椎名作品二次創作小説投稿広場


BACK TO THE PAST!

明日の為の大脱出:前


投稿者名:核砂糖
投稿日時:05/ 8/11





上層部は今回の作戦、ヨコシマ奇襲計画に、現在動かせる神・魔連合軍全てをつぎ込んだ。


その数神魔合わせて5万。

・・・はっきり言って異常である。


しかしターゲットにはそれだけの事をさせるだけの価値が、無いとは言えなかった。

なにせ本気になった天・魔界の捜索をことごとく振り切り、偶然鉢合わせたのが小隊程度なら、応援を呼ばせる時間すら与えずに全滅させてしまう相手だ。






だが、今度ばかりはそうはいくまい。





・・・・あっちは一人、こちらは五万だ。





天・魔界上層部の連中は、勝利を確信していた。












しかし、当然の事ながら、




横島はここでみすみすやられようなんて気は、さらさら無かった。










ガキン!

どうっ!


ががががががががっ!!


ずごごごごごっ!


どごぁぁあああ・・・・・・んん・・・・!!




ついに始まった闇夜の空中大決戦。

まだ時空ゲートを本陣が潜り抜けていないので神・魔軍の規模はまだ5000も無く、全体から見ればたいした事は無い。

しかしたった一人で相手をする横島からすれば、360×360度、敵、敵、敵。
霊波砲や敵の居ない空間を探すのすら難しい。


だが同時にそれは神・魔軍は同士討ちを恐れ好き勝手には暴れられない、という事も意味する。
付け入るなら、そこだ。


彼は超加速状態で密集する敵の合間を縫うようにして飛び交って同士討ちを狙いつつ、時折目の前に現われる者をハンドオブグローリーではたき落とす・・・と言う事を繰り返していた。
闇夜のため、視界は悪いがルシオラバイザーを装着する事によって夜目を確保。・・・と言っても敵のほうは目に頼らない奴も多いので、これと言って有利と言うわけでもない。
ちなみにハンドオブグローリーの形は蝿叩き状。先ほどから叩き落された神魔たちが『もの凄く』悔しそうな顔をして落下していっている。よりによって蝿扱いでは、さも無念であろう。

勿論、こんな事をし続けていたらへばるのはこっちだし、本陣がやってきたら流石にひとたまりも無い。



超加速についてこれる奴は現在500体ぐらいか。これぐらいなら何とかなるな。
でも本陣が来るとやべぇな。
ついでにこの世界の住民達もなんとかせにゃあかんし・・・
さて、どうするか・・・



戦場を縦横無尽に駆け回りつつ、彼は考えた。



・・・・・・ばしぃっ!「ぐわっ!」(神族)



・・・・・・べしぃっ!「ぎゃぁ!」(魔族)





――――――こんな時・・・あの人なら、どんな事を考える?






・・・・・・ぶしっ!「へあっ!」(神族)



・・・・・・ぱぁん!「ブルァァァァァッ!」(魔族)



・・・・この手で行くか!
思考終了。



何かをひらめいた横島は一旦乱闘状態から離脱。
ふわりと時空ゲートと自分とに敵陣を挟む位置に浮かぶと、この一年でストックしつづけた文珠を幾つか取り出した。


「超・サイキックソーサー!!」


そして即席の技名を叫びつつ、全力で前方に巨大サイキックソーサーを展開。更に文珠で強化してゆく。

『強』『化』、『巨』『大』『化』、『不』可』『侵』






カッ!





・・・闇夜を引き裂く閃光とともに現われた霊気の盾、いや防壁は、直径一キロを超えていた。

唖然として目の前の『超・サイキックソーサー』を見つめる神魔に、横島はニヤリと笑いかけた。





「さてお客様、当店はあなた方のようなマナーのなっていない、特に暴力的な方のご来店は固くお断りしております・・・。






つー訳で、とっとと・・・・・・帰りやがれぇぇぇええええ!!!!!」





そして押す。押す。押す押す押す押す押す押す押す押す!!!






「オラオラオラオラオラオラオラオラオラァ!!!!!!」


ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・!!


