<金の斧銀の斧>・・・すいません。予想はつくと思いますがしょうもない話です。 m(_ _)m
アルバイトが適当に決めているとの噂だけど、TV番組の占いで最下位だと多少凹む。
目覚まし代わりにみている朝の番組は、どうも私の星座に恨みがあるようだ。
その番組によれば、今日の私は落とし物に注意。開運のおまじないはチョコボールを食べる・・・ですって(笑)
ま、TVの占いなんて最大公約数だから信じてないけどね・・・人口の1/12が落とし物するわけじゃないし。
占いなんて個人に対して行わないと本来意味のないものなんだから。
「美神さーん。準備出来ました」
「ありがと、おキヌちゃん」
TVのスイッチを切ると、私、美神令子はいつものメンバーで、いつものように除霊に向かった。
キャンプ場近くの泉
最近出没したという女の幽霊を除霊するため、私たちは朝からずっと泉を見張っていた。
「変ねー、悪霊の気配が全然しないわ・・・」 「みかみさーん」
見鬼君や霊視スコープにも悪霊の気配は引っかからない。
「シロ、タマモ、あなた達何か感じない?」 「みかみさーん」
「なにも感じないわ」
「で、ござる」
この二人に分からなきゃ私たちに分かる訳もないか・・・・
「たぶん、ゲートが開かないと現れないタイプね・・・」 「みかみさーん」
私の呟きにおキヌちゃんが反応した。
「何ですゲートって?」
「簡単に言うと異界との門ね」 「みかみさーん」
「それを開いて出てくるってわけですか?」
「自分で開ければね。出来ないヤツは発動条件が整うまで待つの」 「クソ女!」
ブチッ
「何ですってー」
さっきからうるさい横島に向かって霊体ボウガンを威嚇射撃する。
泉に浮かべたゴムボートの上で横島が仰け反った。
(チッ、外れたか・・・・)
当たったら威嚇ではないという意見はこの際どうでもいい。
「殺す気ですかー!それに聞こえてるなら返事してくださいよー」
「うるさいわね!幽霊が逃げちゃうかもしれないでしょー」
「さっきから文珠で(視)てますけど異常ありませんよー。それにお腹空いたしー。トイレにも行きたいしー」
泉にゴムボートを浮かべ調査中の横島がボヤく。
「しかたないか・・・横島君なら何か起こるかと思ったんだけど」
ゲートの発動条件が分からない状態では、横島の物の怪に好かれる才能が頼りだった。
それを正しい日本語では、囮というらしいが横島には黙っておく。
「横島君、チョコボールあげるからもう少し我慢してくれないー」
私は何故かポケットに入っていた(ホントよ!)チョコボールを横島にむかって見せる。
「子供ですか俺は!・・・あれっ、ひょっとして美神さん俺と同じ星座ですかー」
「ぎくっ」
素早く周囲を見回す。
まだ、おキヌちゃんやシロタマは何のことか分かっていない・・・横島を黙らすなら今だ!
「うるさいわねっ!!」
右腕から放たれたチョコボールの箱は、クルーンも真っ青のスピードで横島の額を直撃し泉に沈んでいった。
数秒後、岸にいる私たちの目が点になる。
理由は簡単。
泉に落ちたチョコボールが作る波紋から、如何にもギリシャの方からやって来ましたと言う美女が浮かび上がったからだ。
その絵に描いたようなギリシャ美女は、そうすることがさも当たり前のように私の方を向き、これ以上はないという程の大まじめな顔でこう言ったのだ。
「あなたが落としたのは、この金のエンゼルですか?」
( ゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
(;゚д゚)
(つд⊂)ゴシゴシ
_, ._
(;゚ Д゚) …?!
マジデスカ?
あまりの馬鹿馬鹿しさに、思考が停止してしまう。
ヒョットシテ スベテコレヲヤルタメノハナシデスカ?
次にギリシャ女の口にする台詞を私は100%予想できた。
そして女はその通りの台詞を口にした。
ちなみに女の手に握られていた銀のエンゼルは1枚だった。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「ずっと前からスキでしたー」
横島のいつもの行動が、永久にも感じられた沈黙をうち破る。
・・・ネエ、ナンデ?
