「――何怒ってるのよ」
走りながら、タマモは言った。
「別に怒ってなんか……」
シロは、チラッとタマモの方へ目を走らせて、「拙者はただ、先生のことが心配だったから――」
「嘘ね」
と、タマモは足を止めた。「美神は本気で言ってるわけじゃないわ。――それくらい分かるでしょ?」
美神たちと暮らし始めてから、もう長いことになる。家主である美神の思うところは、おのずと知れてきた。だから、先のシロの険悪さが、タマモには理解できない。
少し間を置いて、シロは立ち止まった。俯いて、暫くじっとしていたが、それからゆっくりと歩き出した。すぐ隣に、タマモが並んだ。
「拙者は、誇り高き狼でござるよ」
シロはタマモを見ようとしない。地面ばかりを目で追った。「――狼は仲間思いでござる。そんなこと、分かって当然でござろう」
「シロ……」
「タマモ、お主は――」
急に顔を上げて、シロはなにかを言いかけた。言いかけたままで、タマモを見やった。
タマモは続きをおとなしく待った。シロを見つめ返した。が、突然、シロは当てつけるようにかぶりを振った。
「――まあ、狐ごときじゃ拙者の気持ちは分からぬでござろうよ」
ため息をついてから、鼻で笑った。タマモの顔を正面から覗き込んで、
「それよりも、なんで拙者についてきたのでござるか」
と、シロは口を尖らせた。「横島先生は拙者に任せるでござるよ。お前なんかがついてきたら、やかましくて先生もイヤでござろう」
「――やかましいのはアンタでしょ」
タマモは大きく息を吐いてから、呆れたように言った。「アンタの方こそ帰りなさいよ」
「よく吼えるでござるな、狐の分際で」
タマモはうんざりしたように顔を背けて、足を速めた。
ぶちぶち文句を洩らしながら、シロはタマモの背中について歩いた。
それはいつもの二人のやり取りだった。シロが怒って、タマモが無視をする。出会って以来、ずっと続けている、これからも続くだろう、上辺だけの諍い。
しかしタマモは気付いてた。今のシロは無理をしている。いつものように振舞って、ごまかそうとしているが、そのよそよそしさは隠しきれない。器用な性格ではないのだ。――自分とは違って。
タマモは、すぐ後ろを歩いている彼女を、そっと盗み見た。気落ちしたように、足元に目を落としているシロ。その足取りはどこか弱々しい。
だが、それもごく一瞬のことだった。すぐにタマモの視線に気付いたようで、一転、シロは強気そうな態度を取って、睨み返してくる。
その様子を見ていたら、なんとなく、タマモにはその悩みが分かったような気がした。
もしかすると、シロは妬いているのだろうか。あの美神令子に。
閃きのようなものが、タマモの頭に浮かび上がった。
そして――ひょっとして、「仲間思い」のシロは、その気持ちを自分でも扱いかねていて、だからさっき言おうとしたのは、今後の取るべき、身の振り方だったりして……。
考えられない話ではなかった。シロも、もう昔のシロではないのだ。
タマモは、妙に納得できた。
「妖怪」と「人間」。その差は、とても大きいようにタマモには感じられた。いくら横島が、そういう種族の壁を気にしないといっても、こちらからすれば、やはりどこか引け目を覚えてしまうものなのだろう。
それに美神と横島は、自分たちの現れるずっと前から、一緒になって行動していたと聞く。そこには、運命のようなものさえあるらしい。
そういう意味において、妖怪であり、なおかつ新参者であるという自分が、シロにとっては一番近い存在であることは、確かだった。シロが相談したくなるのも無理はない。
だが、タマモはなんだか、もやもやと胸の辺りがむかついてくる自分を、当たり前のように受け止めているのだ。
「――何よ、分かってないのはシロの方じゃない」
ボソッと、呟いた。
今度はバレないように、シロを横目で見た。とぼとぼ歩くシロは、どこか小さくなってタマモの目に映った。やっぱり、うじうじ何か悩んでいると、ああいう風に見えるものなのだろうか。
タマモはすぐに目を逸らした。後ろから響いてくる足音を聞いていた。――いったいなにが気に入らないんだろう……?
