椎名作品二次創作小説投稿広場


俺の生きる意味

第二話


投稿者名:時計うさぎ
投稿日時:05/ 6/ 4



新鮮一番!丸山スーパーのお買い得商品であるインスタントラーメンを買い物袋に溢れんばかりに詰め込み、ご満悦の男が一人本日の戦利品を見てうっそりと笑う。


「遠出してよかったぜ」


そう、いつも買い物をしている商店街から8キロほど離れたところに新鮮一番!丸山スーパーがあり、月に一度、インスタントラーメンの名門中の名門の『極美味』を大安売りしている。
噂では新鮮一番!丸山スーパーの店長が極美味のファンで、多くの人にその味を知ってほしいからだとか。
美神事務所をやめて二週間がたつがいまだにバイトが見つからず、少しでも金を節約しようと横島は半ば主婦化していた。
まぁそれでいて料理するのはインスタントラーメンであることから、あまり変わっていないのかもしれない。


「これで当分の間はもつな〜」


遠巻きに見ている周りの白い目にも気にしないかのように、陽気にスキップする横島。
インスタントラーメンを大量に詰め込んだビニール袋をブンブン振り回しつつ、片手にガッシっしっかりと持ちながらご機嫌麗しくスキップする青年…。


「フフ〜ン〜フンフッフ〜」


ついでに鼻歌をBGMにする。

彼の頭の中は『極美味』で埋め尽くされているのだ。














鼻歌プラススッキプで商店街の中を歩きながら、ふと横島は立ち止まった。

「こんな道…あったけか?」

横島の目線の先には見覚えの無い道があった。
何年前の建物かよって感じの薄汚いオクラ書店と繁盛してなさそうな雑貨屋の間にその小道は存在していた。

「?」

何かに引き寄せられるかのように横島は小道を進んだ。







少しばかり歩くと一軒の古びた西洋風の店があった。


「…魔道塔…?」

古びた看板の文字を読む。


何故か横島は帰る気にはならなかった。



自分の何かが告げている…これは必然だと……。



横島は恐る恐る店のドア前に立ち、ドアノブをつかむ。




キィィ

扉が開いた。


「えっ?」

おかしい…俺はドアノブを握っただけだぞ?


困惑気味な横島に艶やかなソプラノが話しかけてきた。







「いらっしゃい……ようこそ魔道塔へ」















横島は人間離れした美しさを持つ女性を前にして、見事に固まっていた。

そして……

「おねぇーさまーずっと前から愛していましたぁー!!」


ただ本能に忠実に従い、抱きつこうとした。




バコッ




その人間離れした美しい女性は素敵笑顔で素晴らしき回し蹴りをかまし、横島は直撃をくらった。
横島の頭、顔面等から血が溢れ出る。

ぴちゃ…と戦利品である『極美味』が血に濡れる。

「うぅ……白のレース…極美味……」

横島はそう呟いて、意識を失った・




…どうやら人間離れしているのは容貌だけではないようだ。

プシューとスプラッタも真っ青な血の海に、人間離れした美しい人は慌てて駆け寄る。






「だ、大丈夫ですかッ?」

悲鳴交じりの艶やかな声が響き渡った。











こうして血の海の中、二人は出会う。





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