椎名作品二次創作小説投稿広場


GS〜Next Generation Story〜

何故か、GSへの道


投稿者名:ja
投稿日時:05/ 4/ 1

キャラ紹介
横島英夫………横島忠夫と小竜姫の子。とぼけた性格だが、【人】と【神】と【魔】。三つの相反する霊基を持つ。そのため過酷な運命へと導かれる(本人にその意識は無い)。

伊達美希………英夫の同級生。常に冷静沈着な性格で、除霊技術は一流。

美神ひのめ……美神令子の妹。現在は美神除霊事務所の所長。

西条優子………西条と美神の長女。

カイン…………より強き者との戦いを求める魔族。戦士として成長した英夫との戦いを望み、神魔戦争再発に一役買った。

ノア……………バランサーと称される女魔族。そのほとんどが謎である。

序章
 美神達がアシュタロスを倒して5年後、
アシュタロスの消滅により神魔間のバランスが大きく崩れた。
そして、神魔間の緊張は高まり、一部の武闘は勢力の暗躍により、神魔間の睨み合いは崩れ、新たな神魔戦争へと発展した。

そしてそれから三年。
横島忠夫は神族・小竜姫との間に一人の子供をもうける。
自分の身にかかる様々な運命を知らぬ赤子は、ただ眠っていた。

そして、十七年の月日が流れた。








そっち!行ったわよ。優子!」
 美神ひのめが長い髪を振り乱し叫ぶ。
「よし!」
 こちらはスーパーモデル並みのスタイルをした女性が手に神通棍を手に構える。
「極楽へ、行かしてあげる!!」
 悪霊は真っ二つに裂けた。
「ふう、終了・・・」
 しかし、
「う、後ろよ!優子!」
 後ろからもう一体の悪霊が迫る。
「くう!」
 お札を手に持つが間に合わない、
「油断大敵ですよ。優子」
 冷たい声がして悪霊を消し飛んだ。
 そこには髪の短い女性が立っている。まるで彼女の周りだけ空気が凍りついたかのように冷たい感じがする。
「た、助かったよ、美希」
 そして、悪霊が消し飛んだ跡から精霊石が飛び出し伊達美希の手に納まる。
「さあ、今朝のお仕事もおしまい。さあ、あんた達は学校に行きなさい。私は帰って伝票の整理をしておくから。あ、夕方には事務所に来てね。渡したいものがあるから」
 ひのめはそれだけ伝えると三人は解散した。

「しかし、朝から仕事とは、大変だ!」
「そうですね」
 二人は高校へと急ぐ。
「しかし、何だろう?渡したいものって?」
「知らないのですか?来月にGSの試験があるんですよ。おそらくそれの申込書でしょう」
「そっか。それに受かれば遂に私たちもGSか」
「そうです。今はまだひのめさんのアシスタントですがね」
 その時、バス停に到着した。
「じゃあ、私はここからバスに乗るから」
「ええ」
 優子がバスの時間を確認する。
「しかし、あんたも変っているわね?GSになりたいなら六道女学院に通えばいいのに?」
「いいんです。GSにはなりたいですが、高校は普通のところがいいんです」
「ふーん、じゃあね」
 その時、バスが来て優子は乗り込んだ。

「ち、遅刻だ!」
 横島英夫はベッドから飛び起きた。
「目覚ましは?」
と、時計を見る。見事に止まっていた。
「これだから、安物は!父さんももっと仕送りしてくれればいいのに。何が『俺は高校時代こうやって過ごした』だ!」
 急いで着替えアパートを飛び出した。

「それじゃあ、出席をとるぞ」
 担任が出席簿を手に名前を呼び上げていく。
「そろそろかしら?」
 美希は外を見る。
「やっぱり」
 英夫が走って校舎に入ってきた。
 腕時計を見る。
「5,4,3,2,1・・・」
 ガラ!
「間に合ったか?」
「横島、お前は毎朝毎朝・・・」
「すんません!」
「席に座れ!」
 横島は自分の席に向かう。
「バーカ・・・」
 そんな美希の呟きは英夫の耳には届いていなかった。