(シロが、私に相談してくれないから?)
そんなわけはない。確かに水臭いともいえるが、自分たちの関係は、そもそもそういうものではなかった筈だ。
考えに耽っていると、不意に、
「――タマモ、どうかしたでござるか?」
意外にもごく近いところから、シロの声が聞こえてきた。驚いたタマモは、
「えっ?」
と、顔をのけぞらした。タマモの俯いた顔を、シロが下から見上げるようにして覗き込んでいた。
「急に止まったりして……」
シロは、頭から爪先までをじろじろ眺め回した。「さてはもう疲れたでござるか? まったく狐は貧弱でござるなあ」
「そんなわけないでしょ」
「――だから言ったでござるよ。拙者がひとりで行くって」
シロは、タマモの言葉に耳を貸さない。やれやれ、といった感じで、肩を竦めた。それを見たタマモは、流石にムッときて、
「違うって言ってるでしょ、このバカ狐っ!」
びっくりしたように、シロは眼を見開いた。
「そうでござったか。やけに大人しかったから、拙者、てっきり眠いのかと勘違いしたでござるよ」
と、軽く笑った。
怒鳴られても、大して気にならなかったらしい。さっきまでの暗さはどこへ行ったのか、シロは威勢良く歩き出した。
――励ましているつもりなのだろうか。落ち込んでる癖して。
大体、なんで自分が励まされなきゃいけないのか……。タマモは文句を言ってやろうとして、シロを強く睨んだ。が、喉を通った言葉は声にはならず、静かな吐息に溶け込んだ。
シロは、タマモの前を歩いていった。彼女が歩くたびに、その小さな背中は細かく揺らめいていた。
(――私は、シロが羨ましかったんだ)
何かうたれたように、思った。
タマモは、頭のなかの霧のようなものが、さっと晴れていくのを感じた。シロが、自分の影と重なって見えた。……そうだったのだ。だから、自分は――。
ほんの少しだけ、タマモの身体が軽くなった。
軽くなったついでに、空を仰いでみた。
空は、すっかり朝の日差しで明るんでいる。新鮮な空気を吸い込んで、身体中にそれを満たした。タマモはシロを追って歩き出した。
――きっと、最初から分かっていたのだ。
ふと、そう思った。知っていたにも関わらず、こうやって自分はシロを追い詰めて、そうして暗い喜びに浸っていたのだ。シロが美神に当たるように。
(――嘘吐きは私だったのね)
けっこうイヤな奴ね。私って。
タマモはそんな自分がおかしくて、クスクス笑った。だけど、シロの目の前で笑ったものだから、シロはやはり勘違いして、
「――タマモ。たかだか狐の分際で拙者に喧嘩を売るとは、良い度胸でござるなあ」
頬をピクピク痙攣させて言った。よほど気に障ったらしい。シロなりの、折角の好意を無にされたのだ。当然かもしれない。
「別に、そんなつもりじゃないわ」
「じゃあ、どういうつもりでござるか」
「私も、アンタと同じってことよ」
タマモは朗らかに言った。「――急ぎましょ」
颯爽と歩き出したタマモの身体は、斜めに射られた朝日を浴びて、その明るさを増していった。シロはいまいちよく分からなかったが、そんな彼女を眩しそうに見てから、
「こらっ! 待つでござるよ!」
と言って、慌てて追いかけた。「先生と最初に話すのは拙者でござるからな!」
「――そんなの誰が決めたの?」
タマモは振り返って、不敵に言った。言うなり駆け出していた。景色が後ろに飛んでいった。
シロの叫び声が背中を押した。怒っているらしい。その声には熱が篭もっている。しかし、これからは競争だ。そうでなくっちゃ、面白くない。
タマモには負けない自信があった。それだけは確かであるように感じられた。
地面を強く蹴った。やたらと胸が浮き立った。――今日、一番に横島の家へ着いてやろう。タマモはそう思っていた。
――経緯はどうあれ、一番乗りはタマモであった。
「狐ごときに負けるとは……。この犬塚シロ、一生の不覚でござるっ!」
ちょっと荒い息を吐きながら、シロは悔しげに身体を震わせている。
