椎名作品二次創作小説投稿広場


速き者達

命の危機


投稿者名:鷹巳
投稿日時:05/10/14

薄暗い街中を朝早く、とてつもないスピードで走る横島忠夫。
ここで彼のことを少し紹介しておこう。

横島忠夫18歳。
現在(奇跡的に進学し)高校三年。と同時に、一年前からGS見習いとして美神令子のもとで働いている。
しかし、今彼の精神は体の奥底で眠っている。その代わりに横島の体を動かしているのは、一年前にも憑依したことのある韋駄天・八兵衛。


『うーん。たしかこのあたりだったと思ったのだが・・・』


今から約三時間前に、憑依した八兵衛は横島の体に入ったせいか、しゃべり方も大分元に戻ってきた。
八兵衛が探しているのはもちろん美神除霊事務所。そしてそれは、前と変わらぬ場所にあった。


『有無。ここだな。』


八兵衛にとって今は一刻を争う一大事。
事務所を見つけるとすぐさま中に入り、オフィスの中心あたりでひとまず落ち着いた。


《ふー。ひとまず事務所まではたどり着けたか・・・後は美神どのを探して話をつけるだけ。》


すると、八兵衛の体(正確には横島の体)から微弱な霊波が放出され始めた。
八兵衛がその気になれば、事務所を激しく揺さぶるだけの霊波を放出できるのだが、現在の時刻はまだ午前三時すぎ、当然そんなゆれをおこしてパニックにさせるよりも、こうして美神の霊波を探り、部屋に向かって静かに起こした上で事情を説明すると言う道を選んだのだ。


《ん?美神どのはわかるとして、人外なるものが・・・二匹いるのか?それに、おキヌどのの霊波もどこかおかしい》


美神の霊波を見つけはしたものの、おキヌの以前あった時と違う感じと事務所内にいる二匹の人外の霊波に少々戸惑う八兵衛。
言うまでもなく、八兵衛はおキヌが生き返ったことを知らない。同じく二匹の人外も事務所に居候する事になったシロとタマモのことである。だが、あの美神令子と一緒にいる以上は、たとえ悪い者でも大丈夫だろうとこれ以上気にすることもなかった。と、言う事で彼は今美神の部屋の前にいる。


『美神どのー。憶えていないかもしれないが、韋駄天の八兵衛だ。すまぬがここを開けてもらいたい』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」


扉を何度もたたいてみるが、中からの返事は一向に帰って来る気配がない。


『どうしたのだ美神どの。何かあったのか?』


さっきよりも激しく扉をたたく八兵衛。しかし、こんな朝早くに呼んですぐに出てくる人間がいったい何人いるだろう。そのことにも気が付かず、さらに強くたたく。すると・・・


ギィィィィィィー−−−−−−


扉が開き、中から美神が出てきた。が、鬼のような闘気のおまけつきで・・・


『ヒッ、み、美神どの・・・いったい・・・な、何が・・・』


元は鬼であるはずの韋駄天さえもビビらせる闘気を放つ女、美神令子。ここに登場。
八兵衛は知らなかった。美神がとんでもなく寝起きが悪い事に。
八兵衛は理解していなかった。よりにもよって、自分は今“横島”の体に入っていると言う事に。
だから当然・・・


『あの〜美神ど』
「今何時だと思ってんのよ、このバカ横島ーーー!!!!」
『んぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ』


こうなる。














しばかれ中です。しばらくお待ちください。














「いや〜、まさか韋駄天さまが横島クンに憑いてたなんて・・・早く言ってくださいよ♪」
『言うひまなどなかったではないかーーー!!!!』


自分が韋駄天・八兵衛であるということをようやく分かってもらえた時には、八兵衛(横島の体)はボロボロになっており、立っているのも辛いらしい。
そのため、仕方なくオフィスにあるソファーで横になって休んでいるところだ。
普段の横島ならばすぐに完治するだろうが、魂と体が完全に合わないせいなのか、八兵衛はまだ痛みを引きずっている。と言うか、神族ですらてこずる大怪我をすぐに完治させる横島の自己回復能力が異常なだけだが。


「それはそうと韋駄天さま。何でまた横島クンの体に?それに今回は『ヨコシマンだああっ!!』ってなふうに登場しなかったし」
『ヨコシマンは一度正体がばれてしまったから、今度は違う名前にしようと思ったのだが、思いつかなかったんだ。』
「そ、そんな理由なの・・・(汗)」
『なんだったら、私がもう一度ヨコシマンで登場するところからやり直すか?私なら、用意するのに一瞬あれば事足りるが。』
「結構です!!」


横島の体に入っているせいか、はたまた、八兵衛自身がギャグに目覚めたのかは知らんが、話が少し・・・いや、かなりずれてしまった。


「とにかく、何でまたやってきたのかを聞かせてもらうわ。何せこんな朝早くにたたき起こされたんだから。」
『たたかれたのはこっちだがな』














説明中・・・














「はぁぁぁーーー・・・分かったわよ。協力してあげるわよ」
『さすが美神どの。感謝する。(笑)』


明らかに落ち込んでいる美神に対し、満面の笑みを浮かべている八兵衛。
二人の空間に温度差があるのは決して気のせいではないだろう。
そんなやり取りもつかの間、八兵衛は横島と変わったために、ソファーの上でぐっすりと眠ってしまった。そして美神は、横島のむなぐらをつかむと、改めて自分の中のイライラを晴らしにいった。
もちろんグーで。


「起きんか横島ーーーー!!!!」
「ぶおぉぉぉぉぉあぁぁぁぁぁ!?」


美神は殴りつつも今回は横島のことを心配していた。
仕事上の上司として、霊能の師匠として、そして・・・仲間として。
彼は前に自分の命を救ってくれた。だから今回は横島を助けようと・・・
そう、横島は・・・














神族である七人の韋駄天に命を狙われる事になったのだから。


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