椎名作品二次創作小説投稿広場


あの素晴らしい日々をもう一度

第五話


投稿者名:堂旬
投稿日時:05/10/23

 ズキン、ズキン、ズキン―――――――!

「う…ぐぁ……!!」

 武田の転入から三日後。時刻は深夜。
 横島はアパートの部屋の中、敷きっぱなしになっている布団の上で頭を押さえ、うずくまっていた。

「な…ん…なんだよコレ……! いってえ…! 頭が…割れそうだ……!」

 横島は猛烈な頭痛に苛まれていた。あまりの痛さに寝付くことができない。
 痛みが幾分引いたところで、枕元に置いていた清涼飲料水に口をつける。

「―――っぷあ! ふう〜〜〜。何なんだろなマジで……どんどん痛くなってくる」

 呟きながら横島はこれまた枕元に放り投げていたハガキを手に取った。そのハガキはその日の夕方に届けられたものだ。
 横島は深々とため息をついた。
 そのハガキには「仕事でちょっくら日本に戻る。空港まで迎えにこいよ!」とマジックで書きなぐってある。
 差出人は彼の父―――横島大樹となっていた。
 ちなみにハガキの最後には「P・S 来なかったら仕送りヤメな」と無慈悲な言葉が付け足されている。

「コレのせいじゃねえだろな……クソ親父」

 ケッ、と不本意を口から漏らしながら、横島はドサリと布団に横になった。









あの素晴らしい日々をもう一度

  第五話  だから僕たちは負けていませんよ?








 太陽がジリジリと容赦なくアスファルトを焼いていく。この時期、日本の中心に位置するこの地域の最高気温は、多少南国であるはずの九州各県を超える。焼けたアスファルトが温度を引き上げ、しかも太陽が姿を消しても下がることはない。ヒートアイランド現象というやつだ。
 そう、本日は夏真っ盛り。太陽が放つ熱はもはや暴力的ですらあった。

「おキヌちゃん、今日の予定は何件?」

「二件ですね。どっちもオフィスビルの仕事です」

 美神除霊事務所。クーラーでなんとか適温を保った部屋で、ソーメンをすすりながら問う美神。おキヌはその問いに簡潔に答えた。
 ソーメンを平らげると、美神はうん、と大きく伸びをする。

「あ〜〜! なんかだるいわ〜〜!! 今日の仕事はキャンセルしちゃおうかしら。今日は横島クン休みだし」

 信用が売りのこの仕事をここまで気ままに出来るのは、世界広しといえども美神くらいのものであろう。このような態度で仕事に臨んでいても、彼女への依頼は絶えない。それほど彼女の仕事の成功率は高いのだ。
 ちなみにこう言うと誤解を招きそうなので補足しておくが、ひとたび仕事に取り組んだときの彼女は真剣そのもの。慎重かつ大胆、そして確実、まさにプロのお仕事である。

「今日横島さん休みなんですか?」

「ええ。なんでもお父さんが久しぶりに日本に帰ってくるってさ。ま、こないだは悪魔パイパーとの戦いで頑張ってくれたからね。ちょうどいいからちょっと休みあげて、体休めさせなきゃ。万が一壊れたりでもしたら困るし」

 そう、一週間ほど前の話になるが、美神は悪魔パイパーと名乗る魔族と事を構えることになってしまっていた。
 対象を子供に変えてしまうという魔力を持つパイパー。美神は子供にされ無力化していたのだが、わずかに残った知識で横島とおキヌを導き、パイパーを倒すに至った。
 その際、横島は拙いながらも霊力を操り、幼女と化した美神を守ったり、パイパーを倒す唯一の武器『金の針』を巡って駆け引きをやってのけたりと、事件解決に多大に貢献した。
 横島がいなかったら美神は今頃この世にいなかったかもしれない。
 美神はその事件を経て、ほんの少し、横島を見直していた。

「へへ〜、ひょっとしてそれで元気出ないんじゃないですか〜〜?」

「……はっ?」

 おキヌからの思いがけない一言にキョトンとする美神。にやにやしているおキヌ。
 ようやく言葉の意図を理解した美神はため息をつきながらおキヌに答えた。

「ふっ……冗談にもならないわ、おキヌちゃん。どーして私がアイツがいないからって落ち込まなきゃならないっていうの?」

「横島さんのこと、なんとも思ってないっていうんですか?」

「当然でしょ!? なんで私がアイツに何か思わないといけないっていうのよ!! くっだらない!!!!」

 確かに美神は今のところ横島に対して好意という感情は抱いていない。今のところは、だが。せいぜい『気になるアイツ』といったところだ。
 とはいえ、面とむかってそんなことを言われるとそこは究極意地っ張りの美神令子。必要以上に否定してしまうわけで。

「つまんないこと言ってないでほらっ! 仕事の準備してちょうだい!!」

「はーい! うふふ、よかった〜〜。頑張るぞーーー!!!」

 美神に急かされ、いつもは横島がやっている分まで仕事の準備に取り掛かるおキヌ。
 そんな彼女はいつもよりゴキゲンなのでした。










 キイィィーーーン―――――!

