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tragic selection

続・横島的な日常


投稿者名:堂旬
投稿日時:04/ 5/30

 蛍がこの学校に来て一週間が経っていた。蛍はもうすっかりクラスに溶け込んでいる。クラスの女の子と楽しそうに喋る姿を俺はなんとなく見つめていた。

「横島さん、ちょっといいですか?」

 気づくとピートとタイガーがすぐそばに立っていた。

「ああ、なんだ?」

「ここじゃちょっと・・・・・・・」

 言いよどむピート。

「ああ、わかったよ。んじゃ、屋上に行こうか」

 俺たちは屋上へと向かった。






「で? なんの話なんだ?」

 屋上には俺たち3人以外誰もいない(まあ当然だ。本来立ち入り禁止なのだから)。

 俺はピートに話を促した。

「いえ、あの・・・・・蛍さんのことなんですが・・・」

 まあ予想していたことだ。俺はピートとタイガーが最も気にしているであろうことに簡潔に答えた。

「ああ、違うよ。彼女はルシオラとはなんの関係もない」

「そ、そうですか・・・」

 ピートとタイガーは顔をあわせてほっとした様な表情をとっている。

「心配してくれてたんだな。ありがとう」

「いえ、そんな・・・・・・」

「友達として当然ですジャー」

 俺の言葉に二人は顔を真っ赤にして照れていた。

「話はそれだけなんだな? じゃ、戻るか」









「横島さん、実はワッシにも悩みがあるんジャガ・・・・・・」

「ん? なんだ?」

「最近魔理さんがワシに冷たいんジャー。ワシなんか悪いことしたんかノー?」

「知らんな」











 さて、今は体育の時間である。実は俺はこの体育の時間が嫌いなのだ。なにが悲しゅーてカロリーの無駄使いをせねばならんのだ。

 だが! だがそれでも!! 女子の服装がブルマーならまだ許しもしよう!! しかしこの学校ではそんな甘い果実は存在しない!! なんだあのなんの色気も存在しない短パンは!! あぁなんかホントにやる気なくなってきたよコンチクショー!!!

 そんな感じで「お腹が痛い」とか言って保健室でさぼろうかな〜と俺が逡巡していた時、俺はこの学校では在り得ないはずの甘い果実を見つけてしまった。

 その甘い果実を身につけていたのは・・・・・・蛍だった。

「ほ、蛍、なんでお前ぶるまぁ!?」

「え? 前の学校でこれだったから・・・・・・まだこっちの体育着買ってないのよ」

「そ、そうか・・・・・・」

 やっぱり日本全国探せばブルマーの学校は存在するのか!? ちくしょ〜! なぜ俺はこんなところで生まれてしまったのだ!!

 いや、それよりも・・・・・・・・・


 俺はルシオラと蛍の相違点をもうひとつ見つけてしまった。それはスタイルだ。いや、決してルシオラもスタイルが悪いわけじゃない。スレンダーでととのったスタイルは、それはそれで色気があった。しかしこの蛍は・・・・・・・・・

 下手すりゃ美神さんぐらいあるんじゃねえか!?

「もう横島くん目がエッチ!!!」

「ぐはっ!!!」

 かなり強烈な右をもらってしまった。あんまりジロジロ見すぎたか。










 体育も無事(?)終わり、俺たち(俺、ピート、タイガー)は昼食をとっていた。なにを食べているかというと、ピートは薔薇、俺とタイガーは例のごとく後輩の女の子がピートに持ってきた手作り弁当を強奪していた(別に俺は今はそんなに赤貧なワケじゃないんだが、もらえるもんはもらっとくわい!)。

 ひとしきり腹もふくれたところで俺たちが雑談していると、蛍が話しかけてきた。

「3人はいっつも一緒だね。親友ってやつ? うらやましい〜〜!」

「な、なんだ蛍、やけにテンション高いな」

「そりゃ〜テンションも高くなるわよ。ねね、横島くん今週の日曜日ヒマ?」

「え、まあヒマだけど・・・・・・」

「じゃ〜ん! 見てこれ!!」

 蛍はなにやらキラキラ光るカードを掲げた。

「なになに・・・・・・デジャブーランドペアVIP券!? お前これどうしたんだ!?」

「友達がなんかの懸賞で当てたんだけど、彼氏の都合で行けなくなったらしくてあたしにくれたの。でさあ、こういうペア招待券で女の子同士で行くとなんか負けた気分じゃない? だから男の子誘おうと思ったんだけど、このクラスで誘えるの横島くんしかいないのよね。だから、一緒に行かない?」

 俺はぶったまげていた。つつつまりこれはでーとのお誘いではないか? な、なんとゆーことだ! 前に小鳩ちゃんが誘ってくれたときでさえ奇跡のよーに思えたのに今再び女の子からお誘いを受けようとは!!


・・・・・・・・断るワケあるかい!!!!


「ああいいよ。俺も行きたいし!」

「ホント!? ありがとう! じゃあ今日にでも電話するね!」

 そう言って蛍は去っていった。


「・・・・・・確かに、ルシオラさんとは関係なさそうですね」

「だろ?」

 ピートとタイガーは蛍のパワーに圧倒されたのか顔がひきつっていた。











『じゃあ一時に入り口のところでね!』

「ああ、オッケー。じゃ、おやすみ」

  チンッ!

 俺は蛍と電話での打ち合わせをすませた。


 そうか、デートか〜〜。

 俺はふと、壁にかけてあるいつものジージャン、ジーンズに目をむける。

「いいかげん、新しい服にしたほうがいいよな〜。これもうかなり痛んでるし・・・金はまだあるからな。よし、明日にでも買いに行こう」



 しかし、デートか〜〜。


 俺は顔がにやけるのを止めることができなかった。


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