見渡す限り砂と土しかない、そんな黒い大地。
生命の息吹が感じられない、そんな大地。
黒い、黒い大地の上に一人の青年が立っていた。
艶やかな黒髪と、茶を帯びた黒い瞳。
美しいといって尊称はないだろう。
彼の立っている大地には、今現在生き物は四つしか居ない。
一つは言うもでもなく彼で、後の三つは現在は彼の足元にひざまづいている。
「時空の門が開く、三界はすでに『成長』を止めた」
青年の声は、心地よく大気を揺らした。
ただ不思議なのは、声質よりも幾分年月を感じさせる言葉。
「我が主よ。時は、いつでも一つであり、多重に結びついています。これもまた、定めでございましょう」
白い翼を閉じた、初老の男が言った。
「左様。ここの世界樹はすでに成長を止めています。遡るのは容易く、又、樹もそれを望んでいます」
青緑の鱗で、全身を包んだ女が言う。
「ならば、主よ貴方の望み叶えるか否か。答えはもう、出ていらっしゃるのでしょう?」
黒色に身を包んだ男が言う。
「・・・ああ、もうじきこの枝は枯れ始める。たどり着いた先がこれでは、私は彼らにわびる事もできぬよ」
出来ることがある。
しなければならないことがある。
やり遂げたいことがある。
「あの時へ、未だ己を知らず愚かであったあの頃に」
何も知らない、我が儘な頃へ。
「変えねばならない、新たな芽を、希望を枯らさぬために、私に力を貸してくれ」
愚かで傲慢な願いなのだろうけれども、それだけが今自分が生きる訳だから。
「「「我ら御主横島忠夫の願い、叶えて見せましょう」」」
声を揃えて言う彼らに、青年は笑った。
色々と初めてづくしですが、よろしくお願いします。
しばらくの間はオリキャラと横島のみで話が進みますが、そのうちヒロイン出てきますのでお待ち下さい。 (朱音)
キャラもなんかいい感じで、とても読みやすかったです。 (邪魅羅)
>今後の展開が楽しみです。
そう言っていただけると嬉しいです。
次回をがんばって書く気になります!
邪魅羅さま
>次回を楽しみにさせる、始まり方でした。
ありがとうございます。
始まりをどこにするか迷っていたのですが、気に入ってただけたようなのでよかったです。 (朱音)
一体誰なんだろうと思ってしまいました。
続きがとても楽しみです。 (シキ)
遜色はないだとしてもこの使い方はおかしいのでは?
何かと比較して決して劣ってないという意味で遜色はないというんですから。
この場合は過言ではないくらいの方が適切だと思います。 (こここ)
×:尊称(そんしょう)
○:支障(ししょう)
ですね。 (al)