 エンジンの甲高い音を響かせながら横島の父、大樹が乗り込んでいるであろう飛行機が空港に到着した。
 横島はその「NARNIA AirLines」とペイントされた飛行機が無事着陸を終えるのを心底めんどくさそうに見届けた。

「ったく…こんな無駄な時間使わせやがって。小遣いくらいくれるんだろうな?」

 空港内に鳴り響くアナウンスを聞きながら、横島は実に二年ぶりの再会となる父が現れるのを待っていた。
 その間、横島はなんとかして父親から金をせびれやしないかと邪な考えにふける。
 しばらくすると思案する横島に懐かしい声がかけられた。

「忠夫! 忠夫じゃないか!?」

「カネ―――じゃなかった父さん!!」

 二年ぶりの再会。最初に父にかけた言葉が『金』である。なんちゅー息子か。
 しかし親父も親父である。なんと大樹はその横にとびきり美人なスチュワーデスさんを――しかも二人も――はべらしていた。その様子に横島は盛大にずっこける。

「あにやってんだオメーわよっ!!」

 つっこむ息子の目の前で、大樹はスチュワーデスからなにやらメモのようなものを受け取る。おそらく電話番号だろう。
 そしてスチュワーデスに別れを告げると大樹は横島の方へ向き直った。

「がははっ! どうだ忠夫!! 俺もまだ衰えちゃおらんだろうが!!!」

 豪快に笑う己の父を見て、横島は頭を抱えた。

「帰ってくるなりそれかいっ!! 母さんに言いつける――――」

 横島は顔を上げると多少の怒りと多大な嫉妬を込めて大樹に怒鳴る…がその言葉は途中で遮られた。
 ドスッ! と音をたてて大樹の手に握られたナイフが空港の壁に突き刺さる。横島の頭のすぐ側だ。
 横島は声を失い、視線をナイフの刃から父・大樹へと向ける。父の顔は確かに殺気に満ちていた。

「忠夫〜〜お前は父さんを裏切ったりしないよな〜〜〜?」

「はっ…はひ!!」

 大樹の言葉に横島は顔面蒼白で頷く。というか、YES以外の選択肢はない。
 横島の返事を聞いて大樹はにかっと笑った。

「よしよし、良い子だ。そのナイフはお前に土産だ。何人も殺してる業物だぞ? さて、いつまでも空港にいることはない。ちゃっちゃと用件を片付けて、親子のふれあいを楽しもうではないか」

 大樹は横島に背を向けると空港の出口に向かってスタスタと歩き出した。
 横島はその場にへなへなと崩れ落ちる。そのまま壁に刺さったままになっているナイフにちらりと目を向けた。
 横島はこんなものを見事日本の地に持ち込んでみせた己の父に対して、その体にさらに畏怖の念を刻みこんだのでした。










 美神とおキヌは依頼のあったビルを訪れていた。ビルには「村枝商事」と看板が掲げられている。

「GS美神よ。社長に取り次いでちょうだい」

 美神は受付で依頼内容を確認するため、社長との面会を求めた。少々お待ちくださいと答え、受付嬢は目の前に置いてある電話を取り、番号をプッシュする。
 その動作を何とはなしに見ていた美神の耳に、聞きなれた声が聞こえてきた。

「じゃ、先に用をすませてくるからここで待ってろ」

「さっさとしろよ!」

 声の方向に目を向けると、入り口から横島が中年の男性に引き連れられて入ってきたところだった。

「横島さん!! どうしたんですか? 奇遇ですねえ〜!!」

 横島の姿に気付いたおキヌがふわふわと横島に近づいていく。

「おキヌちゃん? どーしてここに?」

「私たちは今日ここでお仕事なんですよ」

 そんな会話を交わす二人の横で、中年の男はおキヌの姿を見て目を見開いていた。

「た、忠夫? このお嬢さんは? 気のせいか宙に浮かんでいるように見えるのだが?」

「ん? 幽霊のおキヌちゃん。仕事の同僚だよ」

「むう…幽霊……? う〜む、ふむ…なるほどなるほど。そういうことか」

 そのやり取りから美神はこの男が横島の父なのだろうと見当をつける。おキヌの存在をここまで簡単に受け入れる感性も横島と実に似通っている。間違いはないだろう。
 やはり雇い主として挨拶はしたほうがよかろうと、美神は横島たちのほうへと歩み寄った。