タマモは、ここに来てようやく落ち着きを取り戻していた。冷静にシロを見やってから、
「先に行くわね」
と、ひとりで階段を上っていった。
「あっ、ずるいでござるよっ!」
シロは大声を上げて、一気に階段を駆け上がった。二段飛ばしでタマモを追い抜いて、横島の部屋の前へと辿り着くと、「拙者が一番でござるな」
と、にこやかに言って、得意げに胸を反らした。
まだ階段の途中であったタマモは、しかしそういうシロを相手取ったりすることもなく、これといった反応を示さない。
「勝手にしたら?」
小さく言って、それから坦々と登った。
タマモは、はしゃぎ過ぎたことを後悔していた。子供みたいに騒いだりする自分を、恥ずかしく思った。
タマモにすれば、ここでシロに勝ちを譲ったとしても、どうということはない。もっと決定的な、最終的な勝敗を決するところで、自分が一番になっていれば、それで良かった。
しかしシロは、ひどく嬉しそうな顔をして、インターホンを鳴らしていた。それを見ていると、どういうわけか、タマモはほっと和んでしまうのだ。
(ま、たまにはああいうのも、悪くないかもね)
そう思えてくるから、不思議なものであった。
タマモはゆっくりシロへと近づいていった。
――ここへ来るのも久しぶりだった。どうして横島が引っ越さないのか、不思議なくらい古びたアパートだったが、愛着というものがあるのだろう。タマモは懐かしそうに目を細めながら歩いた。
ドアの前に立って、
「出ないの?」
と、シロに声を掛けた。「――でも、中には居るみたいね。寝てるのかしら」
横島らしい気配が、ドアの向こうから漂ってくる。
「どうする? 帰る?」
「横島先生〜!」
が、シロには帰るつもりなどさらさらないらしい。タマモを押しのけると、ドンドンと、今度はドアを叩き始めた。
「シロでござるよ、起きてくだされ〜」
「ちょっ! シロ、アンタもうちょっと手加減しなさいよ!」
シロのノックに耐え切れず、ドアはぎしぎしと軋んだ。しかも一発ごとに、シロは力を上げている風だった。
「本当に壊れるわよ!!」
ひとまず出直すべきだった。
シロがなにを考えているのか、タマモには分からなかった。とりあえず、そのノックを止めさせようと腕を伸ばして、しかし、ふと思いとどまった。よくよく考えてみれば、ここまでやって、それで出て来ないというのは、いったいどういうことか。
「先生〜」
シロも不安そうであった。なにせ、あの魔族の死体を見たばかりである。彼女なりに、何か感じるところもあるのかもしれない。
ともあれ、タマモは手を出しかね、はらはらと事の成り行きを見守った。
暫くすると、予想通り、
――バキッ。
という音が耳をつんざいて、ドアは部屋の中へと吹っ飛んでいった。そのすぐ後に、更にイヤな衝突音が響いた。部屋の惨状が脳裏に浮かんで、タマモの目がくらんだ。
シロはタマモを見てから、部屋へと足を踏み入れた。タマモもすぐにその後を追った。
ところが、部屋に入ったその瞬間――。
ぞわっと、一斉に身体中の毛が逆立った。ついで、強烈な圧迫感が叩きつけられた。タマモは、まるでその正体を掴めず、混乱した。が、それでも危険が迫りつつあることだけは、ありありと感じられた。
――シロの身が心配だった。彼女は、自分よりも先に部屋に入ってしまったのだ。
しかしタマモには、シロのことを案じるだけの、そのわずかな暇もない。自身の直感に促されるやいなや、すかさず後ろに飛び下がろうとした。――が、それでも遅すぎた。その時には、視界いっぱいに熱い光が広がっていた。
動けなかった。何が起きたのかさえ、タマモには分からなかった。ただ、動いたら死ぬことだけはよく理解できた。
荒々しい息が、タマモの耳を吹き散らすように打った。そこから見えない殺気が渦巻いて、ねっとりタマモに絡みついた。
「先生……」
ふと、シロの呟きが聞こえた。そこで、ようやくタマモはシロが生きていることに気付いて、安堵した。正直、死んだと思っていたのだ。
