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横島ドタバタ恋物語

序章はこうして始まる


投稿者名:雅樹
投稿日時:05/ 3/13

ジー・・・・・・・
美神はずっと見ていた。そう、視線の先でソファーに座っている横島を。
ビクゥ!!
横島が視線に気づいたみたいに身震いしてから視線の主へと顔を向ける。
横島は恐る恐る美神の方を見た。
「・・・・・・どうかしたんですか美神さん?」
美神は黙ったまま横島を見続けている。
(「はっ、まさか!!この前密かに美神さんの下着を厄珍に売ったのがばれたか!?」)
・・・・・・・一閃。
見事なまでに決まったガゼルパンチが横島を沈めた。
「人の下着を勝手に持ち出して売るんじゃない!!」
「あぁ・・・また声に出てたか〜・・・・俺のアホ〜・・・・」
「厄珍も今度覚えてなさい」
美神は鼻息を荒くしてこの場に居ないちっさいおっさんに制裁を誓った。
・・・・・・・ビクゥ!!
「な・・・・何あるか!?いきなり寒気がしたある。」
哀れ厄珍。美神の私物を持ってしまった罪は非常に重い。
余談ではあるが、数日後厄珍堂で彼は血まみれになって倒れていた。
床には彼の血で「オニ」と書かれていた。
・・・・・・あえて説明しますまい。
「で、どうしたんすか?ボーっとしてたみたいっすけど?」
いつの間にか復活していた横島(もう血も出ていない)が美神に言った。
「へっ!?いや・・・・ななな、何でも無いのよ・・・」
ちょっぴり顔を赤くして美神が慌てて否定する。
「熱でもあるんすか?顔が赤いっすけど・・・・」
こういうことには鈍い横島。美神の額に手を当てて熱があるか確かめる。
「ちょっと!!熱なんてない・・・・・きゃっ!!」
慌てて横島の手を振りほどこうとした美神が勢いあまって倒れてしまった。
「うわっ!!」
つられて横島も倒れてしまう。
横島は美神の上に倒れてしまった。横島はまだよく分かっておらず、
先に理解した美神が顔をトマトもびっくりという感じで真っ赤にした。
そこへ、幸か不幸かある人物が帰ってきてしまった。
「ただいまかえりまし・・・・・え!?」
おキヌちゃんである。
「お・・・・・おキヌちゃん!?」
学校から帰ってきたおキヌちゃんが見てしまった光景はというと・・・
シロとタマモは外出中→横島と美神二人っきり→倒れている美神と横島→横島が美神の上に→顔を赤くしている美神。
「いてててて・・・・・ん?」
目を覚ました横島。
「え!?美神さん!?って、うぇ!?おキヌちゃん!?いや、これは違うんだ!!
美神さんがいきなり暴れだしたから倒れて・・・・」
目の前の光景に何もかも奪われて横島の言葉も耳に入らないおキヌちゃん。
・・・・・・・静寂とした空気が事務所を支配する。
この静寂とした空気を破ったのはおキヌちゃんだった。
「横島さん・・・・・・不潔です〜!!!!!」
「えぇ!?俺まだ何もしてないって!!」
「何も?」
おキヌちゃんのこめかみがピクピクとしている。
横島と美神は揃って(いつもおキヌちゃんじゃない!!)と心で叫んでいた。
「み・・・・美神さんからも何か言って下さいよ!!」
「え!?お・・・・おキヌちゃん。これは事故なのよ。」
「・・・・・・・・本当ですか?」
「「本当(よ)(だって)!!」」
シュウウウウウ・・・・おキヌちゃんから怒りのオーラが消えた。
「何だ♪そうだったんですか。もう、二人とも紛らわしいんですから。
・・・・・・ところでいつまでそうしてるんですか?」
・・・・・・一閃。
見事なまでのアッパーが横島に命中。
「そ・・・・そんな殺生な・・・・」
横島が血を流して倒れた。
「ただいまでござる。」「ただいま〜。」