ナンデ サラニ ハナシヲヤヤコシクスルノ?
ゴムボートからダイブし女と一緒に沈んでいく横島を見ながら、私はこれ以上ない速度で解決策を模索する。
「・・・帰るわよ。馬鹿とはつきあってらんない」
我ながら最良の答えだ。
「エ!ああ、でも横島さんが・・・」
「いいの! アイツとはもう何の関係もないの。いつも同じ行動して、プラナリア以下の学習能力しかヤツなんか知らないわ。アイツ絶対三等分したら三人になるわよ」
何が起こっているのか分からず愕然としているシロタマの手を引き、私はその場を立ち去ろうとする。
「嫌です!横島さんを置いていけるわけないじゃないですか」
おキヌちゃんが激しく怒り出す。
マズイ、時間がない。
ギリシャ美女が横島を抱え再び浮上してくる。
「あなたが今落としたのは、この・・・・・」
「違います!私たちの横島さんはバカでスケベだけど、横島さんは横島さんだからいいんです。私の好きな横島さんを返して!!!」
「ああっ!おキヌちゃんそれは一番言っちゃ行けない・・・・・・」
遅かった。
おキヌちゃんの答えにギリシャ美女はニッコリ笑うと・・・・・・・
「美神さん・・・・すいませんでした。私ちっとも知らなくて・・・・・」
おキヌが申し訳なさそうに頭を下げる。
「しかたないわね。泉に落ちたモノに所有者がいなければあの反応は起こらないと思ったんだけど・・・」
美神はギリシャ女が最後に言った台詞を思い出す。
―――正直者にはみんな差し上げましょう。
現在、美神達の目の前には3人の横島が転がっている。
人格者で、まじめで気前がよく、何にでも一生懸命な横島と、
まじめで、理性的な横島、
それとギリシャ美女へのセクハラの代償に、彼女にマウントポジションでボコられたいつもの横島が・・・
「先生達が目覚めたらどうすればいいでござろう・・・・」
心配そうなシロに、タマモが興味なさそうに答える。
「3人で分けちゃえば」
「!」×3
その後、熾烈なジャンケン大会が行われたことは言うまでもない。
一番人気は推して知るべし。
翌日、キャンプ場の泉
キャンプに来た男が泉にバーベーキュー用のタレを落としてしまう。
するとギリシャ美女が現れて・・・・
「あなたが落としたのは、このエバラ黄金の味ですか?」
―――トラブルはまだ終わらない
今回はそうとう芸風を変えたので、投稿するのに勇気がいりました。
題材は金の斧銀の斧ですが、斧は全く関係ないし・・・
因みに、締めの言葉でトラブルは終わらないとありますが続きません。
今まで以上に見苦しい駄文ですが、感想・アドバイスいただけたら幸いです。 (UG)
いや、実はチョコボールの時点でまだ気づいてなかったんです。俺エンゼルは集めてないもんで。そのくせベルマークは一つ残らず回収してるんでそっちの印象しかなかったんですよ。
というかこの女神さんは意地でも金と銀にあわせれるものしか反応しないつもりなんですかね?根性ババ色って思うのは俺だけですか?
追伸。三人にわけたなら金毛白面九尾が金、銀狼が銀、通常が残るってとっさに浮かびました。 (九尾)
ああ、チョコボールだからか!?
