椎名作品二次創作小説投稿広場


地上に降る最初の雪

夢よりも遠い島 −−夢の入り口−−


投稿者名:伊三郎
投稿日時:04/ 8/ 6

『雪』の降った二日後のローマ空港のS航空予約カウンター。

「なんで、シンガポール行きの便が全部満席なのよっ!!」(自分とこの国に帰る便でしょうが、まったく!)

二十歳くらいの、腰まで亜麻色の髪を伸ばした東洋系に見える女性が「バンッ!!」とカウンターテーブルを両手で叩く。

「あいにくと、昨日の雪のため、空港の機能が丸一日ストップしていましたので。」
冷静かつ慇懃無礼に対応する予約スタッフ。

「う〜〜〜〜、ビジネスクラスは?」
「残念ながら、明日一杯までビジネスも満席です。」
「クアランプールかバンコク経由は?」
「同じです。ちなみに他の航空会社も似たような状態です。」
にっこりと最高のビジネススマイルを浮かべ彼女は続ける。

「でも、お客様も私共も両方、幸せになる、たった一つの冴えた手段をご提案できます。」
(まっ、まさか〜〜。)
「一時間後の直行便に三つだけファーストクラスに空席がございます。」
(そう来るか〜!!!)

完璧なクイーンズイングリッシュで止めを刺される。
「今すぐなら、御取りできますが、いかがなされます? ミズ・ミカミ」

(この〜、イタリア人のくせに気取った英語使いやがって〜!!ちょ、腸が切れそう・・・!!)断腸の思い!

前回、柄にもなく横島達にこずかいをクレテヤッタことへの、お金の神様(この広い宇宙で美神令子が唯一、敬意をはらっている神様)の下した天罰か!

とにかく、他に選択肢は無い。(明日の午前中までに着かないと、ペナルティがある。。。ちっ!)



そんなこんなで、ようやく着いたシンガポールのチャンギィ空港。

ターミナルビルを一歩でると、

「「あ、暑いぃ〜〜〜!!」」熱気が一行を襲う。

「冬のローマから、いきなり熱帯の島ですからね。」

「あ〜、頭いたい〜。」美神がうめく。

「美神さん、飲みすぎですよっ! 一体、何本空けたんです!」珍しく強気で突っ込む横島。

「ウルサイッ!」(あ〜、頭に響く。)

「フンパツして高い席に乗ったんだから、高い酒飲んで、少しでもモト取らないと。そ〜れ〜なのに、この馬鹿は!」

横島の胸倉を掴む美神。

「アンタが、もう一生乗れない(だろう)ファーストクラスでガーガー寝やがって!!」(あ〜、また頭に響く。)

「みっ、未成年がどっちみちアルコール飲めるわけないでしょうが。」

「ま〜ま〜、二人とも落ち着いて下さい。せっかく、お迎えの人も来てるんですから。」とキヌは横にいる、少し小柄で目つきの悪い男の方を見る。

「そ〜だ、何でお前ここに居るんだ、雪之丞?」横島も目つきが悪い。

「迎えに来てやったのに、いいご挨拶だな横島。『あの時』以来だな。」

「だから、何でここに居るんだよ。」

「私が機内電話かけて呼んだのよ。」と美神。

「そう、たまたま香港に居たんだが、大将が夜中に電話かけて来て、たたき起こされた。」

「あの、雪之丞さんを呼ばないといけないほど強いんですか?今度の相手は?」

「強いことは強いんだけど、ここに着くのが一日遅れちゃったんで、今日中に二件同時に取りかからないといけないのよ。」

「組み分けは、どうするんだい? 大将。」

「私とアンタがここ、ゲイラン地区の悪霊退治! おキヌちゃんは横島クン連れて『あっち』の仕事をお願い。」

「私と横島さんの二人でですか?」(ちょうど、いいかも♪)

