花見それは日本におけるお祭りの一種だ。
酒を飲み、歌を歌ったり、愚痴を言ったりと普段ストレスが溜る者達にとっては娯楽の一種だ。
だが、今はまだ桜の花は咲いてさえいない。
しかも、もうそろそろ日が落ち始めた。一番世界がきれいな色で彩られる瞬間だ。
俺の名前は横島忠夫今年で二十六歳になる。今の職業はもちろんバリッバリのGSだ。
そして、愛する妻と一人娘もいる。
そんな俺は幸福だと思う。
でも、でもな、今の状態はどう見ても幸福だとは思わん。
『オオー』
『タスケテくれー』
『痛いイタイヨー』
『俺が死んダリユウを聞いてくれー』
『金ぇ俺のかねぇ』
何対もの凶悪な面がまえをする悪霊が俺の方に迫って来る。
「ひぃー」
この光景は何回見ても怖い。
俺は咄嗟に文殊を使った。
<浄>
これで何体かは成仏したが、焼け石に水だ。
っと、その前になんで俺がこんな事をしているのかとゆうと、ある依頼が原因だ。それには、いくらかの依頼料とおいしい内容が付け加えられた。
「この依頼を受けて下さったら、一番良い花見場所を提供します」っと、だ。
俺は思った。
一番良い花見場所を妻に提供したら、今回の浮気・・・じゃなく、失敗を許してくれるだろうとね。
もしかしたら、甘い夜を過ごせるかもわくわく。
「さーて、そろそろ本気で行くか」
迫って来る悪霊どもを睨みつけた。
「このGS横島が・・・極楽へ逝かせてってぇぇぇ!!」
一匹の悪霊が体当たりをしてきた。
それは難なくかわした。が、避ける時に舌を噛んでしまい無傷とはいかなかった。
「最後まで決めゼリフ言わせてくれよ」
何で、俺の時は言わせてくれんのやー。
それは似合わないからですよ。
「うるせー!!」
俺はドコからともなく出てきたツッコミに泣きながら怒鳴った。
「わかっているわい。そんな決めゼリフ俺には・・・俺には、うううぅ」
『コイツ何なんだ?』
『関わラナイ方が懸命じゃネェか?』
『絶対こノ男なんかヤバイ薬やっテるって』
「霊にもむちゃくちゃ言われる俺って・・・」
「って、くだらないことはさて置いて・・・いくら倒してもキリが無い。何か、ここに悪霊が住みやすい磁場が有るのか?」
一応辺りを見回して見たが、悪霊のほかには幾つかの桜の木が何本もあるだけだ。
後残っている文殊は十個だけ。これで何とか解決しなくちゃな。
その中の二つ文殊を使った。
<探><索>
一応は<探>だけでも見つかるのだが、二個使ったほうが一個よりも遙かに探すのが速いのだ。
放り投げた文殊は地面の中に潜った。
「さーて、後は見つかるまで時間稼ぎっと」
右手に霊力を集中させた。
「栄光(ハンズ・オブ)の(・グロ)手(ーリー)」
霊波刀を作り上げ、悪霊に向かった。
それから、五分位だろうか。一本の桜の木が光った。
「あそこか・・」
目の前にいる悪霊を切りつけながら向かった。二個ぐらいは<浄>の文殊を使ってしまった。
まあ、着けたから問題なし。
「一体この木に何が有るんだ?」
木は立派だ。たぶんたくさん有る桜の木の中で一番立派であろう。
『オオー』
『ソの木にサワルナー』
『チカヅクなー』
『やメロー』
「そこで、黙って見てな」
<強><結><界>
字のごとく強い結界が木の周辺を守ってくれた。
この程度の悪霊ならこれに触れることすら出来ない。
「何が有るんだこの木に?」
俺は丹念に木を調べてみたが、何も無い。って、ん?
