椎名作品二次創作小説投稿広場


BACK TO THE PAST!

明日の為の大脱出:後


投稿者名:核砂糖
投稿日時:05/ 8/12



「どついたろかーワレェー!!」
「がはぁっ!!」

「劣化版さいきっくそーさー!!」
「ぐあっ!?」

「はんどおぶぐろーりー・ミニ!」
「ぎゃぁっ!」

「れいはほぉう!!」
「ぐっはぁ!」

「くけけけけけっ!」
「ひぃぃぃっ!?」




・・・。




シャドウたちのでたらめな猛攻の中、@言う間に(アットいうまに)奇襲部隊は壊滅状態に陥った。

せめてターゲットに一太刀。とシロ達の方に向かって斬りかからんとする任務に忠実な者もいたが、当然の事ながらシャドウ達に阻まれる。

「霞扇(かすみおうぎ)の術!!」
うち一体が手にした扇子を思いっきり扇ぐ。巻き起こされた突風はどうと唸りながら標的を巻き込んだ。
「うわっ!」
そいつは予想外の攻撃に一瞬体制を崩したが、吹き飛ばしたり転げさせたりには及ばない。
それを見てシロ達は迎撃が必要かと武器を携える。
が、そいつは一歩踏み出そうとして踏み外し、その場にぱたりと倒れた。

「へ?」と疑問符を浮かべるシロ達とそして誰よりも疑問がでかい転んだ本人。
一寸の間を置き、タマモはこの不思議のタネを見抜いた。
「アレは・・・毒鱗粉か!シロ、下がって!じゃないと私達までしびれちゃうわ」

どうやらシャドウの扇子にはそんなデンジャーなブツが仕込まれていたらしい。
しかし、眷属に毒鱗粉といえば・・・

「パピリオ殿・・・」
今亡き友を思い出し、少し落ち込んだように呟くシロの目線の先は、三人ぐらいのシャドウ達が行動不能の敵をタコ殴りにしていた。










何だかんだでその後も色々あって、地面に立っているのは、ライフルの人と、剣を握り締める中々腕の立つ魔族只一人となっていた・・・。



「こ、こんな・・・・・



こんなサ○バイマンみたいな奴にやられてたまるかぁぁぁっ!」



剣を握る魔族はあまりの惨状に我を失い、手近なシャドウにがむしゃらに斬りかかった。

勿論そんないいかげんな攻撃が当たるはずも無く、ひらりとかわされる。
攻撃をかわしたシャドウはポツリと呟き・・・


「サイバ○マンか、ええ事聞かせてもろた」


ニヤリと笑ってそいつに抱きつく。





「自爆―――――ッ!!」


ドッゴォォォォォン!!


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!」





剣の人、戦闘不能。


10人のシャドウ達は、残る一人・・・ライフルの人の前に立ちふさがり、まるで戦隊モノのヒーローであるかのように、ビシッと彼に武器(日の丸扇子)を突きつけた。

「さぁ残るはあんさんだけやで!」


それを聞いたライフルの人は武器を投げ捨て、何かの構えを取ると、魔力を高めてゆく。
「・・・俺をさっきに奴らと一緒だと思うなよ」
・・・シャドウ達に乗せられているのだろうか?そんな台詞をのたまうと、彼は目の前のシャドウ達を蹴散らし始めた。


「あ、あかん。コイツわりと強いで!」
弾き飛ばされ、地面に転がったシャドウが叫んだ。
「どないすんねん。アレ、使うか?」
近くにいた、また別のシャドウが問い掛ける。

その時、

「うぉぉぉぉっ!!」

がすっ!!
どかっ!!

「ぎゃぁー!」
「だぁー!?」

元ライフルの人の攻撃、アッパーカットと回し蹴りがクリティカルヒットし、二体のシャドウが撃破された。

「タ、タカシィィィ〜〜〜!」
「ケンタァァァァァ〜〜〜!」

その光景を見て、悲劇的な表情で、『即席』の名前を叫ぶシャドウ達。
だが彼らはやられた所で本体・横島の霊力に還って行く存在なので、内心は全く堪えていない。というかそこまでの感情は与えられていない。彼らは横島自身の人格から作り出した擬似的な感情(というかノリ)を植え付けられただけなのだ。
かといって横島に完全な感情を持つ眷族を作る力が無いわけではない。只、その能力には苦い思い出があるので自ら封印しているらしい。



「こーなったら仕方が無い。必殺技を使うで・・・

キヨシとコウジの敵討ちやーーー!!」

おーー!×7

もう既に名前がちげぇよ、などという些細な事は気にもかけずに、シャドウ達は気力と霊力のボルテージを上げてゆく。

何をする気だ、と身構える元ライフルの人の前で、





な、なんとシャドウ達が、どんどん合体してゆく!!





