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横島争奪チキチキバトル鬼ごっこ

怖いもの知らずの乙女と食いもん


投稿者名:詠夢
投稿日時:04/ 8/ 2

オークションの歴史は紀元前の古代バビロンにまで遡れるらしく、最古の文献として、ヘロドトスの『歴史』にそれは見られる。

なんでも紀元前500年頃の古代バビロニアでは、結婚相手を得るためのオークションがすでに開かれていたとか。


…なんてことをぼんやりと考えながら、横島は現実からの逃避を試みていた。

だが、どんなに頑張ったところで、自分を拘束する縛めも、目の前で繰り広げられる狂乱も消えたりはしない。

今の自分、すなわち『競売品』には目を逸らす自由さえ認められてはいないのだ。

自分の目頭が熱く、頬を冷たいものが流れていくような感覚は、気のせいではないだろう。

逃避を諦め、今の境遇を哀しくも受け止めた横島は、この数分間を噛み締めるように思い出すのであった。

…では、ここからは横島の口から語ってもらおう。



【ケース1.氷室キヌの場合】

おキヌちゃんかぁ〜…。

いや、前々から思ってたんだけど、ときどき信じられない無茶すんだよな〜、あの子。

今回もそうだったよ…。

そうさ。

オークションが始まって最初に声を上げたのが、おキヌちゃんだったんだよ。


「5千円!!」


おキヌちゃんの声に、皆最初は固まってたっけ。

俺だってそうさ。

あの大人しいおキヌちゃんが、こんな馬鹿げたイベントに真っ先にのってきたんだぜ?

言い出した美神さんさえ驚いて、とっさには答えられなかったんだ。

それを勘違いしたのか、おキヌちゃんはさらにこう言ったんだ。


「そ、それで足りなかったら、来月も、再来月も、その次も…お給料は要りません!! だから、だから…!!」

「ちょ、ちょっとおキヌちゃん! そんなに慌てなくても…!」


基本的にオークションのルールが分かってなさそうなおキヌちゃんの様子に、美神さんが慌てて声をかけたけど。

よく考えれば、おキヌちゃんだけじゃない。

シロやタマモ、パピリオなんかが理解できているのか怪しいもんだったはずだ。

美神さんには呆れたよ、ホント。

……でも、このとき俺は、呆れるにはちょっと早かったんだと、続くやり取りで思い知らされた。

さらに、おキヌちゃんは叫んだ。


「じゃ、じゃあ、隊長さんから預かっている『令子にお仕置き♪没収貸し金庫』の鍵もつけますから!!」


全員がコケたね、あれは。

なんじゃい、そらァッ! て突っ込みたかったよ。

会場の端で隊長が、「おキヌちゃん! それは秘密にしとく約束だったでしょ!?」って叫んでたっけ。

まあ、名前からして、隊長が美神さんの多すぎる資産の一部を没収してたってところだろうけど…。


「う…ッ! それは…かなり心動かされるかも…!」


ぼそりと呟かれたその一言は、美神さんらしいんだけど…ね…。

俺の生殺与奪権(?)が今まさにこの人の手にあるんだと思い知らされた一言だった…。

そして、その直後さ。

半ば放心状態だった皆が我も我もと、声を上げていったのは…。





【ケース2.シロ&タマモの場合】

あ〜…次はあいつらね。

確か、シロがこう叫んでたな。


「あッ、ハイハイ!! 拙者は肉断ち三ヶ月…いや半年でもいいでござる!!」


で、タマモはこうだ。


「ちょ…ッ、ずるいわよ! だったら私は油揚げ断ち半年…ううん、一年でもいいわ!!」


……まあ、こんな感じ。

そこで一言。

食いもんと同レベルかい、俺は!!

いや、あいつらにとって肉や油揚げがどれほどの価値があるのかは知らんが。

しかし…自分の価値が食いもんと同じってのは…ちょっと悲しい。

お前らにとって俺って何だ!?

歯ごたえが命か!?

それともダシがしみててナンボか!?


「…まあ、あんたらの食費って結構すんのよねぇ。それを押さえてくれるなら、エンゲル係数もかなり下がりそう…。」


美神さん的にはOKらしい。

その後も、シロとタマモは張り合うように…いや、実際に張り合いながら条件を提示していた。

…お前ら、そんなことしてたら一生肉抜き、一生油揚げ抜きになっちまうぞ?





【休息】

まあ、こんな感じにオークションは進んでいったわけだ。

もちろん、俺の言い分なんか最初からない。

別にさるぐつわを噛ませられてたわけじゃないが、何も言えなかったよ。

なんでかって?

そうだなぁ…あの雰囲気というか、気迫かな。

もちろん有無を言わせぬ迫力はあったさ。

でもそうじゃなくて、何ていうか…三人とも真剣だった。

そんな真剣さが伝わってくるようで、どうしてか何も言えなくなったんだよ。

不本意ながらな。

え?

もう行数がないから、続きは次回?

そんな制限ないだろ?

…全部書いてたら長くなりすぎるからNG?

仕方ねーな。

それじゃ、続きは次回でな。


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