シロの存在は、タマモの心を奮い立てた。タマモは、少しだけ後ろに下がって、目の前を覆う光から逃れようとした。
しかし、その行動をおこす前に、
「シロに、タマモ……?」
と、唸るような声がして、すっと光は脇に逸れた。
「――っ」
タマモは、あっと息を呑んだ。横島が、両手にそれぞれ霊波刀を垂らし、こちらを見つめている。
「さっきの、横島が…?」
――聞くまでもなかった。光の正体は、彼の霊波刀の、その異常なまでの輝きだったのだ。
横島は、敵意を振り撒くのは止めていたが、いまだ緊張を漲らせ、眼を光らせている。力があり余っているようで、時折、弾むようにその全身は痙攣していた。
(とんでもないわね……)
少し遅れて、タマモの身体に戦慄が走った。その興奮にも圧倒されてはいたが、彼の莫大な霊力にこそ、恐れをなした。彼から滲み出る、その凄まじい霊圧を浴びているだけで、ややもすると腰がくだけそうになる。
およそ人間のそれとは言えなかった。――しかし、確かにこれならば、あの魔族を倒すことも、あるいは可能であるかもしれなかったが……。
タマモは、横島の前から逃げたくなる自分を、強引にねじ伏せた。
それから、彼に声をかけようとして――やめた。下手に刺激したら、どうなることか分かったものではない。
じっと横島の挙動を窺った。その変貌の理由を探ろうとした。タマモは霊気の匂いを嗅いでいた。
(やっぱり変わってきてる……)
どうやら先に嗅いだ「匂い」は、勘違いではなかったらしい。
横島の霊気の「質」は、明らかに変化をきたしている。
時間ばかりが、無駄に過ぎていった。かといって、タマモとシロはその場から離れることもできず、立ちっぱなしでいた。しかし、おそらく一番の功労者は、まさしくその時間であったのだろう。
タマモたちが見守るなか、横島は、少しずつその緊張を解いていった。
やがて放たれていた霊圧も収まって、タマモはほっと尻餅をついた。
すっかり表情から不自然な力みが消えると、不思議と横島の霊力は衰えていき、ついには、それはタマモのよく知るものへと落ち着いた。人間にしては強いが、いたって平凡であるともいえる、元の横島の霊力である。
正気に返ったらしい横島は、ぱちぱちと眼を瞬いてから、慌てた様子で霊波刀を消した。それから、正面のタマモを見ながら、
「い、いや…。ええとこれはだな、不幸が重なった結果というか、俺の所為じゃないというか……」
と、弱気な口調でまくし立てた。――あんな状態にありながらも、どうやら「彼」の意識は残っていたらしい。横島は、ひどくすまなそうな顔をしている。
タマモが黙って答えないでいたら、つぎにシロの方へと目をやって、助けを求めるように、
「シロ、お前なら分かってくれるよな?」
シロは呆然としていたが、無用な心配をかけたくなかったのだろう、言われて、
「――もちろん分かっているでござるよ」
と、すぐにはきはきと返した。「先生は、疲れていたのでござろう?」
それを聞いて、横島は繰り返し頷いた。「流石は俺の弟子だ」と、シロの頭を何度も撫でた。
一通り撫で終えたら、
「――悪かったな、タマモ。びっくりしただろ?」
と、言った。「ここんとこ気が抜けなかったからな。そこでいきなりドアが飛んでくるだろ? てっきり魔族が攻めてきたのかと…」
「いいわよもう。怪我もしてないしね」
タマモは、ちょっと微笑んでみせて、それからすぐに表情を引き締めた。「横島、魔族と何かあったの?」
「ああ、それは事務所で話すから――」
そこで急に、横島は眠そうに欠伸を噛み殺した。「今は寝ていいか?」
「私は構わないけど……。それより、ちょっと痩せたんじゃない?」
「そっか? あんまり変わってないと思うけど……」
「大丈夫なの?」
横島の頬はうっすらとこけていた。眼も窪んでいるように見えた。しかし、横島は大して気のない様子で、
「別になんともないから、そんなに気にするなって」
と、ちょっと笑った。