「しにさらせーーー!!!」
シャドウ達は合体してキングシャドウになった。

「・・・・ウソだろ!?」
「大マジやぁぁぁ!」
元ライフルの人は目が点。

そんな彼に、身長10mはくだらないキングシャドウが迫る。


「ふらいんぐぼでぃーぷれすっ!!」

「ちょ・・・まっ・・・・ぴぎゃっ!!」
ずうぅぅぅぅぅぅぅぅぅん・・・・・!!!






・・・・。






そんなシャドウ達の、まるでギャグアニメでも見ているかのような光景を見て、シロタマモらは頬をヒクつかせて苦笑いをした。

「ねぇシロ。あんたの先生って、何者?」
「む、昔からこの傾向はあったでござるが・・・。抑えつけられていた分、その反動が出たのでござろうか」
シロはその思わず気の抜けるような光景に、つい膝を付き頭をたれてため息をはいた。


「ん、そう言えば時に狐のお嬢ちゃん」
そうしていると、急にカオスが、乾いた笑みを浮かべているタマモに声をかけた。
地面に座ったまま彼女は「何?」と振り返る。
「何故、さっきからずっと座ったままなんじゃ?」
「・・・・・・・・・・・・・別にいいじゃない」
タマモは、彼の問いにぷいとそっぽを向いた。









一番初め、神魔がやって来た時に、つい腰が抜けたなんて・・・・言える訳無かった。











場面はまた空中に戻る。
そこでは横島による、常識を疑うような、見る者のやる気を根こそぎにするような、一方的な戦いが展開されていた。




「行けぇ!ファンネルッ!!」

神魔達にとって理解不能の叫び声と共に発射される、幾つかの塊。それは一般にはサイキックソーサーの名で知られている、横島の得意とする技の一つだ。
元々は霊気の盾として使う技なのだが、投てきしたりして目標にぶつける事も出来る。

だが、何故か今回は様子がまるで違う。
横島から発射されたサイキックソーサー達は、敵にぶつかってダメージを与える事はせずに、こちらをかく乱するように縦横無尽にそこら中を飛び回り始めたのだ。

――――なんと言う集中力!

神魔達の間に驚きの念が広がる。
本来、サイキックソーサーとは、ある程度ならコントロールは可能なものだ。しかしそれはコントロール対象が一つだった場合である。
だが、この男は一度に20にも及ぼうかと言う数のサイキックソーサーを一度に操って見せた。しかも自分は近場の敵の攻撃をいなしつつ、だ。

これは努力がなせる技、などと言うレベルではない。
この男、横島に宿る天性の才能あってこそ。と言う所であろうか。


自分達の合間を縫って、矢のように飛び交うサイキックソーサー・ファンネルは、確実に神魔達をかく乱させた。そうして彼らに気の緩みが出来た次の瞬間、サイキックソーサー・ファンネルは本命の仕事に取り掛かる。


がきっ!
「ああっ!」

がっ!
「何っ!」

がん!
「武器が・・・っ!」


サイキックソーサー・ファンネルは一斉に神魔達の手からそれぞれの得物を弾き飛ばし始めた。
そう、この武装解除こそが、この攻撃の新の目的だったのだ。


バラバラと、神界魔界御用達の武器達は、丁度地上に広がる森の中に落下していく。
これでは、そう簡単に見つけられないだろう。横島は、そこまで読んでいた。












地上の森。
落下していった武器達は、森に住む魔法生物達のねぐらに雨あられと降り注いでいた・・・。




「うわぁぁぁぁぁっ!?な、何だ凄い爆音が聞こえたと思ったら今度は何!?」
ひゅるるるるる・・・・

「ぎゃぁぁぁ!剣!剣がぁぁぁ!」
ひゅるるるるる・・・・

「うお、魔族が降って来た!?」
ひゅるるるるる・・・・

「うわっ!刺さった!何か刺さったよぉぉぉ!!!」
ひゅるるるるる・・・・

「神様が空からっ!」
ひゅるるるるる・・・・


――――うぎゃぁぁぁぁ!!


――――うひぃぃぃぃっ!?





森は、地獄絵図と化していた。














武器を奪われた者達の何割かは、やけくそとばかりに霊波砲を放つ。しかしその行動は読まれていたのか、攻撃が届く前に飛び回るサイキックソーサー弾かれた。しかも味方の方へと。

「か、各自飛び道具は打つな!同士討ちになるぞ!!」

誰かがそう言い、皆はそれに従った。


だが、武器も無し。飛び道具すら封じられた彼らに、何が出来るというのだろうか?


「失せろぉぉぉぉぉぉっ!!」

ズガガガガガガガ!

彼らは、黒い疾風と化した横島に次々と叩き落されていった。

急速に減ってゆく神魔達の数。4ケタを切り、500を切り、まだ減ってゆく。






そして、ふと気付けば・・・・









そこにいるのは、最前線部隊隊長を勤める神族と、横島。只二人を残すのみとなった。









「馬鹿な・・・ありえん。我々は初めの時点で確かに大部分の戦力を削がれてしまった。
だが、1500だぞ・・・!これだけの数の兵を有する我々に、何故たった一人で渡り合える!」
先ほどのファンネル攻撃で武器を取り落とさなかった数少ない者の一人のこの隊長は、わなわなと震える手で剣を握り締め、魔人に問うた。
魔人は答える。

「さあ、何でだろうな」

「ふ、ふざけるな!」
そのおちょくるような返答に隊長は激昂したが、横島はまるで気にしない。
「ふざけてなんか無いさ。俺にも解からん。

だけどこれだけは言えるぜ?









