椎名作品二次創作小説投稿広場


復活

シロの想い


投稿者名:ETG
投稿日時:05/ 3/12

みみっちいが食い逃げは犯罪。掟は守らねばならないでござる。
掟破りは必ず捕まえる、とシロはいつも持ち歩いている師匠の凛々しい遺影に誓う。

「先生!!草葉のカゲからシロの働きを見ていてください!!」
「そ、その男じゃーッ!!」ばあさんが驚きのあまりどんぶりを取り落としながら叫ぶ
「え。」「まちがいないーッ。キツネが化けとったのはその男じゃーッ!!」

「シロちゃん、その男はどういう方だい。草葉の陰っていってたってことはもはや故人かい」
「拙者の霊波刀の師匠で・・・・・おそらく死んでしまったでござる。ぐすっ」

少し鼻声になりながらシロは続ける。
「前のアシュタロス事変の時、最初はずっと報道されてたのでござる」
「霊能者であの事件に関わっていたということは。すごい人なのじゃろうな。お若いころの写真かい」
「いえ、ほんの少し前の写真でござる。すごい方、というのはもちろんでござる」
シロは当然とばかりに言い切る。

「拙者も報道された以上のことは知らないでござる。しかし、ある日から突然テレビにも新聞にも出なくなったのでござる。
 美神どのや西条どのは最後まで報道されていたのに・・・。
 あ、拙者の師匠、横島といわれるのでござるが美神どのの一番弟子でござる」

「あの、アシュタロスを倒した美神令子のか!」

「そうでござる。ある日からぷっつり報道されなくなった・・・おそらく・・・亡くなっているでござる。
 拙者、怖くて聞きに行けないのでござる」
その後、ポツリ、ポツリと横島の話(シロ視点バージョン)をする。


もちろんシロが聞きに行けないのは、横島が魔属の手先として報道されていた、ということもあるからだ。
シロには先生のことだからなんか事情があるに違いないが、魔属の手先として祓われていたらと思うと電話もかけられなかったのだ。

先生なら色香に惑わされて人類裏切る可能性は無いと信じたいが信じ切れないでござるからなぁ。



ちなみに両親の強い希望で横島が真の英雄であることは伏せられていた。
高校も卒業しないうちからチヤホヤされるとろくなことにならないという理由からだ。

で、人界の報道機関などには、表向き美神令子がヒャクメの協力で倒したということになっている。全くの嘘でも無い。
もちろん、GS関係者や一部政府関係者には周知の事実で、機密でも何でもない。

ワルキューレ(協力:ノルン)+小竜姫(協力:斉天大聖。さすがに菩薩様は名を貸してくれなかった)の、
七代祟る呪いと仏罰が怖くなければ報道してもいいと各社に文書で通告してあるだけだ。
報道したらどんなに責任者を隠してもヒャクメが暴くというおまけ付き。

仏罰はともかく魔族化した運命の女神の呪いなど誰も受けたくはないだろう。
期間は横島の高校卒業まで。ま、忘れやすい世間のこと、それくらい冷却すれば個人のことなど埋もれるであろう。


で、関係者には周知の事実なので特に連絡も回さなかった。しかも結界で隔離された犬神の里のこと、誰も気が回らなかったのだ。

なんせ一番の関係者の横島はルシオラの方に全神経いってたし、美神令子はもともとそういう配慮は不得意な上、
覗きもしない横島の精神状態が心配で仕方なかった(そんなそぶりは意地でも表に出さなかったが)ので、意識にものぼらなかった。
おキヌちゃんは単純。令子と同じ理由+幽霊時代の出来事なんで、記憶がぼけてあんまり覚えてなかったのだ。

早い話がみんなに忘れられていたのだ。

「話を聞くと、少しセクハラ気味じゃが、人や妖怪に分け隔て無く優しくて頼りになりそうな方じゃの」
「キツネは先生を知ってるみたいでござるな。いい機会だから、ちゃんと聞くでござるよ。これが美神除霊事務所の連絡先でござる」
「一応公務だからわしから電話するぞ。横島氏の現状もそれとなくわしが聞こうか?」
「お願いするでござる。もしかすると、うまくしゃべれないかもしれないでござるから」