ドアがぶつかり、乱雑に散らかってしまったゴミや雑誌を、横島は豪快に放り投げていった。そしてちょうど一人分の空いたスペースを作ると、「お休み」と言って、そのまますぐに寝てしまった。
「――どうする?」
タマモはその素早さに唖然としながら、シロに聞いた。「私たちも帰る?」
「その前に、片付けをした方がよかろう」
シロは物憂げに言った。「拙者が散らかしたことでござるし…」
「そうね……」
タマモは、大きなため息をついた。
それから、ゆっくりシロと顔を見合わせた。二人は目で頷き合って、そのまま倒れ込んだ。ゴミで服が汚れそうだったが、さして気にも留めなかった。
なんであれ、タマモは疲れすぎていた。
横島の寝息が部屋いっぱいに響いていた。シロはすでに眠ったようだった。タマモは夢うつつのなかで、シロの寝言を聞いていた。
「――ええ、見つけました。○×公園です」
西条輝彦は、横たわった魔族の死骸を見下ろしながら、耳に押し当てた携帯を強く握り締めた。
ひっきりなしに風が吹いて、彼の長い髪を弄んでいる。
『それで、どうなの?』
「え?――あ、はい。多分、先生の仰る通りかと……」
西条は少し躊躇って言った。言葉尻が、もごもごとはっきりしない。
『そう、やっぱり彼なのね』
「しかし、まだ確証はありませんよ」
腰を屈めて、魔族の切り傷を、もう一度確かめた。
『……あなたの気持ちも分かるけど、あまり感心はできないわね。何か起こってからでは遅いのよ』
「ですが――」
『二度は言いません。――すぐに応援を回すから、現場は任せたわよ』
冷たい声であった。仕事のときの、その普段とはまるでかけ離れた美智恵の声は、西条の身体を芯から震わせる。
「――すみませんでした」
西条は急いで詫びたが、もう電話は切れていた。
近場のベンチに腰を下ろした。
やれやれ……。
内ポケットからタバコを取り出して、火を点けた。煙が風に乗って、空に昇った。朝早いためか、どこか空気が澄んでいるようだった。
(――まったく、面倒なことになったな)
面倒なうえに、いまいち気分も乗らない。
すぐまた立ち上がって、西条は少し歩いてから、魔族の傷をじっくりと観察した。
(霊波刀による切断、か)
この魔族の出現は、Gメンの方でもきっちり捉えていた。こうして発見が遅れたのは、その魔力が強すぎたために、見鬼くんが反応過多をおこし、居場所を特定するまでには至らなかったからである。
(まさか真っ二つに切り裂くとはね……)
西条は、ちらりと手元の「ジャスティス」に目をやった。この優れた剣をもってしても、こうまでうまくはいかないだろう。
もはや庇いきれなかった。あの美智恵でさえ焦っているのだ。打つ手は何も残っていない。ましてや自分では……。
(――分かってるのかい、横島くん)
きっと何も分かっていないに違いなかった。それが、西条にはすこぶる腹立たしい。悩んでいる自分が馬鹿みたいだった。
車のエンジン音が聞こえてきた。大きく深呼吸をしてから、一歩ずつ、西条は踏みしめるように歩いていった。
まったく、本当に面倒だった。
ところで、横島の強さをどの程度にするか、はっきりと決めかねています。差し支えなければ、皆様の思うところをお教えください。 (湯)
ただし、ストーリーとしては今のところ「ありがちなネタ」以上の展開が見られているとは言いがたいと考えます。
その分の評価は保留とさせていただき、今後の展開に期待します。 (はくはく)
でもなかなかおもしろくなりそうなので
続きを待ってます。 (ミネルヴァ)
キャラクターの心理描写が巧みで尊敬してしまいます。自分も見習いたいもんです。
横島君の強さですが、横島君が強くなった理由については様々な設定がしてあることと思います。その設定で読者が納得できる程度の強さに設定するのが良いのではないでしょうか。
例えば横島魔族化であるとするならば、元となるルシオラを大きく超える力を持ってしまうとちょっと「ん?」となってしまいます。
まあ霊基構造の共鳴現象など色々あるようですが……