「横島クン、この方がお父さま?」

「ん? ほぉ〜〜」

 美神の姿を見て、大樹は感嘆の声を漏らした。その美貌。完璧なプロポーション。ここまでの美人にはついぞお目にかかったことが無い。
 しかし二人が互いに自己紹介をする暇はなかった。
 天井を破壊して悪霊が美神に襲い掛かったのだ。
 完全に不意を突かれた美神に、その襲撃をかわす手立てはなかった。












 横島は怒っていた。憤っていた。
 原因は今自分の横ですやすやとバカ面で眠る畜生親父である。
 このウンコ親父は今日美神の危機を救い、あろうことかそのままの勢いで美神にデートを申し込みやがったのだ。これを美神が承諾したのだから横島的には堪らない。
 自分の親父が自分とわずか三つしか違わぬ女性、しかも自分の仕事の上司と男と女として会うというのだ。二人がどのようなやり取りをするのかなど、考えたくも無い。
 加えて自分が長いこと目をつけていた女なのだ、美神は。故にその嫉妬もひとしおである。
 美神と親父が懇ろ<ねんごろ>になったりでもしたら―――人生投げ出してしまうかもしれない。

(クソ親父がーーーー!! 絶対思い通りにはさせへんぞーーーー!!!!)

 横島は大樹を起こさぬよう、慎重に起き上がると受話器を手に取った。おかんに密告したろうとダイヤルを回す。

 ズキン―――――!!

「うぁっ……!!」

 思わず受話器を取り落としていた。受話器と電話本体がぶつかり、激しく音を立てる。

「何をしてるんだ? 忠夫」

 大樹が目を開け、横島に声をかけた。

「母さんに電話しようたって無駄だぞ〜。来る前に番号変えてきたからな〜」

 それだけ言うと大樹は再び寝息を立て始めた。

(くそ…! また…頭痛が……!! 段々…間隔…短くなってねえか……!?)

 また突然痛み始めた頭を抑え、横島は布団に倒れこむ。声を出さぬよう、横島は横になり、うずくまって痛みに耐え続けた。

(しかも…痛みも……! なんか強くなってるような……!! だが負けんッ!! 必ず親父のデートは阻止してみせるッ!!!!)

 しばらくするとすうっ――と痛みは引いていった。横島は起き上がり、額の汗を拭う。

(おさまった…でも、なんなんだ? この頭痛は……)

 考えてみても原因がさっぱりわからない。何しろ頭痛以外、体にはまったく異常がないのだ。気だるさも感じないし、熱っぽいというわけでもない。もしこれから先もこんな感じに頭痛が続いたりしたら堪らないと横島は思う。
 だが、今はそれどころではなかった。

(家の電話番号は変えられていた。さすがは親父、用意周到だな。さて、どうするか……)

 とりあえず今日出来ることはもう何も無い。横島は今日のところは大人しく眠ることにした。








 翌朝、横島はある男と喫茶店にいた。

「かくかくしかじかでこういうわけなんだよ、たけし」

「なるほど、かくかくしかじかでそういうわけなんだな、横島」

 横島の説明にその男はうんうんと頷く。そう、その男は愛子の中で奇跡的に巡り合い、横島の友となったあの男―――武田 武(たけだたけし)であった。
 横島はどうすれば美神と大樹のデートをぶっ潰すことができるか、武田に相談したのである。

「朝早くに電話して悪かったな、スマン」

「うん、正直この野郎絶対しばいたろと思ったがね、まあその事情を聞けば君の焦りも納得だよ」

 すまなそうに頭を下げる横島に武田はソファーに背を預けながら答えた。ちなみに横島とは違い、武田は携帯電話を所持している。
 武田はテーブルに置かれていたコーヒーに口をつける。一口啜ってカップを置くとひとつため息をついた。

「ふう〜、しかしあれだな。俺もずいぶん難儀な親の元に生まれたと思ってたけど、横島、お前も相当なもんだな」

 その口ぶりから察するに、武田の両親も相当な曲者らしい。まあ息子に武田武なんて名前をつける時点で相当なお茶目さんであることは想像がつくが。

「で、だ。たけし。今日お前を呼んだのは、なんとかしてクソ親父の目論見を阻止できないか、知恵を貸してほしくてな。なんか手はないかな?」

「って言われてもなあ……」

 顎に手をあててう〜んとうなる武田。横島もその様子を見つめながら手を考えていた。
 武田の頭上にピカッ!と電球が輝いた。思わず横島は心の中で「古っ!!」とつっこんでしまう。

「オーソドックスというのも大事なのだよ、横島君」

 そんな横島に武田はチッチッチと指を振ってみせる。エスパーかこいつは。

「まあ、それは置いといて。話によるとおまえの親父は二年前にナルニアっていう僻地に飛ばされたんだよな? ということはだ、おまえの親父、会社での立場は低いんじゃないか? その様子を美神さんに見せてやれば」

