手のひらに乗った小さなホタルをじーっと見つめる横島。
「必ず復活させてやるからな・・・ルシオラ」
それが伝わったのか、ホタルは触角をピクッと動かす。
「ま、気長にやるしかないか。しかし結構きついな。」
と、そのホタルを事務所のテーブルの上に置いて隣の部屋へ歩き出す。
「暇ができたら、冥子ちゃんか鬼道に要領を聞きに行った方がいいだろうな」
あのあと、いろいろ文殊菩薩に質問して、結局、式神にすることを選んだ。
やはり、「またルシオラと話ができる」というのが大きかった。
西条の顔が輝いてたのが気にくわなかったが。
隊長も美神さんも心の荷物を下ろしたような顔をしていたからこれでいいのだろう。
その後、隊長と美神さんは「せめて謝れ」とか「妹か弟か知りたい?」とか親子漫才をしていたと思う。
「さ〜〜〜〜ってっと。通常業務復活!! 日常ってステキ・・・!!
今日からまたバカな悪霊相手のボロもうけが始まると思うと・・・」
「でもあの・・・仕事の依頼一件もありませんよ?」
「なじぇーーー!!!」
「ぎゃぃゃぁ〜〜〜〜」
「あんな事件のあとだもの仕方ないでしょ。」
「ママ!!」
ホントになかった。雑魚霊や悪魔も全くといっていいほど動かなかった。
で、事実上、長期休暇になり、その間にひのめちゃんが生まれたりした。
横島はアシュタロス事変で遅れた授業の補習と追試の嵐があり、隊長の見舞いもままならなかった。
授業日数はあんな事件に巻き込まれた、ということでチャラになった。
ちなみにピートのみならずタイガーも試験の結果、補習の必要はなかった。
そんな中で横島は何とか時間をひねり出して六道冥子に会いに行った。
冥子も依頼がなくて暇だったし、鬼道は学校が忙しかったのだ。
霊能学校である六道女学園は、アシュタロス事変で復活した悪霊に集中攻撃を受けてけっこうやられていたのだ。
「ちわっーーーす。相変わらずかわいいっすっね〜〜」
さすがの横島もこのお嬢様だけにはいきなり抱きついたりはしない。
命に関わる。一般人なら令子やエミでも十分関わるが。
「あ〜り〜が〜とう〜。でも〜、なんか〜ぁ、横島クンも〜かっこよくなったわね〜」
「いやー、いろいろあったっスからね。一皮むけたってことですかね。
ところで、式神もちになったんでいろいろ聞きたいんすけど。」
出されたケーキをそっこーで食べながら答える。
手みやげはもちろん無しだ。冥子もそれを気にしたふうはない。
「とりあえず〜、ルシオラちゃんだったっけ〜。出してみて〜」
「これです」
「なんで〜、ポケットから出てくるの〜?」
「少しでも長く出しとけ、っていわれてるんっすよ。結構きついんで、要領とかお聞きできたらな〜と」
「すごい〜式神ね〜。霊力消費が〜すごいわ〜。
小さいけど私の十二神将合わせたより強そう〜。こんなの常に出しとけるんだ〜。
かっこよくなるわけね〜。冥子、惚れちゃうかも〜」
「へっ? 触覚動かすことしかできないんスけど? えっ惚れる?僕もずーっと前から愛してましたーー!!!」
飛びかかろうとして、アンチラで256個に切られ、ビカラで踏まれてミンチになる横島。
「ごめんね〜。憧れるの間違い〜。
ルシオラちゃんは〜、おいおい使えるようになると思うわ〜。
最初はそんなもんよ〜。聞こえてる〜?」
冥子も慣れてしまったらしく、手加減できているようだ。
30秒で傷どころか、服に血も付いていない。再生過程はみない方がよいだろう。
「じゃ、キツイのはどうしようもないっスか?」「ずっと出せてるのが不思議〜」
あと、式神を動かすときのトレーニングの方法をいろいろ教えてもらう。
横島も、らしくなく熱心にメモをとる。
「ありがとうございました」「がんばってね〜」
横島が去っていく。
「わたしも〜がんばらなくちゃ〜。教えたの〜、今朝お母様に言われた方法よね〜。ちゃんと伝わったかしら〜」
このあと美神除霊事務所に行くと、ひのめの発火念派を消すためのバックドラフトで黒こげになった。
霊力さえあれば、たかが赤子の念波。文珠でいかようにもなったのだが、いかんせんスッカラカンである。
さすがの横島も3日間の入院、と相成った。合掌。
金と体力を令子にむしり取られ、霊力をルシオラに吸い尽くされる横島。
漢、横島、惚れた女にゃとことんつくす。がんばってなー。
to be continued
みんながみんな、シリアスや、ダークや、ラブラブや、バトルや、勢力争いでは疲れちゃいますし。
ってことで、コレは最後まで読んでみたい雰囲気が◎ (にゃら)
基本的には軽いの目指しています。最後まで読んでくださると有り難いです。 (ETG)