何だ?ココだけ結界が張られていない。
そこは木の下だった。
「・・・まあ、掘ってみるか」
うー。俺は犬じゃねぇんだぞ。こんな事ならシロを連れて来れば良かったー。
っとか思いながらも、犬掘りを必死にする横島だった。
「うーワンワン!!っ痛っと、何か有るぞ」
何か手の先っぽが固い物に当った。
「何じゃこりゃぁ?」
そして、さらに掘って行くと
「何じゃこりゃあ?」
ヒョイッと俺は土の中から
「・・・頭がい骨?」
・ ・・・・・
・ ・・・・・
・ ・・・・・
「のわー」
俺はビビッて頭がい骨を投げた。
「ヒィー。かんにんしてやー。俺やないんや。俺やないんや」
「おじさん?」
「かんにんやー。かんにんやー」
泣きながら土下座する横島は霊の存在に気付いていない。
「ねぇ、おじさん」
「ん?」
やっと気付いた。
目の前に居る男の子は五、六歳ぐらいだろう。心配そうに俺を見る。
「おじさん。大丈夫?」
「えっ、っん、ああ・・・・んぐふん」
俺は少し・・・いや、かなり恥ずかしくなり、咳払いをした。
「えーと、君がこの骨の人物なのかい?」
「・・・うん」
「じゃあ、君がこの現象の原因なんだね?」
「・・・・うん」
「何で、こんな事になっているのかをお兄さんに教えて欲しいんだけど・・・いいかな?」
「僕にもこうなったのは良く分からないけど、たぶん僕の生前の霊力のせいだと思う」
「どうゆう意味だい?」
「それは――」
『おっと、待ったぁぁぁ』
一匹の妖怪が大声を出し、木から降ってきた。
「五月蝿い」
<滅>
『ギャァァアアァ。俺様はこレデ終わりカヨォォォォ』
「さーて、うるさいのは居なくなったから話を進めてくれ」
「・・・う、うん。えーとね、僕はさっきまでココに閉じ込められたの」
「さっきまで?」
「さっきおじさんが僕を捕らえていた妖怪をやっつけてくれたよ」
「・・・ああ、木の上に居たから結界に触れずにすんだ雑魚妖怪のことか」
「一応、ココら辺のボスなのに・・・。
あの妖怪が僕の霊力を栄養源にしてたの。だから、ココら辺の霊を集めて好い気になってたの。
助けてくれてありがとね、おじさん」
「いや、良いんだが何でココに埋められていたんだ?」
その言葉に男の子の霊は俯いてしまった。
「あ、いや、言いたくなかったら良いよ」
いけないことを聞いたかな?
「ううん、聞いてくれるの?」
「あ・・・いいぜ。話してくれよ」
「僕ね、実の母親に殺されたの――」
「ゲッ」
いきなりの告白に俺はドキッとした。
「僕の家はね貧しくて、お父さんが借金をしてお母さんを置いて逃げたの。それから何日かして、家を出てココに来たの。たぶんココで心中をしようとしたんだろうね。でね、お母さんがいきなり首を絞めたの。それはもう苦しかったよ。泣きながらお母さんを恨んだよ。でもね、首を絞められてる時にね、お母さんが泣きながら言ったの「ゴメンね。ゴメンね。私を恨んでいいから。ゴメンね。私もすぐに行くから」って、それを何回も言うの。
なんかねそれで僕は思ったの。ああ、お母さんも苦しいんだなぁって。
そして、僕は桜の木の下に埋められたの」
「・・・お母さんを恨んでいるかい?」
「ぜんぜん」
男の子はフルフルと首を横に振った。
「そっか・・・これからどうするんだい?」
「僕を縛っていた鎖が無くなったから成仏をするつもりだよ」
「それが良いんだろうね。じゃ、天国に逝っても元気でな」
「おじさん。話を聞いてくれてありがとね。なんか話をしてすっきりしちゃった」
「そりゃどうも」
「そういえば、おじさんにも子供は居るの?」
「おじさんにもってなんだよ。まあいいや、娘が一人いるよ」
「絶対に幸せにしてあげてね」
「当たり前にするよ」
男の子の顔は満面の笑顔で埋まった。
「じゃあね」
「ああ、さようなら」
俺はこの後警察とICPOに連絡をいれ、帰ることにした。俺にはもう何もする事は出来ないのだから。
「ただいまー」
俺は見慣れた玄関に入り、靴を脱いだ。
「あ、お父さん。お帰りなさーい」
今年で六歳になる最愛の娘がトテトテと迎えに来てくれた。
「なあ、蛍。まだお母さんは怒ってるのか?」
「うん。少し」