・・・今の俺はな、負けられねぇ理由が出来たっ!!」
ふにゃけた態度が一瞬で消え去り、横島の霊波刀がきらめいた。









「くっ!」
だが敵も伊達にこれまで彼の攻撃に耐えつづけてはいない。
横島の連撃を、何とかしのぎきる。

二人はしばらく打ち合い、ガッキと一際大きな金属音をたてると、一旦間合いを取った。

「(くそ・・・何時もならこれぐらいの奴簡単に倒せるんだがな。流石に前半飛ばしすぎた。体力がもたねぇ)ほっほー。やるじゃねぇか」
横島は内心の疲労を隠しつつ、余裕を繕う。

「ふん。我師、小竜姫殿直伝の剣。そうやすやすと破られてたまるか」
隊長は、方で息をしつつ、しかし目だけはらんらんと輝かせなが口を開く。
こちらも、限界が近そうだ。

横島は、彼の台詞の我師、小竜姫と言う部分に目をつけた。
バイザーの下で目がキュピーンと光る。何かろくでもない事を思いついたようだ。
「小竜姫様か。いいよなーあの人。可愛いよなー。

特にあのちょっと潔癖症な所とか、妙に真面目なのに時々ドジったりする所とか最高に萌える・・・そう思わんか?」
「貴様・・・我師を愚弄しているのか?」
隊長は歯を食いしばって怒りをあらわにする。

「いやいや、誉めてるんだって。

つーかお前も剣の修行は別にして、小竜姫様とマンツーマン、なんてかなり美味しいとか思ったりしちゃったろ?実は惚れてたりするだろ?
隠すなって、秘密にしといてやるからさー・・・」
「この私に挑発は効かんぞ」
なおも神経逆撫でするような台詞を続けようとする横島を遮って、隊長は重い言葉を放った。確かに、その構えは先ほどから微塵の油断も感じられないように見える。

「・・・ちっ。しゃーねーなー」
それを見た横島は、舌を打ち、しぶしぶと言った感じでおちゃらけた雰囲気を切り替えた。
「次で決めるぞ。俺の『必殺技』受けてみろ。見事耐え切れば・・・てめーの勝ちだぜ?」

彼はそう言うと、静かに精神を統一し始めた。
徐々に高まってゆく霊力。マントははためき、ハンドオブグローリーの色が、漆黒へと変化して、その形までもがより禍々しいモノへと変わってゆく。


「ぐっ・・・(何というパワー・・・)」
隊長は横島の霊力に思わず顔に苦渋の表情が浮かぶのを押さえられなかった。


「(だが・・・・・勝てなくは、無い!!)」


「いくぜっ!・・・」
横島がそう叫んで何かの構えをとった時、隊長は両手で剣を握り締め、前方へと踊り出た。

魔人を必殺技もろとも切り捨てんが為に。

お互いに展開される超加速空間。そのスピードに音すらも追いつけず、無音の中で最後の死闘が始まった。


そして、彼の刃が今まさに振り下ろされようとした時、ついに横島の必殺技が、炸裂した。



























「必殺!!しょーりゅーき様の生写真んっ!!!」

「ぶわぁぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

思わず鼻を押さえてのけぞった神族のどたまに、漆黒のハンドオブグローリー(でも形はやっぱり蝿叩き)が素敵にクリティカルヒット。

「ふはははっ!我師、美神さん直伝の反則技。そうやすやすと破られてたまるかよ!!」





















大敗をその胸に刻む事になった神魔連合軍。
数時間後、何とか空間閉鎖を打ち破った本陣が到着するも、魔人一味はとっくにトンズラ済み。
しかも時空を閉鎖してこれ以上敵が入らないようにした上に前線部隊を全滅させたおかげで出来た時間を使い、この世界に住み着いていた者達から自分らに関する記憶を全てすっぽ抜いての逃走だった。

そして驚くべき事に今回の戦いの死者はゼロだった。
何時もの魔人ならなるべく殺しは控えるのだが、大抵何人かは死ぬのが当たり前であった。だが今回はそれすらも無い。
舐められているのか、それとも魔人が余裕で手加減できるほど強くなってしまったのか。はたまた別の理由か。それは誰にも解からなかった。

また、これも偶然なのかもしれないが、この世界に住み着いていた者達は横島達が記憶を消してくれたおかげで、尋問を受ける事も無く釈放される事になった。
彼はこれを狙って記憶削除を行ったのだろうか。それも、誰にも解からない事だった。







ちなみに地面に頭から突き刺さり、小竜姫様の生写真をしっかりと握り締めていた状態で発見された前線部隊隊長も、しっかり回収されたのであしからず。


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