横島忠夫は今現在、とても不機嫌である。
どれぐらいかと言うと、今歩いている歩道が真っ直ぐなのがムカつき。
さらに、空が無駄に青いのにも腹が立つ。
言うなれば、責任転嫁を誰かにしたい常態だ。
なぜ、このように横島は不機嫌なのか、理由はちゃんとあったりする。
第一に、両親が知らぬ間に
「探すな 父」「探してきます 母 」
と、書置きを残してどこかへ旅立ったこと。
それなら何時もと同じかと思った、が第二に、「Ps衣食住は自分で確保してね」と
母の書置きにあったこと(家はすでに売り渡されていた、実に計画的だ)。
第三に最近になって見る夢だ。
知らない記憶が、細切れになって流れる。
とても悲しくて、寂しくて。
どうしようもなくて、全てを呪って。
それでも、希望が捨てられなくて。
生きるしかない自分の夢。
結末を『知ってい』るため、もう見たくないのだが・・・。
知っている・・・?。
「我が君」
心地よい女性の声がした。
思わず振り返ると、道路には似合わない、一輪の花。
抜群のプロポーションと、人ではありえない青緑色の髪。
何時もならここで調子よく、「ずっと前から好きでした!」とか「愛してます!」
とまぁ、叫びながらその豊満な胸に、この世のものとは思えないスピードで飛び込もうとして、合えなく失敗する何時ものパターンが。
なぜかこの女性には出なかった。
換わりに出たのは、涙。
自分はこんなに涙腺が弱かっただろうか
「我が君」
「・・・・ツバキ?」
頭に浮かんだ名前らしきモノを呼ぶと、その女性は恍惚とした顔で「はいっ」と言った。
そうだ、彼女は『私』の
・・・『私』?
そう『私』のあの世界で残った、たった三人の。
「ツバキ、カノエ、キロウ」
「御前に控えておりまする」
瞬きする間すらなく、三つの影が横島の前でひざまづく。
「ご気分はいかがでございましょうか。我が主よ」
白い翼は無いものの、甚平を着た初老の男が顔色を伺う。
「先ほどまでは、どうやら父と母の行動に腹を立てていたようだ。ふむ、だがこれも良い。実に良い」
全く口調と姿があっていない、どう見ても高校生の青年が、どう見ても年上の三人を眼下に従えているのは、不自然であった。
「少々目立つな、場所を変えよう。公園がある、後」
含み笑いをした横島を不思議に思いながら、ようやく立ち上がった三人は
「「「後?」」」
と異口同音で答える。
何か自分達に非とする物があったのか、と考え込む三人に軽い口調で横島は言い放った。
「周りを見て行動をしたほうが良いな」
「「「?」」」
『人に見られる』という行為をされたこの無い三人は、訳がわからずただ横島の後を着いていく。
後にこの光景を見ていた一般市民はこう証言している。
「いえ、ねえ、学生にいきなりひざまづいてたのよ?何を言ってたのかは聞こえなかったけど、やだヤクザかしら(以下、都合により省略)
でもー道路ですよ、道路(本件と関わりが無いため省略)
チラッと見たけど、その男の子・・・あっ、ひざまづかれてたの男の子だったんだけど、恥ずかしそうにしてたわよ」
・・・ただ人目が恥ずかしかったらしい。
次回からやっと何をしに戻ったのかを描き始めます。
見捨てずにお付き合い下さい。 (朱音)
ただ文章の長さを、せめて倍ぐらいにしていただけると
嬉しいかなと思います。
では、次を楽しみにしています。 (Louie)
>従者とともに如何に悲劇を回避していくか、楽しみです
ありがとうございます!
拙い文ですが、楽しんていただけた様で、光栄です。
Louieさま
>文章の長さを倍に
・・・してもいいんですか?
短いほうがいいのかと思いまして、この回も本当はかなりの長さを
削りに削ったので、そう言っていただけると嬉しいです。
紅蓮さま
続き・・・がんばって完結させますので、それまでお付き合い下さい。 (朱音)
文章の方は「比べてみるとイケてるねっ!」て感じなのに、
短くて食い足りないです。
話の方は…まだ始まっていないので、何とも言えませんが……
とりあえず、完結まで頑張って下さい。では… (脇役好き)
少し、引きがあっても良かったかなと。 (梨音)
換わりに→代わりに
ちょっとねぇ・・・。見直せば分かりそうなものですが。 (こここ)