椎名作品二次創作小説投稿広場


ツンデレラ

金の斧銀の斧


投稿者名:UG
投稿日時:05/ 7/29

 <金の斧銀の斧>・・・すいません。予想はつくと思いますがしょうもない話です。  m(_ _)m  



 アルバイトが適当に決めているとの噂だけど、TV番組の占いで最下位だと多少凹む。

 目覚まし代わりにみている朝の番組は、どうも私の星座に恨みがあるようだ。

 その番組によれば、今日の私は落とし物に注意。開運のおまじないはチョコボールを食べる・・・ですって(笑)

 ま、TVの占いなんて最大公約数だから信じてないけどね・・・人口の1/12が落とし物するわけじゃないし。

 占いなんて個人に対して行わないと本来意味のないものなんだから。

 「美神さーん。準備出来ました」

 「ありがと、おキヌちゃん」

 TVのスイッチを切ると、私、美神令子はいつものメンバーで、いつものように除霊に向かった。








 キャンプ場近くの泉

 最近出没したという女の幽霊を除霊するため、私たちは朝からずっと泉を見張っていた。

 「変ねー、悪霊の気配が全然しないわ・・・」             「みかみさーん」

 見鬼君や霊視スコープにも悪霊の気配は引っかからない。

 「シロ、タマモ、あなた達何か感じない?」              「みかみさーん」

 「なにも感じないわ」

 「で、ござる」

 この二人に分からなきゃ私たちに分かる訳もないか・・・・

 「たぶん、ゲートが開かないと現れないタイプね・・・」        「みかみさーん」

 私の呟きにおキヌちゃんが反応した。

 「何ですゲートって?」

 「簡単に言うと異界との門ね」                    「みかみさーん」

 「それを開いて出てくるってわけですか?」

 「自分で開ければね。出来ないヤツは発動条件が整うまで待つの」    「クソ女!」

 ブチッ

 「何ですってー」

 さっきからうるさい横島に向かって霊体ボウガンを威嚇射撃する。

 泉に浮かべたゴムボートの上で横島が仰け反った。

 (チッ、外れたか・・・・)

 当たったら威嚇ではないという意見はこの際どうでもいい。

 「殺す気ですかー!それに聞こえてるなら返事してくださいよー」

 「うるさいわね!幽霊が逃げちゃうかもしれないでしょー」

 「さっきから文珠で(視)てますけど異常ありませんよー。それにお腹空いたしー。トイレにも行きたいしー」

 泉にゴムボートを浮かべ調査中の横島がボヤく。

 「しかたないか・・・横島君なら何か起こるかと思ったんだけど」

 ゲートの発動条件が分からない状態では、横島の物の怪に好かれる才能が頼りだった。

 それを正しい日本語では、囮というらしいが横島には黙っておく。

 「横島君、チョコボールあげるからもう少し我慢してくれないー」

 私は何故かポケットに入っていた(ホントよ!)チョコボールを横島にむかって見せる。

 「子供ですか俺は!・・・あれっ、ひょっとして美神さん俺と同じ星座ですかー」

 「ぎくっ」

 素早く周囲を見回す。

 まだ、おキヌちゃんやシロタマは何のことか分かっていない・・・横島を黙らすなら今だ!

 「うるさいわねっ!!」

 右腕から放たれたチョコボールの箱は、クルーンも真っ青のスピードで横島の額を直撃し泉に沈んでいった。










 数秒後、岸にいる私たちの目が点になる。









 理由は簡単。

 泉に落ちたチョコボールが作る波紋から、如何にもギリシャの方からやって来ましたと言う美女が浮かび上がったからだ。

 その絵に描いたようなギリシャ美女は、そうすることがさも当たり前のように私の方を向き、これ以上はないという程の大まじめな顔でこう言ったのだ。






 「あなたが落としたのは、この金のエンゼルですか?」





  ( ゚д゚)





  (つд⊂)ゴシゴシ




  (;゚д゚)




  (つд⊂)ゴシゴシ



   _, ._
 (;゚ Д゚) …?!




 マジデスカ?


 あまりの馬鹿馬鹿しさに、思考が停止してしまう。


 ヒョットシテ スベテコレヲヤルタメノハナシデスカ?


 次にギリシャ女の口にする台詞を私は100%予想できた。


 そして女はその通りの台詞を口にした。


 ちなみに女の手に握られていた銀のエンゼルは1枚だった。




 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」




 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 「ずっと前からスキでしたー」


 横島のいつもの行動が、永久にも感じられた沈黙をうち破る。


 ・・・ネエ、ナンデ?


 ナンデ サラニ ハナシヲヤヤコシクスルノ?


 ゴムボートからダイブし女と一緒に沈んでいく横島を見ながら、私はこれ以上ない速度で解決策を模索する。


 「・・・帰るわよ。馬鹿とはつきあってらんない」


 我ながら最良の答えだ。


 「エ!ああ、でも横島さんが・・・」


 「いいの! アイツとはもう何の関係もないの。いつも同じ行動して、プラナリア以下の学習能力しかヤツなんか知らないわ。アイツ絶対三等分したら三人になるわよ」


 何が起こっているのか分からず愕然としているシロタマの手を引き、私はその場を立ち去ろうとする。


 「嫌です!横島さんを置いていけるわけないじゃないですか」


 おキヌちゃんが激しく怒り出す。


 マズイ、時間がない。


 ギリシャ美女が横島を抱え再び浮上してくる。


 「あなたが今落としたのは、この・・・・・」


 「違います!私たちの横島さんはバカでスケベだけど、横島さんは横島さんだからいいんです。私の好きな横島さんを返して!!!」


 「ああっ!おキヌちゃんそれは一番言っちゃ行けない・・・・・・」


 遅かった。


 おキヌちゃんの答えにギリシャ美女はニッコリ笑うと・・・・・・・












 「美神さん・・・・すいませんでした。私ちっとも知らなくて・・・・・」

 おキヌが申し訳なさそうに頭を下げる。

 「しかたないわね。泉に落ちたモノに所有者がいなければあの反応は起こらないと思ったんだけど・・・」

 美神はギリシャ女が最後に言った台詞を思い出す。


 ―――正直者にはみんな差し上げましょう。


 現在、美神達の目の前には3人の横島が転がっている。


 人格者で、まじめで気前がよく、何にでも一生懸命な横島と、

 まじめで、理性的な横島、

 それとギリシャ美女へのセクハラの代償に、彼女にマウントポジションでボコられたいつもの横島が・・・


 「先生達が目覚めたらどうすればいいでござろう・・・・」

 心配そうなシロに、タマモが興味なさそうに答える。

 「3人で分けちゃえば」


 「!」×3


 その後、熾烈なジャンケン大会が行われたことは言うまでもない。

 一番人気は推して知るべし。





 翌日、キャンプ場の泉

 キャンプに来た男が泉にバーベーキュー用のタレを落としてしまう。

 するとギリシャ美女が現れて・・・・

 「あなたが落としたのは、このエバラ黄金の味ですか?」

 ―――トラブルはまだ終わらない


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