巨大で、凶悪な壁は進行方向にある神を、魔族を巻き込んで暴走する。

「うわわわわわぁぁぁぁっ!」

「うそだろぉぉぉ!?」

「は、反則だぁぁぁぁ!!!」

「ひぃぃぃぃっ!?」

目の前に迫りくる理不尽の塊に抗議の声を上げる彼らを張りつけながら爆走する『超・サイキックソーサー』の行く先は・・・


時空ゲート。


「オラオラオラオラオラオラ・・・・・・・ウォルオァァァ!!!」


ゴゴゴゴゴゴ・・・・ズドォォォォン!!!!


横島は最後の一押しとばかりに、へばり付いたモノごと超・サイキックソーサーを全力で時空ゲートへ叩き込むと、仕上げとばかりにまた幾つかの文珠を発動させる。

込められた文字は・・・


『空』『間』『閉』『鎖』

ぴゅん。とマヌケな音を立てて、時空ゲートは瞬く間に消滅した。それどころか強靭なプロテクトが掛かり、外界からの接続がシャットアウトされる。





「さぁて・・・」

あまりの出来事に固まっている、超・サイキックソーサーを逃れた神魔達・・・。



「続きを始めようか?」
そんな彼らに横島はイイ笑顔で微笑みかけた。



――――こいつは・・・・何時もの魔人じゃねぇ・・・


そこにいる誰もが、その怖すぎる笑顔を見て思わず自分の武器を握りなおした。

少なくともこの事実は神魔達にとって有利になる要素ではないようだった。





神魔連合軍、残り人数・・・・1200








その頃のシロ達。

「凄い・・・凄い凄い!凄過ぎるでござる!」
人間形態のシロは、丁度超・サイキックソーサーを時空ゲートに叩き込んだところの横島を指差し、興奮したように叫んだ。尻尾は千切れんばかりにパタパタと振られている。

しかし彼女は思い知っていた。ここの世界に横島を連れ込んだとき、自分は辛うじて彼に勝っていた気でいたが、それは彼が本当に手を抜いていただけだったという事を。
それに、彼は最強の術。単体同期を封じられているのだ。
「拙者は・・・まだまだでござったか」
悔しそうに、空を見上げる。
空では、時折閃光が走り、彼女の顔を一瞬明るくしては、消える。を何時までも繰り返してゆく。


「確かに・・・信じられない光景ね。これは・・・」
タマモの方もぽかんとしたような顔をして夜空に浮かぶ巨大な光の壁を見て呟いた。
そして時折聞こえてくる「くけけけけけっ!」などのぶっ壊れた、聞き慣れた声の笑いに、只ぼうぜんとする事しか出来ない。
彼女の視点からすれば、今の横島はもはや変人以外の何者でもなかった。だが、それでも、とても頼もしく感じるのもまた事実。


・・・やるじゃん。


タマモは、横島に対する評価を少しだけ改めた。



そうして二人が花火でも見るノリで空中大決戦を見つめていると



「エネルギー・約20000マイト・これを破れる神魔・ここには・存在しません」
「うむ。もの凄いな。だがこれでも全盛期の奴には程遠い。単体同期を使った奴は、まさに・・・魔人じゃった」



背後で声がする。驚いて振り向けば、倒れていたカオスと半壊したはずのマリアが、いたって健康そうな様子で立っていた。

「あんたら・・・どうしたの!」
タマモが驚き目を丸くする。
「小僧の文珠だ」
カオスの言葉に、ますます驚くシロタマ。カオスの傷はともかく、損傷したマリアまで『復』『元』してしまうとは・・・横島の力は計り知れない。

「全く・・・本当に霊能を超えた所まできとるのう。(しかもあんな保険までかけていくとは。調子が戻ってからは妙に気が利くようになりおってからに・・・)」
カオスはぽりぽりと頭を掻いた。






そんな彼らを、じっと見つめる目線があった。


(よし、気付かれてないな・・・)
草むらの中からライフルを抱えて様子をうかがっているのは、先ほどハンドオブグローリー・蝿叩きによって大地に叩き落された魔族の一人。