「それは俺も考えたんだけどな。よく考えたらそれをどうやって美神さんに見せるのかってのがな。まさか美神さんを会社に連れてくことなんて出来ないし…口で伝えたって説得力無いしな」

 武田の意見を聞いて横島はため息をつく。

「おいおい、何か忘れちゃいないかい?」

 そう言うと武田はポケットをごそごそとまさぐると黒い物体を取り出し、テーブルに置いた。

「そ、それは!!」

 横島は驚きの声を上げる。そう、それは愛子の中で大活躍した素敵なアイツ―――デジカメだった。
 ちなみに着替えを盗撮したデータは愛子によって抹消済みです。あやうくデジカメごと抹消されるとこでしたけどね、テヘ♪(武田談)

「しかもこれは最新式で短時間ながら動画も撮れる!! これを使えば君の親父の醜態を美神さんに伝えることなど造作もないことッ!!!!」

「たけし君!! 君ってやつはなんて頼りになるんだッ!!!!」

 二人は立ち上がり、思わずテーブルを挟んで抱きしめあう。
 その時店員に呼ばれた店長がつかつかと二人のテーブルに歩み寄ってきたのでした。


 しかし武田君。君は常にデジカメを持ち歩いているのかい?
 そう思う横島だったが、あえてその理由は聞かなかった。


 こうと決めた二人の行動は迅速だった。
 それからわずかに一時間後、二人は村枝商事のビル内に潜入していた。

「んで、どいつがおまえの親父?」

「待て…今探している。メガネに髭だ。お前も探してくれ」

「つってもメガネに髭っていっぱいいるからなあ…」

 横島は壁を磨きながら、武田は床に掃除機をかけながら大樹の姿を探す。二人はビルの清掃員に扮装していた。ちなみに本物の清掃員は猿ぐつわを噛まされてinトイレである。
 しばらくすると廊下の向こうから大樹が現れた。悠然とこちらに歩いてくる。その貫禄、風格はどう見てもダメ社員のものではない。

(来たぞ!)

(え、嘘、アレ!? あの雰囲気は取締役クラスのモノだぞ!?)

 もちろんここからの会話は全てアイコンタクトである。

(たけし! カメラの用意は…)

(万全よ)

 掃除機を持つ手に見事に隠して、武田は撮影を開始した。携帯電話のカメラ機能と違って録画ボタンを押したときに音が鳴ることはない。デジカメ本体さえ隠し切ればばれることはないだろう。
 二人は見事に清掃員を演じながら(実際二人が掃除したところはピカピカだ)、大樹のあとを慎重につけ始めた。

(今カメラにつけてるメモリーカードじゃせいぜい十分くらいの撮影が限界だぞ)

(その頃にはボロを出すさ)

 しかしカメラに映されていくのは、二人の期待していたものとは真逆の光景だった。
 大樹とすれ違う女性という女性が持っていた書類を落とし、過去の関係をほのめかすような発言をかます。しかも未だに大樹に対して気持ちを持っているご様子。そんな女性社員たちをさらりとかわす大樹。
 上司とのやり取りでは完全に大樹が圧倒していた。話を聞くに(盗み聞きだが)、大樹がナルニアに飛ばされたのは、部下の躍進を恐れた上司がしくんだ汚い工作によるものらしい。信頼していた部下が実は大樹の腹心だったことを知った専務の様子は痛々しかった。
 帰り際にまた数人の女性社員を泣かせながら、大樹は悠々と退社していった。
 横島と武田の目論見は完全にあてが外れてしまった。武田は無言で今撮られたデータを消去する。

「な、なんて親父だ……おふくろの前では猫かぶってるくせに……!! くそう、作戦は完全に失敗だ」

 もう大樹はいないので声を抑える必要はない。
 横島は悔しそうに拳を強く握り締めた。

「おいおい、あきらめるのか?」

 武田の言葉に横島は顔をあげる。武田は笑っていた。その顔は闘志に満ち満ちていた。

「正直、おもしろそうだからってので手伝ってたんだけどな……なんだか僕はやる気が出てきましたよ?」

 笑う武田の肩から炎が舞い上がる。もちろん、イメージだが。彼は、燃えていた。
 数々の女性たちを泣かせていった大樹。つまりは、それだけの女性と関係を持っているというわけで。
 それだけでもうらやましいのに今度はあの美しき美神令子にも手を出そうとしているわけで。
 それだけはさせぬ。今、横島と武田の思いは完全にひとつになった。










 その後、美神本人に横島がデートの中止を頼み込んだが、結局止めることはできなかった。ならば仕方ないと横島は覚悟を決める。いざとなれば、父親を殺ることもやむなし―――その覚悟を胸に、横島は大樹妨害へと向けて再び行動を開始した。

