椎名作品二次創作小説投稿広場


横島&おキヌの除霊大作戦!!

風に乗ってあなたへ・・・


投稿者名:never green
投稿日時:05/ 3/24



「おキヌちゃん!ネクロマンサーの笛っ!」
「はいっ!」

おキヌはネクロマンサーの笛を吹く。

「横島君ッ!今よ!」

前線に出て、動きの鈍った悪霊を斬り払う。


そう。彼等は今、下水道で除霊作業中である。

「美神さんっ、上!」

暗闇の中で悪霊も大量に居たので気付かなかった。
美神は服が汚れるのが嫌という理由で横島に任せっぱなしだった。
横島の声が響き渡る。と、共に・・・







美神『きゃあ、助けて横島く〜ん!』


横島『美神さんに手を出すなぁ〜っ!』

−バシュっ!!−

美神『ありがとう、横島君。この御礼は何をすればいいのかしら?』

横島『いいんですよ美神さん。あなたがベッドの上に居るだけで…。』







−バキっ!−

「いちいち声に出さんでいいッ!帰るわよ。」
「ふぁい…。」

気付けば除霊作業は終わったらしい。無意識の内に全部悪霊を倒していた。
横島は妄想中に時々すごい事をやってのける。
例えば、手錠で縛られた両手を妄想だけではずした事もある。
妄想中の彼は現実世界では何をしているのか気になるところだ。
殴られた横島の顔はコンクリートの壁にめり込んでいる。
これもある意味すごい事だ・・・。


ー美神除霊事務所

仕事も終わり各自くつろいでいる。散歩からシロとタマモが帰ってくた。
今回は無事に帰ってこれたようでなによりだ。

「先生!ただいまでござるっ!あれっ、変な臭いがするでござる。」
「変な臭い?う〜ん…横島のバンダナからしない?」

タマモが臭いの原因を発見する。

「本当でござる。どうかしたでござるか?」

横島には思い当たるふしが無かった。別に変な香水を付けた訳でもない。

「あっ、今日の除霊作業の時じゃないですか?」

おキヌが思い出す。

「仕事…?あっ、美神さんに殴り飛ばされた時かっ!!」

今回の仕事は下水道だった。
コンクリートに顔がめり込んだ時にバンダナが汚れたのだ。
顔の怪我は瞬間的に回復するが、さすがにバンダナに付いた臭いまでは回復しなかった。回復したら、それはそれですごい事だが・・・。

「またセクハラをしたでござるか…。」
「いつもながら最悪ね…。」

殴られたという言葉だけでセクハラと察知する二人。
横島に冷たい目線を浴びせる。さすがのおキヌも弁解の余地がなかった。

「横島さん。明日の洗濯の時に一緒に洗いましょうか?」
「一緒に?(ピクっ)じゃあ頼むよ。」

バンダナをおキヌに渡す。

「おキヌちゃん。それは別にして洗濯してね?」

奥から美神の声。横島の洗濯大作戦は普通にばれていた。

「そ、そんなぁ…。」
「いいじゃないですか?じゃあ明日来たときに返しますから。」
「まぁいいか…。夕飯も食ったし帰るか。じゃあ失礼しま〜す。」

横島はアパートに帰っていった。


ー次の日

風は強いが、とてもよく晴れている。
空には雲一つなく、とても気持ちが晴々としそうな天気だ。

(よかった晴れて。今日の洗濯頑張るぞっ!)