基本的に湯さんの好きなように設定したらいいと思いますよ。もう好きなようにやっちゃっていいんです(笑)
長くなってすいません。これからもがんばってください。 (堂旬)
そう言っていただけると幸いです。心理描写がぐだぐだになってしまわないか、と私の出来る限りの注意を払い、SSを書いているわけなのですが、まだまだ拙いながらもその努力が報われたような気がして、嬉しかったです。
ありがちなネタから脱することが出来るかどうか分かりませんが、頑張っていきたいと思っています。
ミネルヴァさん、コメントありがとうございます。
鋭い指摘をくださったことに感謝します。
実は、私もそのように感じていました。今回だけでなく、この作品の全てにそれは当てはまるのでしょう。
その原因は、セリフと行動と心情、さらには風景の描写といった、それら一つひとつの組み合わせの狂いにこそ求められるのではないかと思っています。多分、私の場合は無駄な心理描写が多いので、読んでいてどこか詰まったような、すっきりしないものが感じられるのです。いや、その考えは間違っている、と思った方は、是非ともこれからの参考にしたいので、容赦なく突っ込んでください。
とりあえず、いかに短い文でキャラクターを表現するか、ということが、私の今後の課題だと思っております。これからもよろしくお願いします。
堂旬さん、コメントありがとうございます。
詳しく書き込んでいただき、大変ためになりました。
実のところ、大まかな流れそのものは考えていますが、あまり詳しい設定は決めていないので、読者の方に納得していただけるかどうか心配です。とりあえずは、整合性のある文章を目指しておりますので、設定同士が食い違ったりすることだけは避けられるのではないかと思っています。これからもよろしくお願いします。 (湯)
こちらのサイトで感想を書くのは初めてなのですが、なかなか面白くなっていきそうな予感がする作品なのでがんばってください。
ところで、間違いだと思うのですが、文章中の「違うって言ってるでしょ、このバカ狐っ!」というせりふは、タマモが言っているのでしたら、狐ではなく犬だと思います。 (裏)
期待に添えられるように、なんとかより優れた作品を書いていきたいと思っています。
加えて、間違いの指摘、ありがとうございます。仰るとおり、「狐」ではなくて「犬」でした。まったく申し訳ないです。これからも誤字脱字等を見つけられたら、お知らせください。 (湯)
ウザッ。 (田辺)
これから横島がどうなるのかが、とても気になります。
次回も楽しみにしています。 (朱音)
確かに、ちょっと棘のありすぎるシロのセリフであったかもしれません。今後、キャラの魅力を損なうようなセリフには、更なる注意を払っていきたいと思います。
朱音さん、コメントありがとうございます。
期待に応えられるような、好感の持てる横島を書いていけたらと思っています。これからもよろしくお願いします。
瑠衣さん、コメントありがとうございます。
とても感情の篭められた感想ありがとうございます。気に入っていただけたようなので、嬉しい限りです。これからも一言で構いませんので、なまの感想をお願いいたします。 (湯)
正直、見やすいが感想に困る作品ですねぇ…
面白いと思うし、美神事務所の面々がよくかけていると思います。
が、決め手が見当たらないのです今の処^_^;
次作もお待ちします〜 (零紫迅悟)
B評価でもとても嬉しいです。ありがとうございます。
今のところ、まったく物語としては無きに等しい作品ですので、決め手に欠けるというご指摘、耳に痛いばかりです。今後は、なんとか物語の展開を早めていきたいと思っております。なにかと至らぬ作品ですが、これからもよろしくお願いいたします。
また感想とは関係ありませんが、いま現在、ちょうどテスト期間中でありまして、SSを書く余裕を見出せない状況にあります。再来週からの執筆再開となりますが、その点、どうかお許しください。 (湯)