そこに散歩に行っていたシロとタマモが帰ってきた。
「せんせ〜。今から拙者と散歩に行くでござるよ♪」
シロが尻尾をパタパタさせて横島にお願いしている。
「・・・・お前。俺のこの姿見て行けると思ってるのか?」
「先生なら心配ないと思うのでござるが・・・・」
「とにかく・・・今日は散歩は無理だ。」
「え〜!!・・・・うぅ・・・つまらんでござるよ。」
横島に近づいてシロが文句を言っている。
「・・・あれ?先生から美神さんの匂いがするでござる。」
「え!?き・・・・気のせいだって。」
「いや・・・・するでござるよ?タマモも嗅いでみるでござる。」
(タマモまで呼ばんでいい!!)
(ちょっと!!何言ってるのよ!!これ以上この場を混乱させないで!!)
美神と横島がシロをものすごい形相で睨んでいる。
もっとも、シロは気づいていないため意味ないが。
「美神さんの香水ってこの部屋全体から匂うじゃない。」
(ナイスタマモ!!)
二人はタマモに<よくやった>光線を目から発していた。
もっとも、タマモは気づいていなかったが・・・・
「でも、先生の服からすごく匂うでござるよ?」
「え!?・・・・・・・ホントだ。どういうことなの横島?」
「え・・・・いや、まぁ、その・・・・」
汗をかいてどう答えていいか迷っている横島。
美神の方に助けを求めても美神はわざと横島から目をそらしている。
おキヌちゃんも横島の視線から目をそらしている。
「先生。どうして答えないでござるか?」
「怪しい・・・・人口幽霊一号!!何があったか説明して!!」
タマモは全てを見ていたであろう人口幽霊一号に説明を要求する。
人口幽霊は言っていいかどうか迷っていたが、
美神の「ギン!」という睨みで言わないでおこうと決心した。
「?どうしたの?何があったか説明してよ。」
タマモが早く言えといわんばかりにせかしている。
人口幽霊は考えに考えた末に・・・・
「実は・・・横島さんがふざけて美神オーナーの香水を服にかけてしまったんです。」
苦しかった・・・皆が(もうダメだ)と思っていたんだが・・・
「そうなんでござるか?先生は悪戯好きでござるなぁ。」
「ふーん。そうなんだ?何で初めから言わなかったの?」
と、二人(二匹?)は簡単に信じてしまった。
「いや・・・・あはははは。何か言いづらくてな。別にたいしたことでもないしな。」
「でも、美神さんの香水って高いんじゃないの?」
タマモが不思議そうに美神を見る。
「いや、その、ね。まぁ、香水くらいなら別にいいかなぁ〜って。あはは。」
美神は平静を装って言ったつもりだったのだが・・・・
「美神殿!!熱でもあるのでござるか!?」
「美神さん!!何か変なものでも食べたんじゃないの!?」
と、二人は口々に美神を非難(本人たちは心配しているのだが)している。
「私の香水を横島君が使っただけで私が怒ると思ってるの!?」
(思ってる)二匹はそう言いたかったのだが美神の異様な迫力に何も言えなかった。
「ま、まぁ、皆落ち着いて。シロちゃんもタマモちゃんもそんなこと言ったら美神さんが可哀相よ?」
おキヌちゃんが二匹に向かって美神を気遣うように言う。
「そ・・・・そうでござるな。」
「ご・・・・ゴメンなさい。」
「え?わ・・・・分かればいいのよ。」
何とか場は普通の空気になったようだ。
しかし、横島は一人考えていた。
(何で、シロもタマモもムキになってたんだ?よう分からん・・・・)
鈍感すぎる横島がありったけの頭脳で考えていた。
横島は知らない。
自分が、人・神・魔全ての種族から好かれているということを。
そして、これらの騒動はその序章に過ぎないと言うことを・・・・


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