「そっ、霊のレベル自体はそんなに強くないから、慎重にやれば、すぐ片付くはずよ。ハイ、これ行き方のメモ。」と、なぜかニッコリしながら紙を横島に渡す。

(この笑顔は何かたくらんでる時のアレだな〜。まっ、おキヌちゃんと二人ならいいか。)男と一緒に組むのが嫌いな横島、メモを読む。

「ん、なんスか? この、タクシーで『うおつりセンター』までって?」

「ほんとは、ワールド・トレード・センター! アンタの発音じゃあ、ここの人には通じないと思うから。言える?『ウォルトレッドセントゥ』」

「『うおつりセンター』でいいです。はい。で、そこでルピアに両替して、スカイジェットフェリーでセクパン港まで行くと。。。」

「向こうに着いたら、『初芝の青木さん』て人が向かえに来てくれてるから。後の事は『彼』の指示に従うこと。分かった?」

「初芝って、あの『課長、部長シリーズ』で有名な初芝電産ですか?」キヌが尋ねる。

「そう、日本いや世界でも有数の大企業よ。お得意様だから、向こうの機嫌損ねたり、装置ぶっ壊したりしないこと!」

「「装置?」」横島とキヌが同時に疑問を口に出す。

(ちっ、口が滑った!)
「あ、まあ〜、行けば分かるわよ。いいこと、く・れ・ぐ・れ・もペナルティ発生させないこと!もし、罰金払うことになったら。」

「はいはい、俺が一生かかって返せってことですね。」(絶対、何か隠してる!この女)

「分かっているならヨロシイ。」また、怪しい笑顔の美神。あさっての方角を見ている雪之丞。。。

「じゃ、もたもたせず、すぐタクシーに乗んなさい。フェリーは一時間に1本しかないから。おキヌちゃん、頼んだわよ。」

「はいっ、頑張ります。美神さんと雪之丞さんもお気をつけて。」

(あの、笑顔がどこまで続くことやら。。。ご愁傷様。)口には出さねど、雪之丞は裏をかんづいているようだ。。。

「じゃあな、雪之丞。またな。」乗り場へと、ローラー付きのバッグを転がしながら出発する二人。

(一言くらい、言っといてやるか。)「おい、おキヌ! 辛い事があったら、全部、横島に任せるんだぞ! いいな! これは餞別だ。」と声をかけ、小さめのきれいな包装紙に包まれた箱を投げる。

「はい?」キヌには訳が分からない。

「そいつは『あそこ』で必要になる、『向こう』に着いたら開けてみろ。」と雪之丞。
(ほんとは、弓の土産だったけど、ま〜いいや、買い直せば。)

「はい、ありがとうございます。」疑問を顔に出しながらも、ペコリと頭を下げる。

「俺には、餞別とか励ましの言葉は無いのかよ。」「ねえよ!『あの島』行って、死んでこい!」いい友達だ。



「行っちまったな。。。」雪之丞。

「そう、もう、後戻りは出来ないわよ〜。」今は、悪魔の笑顔を隠そうともしない美神。。。
「さあ、こっちも行くわよ。まず、ホテルにチェックイン。」横島達の次の車に乗り込む美神と雪之丞。

「ドライバー、 ホテル・コンコルド」
「オーケー・サー。」車が走り出す。

「で、どうゆうつもりだ、大将。」

「何の事かしら?」

「このままだと、くっついちまうぜ、あの二人。」

「いいんじゃない。 くっつけば。」妙に素っ気ない。

「ほんとに、いいのかよ、それで。。。」「いいのよ!」
「まあ、大将がそう言うんなら、そっちは、いいことにしとこう。俺が言いたいのは『依頼』の方だ。」

「横島クンとおキヌちゃんには、いい勉強になると思うけど。」

「『あの部屋』でやるんだろ? 除霊を。」『あの部屋』?

(くっ、ばれたか!)
「アンタも入ったことが、あるの?『あそこ』に。」どうやら『あの部屋』と『あそこ』は同じものらしい。

「ああ、一度だけだがな。俺は九龍の『イースタン・デジタル』だ。」

「私は、『クオリティ』『あの島』のね。」

「ひで〜な、行った事あるんなら、もっと教えてやればいいのに。」

「だ・か・ら、これも修行のうちよ。私の持ってる知識と技術と経験を全部、あの二人に叩き込むつもり。」
(それが、『あの時』横島クンにできた「借り」への、私なりのケリのつけ方。。。。)

「そう思ってんなら、もっと教えてやれよ。『あの部屋』と『あの島』の事を。。。」

「予備知識が無いほうが、いい勉強になるわよ。さあ、行ってらっしゃい!! あの『夢よりもはるかに遠く、インフェルノに一番近い島』へ。そして、一回り大きくなって、帰って来なさい!! 私は信じてる! きっと、無事に仕事を終えて戻ってくることを! 横島クン、いや、横島忠夫!そして、氷室キヌ!」

気分はもう、四人の娘を男手一つで育て上げた『飛鷹 二徹』バックには九十九里浜の荒波が『ザザ〜ン』とシブキをアゲテ立ちのぼっている。

「いや、大将。口では奇麗事言ってるようだけど、俺には『あの服』着るのが嫌で、二人に押し付けたとしか思えんのだが。」冷静に突っ込む雪之丞。でも『服』?