ぷるるるる、ぷるるる、ぷるるるる、ぷるるる、ぷるるるる、ぷるるる
「留守かの」
ぷるるるる、ぷるるる、ぷるるるる、ぷるるる、ぷるるるる、ぷる

「はい、美神除霊事務所っすけど?」

「・・駐在所の所田と申します。連続きつねうどん食い逃げ事件でご相談があるんですが」

「へ??きつねうどんっすかぁ??」

「あっこらまだっ」「先生ー!!お久しぶりでござるっ。弟子のシロでござるーー!!!」
しっぽがぶんぶん振られている。

「シロ、人狼のシロか?」
「そうでござる。先生、生きてたでござるかーー!生きてたら連絡ぐらい欲しいでござる!!!」

「なんで、俺が死ななきゃならないんだーーー!」
「ばったり報道されなくなったから、悪魔と一緒に祓われたと思ってたでござる」

どれだけ心配したかを10分ほど言いつのるシロ。

「す、すまん。おまえがそこまで気を遣ってくれてたとは・・・・こっちも、事件後いろいろとりこんでて」
「済んだことはいいでござる。先生のことだから活躍したに違いないでござる!武勇伝を聞かせて欲しいでござる」

「シロちゃん、お取り込み中もうしわけないが、事件のことをお聞きしたいんだがの」
「す、すまないでござる。つい」

説明をはじめる所田駐在。横島はおキヌにも聞こえるように、電話の設定を切り替える。

とりあえず、きつねうどんの件は、心当たりはあるが所長不在なので後ほど連絡すると伝える。

その後は、シロと横島の心温まる会話。もー横島、電話越しに頭下げっぱなしである。
その後アシュタロス事変での会話。

「先生、そんな危ないことやってたんでござるか」「ま、なりゆきでな」
「実際にアシュタロス仕留めたのは先生でござったか!」「そういうわけでもないんだ。さっき説明しただろ!」
「今度はシロもついて行くでござる!遠いところで心配するのはもうごめんでござる!」
「たぶんそっちへ行くことになるから、つもる話はその時に」とかなんとか。


電話が切れたあと

「たぶんタマモちゃんですね」「まず、間違いないだろうな」
「美神さんが退治したことになってるんだよな。先に隊長に相談した方がいいか」
「そうですよね。美神さんなら裏でこっそり始末してしまうかも・・・・」
「そこまで極悪非道でもないと思うけど、念のため、だな」

二人ともこの辺はイマイチ美神令子を信じ切れないようだ。
それに、二人はかくまったのがばれてることや、タマモがあの後、美神親子を襲って返り討ち?にあったのを知らない。


「それに、今日の美神さんとてつもなく変でしたもんね」

人工幽霊一号の話では何本か電話をし、美智恵に怒鳴られた後、一緒に家を出て、帰って来たらふらふらになってたらしい。
これでは、判じ物だ。

「そだな。それも含めて隊長に聞いてみよう。今はとりあえずご飯にするか」「そうですね」


そのあと、美智恵の所へ行き、今日のことを説明した。すると美智恵はニッコリと会心の笑みで
「ちょうどいいわね。タマモちゃんを令子に引き取ってもらいましょ。それなら安全でしょ。私からあのコに連絡しとくわ」
「お願いします」「これからも何かあったら、教えてね」「ありがとうございます」

「それはそれとして、今日、令子に起きたことを説明するわ」
ってことになった。

みな、令子の様子があまりにもおかしかったので電話で様子をお互いに連絡してきたのだ
今、横島クンとおキヌちゃんが来て、全ピースがつながった。

その後、美智恵と令子の間では「アンタ、ちゃんと責任とりなさい」「なんで、妖怪飼ってやらなくちゃならないのよ!」
とか電話でまたバトルがあったそうな。
前回の全貌をつかんでいた美智恵に、令子が全く勝ち目がなかったのは言うまでもない。

ま、その後、別に令子の行動パターンが目立って変化したわけでもないが、少しましになったようだ。



その頃、犬神の里ではシロが
「絶対についていくでござる!そのためには武士の誇りも何も捨ててもいいでござる!!」
と決意を新たにしていた。


数日後

「片っ端から妖怪飼ってやる気はないの!!」
「どーしてもダメとゆーなら・・・・」
「ふんっ、切腹でもする気!!私は気にしないからねっ!」

ならば!!

「腹いせに車のシートに粗相してやるでござるッ!!」



to be continued


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