おキヌは張り切っていた。自分の好きな人のバンダナがあるだけでやる気を出す。それだけで彼女は幸せだった。

「よしっ!後はお部屋の片付けだっ。」

一気に洗濯を終わらせる。バンダナ一つで他の仕事にまでやる気を出す。
だが掃除中に窓越しから見る風景にはバンダナはなかった。

「きゃあああああ!バンダナがないぃぃッ!」

急いで洗濯物を干している場所に行くと、衣類などが下に落ちていた。
突風が吹いたらしい。バンダナは空高く飛び上がって、風に流されていた。

「追い掛けなきゃ…。」

落ちていた洗濯物には目もくれず、おキヌはバンダナを追った。
バンダナはさらに風に乗り飛ばされていく。
走り続けたが風の勢いは予想以上に強く、見失ってしまった。

(ど、どうしよう…。横島さんの大切な物なのに…。)

横島がバンダナに深い思い入れがあるのを知っているだけに諦める訳にはいかなかった。走った先には、事務所から一番近くの駅が見える。
その先に弓と雪之丞が並んで歩いていた。

「あれっ?おキヌちゃんじゃないか。」

気付いた雪之丞が声をかける。続いて弓も声をかける。

「氷室さん、何をしているの?こんな所で。」

どうやら二人はこれからデートらしい。

「あのっ、横島さんの赤いバンダナ見ませんでしたか?」
「「えっ?」」

雪之丞と弓は顔を合わせる。

「やっぱりあれは、横島のだったか。それならこの先に飛んで行ってだぞ。」
「ありがとうございます!」

おキヌはそう言うなり、雪之丞が指差した方向に走っていった。
しかしその方向へ走ってもバンダナは見つからない。
おキヌに焦りの色が見えはじめる。
焦りからか、曲がり角をなにも確かめずに走った。
人影が見えたかと思うと、人にぶつかってしまった。

    −ドンっ−

「いてててて…。お怪我はないですか?」

おキヌが顔を見上げると声の主は横島だった。
バンダナは付けてない。

「よ、横島さんッ!?」
「おキヌちゃん!どうしたのこんな所まで…。」
「横島さんこそ、どうして此処に?」

とりあえず話題をそらす。だがそれもうまくいかなかった。

「給料日前でお金がないから歩いてきたんだよ。そっちは?」

まったく邪気のない顔で質問される。
もちろんおキヌにはその顔に嘘をつける筈がなかった。

「あ、あのっ、ごめんなさい!横島さんのバンダナが洗濯中に風に飛ばされて…。」

今にも泣きそうな顔で横島に謝る。

「へっ?」

横島は体を支えていた右手をおキヌの前に持ち上げる。
そこには、しっかりと赤いバンダナが握られていた。

「って事は、これはやっぱりおれのバンダナ?」
「じゃあ、バンダナは横島さんの所へ…」
「そうみたいだね。きっとこのバンダナにも強い思いが込められているんだ。」

横島はバンダナを見つめながら話す。そんなバンダナを見たおキヌは、

「横島さん。帰るまで、私がバンダナ付けてみていいですか?」
「別に構わないけど。何で?」
「なんとなくです。」

二人は立ち上がり事務所へと帰って行った。

                        〈終〉





〈おまけ〉

  帰り道

「ふふふっ。バンダナもなかなかいいですね。」

自分の額にバンダナを付けて嬉しそうにしているおキヌ。
そんなおキヌを見つめる横島。

「横島さん、似合います?私。」
「あぁ、似合ってるよ。なんかバンダナを付けたおキヌちゃんも可愛いなぁ。」
「じゃあ、これから私もバンダナ付けてみようかな〜♪」
「えっ?」

明らかに喜んでいる。
可愛いと言われた事が彼女にとってかなり幸せだったらしい。

「冗談ですよ、冗談。ところで思いが込められた物なら、こんなふうに何か起こるんですか?」
「そうだね。全てが起こる訳じゃないけど。テレビでもよくあるじゃない。」
「・・・。じゃあ、私の編んだマフラーにも強い思いが込められてますよ。」

頬を赤らめながらおキヌは言ってみた。
結構、大胆な発言だったが、鈍い横島に流されてしまう。

「ははは。じゃあ、おキヌちゃんが編んでくれたマフラーも飛んでくるかな?」

笑って冗談を言う横島。少し頬を膨らませながらも、

「もうっ!横島さん!」
「ごめん。冗談、冗談!」


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