「やれやれ」
俺は頭を掻きながら、居間に入って行った。
「そういやあ、俺にも出来る事は有ったな」
そうだな、俺は愛する者達を守るってことがな。
「ん?何か言った。お父さん?」
「いんや、何でも無いよ」
俺は最愛の妻の後姿を見て言った。
「なあ、今度一緒にみんなで花見に行かないか?もちろん昔の仲間も呼んでさ」
ピクッと妻の肩が揺れた。
「わぁーい、花見だ。花見だぁ」
蛍の喜ぶ姿を見て妻はにっこりと笑い頷いた。
俺は妻の近くまで歩いた。それはもうイツでもキスが出来る距離だ。
そして、俺は止めとばかりに決めゼリフの言葉を言った。
「愛してるぜ・・・・」
――End――
初めての二次小説の投稿なのでかなり緊張しています。
この小説を作った理由はみなさんが作っている小説を見て自分も作ってみたいなー。っと思ってから作りました。
初心者なので、みなさんのアドバイスを聞いて取り込んで行きたいです。
どうぞ、よろしくお願いします。 (BJL)
だれと結ばれたか分からないのが良いですね。
ただ、「栄光(ハンズ・オブ)の(・グロ)手(ーリー)」
の所は「栄光の手」(ハンズ・オブ・グローリー)
の方が読みやすかったかなぁと。 (ミネルヴァ)
次からは気をつけます。 (BJL)
私もストーリーおよび設定においてもこの小説はいいと思います。
でも欲を言うならもう少し文章を濃くするともっと良くなるはずです。簡単にいうと心情表現とか風景描写など、カギカッコがつかない部分を増やしてみてください。
またそーゆー部分特有のギャグ・・・みたいのを身に付ければきっと明日はホームランです。(謎
少しネットを渡り歩けば、私とは比べ物にならないほどこれらの表現がとてもうまい人がたくさんいるのでいろいろ読んでみて下さい。きっとレベルアップに役立ちます。
それとつかぬ事をお聞きしますが、BJLさんって一般のコメント投稿でコメントしていませんか?
では (核砂糖)
そして、・・・はい。一般のコメント投稿でコメントをしていました。
次からは気をつけます。 (BJL)
一言で感想を言い表すならば、微妙、ですね。
文章では、取り立てて目立つ欠点と言えば、一人称と三人称を混合して使っているところくらいでしょうか。どちらか一方、この場合はメインで使っている一人称形式に統一するのが良いでしょうね。
>それは似合わないからですよ
のように作者の独り言を入れるのもお勧めできません。
問題点を挙げるとすれば、主にストーリー展開と人物設定でしょう。
まずストーリーですが、いわゆる「山」の部分が欲しいですね。起承転結で言う「転」の部分です。
別に読者を「あっ!」と言わせる必要まではありません。(もちろん、それが望ましいですが)
読者そのものを驚かせないにしても、何らかの物語上のサプライズがあれば、ストーリーが引き締まるでしょう。
この作品の場合、最初のほうの横島の独白から、依頼を受けた当初横島が考えたより、実際には困難な仕事であるということがなんとなく伝わってくるのですが、すぐに次に流されてしまっているので、効果を発揮できずに終わってしまっています。
また、前提条件として「妻が怒っている」というものがありますが、その部分もまったく描写されていないのでやはり効果が薄くなっています。
これだけ素材がそろっていれば、「妻」が誰であるのかはっきりさせない趣向を取るにしても、例えばこんな構成にすることも可能だったでしょう。
起 横島が友人に(飲み屋などで)浮気がばれて妻が怒っていることをこぼす。
承 それならば、と友人が「花見特等席」の仕事を紹介してくれる。
転 軽い仕事と聞いて受けたが、思いのほか敵が強く苦心する。
結 男の子の霊を開放し、妻の機嫌も直りハッピーエンド。
これはあくまでぱっと思いついた一例なので、工夫すればもっと良い構成も当然あるでしょう。
この作品の場合、上記における転と結のみになっているわけですね。
同じことを書くにしても、前フリがあるのと無いのとでは、印象が違ってくるものです。
次に、人物設定の部分ですが、こちらは主に原作に出ている未来の横島と比較した場合の違和感ですね。