(ああ、変なとこで、やたら勘のいいやつ!)

「あっ、アンタの時は、どうやったのよ。『イースタン』で。」話題をそらす美神。

「俺の時は幸い『装置』に取り付いてる妖怪だったんでな。お札で封印して、『装置』ごと、そっと『外』に持ち出して、あとは一撃さ。」と、まるで鶏を捕まえる時のように、両手を丸めて出す雪之丞。

「『あそこ』には、お札なんか持ち込めないでしょうに。」お札が持ち込めない?

「専用の紙とインクのお札を『イースタン』の連中が用意してた。」専用?

(その手があったか!)
「そのお札、出所分かる?」

「知らん、やつらも秘密にしたがってた。」

(まあ、そうでしょうね。『あそこ』で使える道具なら門外不出にしてもおかしくないわね。。。。)

「とにかく、道具は一切使えない。あの二人がどうするか? 少しは心配してやれよ、大将!」

「いざとなったら、『笛』が切り札になるはず。。。」

「そうか、それで『おキヌ』を出したんだ。じゃあ、横島は『おキヌ』のお守りか。文珠もあるしな。でも、『笛」』だって、洗わないと持ち込めないぞ。」洗う?

「『文珠』も使えない可能性が高いの。。。実はサンプルで二個、先に送ったのよ。。二人が着くまでには、分析結果が出てると思うけど。」
実はこの文珠、横島から一個45円で毟り取って、依頼先には二つで二千万円ふんだくっていたりする。。。

「用意だけは、よろしいようで。。。まあ、後は祈るしかないな。正直言うと、俺も『あの服』を着るのだけは、ごめんこうむりたい。」

美神はともかく、あの雪之丞さえ嫌がる『あの部屋』『あの服』とは?

「気が合ったとこで、こっちの依頼の打ち合わせをしとくわよ。強さは、アンタが退屈しないレベルなのは保証するわ。それで、、、、、」(よし、話題を逸らせた。)

(まあ、横島だったら死ぬことだけは無いだろう。)さっきは、ああ言ったけど親友の実力は認めている。

(向こうの担当は、あの二人。。。いつも無愛想な日本人とプロレス好きな変なシンガポール・チャイニーズ。。何とか助けてくれるでしょう。今度も♪)心の中では、少しだけ(そう、ほんの少しだけ)心配している美神令子。


そして、そのころ横島達は。


「ほんとに、着いたね。」
「ええ、運転手さんもあっさり分かりましたよね。」うおつりセンター到着。

パスポートを見せ、フェリーのチケットを買う。シンガポールの出国審査を終え、埠頭に来た二人の前には。。。。。

「これが、スカイジェット? どのへんが?」

そこには、漁船に毛は生えたくらいのボロ船、中に入るとシートは30席くらい。二人の他には、『あの島』の人らしい、大きな荷物を持った五人組と、偉そうに足を組んでガムをクチャクチャ噛んでいるアメリカ人らしいサングラスの大男だけ。これでも国際航路船舶である。

(完全に名前負けだよな〜、まったく。)

とりあえず空いている窓際の席に座る。ゴトゴトと音をたてて、今にも沈みそうな船が出発する。そう『あの島』に向かって。窓から見える景色は熱帯ののどかな海と小さな無人島の風景。


「やっと、二人きりになれましたね、横島さん。」とニッコリ微笑むキヌ。横島、ちょっとドキッとする。

「では、宿題です。あの詩の。」「あっ。」コケて、前のシートの背に額をぶつける横島、何を期待していたんだ?