「横島さ〜〜ん、どうする気なんですか〜〜〜?」

 つかつかと街を歩く横島のあとを、ふわふわとおキヌがついていく。

「ふふふ…決まっているだろうおキヌちゃん!! 邪魔してやる!! 俺の全身全霊をもって妨害してやるのさ!!!! ふふ…ふはは! 手段は選ばんぞーーー!!!!」

 そう叫ぶ横島の右手はぼんやりと輝いている。サイキック・ソーサーだ。

「で、でも、霊的な抵抗力が無い人にそれ使っちゃまずいんじゃ……」

「ふはははは!! 大丈夫っ!! あんな親父おらんでも俺は生きていけるッ!!!!」

 横島の様子にいざとなったら自分が止めなきゃなと思いながらおキヌは横島についていく。
 ふと横島が立ち止まった。そして右手にある路地に目をやる。なんだろうとおキヌは横島の頭の上で路地を覗き込んだ。
 ビルとビルの隙間。街灯もわずかにしか届かぬそこに、背中を壁に預け立っている男がいた。ボサボサの髪と独特な雰囲気が印象的である。

「遅いぞ」

 男が口を開いた。

「すまんな」

 横島が答える。
 男は路地裏から姿を現した。

「あの〜…横島さん、この方は一体?」

 見慣れぬその男を目にして、おキヌは横島に尋ねる。男はおキヌを目にすると、大きく目を見開き、固まってしまった。

「ああ、こいつの名前は武田 武(たけだたけし)。愛子の中で」

「よ、横島くぅ〜ん!!!! こ、この子は一体ッ!? み、み、巫女さんぢゃないかッ!!!! しかもごっつ可愛いや〜〜んッ!!!! 何っ!? 知り合いなのぶほぁーーーーーーーー!!!!!」

 リミッターが切れてしまった武田の顔面に横島の拳が叩き込まれる。鼻血が美しい放物線を描き、武田は白目をむきながら地面に熱烈なキスをかました。
 その様子におキヌは唖然としている。キョトン、ってな感じだ。

「ま、こんなやつ」

 横島は簡潔に、かつ正確に武田の紹介を済ませた。しかし武田 武、せっかくのハードボイルド的登場が台無しである。

「あ、あはは……」

 苦笑い。それしかできぬおキヌ。まさか横島のような男がほかにいるとは思いもしていなかった。今日、これから一体どうなってしまうのかとおキヌはため息をついた。

「おい、たけし起きろ」

 横島が武田の頬をぺしぺしと叩く。白目をむき、鼻から流血する武田を見て、おキヌは思わず「うわぁ〜…」と声を漏らしていた。
 しばらくして、ようやく武田が目を覚ます。

「う…うむ……? こ、ここは一体?」

「寝ぼけるな。さあ、たけし。美神さんと親父はどこに行ったんだ? ちゃんとあとを尾けてたんだろ?」

「あ、あぁ…そうだ、そうだったな。ところで横島、俺は何故鼻血を?」

「知らん。さあ教えろ。時は一刻でも惜しい」

 すっぱりはっきり「知らん」と言い切る横島。何故か少しかっこいい。おキヌは横島を見ながらそんな風に思った。
 ようやくはっきりと意識を取り戻した武田はむくりと立ち上がる。

「ああ…じゃあ案内する。だが横島、覚悟を決めろ。奴め、とんでもないところへ美神さんを連れ込みやがった」

 奴、とは大樹のことである。どうやら武田の中で大樹は完全に敵と認定されたようだ。
 横島は頷く。

「覚悟などとうに出来ている。さあ、案内してくれ」

 頷き、武田は横島とおキヌを導くように歩き出す。
 再びハードボイルド的雰囲気をそこはかとなくかもしだした横島と武田。おキヌはなんだか置いてきぼりにされてしまったように感じていた。

(親父めーーー!! 絶対思い通りにはさせんぞッ!! あの乳も! あの太もももッ!! みんな俺のモンじゃーーーッ!!!!)

(う〜ん、おキヌちゃん…っていったよな? か、かわえぇ……た、たまらんですよッ!! 長い黒髪に巫女衣装……赤い袴ってのが反則だぜッ!!!! OH! マニアック!!)

 ま、二人とも頭の中はこんなもんである。










 しばらく歩き、遂に武田が歩みを止めた。横島の目が大きく見開かれる。

「ホ、ホテルだと……!?」

 そう、三人の目の前には高級グランドホテルがそびえ立っていた。

「そう、お前の親父はもう完全にヤる気だ。俺たちは美神さんがヤられてしまう前にお前の親父を殺ってしまわねばならない」

「ク…クッソ親父があぁぁあ!!!! お前の思い通りにはさせんぞおぉぉお!!!!!」

 父親の考えが手に取るようにはっきりとわかる。横島の闘志は最高潮まで高まった。

「この時間だともう食事はすんでしまっただろう。行くぞ。目標は恐らく最上階、スカイバーだ」

「オウッ!!!!」

 横島と武田はホテルの中へと突入する。

(『やる』とか『やられる』とか、う〜ん、何をやるんだろ?)