「つぎ、伊達さん!」
 美希は軽く手を上げ平均台に向かう。
「おい、見ろよ!伊達が演技するぞ!」
 隣でサッカーをしていた男子が注目する。
 着やせするのか普段はそうでもないが、実は優子以上に均整の取れたプロポーションを誇っているのが体操服の上からでもう解る。
「おお・・・」
 見ている者すべてを惹きつける演技であった。
「こらー!何をしている。お前らはサッカーのゲームの途中だろうが。ん?横島はどうした?」
「さっきお腹が減ったからご飯を食べてくると言っていましたが」
「あの野郎!毎度毎度!」

 事実、英夫は食堂でうどんを食べていた。
「横島君?授業は?」
 食堂のおばちゃんが声をかける。
「朝飯抜きで体育ができるわけないでしょう?」
と、汁をすする。
「まったく、あんたは変わっているよ」
「でも、やっぱりおいしいな。授業を抜け出して食べる飯は」
「そう、だったら私にも少し頂けません?」
「ああ、少しだけ・・・だ・・・ぞ」
 ゆっくりと振り向くとそこには体操服姿の美希が立っていた。相変わらずの無表情だが感じさせる冷たさは普段以上である。

「何で毎度毎度、お前は」
「それはこっちのセリフです。私はあなたの両親に頼まれているのですからね?」
「くそ、昔から。今からでも遅くない。六道女学院に行け。そうした方がお前のためだろ?」
「ご心配なく。あの学校レベルのことならもう理解しています」
「だったら他のもっとレベルの高いところがあるだろ?」
「・・・つべこべ言わずにさっさと体育に戻ってください」
「はいはい」
 その時、美希は一気に駆ける。
「ヒデ!伏せて!」
「え?」
 言われるままに伏せると上を霊気の弾丸が通り過ぎた。
「何者です?」
ネックレスに付いている精霊石を手に持ち構える。
しかし、もはや気配は消えていた。
「今感じた霊力。少なく見積もっても私よりは遥かに上。いや、人間のGSレベルの問題ではないですね?」
 構えを解く。
「お前、また何かやらかしたのか?」
「何言っているのです?狙われていたのはあなたでしょう?」
「え?」

「そう。そんなことがあったの。英夫君が狙われたの?」
「ええ」
「まあ、彼はともかく、彼の父親は世界的なGSだものね。それの逆恨みで狙われていたのかもしれないわね。
 まあ、それはそれとして。二人とも来月のGS試験受けるでしょう?はい、申込書」
と、書類を渡す。
「まあ、試験といってもあなたたちのレベルなら十分合格できるから。がんばんなさい」

「まったく、今日はついてない」
 あの後、当然のごとく罰を受けて、今まで走らされていたのだ。
「今日はさっさと寝よう」
と、部屋に明かりが点いていた。
「誰かいるのか?泥棒なら金なんかないのに」
と、多少警戒しながらドアを開ける。
「あ、お帰り!英夫君。遅かったのねー!」
「ああ、ヒャクメさん。何か用ですか?」
「そうなのよ。ちょっとあんたのお母さんからの頼まれたものがあったのよねー」
と、一枚の紙を卓上に置く。
「さあ、名前書いて」
「はあ、はい」
 英夫は言われるままに署名した。
「はいはい、どうも」
「何です?それ?」
「GS試験の申込書よ」
「へ・・?」
 その場で固まる。
「ちょ、ちょっと!どういうことですか?俺、除霊なんかできませんよ」
「さあ、私にもさっぱり。と、いうことだがら試験がんばってねー」
「おーい!」
 ヒャクメは飛び去っていった。

「で、どういうつもりなの?小竜姫」
「緊急事態なのよ」
「緊急事態?」
「のんびりしてられないの。本当は私か忠夫さんが彼に戦い方を教えたいのだけれど」
「え?」
「もはや、あの子の潜在能力にかけるしかないの」