(わすれてた〜。) 『忘れないで欲しいな。全く。』遥か西の地の地下牢でも悪魔がコケてたりする。

「では、読みます。」「はい、どうぞ。」

「え〜と、、、、、、読めません。」

「ごしゅ!」今度は本格的にコケてシートに顔をぶつける横島。

「おっ、おキヌちゃ〜ん。」

「ごめんなさい。漢字、一個一個は読めるんですけど、意味がとれないんです。」
(あの朝は読めたのに。こんなことなら、振りガナと返り点を書いておけばよかった。)後悔先たたず!

「ちょっと待って下さいね。」ゴニョニョと呟きながら考えているキヌ。


「お待たせしました。とりあえず読める所から行きます。」

「全ての災厄の詰った箱より最後に出てきた私、これはパンドラの箱からでたラプラスさんのことですね。その力を全て使って、世界震駭(しんがい)者の横島さんに告げる。」

「世界震駭者って、何?」

「その辺は後の宿題にしましょう。次行きます。」とっても大事な事だぞ、そこの二人!

「この世界は爾(なんじ)つまり横島さんの選んだ世界、この宇宙に生きる全ての生命を代表して、ありがとうと言いたい。」

(まあ、選んだよな。。。。)

「先の大戦では、数万の生ける物が非業(ひごう)の死を迎えることで、彼、アシュタロスのことだと思います、その彼のたくらみを阻止することができた。しかし、あの戦いで最後に出てきた、ただ一人の横島さんが出現しなければ世界は滅んでいただろう。」

(誉めてくれてるのは、まあ嬉しいけど。。一人じゃなかったよな。。。それに、非業の死か。。。)

「それで、次の行が全く読めません。」

『以往再遭彼時對恆事殺害』

「どこで、区切るんだろう。」「さあ、、、すみません。」「いや、謝らなくても。次行こう。」「はい。」
と、言いながらもその行に『彼』の一字が入っているのが気にかかる二人。。。。

((もし、前の行の『彼』と同じだったら。。。。))

「嘉肴(かこう)食(しょく)すが如(ごと)き、え〜と、おいしいご馳走を食べるように、昔から伝わる神聖な教えを学び調伏しなさい。」

「??」

「お前達の待ち人はそのうちに現れるが、還ってきても決して「はい」とは言わない。」

ピクッとそこで横島が反応する。キヌもそこで一呼吸入れる。。。
(待ち人って、『あいつ』のことか? でも「はい」とは言わないとは?)

「でも、がっかりすることなない。その子や孫たちが助けてくれる。必ず、一緒に因果の結び目を解くことができるだろう。」

「???」

「お前達の選んだ運命は、嶮しく厳しいが、きっと成し遂げられる。」

(まあ、がんばれってことか。。。)

「この世界を守ろうとすることは、天と神様に喧嘩を売ることと同じである。」

(前に言ったよな。。。読まれてるのかな?)

「時に雀は小さな木切れを銜(くわ)えて、大きな海を埋めようとする。それと同じくらい無謀なことである。しかし、誰かが、その最初の木切れを投げなければいけない。それが、お前達である。」

(千里の途も一歩から?)

「おまえ達の道を、同じ志(こころざし)も持つ者に引き継ぐことができたら、いつか人は偉大なる存在に進化するかもしれない。。。。続けます。」「いいよ。」

「時には、心が挫けて、崩れ落ちそうに成る時もあるだろう、その時は『夕方の黄昏の風景』と『ひとひらの雪の想い』がお前達の心の支えになるだろう。」

(『夕焼け』と『降る雪』か。。。。)

「また、遊ぼう、お隣さん。  以上です。」

「半分以上、いや、ほとんど分からん!」詩の書かれた便箋を手に取る横島。

「ねえ、おキヌちゃん。爾等(なんじら)てあるのは?」よくぞ、読めた!横島!