 首をかしげながらもおキヌは二人のあとをふわふわと追いかけていった。
 エレベーターに乗り込み、最上階のスカイバーを目指す。途中で他の客と乗り合わせることもなく、最上階でチンッと音を立てドアが開いた。
 すぐ目の前に豪華に飾りつけられたスカイバーの入り口が見える。
 エレベーターを降りたところで横島が口を開いた。

「おキヌちゃんはここで待っていてくれ。あんまり近づくと美神さんに霊波を気付かれるかもしれないからな。たけし、行くぞ」

 武田は無言で頷く。おキヌもこくんと頷いた。
 おキヌを残し、音も無く店内へ。スキル『忍者』発動である。
 店員の目を欺き、他の客の注意を一切ひかずカウンターへと近づく。横島が武田を手で制止した。二人して店内に飾り付けられていた観葉植物の陰にしゃがみこむ。

(…いたぞ)

 大樹と美神はBARカウンターに座っていた。すでにテーブル、足元には大量の空瓶が置かれている。
 耳をすますが二人の会話は聞き取れなかった。

「お客様?」

 あからさまに怪しい横島と武田に気付いたウェイターが二人に声をかける。ウェイターの目の前から横島の姿が消えた。音も無く背後に回った横島はウェイターの首に己の両腕を巻きつける。優しく、しかし力強く。
 きゅっ、と絞めた。

「ぉふ」

 喉から空気を漏らしてウェイターの体から力が抜ける。完全にオチたウェイターを横島はその場にゴトリと横たえた。
 二人はウェイターを抱えると一瞬でトイレへと移動する。疾きこと風の如し。個室にウェイターを押し込むと手早く服を脱がしにかかる。その作業を行うのは武田で、横島はトイレを出て再び大樹たちを見張っていた。
 トイレからウェイターに扮した武田が出てくる。横島が頷くと武田も頷き返した。以心伝心。これから二人がやるべきことは決まっている。
 横島は空のグラスをトレイに乗せて歩くウェイターとすれ違うと素早くグラスをひとつ掠め取った。そのままふわりと放り投げる。
 グラスは美しい放物線を描き、客が入っていないエリアへと飛んでいく。
 横島の姿はすでに店内から消えている。
 グラスはフローリングの床に衝突し、パリィン! と澄んだ音を立てた。
 何事かと客の目がそちらへ集中する。もちろん、大樹と美神の目も、だ。
 武田が動いた。すばやくカウンター内に入り込むとバーテンの延髄に一撃を叩き込む。意識を失ったバーテンを素早くカウンター奥の倉庫に押し込んだ。

「ウェイターがグラスでも落としたのかしら? まったく、ちゃんと訓練しときなさいよねぇ」

「まあまあ、どれだけ訓練を積んだ人間も時にはミスをしてしまうものですよ。特に、このような甘美な雰囲気では、ね」

 美神はすでにビンをラッパ飲みしていた。その割には酔ったようには見えない。どれほど酒に強いというのだろうかこの女は。
 これには大樹も予想外だったのだろう、少々額に汗を浮かべている。美神を口説き落とすのは相当骨が折れそうだと、今更ながらに気付いた様子だった。

