見て取れた。
電話での話が終わると、令子は屋根裏で暇を持て余しているシロとタマモを含めた6人全員で、電話先の病院へと向かった。令子が運転するコブラに乗った横島は、あまりにも荒い運転に何度か死を味わった。
「先生!」
病院であることを忘れているのか、荒々しく病室のドアを開け、令子たちは中に入っていった。病室にはベッドが2つ。横たわる唐巣神父とピートの周りには医者と数人の看護士が取り巻いていた。
「どいて!」
以前から色々と世話になっている医者であったが、今回も扱いはあまり良くない。令子に吹っ飛ばされた医者は、壁に顔をめりこませて違う病室のベッドに横たわることになる。
「先生!……先生?」
ところどころ包帯を巻いてはいたが、意識はあるようだった。しかし唐巣神父の虚ろな目は、令子の問いかけには答えず虚空を彷徨った。ピートにも呼びかけてみたが、反応は同じだった。いや、ピートは一瞬だけ令子のほうを見ることができたので、唐巣神父よりはまだ軽いのかもしれない。唇をかみ締めながら、令子は唐巣神父を見やった。焦点のあってない目は、何かを探しているようにきょろきょろと動いていた。空っぽだ、と令子は思った。
「令子ちゃん。これは今僕が追っている事件の被害者の症状だ」
その言葉に反応したのは横島とおキヌだった。令子は大方予想していたのか、その言葉を黙って受け止めていた。シロとタマモは、未だに何故つれてこられたのかすらわかっていなかったが、令子はこれからの行動を既に決めていた。
「じゃあ、先生をやったのはその犯人ってわけね。西条さん」
「この事件、手伝ってくれるのかい?」
「ええ、手伝うわ。5割引でね!」
ほんとに、ほんとに、昔は可愛かったんだけどなあ……。
内容としては最後のやりとりがよかったので面白いとも思いますが、妥当な表現と思いますが可愛くなさ過ぎです。
今後に期待します。 (橋本心臓)
続きを楽しみにしています。 (鷹巳)
ああやはり短いですか……次からは2話分くらい詰めたほうがいいですかね。令子さんが可愛くないのは今回の事件で結構カヤの外な存在だったりしますので、その分おキヌちゃんやシロに力を入れようとした結果このような性格に。令子の性格に関しては今後も期待しないほうがいいかもしれません。
鷹巳さま
短い……気をつけます。次話からはもっと長いはずです、はい。高い評価をくださってありがとうございます。続きを楽しみにしておられるようなので、頑張ります。目指せA評価10個。 (由李)