「はい、そこは全部、『お前達』と訳しました。」

「『達』って。。。」

「横島さんと私だと思いますけど。。。あの時、美神さんのイメージもほんの少しあったと記憶してます。」

「う〜ん、まるで『ノストラダムス』の四行詩みたいだな〜。」

「まあ、、、すぐに起こる事では無いと思いますから、日本に帰ったら、じっくり調べましょう。」

「宿題がいっぱいだね。」(げっそり。)「はい、頑張りましょう、横島さん。」(二人で♪)

外は、一面の澄んだ海と空。船はようやく、目的地のセクパン港に入港する。



「え〜と、右から三列目のビジネスビザのカウンターで25$支払って、二週間の滞在許可を受けること。あとは迎えに来た青木さんを見つけると。。。」(何か、えらく詳しいな、このメモ。)

入国審査を無事に終えた二人。迎えは? 来ていなかったりする。。。。。。



「来てない!何でだ!」「どうしましょう、、、横島さん。」その二人の周りには。。。。。。

ワイワイ、ガヤガヤ、、、「ヘイ、ミスター チョイス マイカー」、、、ワイワイ、ガヤガヤ、「ノー、ミーチョイス プリーズ」
ワイワイ、ガヤガヤ、、、、、、。

そう、何処からともなく現れた『この島』の男達、二十人くらい。。。。
「え〜と、どうすりゃいいのかな?この場合。。。」ワイワイ、ガヤガヤ。
「横島さん、みんな、何て言ってるんですか?」ワイワイ、ガヤガヤ。

「う〜ん、自分の車に乗れって言ってるようだな。」
「じゃあ、この人達はタクシーの運転手さん?」
「そう、、、らしい。」

いつまで待っても迎えが来る気配は無い。その待っている間も、ワイワイ、ガヤガヤと二人に話しかける群集。みんな明るくて、愛想がいい。


「う〜、このままココに居てもしょうがない。町と会社の名前は分かっているから、ここでタクシー拾おう。」と苛立ちが最高潮に達し、ようやく決断する横島。
「そうしましょうか。でも、どの人に頼みます?」

「え〜と。」周りを一周見渡して、一番人の良さそうな男を指差して
「アイ チョイス ユー。」
「サンキュー ミスター。」
決まると、あっさりと他のドライバー達は散ってゆく。ようやく静かになった。


そして、その選んだ車は。。。。
「ひ、ひで〜! 走るのかよ、これで。」(二十年位、前のモデルだぞ、これは。)
「わ、私もだんだん不安になってきました。」(船も車も古いですね。どうなるのかな?これから。)

フロントガラスはヒビだらけ、前が見えるところは半分も無い。サイドのドアのガラスは最初から存在していない。止めは、、、、ドアを開け閉めする取っ手がなくて、紐がぶら下がっている。。。。。。エンブレムを見ると、実は『TOYATA』と書いてある。。。

なんとか、気を取り直して乗り込む二人。
中はやっぱり、「「暑い〜(ですね)。」」

「ヘイ、スタート オーケー。ホエアー?」客も取れて陽気な運転手。
「え〜と、バタミンド。」
「バタミンド、オーケー、レッツゴー!!」走り始めると、風が入ってきて気持ちいい。
「ハネムーン?」とっても陽気な運転手。
「の〜、びじねす。」少し、顔を赤くしながら答えるキヌ。
「オー、ビジネス。ウエルカム ディス アイランド モア〜 ディスタント ザン ドリーム。」

「横島さん、何て言ってるか分かります?」そこは、古文漢文は得意だけど、英語は(ちょっぴり)苦手なおキヌちゃん。

「『夢よりも遠い島』へようこそ、かな?」さすがに両親が商社勤務、ヒアリング(だけ)は少し得意だったりする。

ぼろぼろのタクシーは進む。道路の両脇はジャングルになった。道路はしっかり二車線で舗装されている。

(ナルニアもこんな感じかな?)ふと、両親のことを思い出す横島。

(なにか、どこか、懐かしいような。。。)この島の空気に奇妙な懐かしさを感じているキヌ。


車は進む、ジャングルにはさまれた道の上を。。。。その時!!

密林の中からサッカーボールぐらいの大きさの物体が、道路に転がり出てくる。

(人間の生首? それに燃えてる!)

その物体は宙に浮き、そのまま、真っ直ぐ横島とキヌの乗っている車めがけて、一直線で飛んできた。

「でえぇぇぇ〜〜〜〜〜〜!!」「きゃあぁぁ〜〜〜〜!!」
不意をつかれ、悲鳴をあげる二人。運転手は何故か平気である。避けようともしない。

キヌは思わず横島に抱きつく!!

どうした!二人共! そんな化物を退治するのが仕事の筈だ。特に横島!ローマの決意は何処へいった!!


『依頼』場所には、まだ辿り着けない。。。。。。。


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