「お客様、言伝を預かっております」

 その時、バーテンから一枚のカードが差し出される。真っ白なそのカードには、マジックでメッセージが書きなぐられていた。
 それを見た大樹の目の色が変わる。

「美神さん、すいません。少々野暮用で。すぐに片付けてきますのでここで待っていてください。お酒は好きなだけ飲んでいただいてかまいません。では」

 大樹は立ち上がると店から足早に出て行った。背広を置いていったところを見ると、本当にすぐに戻ってくるつもりなのだろう。

「…? まあいいわ。それなら好きなだけ飲ませてもらいましょ。ねえ、コレもう一本ちょうだい…あら?」

 美神が空瓶を片手にカウンター内を見やると、先ほど大樹にカードを渡した店員は消えていた。そこにウェイターの制服だけを残して―――――
















『今から屋上にきやがれ!! こなかったらおかんに全部密告させてもらうからな!!! 新しい番号はもうおさえてるぜ!! がはは!!   by息子』

 これが先ほど大樹に贈られたカードに書かれていた内容である。
 今二人はホテルの屋上で対峙していた。
 おキヌははらはらとその様子を見守っている。

「忠夫…ここまでやったからには覚悟は出来ているんだろうな?」

「ふっ……そっちこそ覚悟はいいな? 俺を二年前の俺と一緒にするなよ? 美神さんに手ぇ出したことを後悔させてやる……息子に敗北するという屈辱をもってな!!」

 空には雲ひとつ無く、星が輝いているというのに、二人の周りだけ嵐が舞い起こり、雷鳴が鳴り響いている。

「やめてください二人とも!! 親子じゃないですか!!」

「止めるなおキヌちゃん!! 男にはたとえ肉親であっても倒さねばならない時があるんだ!!」

「そうだ忠夫!! 大人しく父さんに倒されるがいい!! 完膚なきまでに叩きのめして、実力の差をわからせてやるわッ!!!!」

 ピシャーン!! ついに二人の背後に雷が落ちた。横島の右手が青白く輝く。

「父さん………死ぬええぇぇぇえ!!!!!」

 横島は創り出したサイキック・ソーサーを一切の手加減無く大樹に投げつけた。

「ぬう…!」

 直感で危険を察知した大樹はサイキック・ソーサーに触れぬよう身をかわした。見事サイキック・ソーサーを避けると地を蹴り、一直線に横島の元へと向かう。そのスピードは野生の獣並みだ。
 横島は慌てて二個目のソーサーを創り出す。だが、間に合わない。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄、無駄ァ!!!!」

「ぐわあぁぁーーーーーーーーーー!!!!」

 大樹のラッシュが全弾見事に横島へと叩き込まれる。横島の口から血がこぼれた。吹き飛ばされた横島は手すりへと激突する。手すりは大きくへしゃげた。
 とどめをささんと大樹は距離を詰め、大きく拳を振りかぶった。

「山より高い父の高さを知れ!! 忠夫ーーーー!!!!」

 思わずおキヌは手で自らの目を覆う。
 バチィ!と、まるで平手打ちを叩き込んだような音が響いた。
 おそるおそるおキヌは指の間から二人を覗き見る。だがその光景は予想と大きく異なっていた。
 大樹の拳は横島へと届いてはいなかった。その拳は突如現れた乱入者によって受け止められていた。そう、武田武その男によって。

「貴様はさっきのバーテン……! そうか、貴様らグルだったのか」

 大樹は己の拳を掴んでいた武田の手を振り払うと後ろに下がって距離をとった。

「立て、横島」

「あ…あぁ、サンキューたけし」

 横島は口元を拭いながらふらふらと立ち上がった。受けたダメージは決して小さくないようだ。

「横島大樹……ひとつ聞く」

 横島の前に立ち、武田はおもむろに口を開いた。大樹は怪訝そうに武田を見つめる。

「…何だ?」

「お前は……今まで何人の女とヤったか覚えているのか?」

(……何をだろう?)

 武田の問いにおキヌはまた首をかしげる。しかし答えてくれる者は誰もいない。だが知る必要も無い。君はどうかそのままの君でいて下さい。
 大樹はふっ、と鼻で笑った。心底バカにしたような笑みだ。

「貴様は今まで食べたパンの数を覚えているのか?」

「キサマ……! ……よかろう! 武田武、容赦せんっ!!!!」

 大樹の答えに武田の怒りは頂点に達した。人間離れした速度で大樹に肉迫する。
 だが大樹の動きはそれ以上だった。武田の向かったその先にすでに大樹の姿はない。

「な!?」

「どこを見ている!!!!!!」

 大樹は武田の真上に飛んでいた。目にも留まらぬ動きで跳躍していたのだ! すごいぜ!
 武田は咄嗟に頭部を庇うようにガードした。

「無駄無駄無駄ァ!!!!」

 ガードの隙間をすり抜けて大樹の蹴りが武田の顎を打ち抜いた。武田は声を上げることも出来ず吹き飛ばされ、凄まじい勢いで屋上入り口の壁に激突した。コンクリートの壁は砕け、破片がパラパラと武田の体に落ちる。やりすぎだよお父さん!

「たけし!!」

 武田の反応はない。横島は大樹をキッ、と睨みつけた。
 喉の奥から声を振り絞る。同時に地面を蹴っていた。

「オヤジイィィィィィイイ!!!!!!!!」

「決着をつけてやる、忠夫!!!!」

 横島の拳と大樹の拳が衝突する。どちらも一歩も引かない。譲らない。

「おおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!」

「ぬりゃああああああああああああああああ!!!!!!!!!!」

 間断なく繰り出される拳。吹き荒れる嵐。鳴り響く破壊音。
 横島はその手にサイキック・ソーサーを纏っている。その状態で拳を繰り出している。
 なのにダメージは横島のほうが大きい。何故か。簡単だ。横島の攻撃はほとんど、いや、一度も大樹に当たっていない。ことごとくかわされ、いなされる。大樹の攻撃はおもしろいように横島に叩き込まれているのにもかかわらず。
 これが経験の差というものか。横島は知らないが大樹はナルニア支社を襲撃してきたテロリストを一人で壊滅させたこともある。しかもけっこー頻繁に。まだ戦闘力の面で言えば一般高校生とそう大差ない横島に勝てる道理も無い。
 横島はたまらず膝をついた。

「かはっ……!」

「ふふふ…父の強さが、逞しさが、凄まじさが十分にわかったか? 忠夫。だがまだ許してやらんぞ……あのマヌケ面のようにぐうの音もでらんほど叩きのめしてくれる」

 大樹の言葉にピクリと横島が反応した。

「あのマヌケ面……?」

 ゴゴゴゴゴゴゴ………!