笑いました。
そうかと思えば、その後しっかり横島がお約束を。
このお約束のタイミングも見事だと思います。
私自身、美神たちと一緒に呆然としていただけに、一瞬話について行けず、あっけに取られてしまいました。(笑) (キリュウ)
ツンデレラで最初に戴いたコメントと同じくらい嬉しかったです。
これから旅行(国内です)に行くため次の投稿まで間があいてしまいますが、忘れないでいただければ幸いです。
次は更に心配な少し下方向にシフトしたものか、もとのノリに戻したものになると思います。
九尾様
笑っていただけて何よりです。
笑いをとる自信がなく、顔文字という反則を使っちゃいましたが・・・いつの日か、文章だけで間抜けな空気を表現できればと思います。
この女神(と、書くのはあまりにも間抜けキャラなので美女ですが)泉とつながる異界で虎視眈々とボケの機会をうかがっています。
キリュウ様
笑っていただけてなによりです。
金のエンゼル銀のエンゼル以外のネタが何もない話ですから、最後は横島のお約束に頼りました。私の力量では泉に焼き肉のタレを落とすのが精一杯ですからね。 (UG)
UGさんの物語に流れる優しい雰囲気が私はとても好きですw
童話と絡ませた物語も秀逸で、文句なしに素晴らしいと思います。
>「あなたが落としたのは、この金のエンゼルですか?」
これ以降のやりとりが(顔文字含めて)本当に面白かったです(笑) (ちくわぶ)
もう爆笑!腹が痛く、寝ていた親まで起きてくる始末!
横島が3人だし・・・じゃんけんで決めるし・・・・オチも最高だし・・・。 (義王)
いやあ、思いっきり腹がよじれたです。 最後に「黄金のたれ」を持ってきたのも見事。 銀が何かは聞かないことにします。
……しかし、これで誰も元祖横島を選ばなかったら泣きますよ? (Effandross)
旅行から帰ってきてコメントが増えてるのはなんか新鮮な嬉しさでした。
ちくわぶ様
GTYの「お姉さんは心配性」を楽しく拝見させていただいていたので、書かれた方からのコメントに驚きました。過分な評価ありがとうございます。すぐに次の投稿を行いますが、壊れキャラへのチャレンジてしての話ですので、「優しい雰囲気」はありません。すみません。お目汚しですが読んでいただけると幸いです。
義王様
過分なお言葉ありがとうございます。思いついた金のエンゼルネタを伸ばして伸ばして作った感のある話でしたので、オチを気に入っていただけてとても嬉しく思います。すぐに次の投稿を行いますが、壊れキャラへの挑戦ですのでお見苦しい点があると思います。ご一読いただければ幸いです。
Effandross様
お気遣いありがとうございます。やっぱり気になりますよね?わたしも気になりますのでおあいこです。そのうちうまいネタがおもいついたらこのギリシャ女は再登場するかもしれませんが、今のところ思いついていません。
すぐに次の投稿を行います。金の斧銀の斧とはまた異なる形の間抜け話ですが、読んでいただけたら幸いです。 (UG)
いつも楽しく拝見しております。
…これって、依頼失敗ですね(笑)。
( ̄▽ ̄)クロボシ! (鴨)
ギリシャ女は幽霊ではないのでノーカウントということで・・・
それと、退治せず残しといた方が色々便利ですよ。
蚊取り線香を落としたら多分、金鳥の蚊取り線香を持ってきてくれるでしょうし(笑) (UG)
もう笑うしかないって作品でした。ここまで綺麗なコントもないですよ。 (由李)
コメントありがとうございます。
前に書いた話も読んでいただけていることが分かり非常に嬉しく思います。
このころの投稿間隔を見てみると自分でも驚きますね(汗)
アヒル以外は前の話を書き上げてから、次の投稿の一行目を書き始めるという状態だったので、今とは比べものにならない速度で書いてたようです。
まあ、それだけ怖いもの知らずに書いていたのでしょうが・・・遠い目(何があった俺?!笑)
現在書いているシロ頭巾の次の話は、お馬鹿要素を入れにくい展開で苦労しています。
長くなりそうなのですが、ピノッキオのような仕掛けもありませんし・・・
いつになるか分からない次回投稿ですが読んでいただければ幸いです。 (UG)
他の方もおっしゃているように「金のエンゼル」のギャグのキレはまさに殺人的で、この寓話をネタにしたSSの中でも、ピカイチだと思います。
私自身はこの作品を最初に読んだので、ほかの「金の斧銀の斧」SSのギャグがひどく物足りなく感じるぐらいです。
ラストもいかにもUGさんらしさが表れたオチだと思います。 (夏みかん)