椎名作品二次創作小説投稿広場


横島&おキヌの除霊大作戦!!

スタート!!横島除霊事務所 3


投稿者名:never green
投稿日時:05/ 4/ 7

「すまねぇな。見舞までさせて。」

雪之丞は頭をかきながら恥ずかしそうに呟く。弓が居るからだろう。
命に別状は無いが見るからに重傷だった。
しかし意識がしっかりし、元気そうだったので三人はとりあえず安心した。

「じゃ、とりあえず俺達はロビーで待ってるから。」

横島は弓と雪之丞に気を遣いおキヌを連れてロビーへ向かった。
雪之丞はその気遣いを照れながら受け取った。

「私、お花とか買ってきますね。急いでたから何も持ってこなかったし・・・。」
「じゃあ頼むよ。」

おキヌは病院を出て近くの店まで歩いて行った。
白井総合病院は幽霊の頃から何回もお世話になっているので、だいたいの地理は知っている。
一方の横島はおキヌを目で見送ってロビーの天井を見つめている。
病院独特の空気に包まれながら一言呟いた。

「まさか雪之丞がやられるとはなぁ・・・。」

ふっと横島の頭に浮かんだのは“不安”。

これから先自分は彼女を守っていけるのか?

そんな疑問がふと出てきた。
日本の中でもトップを争う実力でも彼女を守れる保障はどこにもない。
それでも独立するときに彼女は付いて来てくれた。
過去には自分の体を犠牲にして沢山の人々を守った。
ルシオラもそうだった。なんとなくだけど彼女とルシオラは似てる。
優しくて、思いやりがあって、強い意思があって、何より自分のかけがえのない大切な人。
もう二度とあんな思いはしたくない。
自分の目の前で大切な人を失いたくない。
彼女を自分の命と引き換えになっても守りたい。


おキヌちゃんを守りたい!



「・・・まさん、・・しまさん!横島さんッ!!」
「あ、えっ?」

考え込んで大分時間が経っていた。
横を向くと間近におキヌの心配そうな顔が視界に入って来る。

「目・・・赤いですよ・・・。」

おキヌには分かっていた。何を考えていたのかを。彼女の顔はとても切ない。
横島はもう目を擦って笑顔を作ったり、ごまかしたりは出来なかった。
また顔を塞ぎ込んでしまう。


「・・・相談・・・して下さいよ・・・。」

今にも消え入りそうな声。
だけどどこか温かみが込められ横島の胸の中に染み込んでいく。

「・・・。」

二人の間に沈黙が流れる。
ほんの一.二分だが、とても永く居心地の悪い空気だった。
おキヌにはそれ以上声を掛ける勇気や言葉は無かった。
傍に居た。嫌われても構わない。
だって自分には彼に対して傍に居る事しか出来ないのだから。

「不安なんだよ・・・。」

ポツリと言ったその言葉。耳を澄まさないと聞こえないくらい小さな声。
おキヌは聞き逃さなかった。横島の膝の上にある手をそっと握りしめる。
横島の手に彼女の温もりが手に伝わってきた。

「俺がおキヌちゃんや他の皆を守れるか不安なんだ・・・。」

おキヌは黙って聞いている。声は更に弱々しくなっていく。

「自分の目の前から大切な人が居なくなるのが怖いんだ・・・。」

嬉しかった。

あの大きな傷跡を残した大事件を経て、始めて悩みを打ち明けてくれた。

そしてゆっくりと温かい声でこう伝えた。

「私は横島さんの前から消えたりしませんよ。ずっと傍に居ますから。安心して下さい。」
「・・・ありがとう。」

そう呟いて横島はおキヌの手をぎゅっと握り返した。
その後、弓が横島を呼びに来て雪之丞の病室に入っていった。












「悪りぃな、弓まで連れて来てもらって。」
「美神さんの命令には逆らえんからな・・・。」
        ・
        ・
        ・
「火角結界ぃ!?」

横島は声を上げた。

「そうだ。視界が悪くて結界板までは見えなかったが、間違いない。」

落ち着いて話を進める。
雪之丞がやられたのは森の中で夜だったので視界が悪かった。
更に除霊の後に事件が起きたと聞いて横島は確信した。

「それってまさか・・・。」

横島は今起こっている事件を話した。

「多分それだな・・・。」
「って、お前よく生きてたなぁ・・・。」

今頃になってしみじみと言う横島。

「バカ言え!魔装術でこの傷だぞ!」

自分の傷を自慢げにアピールしているところから、脅威や驚愕が伝わらなかった。
事実、雪之丞がやられたその森は、軽く東京ドーム並の爆発跡が残っている。
今、あわててオカルトGメンの職員達が事件の処理をしている。
今回の事で、どうやら事件を深刻に考えてきたらしい・・・。
ピートが自分の事務所に来たところから、応援要請されるんだろうな。って考えると少し胸が苦しくなった。

「はいはい。後でピートが来るからな。弓さんといちゃいちゃするなよ?」
「バ、バカ言え!」

横島はそう言うと、けらけら笑いながら病室を出た。
しかし、病室を出ると表情は無意識の内に暗い顔に変わってしまう。

分かっていた。

脅威や驚愕が・・・。

ただそれは自分に対しての感情ではない。彼女を失う事に対しての感情。



弓は病院に残るので横島とおキヌは病院を後にした。









家に帰ると憂鬱で仕方なかった。そんな気持ちを察してか、

「大丈夫ですよ。」

と、声を掛けるおキヌにも曖昧な返事しか出来ない。
おキヌとは同棲をしている。
理由はいろいろあるが、おキヌの強い希望でここに居る。
そんな希望に急に大真面目になって反論した横島だったが、おキヌではなくタマモ&愛子チームによって大敗して認めるしかなかった。
近々、引越しを考え中。

「ちょっと散歩に行ってくる。食事前には帰ってくるから。」
「え?あ、はい。」

家に着いてやっと一言喋ったかと思うと、ゆっくりと部屋を出た。
道路に出ると文珠で『飛』を作り出し飛び立った。











           向かう先はオカルトGメンへ・・・。









           夕日はもう沈みかけている。


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