もっとも、そのあたりは原作の未来横島とは別の可能性ということで、なんとでも説明がつきますから、それほど気にする必要もないでしょう。
ただし、「この横島」で連作短編という形式にするおつもりならば、どこかで原作の未来横島とは違っている理由をさりげなく入れていくと良いかもしれません。
初心者ということですが、最初の投稿に短編を選ばれたことは大変賢明であると思います。
これに懲りずにどんどん短編をお書きになって実力を高められるよう、期待します。 (はくはく)
そして、起承転結の博学恐れ入ります。
もう一回GS美神を読み直して勉強します。 (BLJ)
作品を読んで真っ先に、もったいないなと感じました。
核砂糖さんも仰っていますが、地の文が少ないせいでキャラクターの動きや心理の流れが伝わらない部分がありました。
特に死んだ男の子との会話の際に横島は結構重い出来事を知らされているですが、
その際に自分の妻子の事を思い浮かべて感情や口調や仕草に変化があると思いますし、
それがそのまま最後の場面で妻子に対する愛情を表現している部分にも繋がると思います。
戦闘描写で気になったのは以下の部分です。
>何対もの凶悪な面がまえをする悪霊が俺の方に迫って来る。
「ひぃー」
この光景は何回見ても怖い。
俺は咄嗟に文殊を使った。
>後残っている文殊は十個だけ。これで何とか解決しなくちゃな。
「文殊は十個だけ」という表現から感じたのは、横島は文珠を割と短いスパンで生成できる。
また除霊の際は結構頻繁に文珠を使っているようだ、という事です。
これを鑑みると原作よりも横島は随分レベルアップしているようですが、
にも関わらず「この光景は何回見ても怖い。俺は咄嗟に文殊を使った」
という表現からはバリバリのGSになったという横島の成長が感じられず、読み終わった時に首を傾げました。 (ゼロ)
他の方からは厳しい内容のコメントがありますが、私はむしろ初投稿で、これだけ
書ければ十分だと思います。
BJLさんの成長を願っての指摘かと思いますので、次回も頑張ってください。
二つだけ指摘しますが、話の流れに気をつけてください。
面白い作品は、必ず盛り上がる山場があります。長編・短編に関わらず、どこかで
最高に盛り上がる場面を描写できるようにしましょう。
起承転結については、慣れるまでは意識しておいた方がいいですね。起承転結が
しっかりしていれば、自然と話に山と谷ができてきます。
次に誤字の指摘ですが、『文殊』ではなく『文珠』です。GSのSSの初心者の方が
よく間違える箇所ですので、「もんたま」で変換するか、辞書登録しておいた方が
いいでしょう。 (湖畔のスナフキン)
今度からは表現も気を付けさせて貰います。
湖畔のスナフキンさんのお褒めの言葉ありがとうございます。
そして、二つの指摘はしっかりと取り入れさせて貰います。
『文殊』の件は勘違いしていました。どうもありがとうございます。 (BJL)
とありますが単発ネタは投稿先が違うのではないでしょうか? (サチ)
え・・・。そうなんですか?
すいません。そして、気付かせてくれてありがとうございます。 (BJL)
短編があっち、長編がこっちというわけではないはずです。
というか管理人さんに聞いてください。あと、トップページのサイト説明も読んでください。 (梨音)
私はこういった短編を作るのが非常に苦手なので、これだけのスペースで話をまとめられるのは素晴らしいことではないでしょうか。
文章の作り方の詳しいことは解説職人の方々の意見を参考にしてくださいね。
大事なのは自分だけではなく他の人に読んでもらっているということを忘れないことでしょう。
自分では理解していても、読んでいる人にはそのシーンやセリフの意味がわからない、想像しにくいということが多いのです。
その点に気をつければ、後は何度も作品を作り続けていくうちに実力が付いてくるはずです。
私も人のことを言えた身分ではないほど未熟者なので、精進してお互い腕を磨きましょう! (ちくわぶ)
そして、大事なことを再確認させてもらいました。
しっかりと精進させていただきます。 (BJL)