 翌日の放課後の帰宅途中、
「へ?じゃあ、ヒデもGS試験を受けるの?」
「ああ。何かそういうことになったみたい」
「あなた、除霊したことはあるの?」
「ぜんぜん・・・」
「じゃあ、何で?」
「さあ、母さんからの指令みたい。まったく、姿はまったく見せないのに」
「まあ、大変ですね」
「・・・本当にそう思っている?」
「いいえ、ぜんぜん」
と、目の前の空間を見る。
「誰かいます」
「え?どこに?」
「さすがだな」
 全身をコートで覆いフードを被ったものが現れた。
「横島英夫だな?」
「ここで、違うといったら見逃してくれるのかな?」
「多分、無理でしょう。おそらく、魔族です」
「ほう、そっちの女は察しがいいな。どうよ、相棒」
 いつの間にか後ろにもう一人同じく姿を隠した魔族が立っていた。
「悪いが、俺たちのために死んでもらう!」
と、一気に間を詰める。
「わあ!」
 英夫は伏せてよけた。
「ほう、少しはやるな?ん?」
 魔族の周りを数個の精霊石が回っていた。
「何だ?こんな物で俺がどうにかできると思ったのか?」
 しかし、
「何だ?身動きが取れん!」
「残念ですが・・・」
 そう冷たく言い放ち、指を鳴らすと精霊石が光を放ち回転する。
「お別れです」
 蒼い光の柱が立ち上り、光が消えるとともに魔族も消え去っていた。そして、精霊石は美希の手に戻ってきた。
 そして、もう一人の方を向く。
「あなたもやりますか?」
「・・・・・」
 魔族は音もなく消え去った。
「す、すげえ。やっちまった」
「・・・当然です」
「しかし、もう一人のほうもついでにやっちまえば良かったのに」
「いいえ・・」
「え?」
「見逃してもらえたようですよ。
 今逃げた方、おそらくこの前学校で襲ってきた方です。あなたの両親でもない限り負けです」

「どうでした、忠夫さん?」
 電話の向こうには彼女が唯一愛した男性がいる。
「今回は雪乃丞の娘のおかげで助かった。しかし、やつら本気だぜ」
「ええ、もう時間がないです」
「ああ。来月のGS試験。奴らはまた何人かの刺客を送り込んでくるだろう。しかし、いいのか?そんな危険な場にあいつを出して」
「仕方ありません。これは賭けです。GS試験で彼に飛躍的なパワーアップを期待しましょう。かつて、あなたがそうなったように」
「そうだな。しかし、これだけは解った。今回逃げたほうの魔族」
「ええ。解っています」
「あいつの強さは俺たち以上だ」
「おそらくあの魔族が『バランサー』なのでしょう」

 そして、GS試験当日。
「よお、横島。久しぶりだな」
「雪乃丞か」
 旧友と挨拶を交わす。
「弓、お前は先に行っておいてくれ」
「早くしてよ」
 弓は会場へと向かった。
「で?目的は何だ?お前の息子をこの試験に参加させた目的は?」
「気づいていたか」
「ああ」
と、周りを見渡す。
「何人かの魔族の気配を感じる。まあ、そいつらが全員暴走したとしても俺たちの相手ではないがな」
「しかし、気になることがある」
「?」
「バランサーが送り込まれている可能性がある」
「な、なんだと!?あれは噂だけじゃあなかったのか?」
「事実だ。実戦投入できると踏んだらしい。できれば英夫には自分の宿命を知らずに生きてほしかったが、このGS試験でのあいつの成長に期待するしかない。時間がなさ過ぎるんだ」
「こんなことだから、あいつに戦い方を教えてやればよかったものを。俺の娘なんか見てみろ!」
「なるほど。今日は親バカ振りを発揮しに来たのか?それは楽しみだ」
「な、ち、違うよ!!」
 二人は会場に入った。


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