 音を立てて大気が震えだす。大樹はそのただならぬ様子に狼狽した。

「な…なんだ……?」

「たけしのことかーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!!!!!」

 横島の体から凄まじい闘気が吹き荒れた。横島の髪が金色に変わる。ことはない。さすがに。それは、やばい。
 だが、変化は現れた。そう、それは横島の右手に。サイキック・ソーサーが変質した。
 高まり、固定化された霊気はなかば物質化していく。横島の右手に纏わりつくように。主人の意思に呼応するように。

「ハンズ・オブ・グロォリィーーーーー!!!!」

 横島は叫んだ。まだ知るはずのないその名を。
 ハンズ・オブ・グローリーは横島の意思に呼応し、拳の形を模ったまま大樹に高速で向かっていた。

「何ぃ!? ぐほぅ!!」

 全く予想していなかった一撃。いかに百戦錬磨の大樹といえど、かわすことは出来なかった。ハンズ・オブ・グローリーは見事に大樹の腹へと叩き込まれた。
 霊的防御の低い、一般人より多少高いとはいえやはり低い大樹。その一撃を受けてただで済むはずはなかった。
 だが、大樹は霊的防御は低くとも、化け物のような耐久力を持っている。確かにただでは済まなかった。だが、倒れもしなかった。

「耐えた……耐え切ったぞ、忠夫ぉーーーーーーー!!!!」

「ば、化けモンめ……!!」

 今ので全ての体力を使い果たしたのか、横島はどぅっ、とその場に倒れこむ。そしてそのまま意識を失った。

「ふはは…てこずらせおって………俺の勝ちだ、忠夫」

 確かに勝った。だがダメージを受けた大樹の足取りもおぼつかない。しかしレディをこれ以上待たせるわけにはいかない。大樹はすぐにスカイバーに戻ろうと歩みだした。
 んで、止まった。
 大樹の目には二人の女性が映っていた。
 一人は、事態を収拾してもらおうと美神を呼びにいったおキヌ。一人は事態を収拾してくれとおキヌに呼ばれて来た美神。
 おキヌはともかく、美神の目は冷たい。とても、冷たい。
 その時、チャリンと音を立て、大樹のポケットからホテルのルームキーが零れ落ちた。
 三人の目がルームキーに集中する。
 大樹はあはっ、と笑った。

「美神さん、実は部屋を取ってるんです! どうです!? 部屋でもう少しゆっくり話しませんか!?」

 美神はにっこり笑うと大樹に歩み寄り、一枚の紙切れを差し出した。

「ごちそうさまでした」

 笑顔でそれだけ言うと美神は踵を返す。

「行くわよ、おキヌちゃん」

「はぁ〜い」

 美神はスタスタと歩いて屋上をあとにした。おキヌもふわふわとついていく。途中、美神は入り口の側でのびている武田を一瞥したが、さしたる興味を示さなかった。
 ぽつんと一人取り残された大樹はおそるおそる美神に渡された紙切れに目を向ける。








『請求書 金2560000円也』













「ひゃああぁぁぁ〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!」

 星のたいそう綺麗な夜でした。


























 翌日、大樹は帰国した。
 あれだけの額の使い込みを村枝の紅ユリから隠しきれるわけもなく、その後大樹は愛する妻に愛の鞭を嫌になるほど叩き込まれることになる。

「まあ、あれだよね。結局デートの邪魔は出来たんだから俺らの勝ちだよね」

「うむ、あれだよ横島君。『試合に負けて勝負に勝った』ってやつさ」

 大樹の乗った飛行機が遠く空の彼方に飛び去るのを見つめながら、横島と武田はぼんやりと言葉をかわした。

「ところで横島君」

「何だいたけし君?」

 完全に飛行機を見送り、ふたり同時に歩き出したときに武田が口を開いた。

「おキヌちゃん俺に紹介してくれよ! な、な!! 頼むよ親友!!」

「幽霊だよ?」

「関係ないね!!」

「体無いよ? ニャンニャンできないよ?」

「ぬう…それは…いや、しかし…あぁ! でも……!!」

 太陽が二人のアホをじりじりと照らす。
 今日も暑くなりそうだった。






あの素晴らしい日々をもう一度


  第五話  だから僕たちは負けていませんよ?


          終わっとく


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