(俺の奇襲とともに一斉に襲い掛かるんだ。一撃で仕留めろよ?)
気配を消しつつ、アイコンタクトで仲間の神魔にそう伝えると、スコープを覗き込み標準を・・・シロのコメカミに合わせる。

神界魔界の上層部では魔人だけでなく、それに荷担する者も抹殺対象として指定していた。つまり、彼女らも狙われているのだ。


彼はなんとも後味の悪い任務に、思わず舌を打つ。魔族とはいえ、破壊本能のみで生きている訳ではない。他人を愛する事だってあるし、無益な殺生を嫌う物もいる。この魔族も割りとそのクチだった。
だが上官の命令は絶対。上には何かしら考えがあるのだと、自分を納得させ引き金に指をかける。



(悪いな、お嬢ちゃん・・・)


彼は、一気に引き金を絞った。





――――――――タァン!「ほわっちゃぁ!!!」がきん!





「何っ!?弾かれただと!!!」
一撃必殺の弾丸は、突如地中より飛び出した・・・・というか生えてきたナニモノかに蹴り飛ばされ、弾かれてしまった。
魔族の男は目を見開いた。

シロ達は何事かと戦闘態勢を取る。・・・・奇襲失敗だ。

「くそっ!こうなったら実力行使だ!」
作戦が失敗した以上やるしかないと、ライフルの人は、全員で一斉攻撃を仕掛ける事を提案した。
「待てっ!作戦が失敗した以上ここは一旦引くべきじゃないか!?」
隣で剣を構えていた者が、それを制するが、ライフルの人はポツリと言葉を呟く。

「空に戻って魔神の相手してるよりこっちの方が安全な気がしないか・・・?」
「・・・突撃ぃ〜!」
その声を合図に、十数人の兵士達が、一斉にシロ達めがけて襲い掛かった。


それを見たカオスはニヤリと笑い、
「おお、早速保険が役に立ったの」
マリアとともに楽観的にこの状況を楽しんでいた。


「タマモ、行くでござる」
「わ、解かった」
一方シロは、何故か未だに地面に座り込んでいるタマモに呼びかけると、妖刀十牙房を構える。

しかし、そんな彼らを制止する者が居た。
「まーまー御老人にお嬢ちゃん方。そんな危ないモノしまってくれなはれー」
先ほど地面から生えてきたモノはニコニコ笑いながら、まるで庇うように彼女らの前に立つ。容姿は平安時代にでも居そうな物、そこにピエロの要素が入り混じっているような感じ。
そう、かつて横島が妙神山で引き出されたシャドウそのものだ。

但しそのパワーは比べるまでも無いが・・・。


そしてコイツが、横島のかけた保険の正体だった。


その彼は下がって下がってと、なおも前に出ようとするシロを押し下げる。
「し、しかし武士たる物、ここは拙者も戦うのが・・・」
「そーいわんといてーな。ワイはあんさんらを守るよう言われとるんや。そうされるとご主人に合わす顔があらへん」

シャドウはそう言って渋るシロを黙らせ、周りを囲みながら様子をうかがっている神魔達に向き直る。
「痛い目にあいとうなかったら、逃げるが勝ちやで?」
開いた扇子で口元を押さえ、ニヤリ。


「あいつは・・・式神のようだな」
敵リーダー格のライフルの人はシャドウを見て、そう判断を下す。
「だが魔神の作った式とはいえ、所詮は一鬼。我々の敵ではない。行くぞ」
ライフルに人を筆頭に神魔達は、攻撃を開始した。


それを見て、シャドウは創造者そっくりのイヤラシイ顔でニヤリと笑う。

「誰が一人とゆうた。


ほな、皆。一発かましたるでー!」



彼のその掛け声とともに


ぽん×10


と言う音を立て、地面から丸い物が飛び出してくる。

「も、文珠!!」
敵神族の一人が慌てたように叫んだ。



込められた文字は・・・・『式』


ボン!×10

文珠は、それぞれが全てシャドウへと変わる。

「「「「「「「「「「よっしゃ!」」」」」」」」」」


















大乱闘、スタート。



「備えあれば憂い無し・・・とは言っても多すぎるんじゃないか?小僧」
Drカオスは可笑しそうにクククと笑った。


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